47.《ネタバレ》 ハリウッド製映画には侵略系やモンスター系のSFしかなかった時代に、突如出現したハードSFの古典中の古典です。英国ではすでに第二次大戦前に『来るべき世界』のようなハードSFが製作されていたことを考えると、いかにハリウッドが遅れていたかがわかります。あまりに有名な作品なので観た気になっていましたがそうじゃないことに気が付き、初のフル鑑賞とあいなりました。 いちばんびっくりしたのは、この映画には“地球の静止する”シーンがないということです!強いて言えばクラトゥが全世界の電力や動力を三十分だけ止めるというシークエンスなのかもしれないが、飛行中の航空機には影響が及ばないようにしたり同時刻なのに世界中が白昼だったり、これはこれで突っ込みどころです。低予算だったらしくロボット・ゴートと円盤のセットぐらいしかSF的な要素はありません。クラトゥがもったいぶってラストになるまで地球に来た目的を明かさないのでてっきりそこで地球の自転を止めて見せてパニックになるのかと思いきや、受け取り様によっては単なるお花畑的な演説をして去ってゆくだけ。今の感覚からするとやけに説教臭い映画じゃないかと捉えられるかもしれないけど、本当のテーマは“核兵器の恐怖”だと思います。でも考えてみれば製作されたのは1951年、つまり朝鮮戦争の真っ最中なんだよな。同年に撮られた『遊星よりの物体X』が宇宙から来た生命体を共産陣営や異人種の暗喩として恐怖の対象にしていたのと較べると、その対極に位置するのが本作だと言えるでしょう。 当時はB級映画を手がける職人監督だったロバート・ワイズが初めて撮ったSF作品となります。劇中でバーンハート教授の研究室の黒板に書かれていたのは、物理学者を悩ましていた“三体問題”の正確な数式なんだそうです。こういう目立たないことにも拘りを見せるところはいかにもワイズらしいところです、まさに“神は細部に宿る”ですね。生涯で実に様々なジャンルの映画を撮ったワイズですが、やはり彼の真骨頂は後に『アンドロメダ…』を撮ったようにハードSFだったと言えるんじゃないでしょうか。 【S&S】さん [CS・衛星(字幕)] 6点(2024-11-14 22:22:02) (良:1票)《更新》 |
46.約30年ぶりくらいの再見です。え、こんなのんびりした映画だったっけ?もっと群衆が阿鼻叫喚しながら逃げ惑う、緊迫感溢れるスピーディな展開じゃなかったっけ?っていうのが再見の感想。どうも同時期に併せて観た「地球最後の日」(51)「宇宙戦争」(55年版)と、内容がごっちゃになっていた模様。1951年製作という事を鑑みればSF古典映画としては上出来。シングルマザー役のパトリシア・ニール、綺麗。感情を殆ど顔に出さない(出せない?)宇宙人役のマイケル・レニーも適役。 【放浪紳士チャーリー】さん [DVD(字幕)] 7点(2024-11-02 08:32:30) |
45.1951年ですよ!このくらい古いSFとなると、もう逆に面白くてたまらんですよ。冷戦初期の時代背景が色濃く出ているのも興味深いし、UFOやロボットの造形のチープさもたまらん。ちょっと説教臭いが、昔のSFはみんなこんなもんですよ。日本の漫画やアニメに与えた影響も大きいでしょうね。ツッコミどころは多いし、ぶっちゃけ現代のSFと並べるとかなり厳しいので点数は低くつけていますが、個人的には十分満足しました。 【すらりん】さん [CS・衛星(字幕)] 5点(2023-07-16 08:59:19) |
44. 不思議だな。今の時代にあってもこの古典的なSF映画に価値を感じるとは。冷戦も核の恐怖も過去のものでなく現在進行形の問題であり、暴力の克服が人類にとって永遠のテーマだからだと思う。 宇宙からやって来た知的生命体の警告という形を通じて、いつの世も変わらぬ人間の本質を描いている。 【風小僧】さん [CS・衛星(字幕)] 7点(2023-05-14 17:39:55) (良:1票) |
43.面白かったのは最初の円盤からロボットのゴートが出て来た場面かなあ あとは宇宙ひとの心理戦だけ、ゴートと地球軍の攻防戦がもっと有ればと思った 【マロウ】さん [DVD(字幕)] 6点(2022-11-11 02:10:25) |
