3.《ネタバレ》 高校の教室で生徒の口から表題の台詞が発せられます。つまりタイトルの「先生」が指したのは「教師」でした。もちろん世間一般で「先生」と呼ばれるのは教師に限りません。医師、弁護士、代議士、小説家、漫画家などなど。そう、本作の「先生」にも「教師」以外の意味が含まれていたのです。格闘技の師範を称して「先生」と呼ぶ。その相手が「口裂け女」でした。分かり易くタイトルを補足するなら『先生は口裂け女です』。観ていない人には「なんだそりゃ」でしょうが、本作では「口裂け女」が仲間となり、主人公に格闘技を教えました。予想だにしなかった展開。そんな口裂け女は、アパート住まいの単車乗り。都市伝説の怪物ではなく、「走るのが異様に早く」「格闘が滅法強い」「口が裂けている一般女性」というオチです。このアプローチに感心しました。散々擦られてきた「口裂け女」にこんな切り口があったとは(おっと、この切り口は駄洒落とかではありません。なんか恥ずかしいわ)。しかもこの設定がフェイクで二度びっくり。「口が裂けているだけの一般女性」と思わせて、やっぱり「怪物」だったとは。そうじゃなきゃ、平気で何人も殺したりしないでしょうよ。いやはや、見事な脚本、そしてアイデアの勝利でした。何気に格闘シーンも見応えありで、主人公が口裂け女から習った技を繰り出すシーンなんてジャッキー・チェン映画ばりのカタルシスがありました(ちと褒め過ぎ)。
怪物が正義の味方という観点では『妖怪人間ベム』や『デビルマン』の流れを汲むものであり、昭和のヤンキー漫画のテイストを令和で再現したという点では『今日から俺は』に通じるものもあります。と、結果的に絶賛レビューとなってしまいましたが、見た目通りB級映画である事に違いはありません。役者さんの演技含め安普請であることは否めません。ただ、前述のとおり「よく出来ている」のです。喩えるなら知らないコンビニの500円弁当が800円くらいの価値があった時の嬉しさというか。ですからデパ地下の1,500円弁当には負ける訳です。でも好感度は高いでしょって話。何だか取り留めのない感想になってしまいましたが、現場からは以上です。