★1.《ネタバレ》 中米コスタリカのホラー映画である。日本国内向け予告編では「パラノーマル・アクティビティ・シリーズに次ぐPOVホラーの最新・最恐作!!」と書いてあり、その方向性で邦題も付けてあるが原題は単純に「療養所」である。 内容的には、廃病院で噂される心霊現象のドキュメンタリーを撮ろうとした人々が、体験者・心霊研究者・霊能者などから取材の上で現地に行ったら大変なことが起きた、という映画である。ありがちな構成とアイデアで特に怖くはなく、また不明点が多い上に褒めるところも特にないが、最後に修道女が出て来たタイミングは悪くなかった。 なお微妙にコメディ調のところがあるのが特徴ではある。監督インタビューの記事によれば本人のスタイルとしてコメディ+ホラーの形にしたとのことで、確かに笑いの仕掛けに見えるところはあるが笑えない(当惑する)のは残念だ。ほかコスタリカの冗談話で超常現象をコメディ口調で語るとか、恐怖やプレッシャーで怒り出す者の反応がよく表現されているとの評もあり、それがどのくらい現地固有のものかはわからないが、最初の体験者の語り口などは確かに独特だったかも知れない。
その他のことについて、撮影場所はイラス火山(3,432m)裾野の標高2,335m程度の場所にある。ここは冒頭で紹介されていた通り20世紀に実在した結核療養所であって、大統領を務めた(1889-90)こともあるカルロス・デュランという医師が設立し、1963年頃まで使われていたとされている。現在は全国農業者団体の管理下にあるとのことだが、歴史的・建築的に貴重なものとして観光客も実際に来るようで、2014年には国の歴史的建築遺産に指定されて修復と活用も進められているらしい。 しかし廃病院であり建物も荒れているため心霊スポット的にも扱われてきたようで、そこで実際に語られる都市伝説を使ったのがこの映画ということになる。場所としては国内人口が集中する中央高地に近接し、首都サンホセからだと日本なら福岡市から犬鳴トンネルに行くくらいのイメージである。修道女が出るという話は本当にあるらしいが、ただし実際の都市伝説に出る修道女は病人を看護している姿とのことで、この映画のように邪悪な存在とも限らない。ほかにも誇張がなかったかどうかは不明である。 ホラーとしては特に面白くもなかったが、現地事情を一応反映した映画のようなので悪い点数にはしない。 【かっぱ堰】さん [DVD(字幕)] 5点(2024-06-15 10:39:51) |