28.《ネタバレ》 ワイルダーの傑作は数あれど、個人的に最高傑作を一つ挙げるとすれば「深夜の告白」になるだろうか。 レイモンド・チャンドラーと組んだシナリオというだけでも凄い。 「失われた週末」「サンセット大通り」に先駆けた初期の傑作フィルム・ノワールであり、ワイルダーが余り好きで無いという人間にもオススメする作品だ。 真夜中のハイウェイ。 冒頭から車をブッ飛ばして会社に駆け込む一人の男。どうやらこの男はかなりワケ有りのようだ。 そこから回想形式で事の顛末を告白していく形式が面白い。 如何にして事件に至ったのか。倒錯的なサスペンスとして、中盤から徐々にスリルを増していくストーリーが面白かった。 エンジンが中々かからない場面も異様に緊張感を盛り上げる。 バーバラ・スタンウィックの悪女振りも最高。真の主役はフレッド・マクマレイではなくエドワード・G・ロビンソンなのかも知れない。どちらも素晴らしい名演だ。 ワイルダーと組んだレイモンド・チャンドラーだが、この二人の折り合いは最悪と言っても良い。 ジェームズ・ケインの原作が元だが、そもそもチャンドラーはケインの作品が大嫌いだった。元々金欲しさで契約を結んでいたに過ぎず、ケインと同席しようものなら遠慮なく作品を酷評するほどだった。ワイルダーも余り好きではなかった。 ワイルダーが長くコンビを組んてきたチャールズ・ブラケットまで「糞」呼ばわり。こんな状況で一体どうやってこの傑作が生まれたのだろうか。不思議でしょうがない。 だが、それと作品の完成度は別だ。 チャンドラーの鮮やかな脚色、ワイルダーの辛辣な人物描写。制作現場のギスギスした空気は、そのまま映画の面白さに結びつく。 そんな二人を不安に満ちた表情で見守るかのようなミクロス・ローザの音楽も秀逸だ。いや、実際にカメラで見守るのはジョン・サイツの見事な撮影だろうか。 【すかあふえいす】さん [DVD(字幕)] 9点(2014-03-11 21:32:42) (良:1票) |
27.《ネタバレ》 犯人を最初に告白して、その過程を叙述で振り返って楽しむ、保険金殺人や、その調査員の鋭い推理、当時としてはもちろん斬新だったであろうし、今観ても面白い。初期のノワールの傑作か。 【min】さん [DVD(字幕)] 8点(2013-08-13 20:58:31) |
★26.《ネタバレ》 フィルムノワールの代表的な作品。 ビリーワイルダーってこういうのも撮れるんだと感心。 犯人目線で完全犯罪を目論むが徐々にほつれが・・・、というサスペンスが大好きなので、本作もハラハラしながら楽しめた。 キーズが鋭い推理でズバズバ核心をついていく度、やばい、ばれるよ~って思いながら手に汗握ってました。 こういうキレるキャラクターってカッコいいなあ。 【kosuke】さん [CS・衛星(字幕)] 7点(2012-04-27 00:55:35) |
25.結論が先に出ていても、最後まで見る者をはらはらさせるよくできた映画だ。こういうのを心理サスペンスというのだろう。バーバラ・スタンウィックの金髪(かつら)が気になったが、悪女を強調するためかもしれない。 最初見たときは、嫌疑が別方向へ行って何もフィリスを殺さなくてもと思ったが、やはり飛び乗った電車は終点まで降りられないのだと思い直した。それと主人公が、いったんキースが疑いだしたら、間違いなく真実をつきとめるという凄さを感じた。 【ESPERANZA】さん [DVD(字幕)] 7点(2011-10-04 23:36:13) |
24.ワイルダーの演出が光る心理サスペンス。 冒頭のタイトルバックの奇抜さ、回想シーン形式の構成と、 先の展開に期待を抱かせるストーリー展開で、決して飽きさせない。 後のTVのサスペンスものなどに影響を与えたことが窺い知れる作りは、 この年代の作品の中でもかなりの出来映えかと。キャスティングもしっかりしていて、 最後まで安心して観ていられる。モノクロ映像が効果的な、お薦めのサスペンス。 【MAHITO】さん [DVD(字幕)] 6点(2011-08-14 06:39:04) |
23.《ネタバレ》 ワイルダーはこういうサスペンスものを作らせても実にうまい。犯人側の視点で描かれているが、着実に核心に迫ってきて、犯人を心理的に追いつめていくエドワード・G・ロビンソンの上司が不気味で怖い。なかなかかからないエンジン、思い出しそうで思い出さない目撃者などサスペンスの盛り上げ方もうまい。ヒッチコック作品とはテイストの異なるサスペンスの傑作。 【きーとん】さん [DVD(字幕)] 9点(2010-09-04 20:54:38) |