42.《ネタバレ》 これはSFの古典であり、名作と言ってもいい。白黒の昔の映画だからと期待しないぶん、かなり良かった。 アイデアや世界観も良いが、主人公のセリフやたたずまいからして「品格」を感じるのだ。 この前テレビでやってた「アルマゲドン」を観ちゃったあとということもあるが、シンプルで重厚な作りは悪くない。 結局、説教かよというツッコミもあるが、この期に及んで滅亡への道を進みかねない地球人の頭を冷やしに来るんなら大歓迎だ。 終わり方もシンプルで良い。 当然ながら「死ぬまでに観たい映画1001本」のうちの一本。 【mhiro】さん [CS・衛星(字幕)] 7点(2022-07-26 19:13:15) |
★41.《ネタバレ》 なになに、地球が静止するって?なるほど地球が自転しなくなってしまうのか!どうなるんだろう。公転はしているのだから昼と夜は訪れる、ってNHKでやってたな。さすがSF映画の先駆作。発想が突き抜けている(感心)。「渚にて」のような人間心理に切り込んだ群像劇だろうか。パニックものだろうか。・・・と諸々の思いを抱いていざ鑑賞。→説教モノでした。まさかの。 核とか危ないことするなってさ。外宇宙にも影響するようなことになったらただじゃ置かないってむしろ恫喝までされてもた。 いやほんと今の世界情勢を見るにつけ、彼にはちょくちょく教育的指導をしに来球してもらいたい気がするよ。 【tottoko】さん [CS・衛星(字幕)] 6点(2022-07-06 23:36:21) (良:1票) |
40.《ネタバレ》 先にリメイク版の方を鑑賞しており遠い記憶ながらあちらは結構特撮などでスペクタクル感があったような感じでしたが、オリジナルは、といえばSF的、と言える円盤やロボットは非常に短時間しか登場せず、異星人クラトゥと母子との親交、政府の操作網を出し抜く過程、など何方かと言えばミステリーやサスペンス、といった感じを受けました。 ただ、SF的なガジェットや世界観ではないけれど、クラトゥの真意や日常パートの地球と異星人とのギャップなど、そういった点がなかなか細かく描写されているので、派手さはありませんが面白かったです。 【クリムゾン・キング】さん [CS・衛星(字幕)] 7点(2022-05-27 02:22:07) |
39.宇宙人来訪系のいろんな後発作の源流はこの作品にあるのだなあ、ということはとてもよく分かる。よって歴史的意義は大きいといえるのだが、今見てみると、単に作風が大らかで牧歌的なのを通り越して、制作者の世界観自体が単純に過ぎるので、やはり食い足りないといわざるをえない。 【Olias】さん [CS・衛星(字幕)] 5点(2022-05-24 00:58:11) |
38.《ネタバレ》 巨匠作らしく手堅くまとめられた起承転結は観るに堪える出来映えではありますが、安上がりな映像と共に見応えに欠ける作品です。地球が静止するというお目当てシーンが全世界30分間の停電(除 飛行機・病院)というところで集中力が切れて、結末まで惰性で鑑賞。最後のメッセージは軍拡への注意喚起のようでありながら、力だけが正しいアメリカの性根が見えるもので、感慨もありません。 |
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37.《ネタバレ》 冷戦と宇宙人到来をミックスさせ、核の傘に平和を委ねた人類の危うさを訴える古典的作品 映像はチープ。安い演劇でも観ているような描写で、基本的には会話劇で進行する 連合宇宙を監視し、必要であれば撃滅するロボット・ゴートはまさに人類にとっての核兵器と同じポジションというわけだ 登場するアダムスキー型のUFOやロボット、宇宙人クラトゥの宇宙服などの意匠は かなり出来が良くなく、ロボットなどブリキのおもちゃ以下の造形だ。古い作品ではあるのだが単純に造り込まれていない ロボットは地球を破壊するのもわけはないといわれる設定なのだが、視覚的説得力は皆無に等しいといえる 話の展開は、SFとしてはかなりこれでもリアルな方といってよいだろう ある種の危機的状況に陥った際の冷戦下の人類の対応はこのようなものだろうという想定に基づいてシミュレートしている 結果政府はなにもできず、物事を矮小化して終わらせてしまうことに努め、無為に時を過ごすことしかできない。