★1.《ネタバレ》 彼の名は、ジギー・キャッツ。毎週末、自身の動画チャンネルで生配信を行い、投げ銭で小銭を稼ぐのが生きがいの普通の高校生だ。アコースティックギターを手に自分の率直な想いを歌い上げる彼の動画は世界中に2万人のフォロアーを持ち、遠く離れた中国にもファンがいる。もはや自分はいっぱしのスターなんじゃないか。学校では地味な存在で特に注目されているわけでもないのに、そんな思いに捉われた彼は今夜も狭い自室から世界に向けて自分の歌を披露している――。DV被害から逃れた女性や子供のためのシェルターを運営する彼の母エヴリンは、そんな息子に呆れながらも社会的弱者の為に忙しい毎日を過ごしている。夫や家族からの暴力に傷ついた人々を救うという崇高な目的に日々忙殺される彼女の楽しみは、大学教授の夫が提供してくれる安定した家でそこそこ豪華なディナーとワインをたしなむこと――。お互い充実した人生を満喫していると信じ込んでいるそんな親子だったが、最近何か物足りないものを感じているのも事実だった。こんなに頑張ってるのに、なんか社会は自分を過小評価してるんじゃないのか。そんな思いに捉われた2人は、ある日偶然知り合った自分とは全く価値観の違う人を振り向かせようと暴走してゆく……。人気俳優ジェシー・アイゼンバーグが初監督を務めたという本作は、そんな意識高い系親子をコミカルに見つめた青春ドラマでした。やりたいことは分かるし役者陣のナチュラルな演技も好感持てるしポップな世界観も楽しいしでけっして悪くはないんですけど、僕はいまいち嵌まれなかったですね、これ。理由を考えてみるに、この親子があまりに自己中過ぎてそこまで感情移入できなかったのが主な原因かな。「こーゆーよくいる承認欲求強めの人、周りから見たらバカみたいだけど、なんか憎めなくてほっとけないよね」とはならなくて、「ここまで自意識過剰だとさすがに鬱陶しすぎて、自分の周りにいたら真っ先に距離取りたいわ~」となっちゃいました。特に後半、息子が同級生の詩に曲をつけた歌を勝手に動画配信に使って、「僕のフォロワーに評判良かったよ」って自慢気に言ってきた時はさすがにキレそうになったわ。シェルターの貧しい青年に自分の理想の息子像を無理やり押し付けようとする母親もかなり胸糞悪いし(演じたジュリアン・ムーアが上手すぎてもう!笑)。ラストの尻切れトンボ感も大いにマイナス。全体的な雰囲気やポップな音楽などはけっこう良かったので、次作に期待ってことで。 【かたゆき】さん [DVD(字幕)] 5点(2025-02-05 10:54:06) 《新規》 |