22.シンプルなサスペンスではあるものの、最初から告白(自白)しているもので犯人も手口も動機も序盤から分かっている。謎解きを排したサスペンスなので、どこをどう楽しめばいいのかと思いきやこれが面白い。ただ事件の流れを順を追って説明されるだけなのに面白い。 何と行っても、いいキャラで名探偵ポジションのキーズさんがとても魅力的なのはかなり大きいところで、彼が主人公のスピンオフが観たいくらいだ。 【すべから】さん [DVD(字幕)] 7点(2010-03-22 15:26:56) |
21.《ネタバレ》 ワイルダーは何を撮っても、どんなジャンルでも傑作にしてしまう上手さには毎度ながら感心させられる。冒頭で主人公の保険会社で働く一人の男が肩を銃で撃たれ、血を流し只ならぬ様子でいる所を映し出し、そして、この男の語りから始まるというこの時点で完全に物語りは悲劇的な結末を迎えることを予感させ、暗示させることにより、この物語がどのようにしてして、悲惨な結末を迎えることになるのか?という興味を植え付けます。深夜の町並み、静かな夜の街を走り抜ける車、何かあるのでは?というようなこの冒頭とラストの男同士のそれも同じ会社の上司と部下という二人の表情と何も言わなくても伝わる男と男のやりとりが素晴らしい。保険会社の勧誘員に対して女の色気でどんどんと悪の道へと引きずり込んでいく悪女という設定を生かした演出の上手さ、犯人が被害者に成り済まして列車に乗り込むシーンで予想もしていないような出来事、邪魔が入るシーンや犯罪を計画通り実行した後の車のエンジンがなかなかかからかったり、上司と部下二人の会話の場面でドアの後ろで隠れている悪女バーバラ・スタンウイックの怖さ、単なるサスペンス映画とは一味も二味も違うサスペンス映画の中にも大人の男と女の悲しい恋愛もの的な要素を取り入れたりと、とにかく一瞬足りとも眼が離せません。それにしてもこの映画はやはりバーバラ・スタンウィックの悪女の存在無くしてここまでの作品にはなっていない筈です。男の弱い部分を全て知り尽くしているような恐ろしき女の象徴のようなフィリスの前には男は成すすべ無し! 【青観】さん [DVD(字幕)] 9点(2009-12-28 22:09:37) |
20.《ネタバレ》 現在の視点から冷めた目で見てしまうと、ツッコミ所がないわけではない本作ですが、脚本の細かいテクニックが巧いのであまり気にせずに見れます。ネフが、恋に落ちる説得力に欠けたのはいただけませんが(笑)全編に渡り、サスペンスのエキスが凝縮されているので、100分ほどの作品ですが、正直あっという間。そういう娯楽的視点で見ると、このサイトで評価の高い『サンセット大通り』や『情婦』よりも面白いと思います。ネス、フィリス、主役2人のキャラもそれなりに良いですが、何よりもローラとキーズの存在がスパイスとして効いています。初めてローラとフィリスが並ぶシーンがあるのですが、まるでバービー人形のような瞳ウルウルのローラの横で、ダミ声で煙草をふかすフィリス。こちらは、まるで場末のバーのママのよう。フィリスは、それこそ後続のファムファタールの中ではインパクトでは劣るものの、この対比によってものすごく悪女に見えます。一方でキーズは、粋な台詞とキャラクターの良さで欠かせない存在になってます。主役のネフは、マッチのつけ方がカッコ良すぎます。これは、真似したくてもできません。ラストには、キーズに美味しい所を持っていかれますが・・・。ところで、ウディ・アレンが本作を「史上最高の映画」と評しているそうですが、そういえば『マッチポイント』あたりで、その影響が見え隠れするなあと思ったり・・・。ワイルダー初期の中では好きな作品なので8点献上です。 【Nujabest】さん [DVD(字幕)] 8点(2009-10-22 23:51:52) |
19.さすがワイルダー作、面白かった。このころのマクマレーはこんなのや、悪役が多いですが、TV「パパ大好き」のような優しくソフトなおじさん役もいいな。また、こういう、スレた女役のスタンウィックもかなり良かった。 【白い男】さん [CS・衛星(字幕)] 9点(2009-01-25 13:07:40) |
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18.サスペンスとしては、骨子が呈示されているだけという感じで、特段目新しいものがあるとは感じませんでした。冒頭で録音による告白などということをやっちゃったせいで、全編にしつこくナレーションがかぶさることにもなり、その点もマイナス。 【Olias】さん [DVD(字幕)] 4点(2007-10-21 01:02:13) |