事態はどんどん悪くなるのだ 宇宙人が侵略の意図なく存亡にかかわるメッセージを携え到来する話で、私はウルトラセブン第6話「ダークゾーン」のペガッサ星人に繋がったし、 人類が原子力で他の惑星に危機を持ち込む野心ありとするならば撃滅するというロボット・ゴートには横山光輝の「マーズ」に登場するガイアーを連想した いずれも傑作との呼び声高いSF作品が本作のフォロワーであったことから、1951年当時、多くの人が創作意欲を喚起せらるる映画であった事実を認めざるを得ない 【うまシネマ】さん [インターネット(字幕)] 4点(2019-09-28 12:13:58) |
36.《ネタバレ》 UFOや宇宙人は、今観るととてもチープだけど、そこは重要じゃない。むしろこのチープさは好きだ。役者の演技が素晴らしく、ストーリー展開も面白くて飽きずに楽しめた。反戦映画として観るとやや堅苦しさを感じてしまう。 【VNTS】さん [DVD(字幕)] 7点(2014-01-10 19:48:46) |
35.宇宙人が地球にやって来たら、それは地球を征服するためであり、人類が迎え撃つといったSFとはまったく違う。むしろまったく逆の平和へのメッセージと警告が強い映画だ。この映画が作られたのが1951年、第2次世界大戦の終結とその後の冷戦へのまっただ中、原水爆の実験が次々と行われた時代。だが世界初の人工衛星が飛ぶ前の話であることに大きな驚きを覚える。映画はゆっくりとした動きだし、ゴートというロボットは命令されるまでは動きもしない。しかしそれが逆に緊迫感と重量感を増しているように思えるし、攻撃的な人々の愚かしささえも感じさせる。 【ESPERANZA】さん [DVD(字幕)] 7点(2013-03-29 22:31:06) |
34.古い昔のSF映画。当然のことだけど、特撮シーンらしきものはほとんどなし。 ストーリーも粗っぽいし、いやはや判り易すぎるほどのメッセージで、 いかにも子供向けといった作りの映画だけど、何か懐かしい雰囲気で味わいがある。 これはこれで面白いよね。 【MAHITO】さん [ブルーレイ(字幕)] 3点(2011-08-28 10:53:31) |
33.《ネタバレ》 原作付きだが、内容は殆どオリジナルだという、「地球の静止する日」。何しろ60年前の映画だから、映像表現だって古いし、目を見張るスペクタクルもない。でも、それだからこそ却って、映画のテーマ・主張がハッキリわかる。まあ、悪く言ってしまえば、「チャップリンの独裁者」のように、せっかくの映画なのに、最後の演説が言いたいことの全て、みたいな事だけど。それでもやはり同作のように世界的な大問題だったであろう、米ソ冷戦の危機に対して映画のできること、映画人の行動の凄さ、というものを感じる。 ストーリーとしては、クラートゥが街へ出て、少年との交流の中で何を得たものがあったのか。アーリントン墓地の墓標を見て、地球人をどのように思ったのか。それとリンカーンの言葉を読んで彼自身何か変わったのか?ちょっと気になるが、彼は結局初期の目的通りの演説を行うだけ。当初世界各国の代表と直接会いたいと言っていたのが、一部の科学者たちに変更になったのは、それらの結果だったのだろうが、科学者が政治的に有力な力でないことは、地球を観察してきたものなら判っていたろうに。それでも少年の母親の女性と、ヘンに恋愛関係にならなくて、良かった。 それと、細かいこと言うと、「テルミン」って実用された先端の楽器だったのか、とか、さすが、宇宙船の内部のデザインなんか、日本の特撮とはセンスが違う、とか、感心しきりであった。 最後にこれは、邦題の問題だから映画には関係ないけど、地球『が』静止する日ではなく、地球『の』静止する日、最近こういう微妙な言い回し・表現(国語学的にどういう事か自分には説明できないけど)が、ややもすると「間違い」なんて言われてしまうのが、腹立たしい。難読漢字を読み書きするだけが、国語力じゃないぞ。 【Tolbie】さん [DVD(字幕)] 7点(2011-05-13 02:47:42) |
32.《ネタバレ》 地球に宇宙を侵略するような技術は60年たった現在もありません。 【akila】さん [ブルーレイ(字幕)] 5点(2011-02-21 01:12:38) (良:1票) |
