1.《ネタバレ》 いつものFROGMAN作品。『天才バカボン』に『フランダースの犬』を絡めるという離れ業をやってのけた!って程のモノでもなく、まあ毎度のように小ネタは面白いけど(「命運」の静かなる笑いの表現に大ウケ)、全体を俯瞰するとありきたりという。世界征服を企てる組織が云々って時点で器が変わっても中身はあまり変わらないわけで。
問題は『天才バカボン』を原作にしながら、この映画の作品世界の設定ゆえにバカボンのパパが受動的な立場の存在になってしまっている点。あくまでマイペースではあるのですが、物語自体を動かすのは悪を実行する側とそれを阻止する側、そして悪の側が地獄から甦らせたネロとパトラッシュですから。組織の施設に潜入する、ネロとパトラッシュを救済する、なんていう類型的な物語のワクの中にバカボンのパパを納めちゃってる、それはちょっとつまらないなぁ、と。
全体的にイメージが貧困で(闇落ちネロとパトラッシュのビジュアルなんか、もう少しなんとかならなかったかなぁ)、ウェットなドラマを描くとあまりに凡庸になってしまうので、もっとギャグ方面での個性を強調した方がいいと思うんですけど。
あと、お客さんからお金貰って成り立ってる表現者としてはアレは思ってても口に出して言っちゃダメなんじゃないかなぁ。たとえギャグという形にしても。ならばやめちゃえば?って思いますよ。
それにしても主題歌に表れているように、元はやっぱり初代のアニメなんですね。『元祖』でも『平成』でもなく。
いつものFROGMAN作品が好きならば楽しめる作品だと思います。進歩を期待してしまうと微妙ですが。