17.《ネタバレ》 最初主人公ネフの罪の告白で始まり、ネフの回顧によって事件が紐解かれていくサスペンスです。謎解き側のキーズやその上司?の推理がしっかりしており、考え方の飛躍もないので、思わず話に引き込まれてしまいました。ネフが一番信頼していたキーズに対し最後自らの罪を告白するシーンを見ると、ネフにも良心の呵責があることがわかりますし、それに対するキーズも、ネフをむやみに庇うことなく警察に身柄を引き渡す(その前に救急車を呼んでますが。)つもりです。「殺人」といった非常識的な行為以外での、このような彼らの常識的な振る舞いを見て、まさしく大人向けの映画だなと思いました。 【まいった】さん [DVD(字幕)] 8点(2007-08-26 23:59:57) |
16.結末を最初に見せて回想録で綴ってゆくという手法はこの後ワイルダー自身の『サンセット大通り』を含めて多くのフィルム・ノワールに有効な手法として取り入れられることになる。さらに夢のハリウッドにおいての冷酷な女の登場は当時としては驚愕に値しただろう。そんなパイオニア的価値も評価しつつ、でもこの作品の面白さはやはりエドワード・G・ロビンソンの絡ませ方だろう。この人物が登場するたびにサスペンスは盛り上がり、しゃべることで暗いムードを一掃しテンポをつくる。マッチというアイテムを使って作品にユーモアを与え、最後にはそのユーモアのアイテムを哀愁漂うものに変えてみせる。と、脚本の巧さが際立っていますが、当時としては珍しい屋外ロケ、しかも夜!というのも犯罪映画の雰囲気を盛り上げている。 【R&A】さん [ビデオ(字幕)] 7点(2007-05-08 11:06:06) |
15.《ネタバレ》 犯行の計画と遂行と破綻の理詰めな展開に男同士の友情と男女の愛憎が絡まり合う見事な脚本です。フィリスと関係を持つのは危険であり、キーズには敵わない事を理解していながらも、ずるずると蟻地獄へと嵌まり込んでしまうネフ。三人共々忘れ難いキャラクターです。キーズの万感の想いがこもったラストシーン、ワイルダー監督ならではの演出はさすがと言うしかありません。唯一の減点はフィリスの最期です。私は血も涙もない姿で息絶えた彼女が見たかったです。 |
14.《ネタバレ》 ラスト・シーンを冒頭に持ってきて、まさにネフ(フレッド・マクマレイ)の深夜の告白に添ってストーリーが展開させていく、緊張感たっぷりのサスペンス。惹かれ合っていった男と女の窮地での裏切りと、はたまた潜在的に惹かれ合っていた男同士の心の絆が、完璧にピタッ、ピタッとハマッて、作品に何とも言えない奥行きをもたらしています。そんでもって、やはりバーバラ・スタンウィック。この儚げな悪女、その素晴らしき演技と美貌に降参です。 【よし坊】さん [ビデオ(字幕)] 8点(2006-06-25 22:56:46) (良:1票) |
13.《ネタバレ》 コメディ作家としてではない、人間の「負」の面を撮るワイルダーも私は好きです。レイモンド・チャンドラーとの共作で撮られたこの作品も典型的なハードボイルド映画に「ワイルダー節」がちゃんと入っているのがうれしい。事すんだ後に嫌そうな顔をして絨毯のめくれを直すバーバラ・スタンウィック。う~ん細かい! 【Nbu2】さん [ビデオ(字幕)] 7点(2006-05-06 11:31:48) |
12.主人公が心変わりするのに、ちょっと無理があると思いました。 |
11.《ネタバレ》 ビリーワイルダーの映画には、今はなきハリウッド映画の繊細さ、優雅さが詰まっている気がします。「同僚以上だ」「うれしいね」というラストのやりとりには、思わず胸を震わされました。 【ラナ】さん 8点(2005-01-15 22:19:30) |
10.《ネタバレ》 よくできているとは思いますが、今見ると詰めが甘いように思います。主人公ネフは、大してよく知りもしない女のために殺人を犯しちゃうし、せっかく殺人犯の罪を着せる身代わりが見つかったのに結局自分で罪を告白しちゃう。私は見始めたときは、「銃で撃たれて死を覚悟しての告白なんだな」と思いましたが、別に致命傷でもなかったみたいなので、何のための告白だったのかと思いました。彼は最後に「国境を越えてみせる」と言いながら力尽きて歩けなくなりますが、本当に国境を越えるつもりなら、「深夜の告白」なんてしないで体力が残っているうちにとっとと逃げちゃえばよかったのに。キーズとの友情のためなのでしょうか。だったら逃げおおせてからゆっくり手紙でも書けばすんだのに。何だかこの男、どうしようもない間抜けに見えて興ざめします。相手の人妻の本心が最後までわからず、もやもやした気分が残ります。 【チョコレクター】さん 6点(2004-10-26 21:10:44) |
9.コメディでない、ワイルダー作品ははじめてみたのだけれど、なかなかいける。映画の最初で、金も女も手に入らないことはわかるのだけれど、最後まで話に引きつけられた。ヒッチコックの作品といわれたら信じてしまいそうだ。 【HK】さん 8点(2004-07-31 11:33:52) |