31.《ネタバレ》 ストーリーの進行がゆっくり過ぎて眠くなってしまった。交渉しにきた異星人殺そうとするとか、地球人野蛮すぎる…。これなら、邦画の「地球防衛軍」のが楽しい。 【すべから】さん [DVD(字幕)] 5点(2010-12-12 16:54:34) |
30.《ネタバレ》 シンプルでわかりやすいストーリーでした。 これだけ前の作品なので、UFOやロボットについてとやかく言うつもりはありません。むしろ無理なく溶け込んでいたと思います。 また、話の展開や描写に不自然な点はたくさんありましたが、主張するテーマが一貫しているので、いろいろ突っ込むのはなしにします (さすがに飛行機と病院だけは動いているというのは都合が良すぎて引っかかりましたが)。 最後に地球が破壊されて終われば、「人類に対する皮肉」という意味で実にインパクトがあったと思いますが、友好的な宇宙人という設定なのでさすがにそれはないですね。 【午の若丸】さん [DVD(字幕)] 5点(2010-09-22 11:05:43) |
29.《ネタバレ》 スチル写真でゴートやクラトゥは見慣れていますが、映画自体を初めて見ました。宇宙船やゴートはデザインがシンプルで、ゴテゴテしているより未来性を感じさせます。手をかざしただけで始動するというのは、製作時期を考えればすごいアイデアなのではないでしょうか。ロバート・ワイズの演出がリアリスティックでいいし、バーナード・ハーマンの音楽もこの手の作品に合っています。ストーリー自体は、クラトゥが地球人に紛れたりと意外な方向に進みました。まあ「フムフム」と見ていたのですが、最後のクラトゥの演説に至ってずっこけてしまいました。 「地球人がこちらの平和を乱すのなら徹底的に潰す」みたいなことを言っていますが、平和平和と言っても戦闘行為自体を否定しているわけではないようです。むしろ相手に攻撃させないため、相手よりも強力な戦闘力を所有することが必要だという考えに聞こえます。核兵器の抑止力に関するクラトゥ氏の意見を聞いてみたいところですね。結局、アメリカ人の思考回路は、当時からほとんど変わっていないのでしょう。いまだに拳銃所持に対する規制をまったく行わないお国柄ですから。なんにせよ、強力な戦闘力を背景に相手を恫喝するような行為は、気分が悪いです。実際問題として、絶大な力を持った存在がにらみを利かせれば、下手な争いは起こせず平安な時期が続くでしょう。しかしそれが、クラトゥ氏が感銘を受けた「人民の、人民による、人民のための政治」といえるのか。いろいろと考えさせられるところがありました。平和の使者であるような顔をしながら、最終的には軍事力に頼る。いかにも東西冷戦時代のアメリカが作った映画、という気がします。 【アングロファイル】さん [CS・衛星(字幕)] 6点(2010-09-07 19:42:03) |
28.《ネタバレ》 60年前の映画ながら、最後まで興味深く鑑賞できる。宇宙人・クラトゥのキャラクターに対する興味でストーリーがぐんぐんと引っ張られる。現代ではCG技術を駆使した派手なスペクタクル表現が本流になっているSF映画だけど、本来の魅力は未知のものに対するワンダーや期待感であることを再認識しました。高速で飛ぶ円盤や破壊光線を発するアンドロイドも出てきますが、この映画の見どころは別にある。観賞側からは宇宙人と知れているクラトゥとそれを知らない地球人との会話や、宇宙人の目から観た地球人の価値観表現に引き込まれる。展開が容易に想像出来ないという意味で、SF的な好奇心をそそられます。よくよく考えると「スタートレック」の最初のテレビシリーズなども、カークやスポックが今作と同様に会話劇としてSF的な面白味を演出していたのだと思い至りました。二次大戦終結から数年後の作品なのに、すでに冷戦構造下の国際情勢への危惧や、核が従来兵器と決定的に違う意味合いを持つことをメッセージとして残していることも慧眼と言える。一部のデザインやファッションには古さを感じますが、面白さと見応えに古さはありません。 【アンドレ・タカシ】さん [CS・衛星(字幕)] 6点(2010-02-24 01:02:52) |