2.《ネタバレ》 本作は、夏帆さん演じる貴子が小学生時代にわずかだけど舞台である鹿児島の田舎に住んでいて、一度は全国区の女子アナになり、また出戻ってきた、、この部分がミソだと思います。 初めは、地元の星の帰還を素直に歓迎できない太賀と天音 (とその他大勢) がいました。それはもちろん、今の自分の仕事や田舎で暮らしていること、そこに誇りを持てないから、彼女に対して羨望や嫉妬があったからです。(序盤、彼ら二人が彼女と目を合わせない感じが抜群にうまい) このお二人、最初はどこかやっつけ仕事的に投げやりでしたが、やがて物語が進むにつれて正面から彼女とぶつかり合うようになり、最後にはまるで別人のような顔つきになっていました。だから彼女の成長よりは、彼女が故郷にもたらした、この全体の変化 (成長) こそ本作の見どころだと思えます。田舎も都会も家畜農家もアナウンサーもそんなことは関係なく、真面目に生きていることにもっと誇りを持つべきだ、、そういう映画、と言えるでしょう。 その他よかった点として、メインである佐多の御崎祭りについて、現地エキストラを中心にクローズアップして、彼らの "顔" を確りと撮っていたことは、映画として正しい姿勢だと思います。 悪かった点は、ファンタジータッチの色合いは蛇足だったように思いました。(この内容ならストレートなドラマの方がよかった) そして、やたらとお酒の場面が多く (多すぎでしょ) 、ゲロも多いし、この映画は下戸の方にはかなりキツイですね。 また本作は興行的には大惨敗だったようで、題名「きばいやんせ!」(頑張れ!) が、映画関係者たち自らにハッパをかけてるようでもあり、まるで自虐ギャグのようでお気の毒。