9.《ネタバレ》 まぁ静かで独特な雰囲気をもつ作品ですね。何も大きな出来事は発生しないけど観ていて飽きないという不思議さ。モノクロフィルムの美しさも一つあるかと思いますハイ 【Kaname】さん [CS・衛星(字幕)] 5点(2018-08-10 07:45:30) |
★8.《ネタバレ》 アントニオーニの危うい哲学(鋭い視点と足りない探求)がフィルムに美しい幾何学模様を描いた彼の最高傑作。これ以降、彼は観念に引きづられる格好で完成度の低い(それでも大いに魅力的な)作品達を残していくことになる。無機物と有機体の対等性、存在と非存在の境界の消失といった彼の根底を流れる思想と、彼の愛をめぐる普遍体験が最良の形で映画の枠内に収められた本作は、映画史における到達点の一つといえる。特に、平面と直線により構成された都市空間をジャンヌ・モローが放浪する前半部分は、全てのショットが完璧と言いたくなるほどだ。物質も生命も同じ法則によって貫かれているのだ、と感じさせてくれる映像空間の構築により、愛の普遍劇に観点の多様性と豊穣な味わいを与えている。後半、張り詰めたセンスによって支えられていた映像がやや緩みだすが、至高のラストシークエンスが所々にあいた空隙を埋めるピースとなり、この作品に傑出した完成度を纏わせている。ゴルフ場に愛の枯れた夫婦が二人。遠景では木立が水墨画のようにたゆたう。愛を含む一切の感情がこの広大な空白に飲み込まれ色褪せていく。起死回生を狙う夫の悪あがきだけが画面の片隅でうごめいている。モローとマストロヤンニの演技、ガスリーニの演奏も素晴らしい。同じ題材でこの映画を超えることは不可能とさえ思えてしまう、アントニオーニの内的世界が見事に結実した大傑作。 【吉田善作】さん [DVD(字幕)] 9点(2012-12-08 14:56:36) |
7.大人のあれや、これやが、うまく描かれている。冗長な面があるようでいて、無駄がない。 【みんな嫌い】さん [DVD(字幕)] 9点(2011-05-29 02:09:25) |
6.《ネタバレ》 「愛の不毛」とか言われても私にはいまひとつぴんとこない。しかし、この映画の男と女の孤独感のようなものは解る気がする。夫に愛されたいと願う女ジャンヌ・モローの眼から見たあの何とも乾いた空気、殺伐とした都会の風景、人間の持っている孤独な世界をモノクロの映像によって浮かび上がらせることへのこの監督の拘りのようなものが感じられる。夫からの愛を感じなくなった女ジャンヌ・モローと同じように何かに怯えているようなもう一人の女、モニカ・ヴィッティ、二人の女の孤独、見ていてどこか同じ監督の「太陽がひとりぼっち」に通じるものを感じる作品になっている。人は常に愛するよりも愛されたいと願う生き物なんだと監督が言っているようなこの感じこそこの監督の作品全体に感じる共通点ではないだろうか!それにしてもここでも出番は少ないもののモニカ・ヴィッティのあの美しさ、悩ましい姿は眼に焼き付いて離れなくなりそうです。そんな美しいモニカ・ヴィッティに「刺激的な夜だったわ」だなんて言われたマルチェル・マルストロンヤニが羨ましい。私も言われてみたい。 【青観】さん [ビデオ(字幕)] 7点(2008-07-03 21:43:09) (笑:1票) |
5.出だしが暗いのがネックだが、全体的な雰囲気はまさにアントニオーニ。 【にじばぶ】さん [ビデオ(字幕)] 7点(2007-09-03 16:13:18) |
4.《ネタバレ》 愛の不毛というアントニオーニらしいテーマ。すでに消え去ってしまった愛情と、突然のタイミングで生まれる愛情。新しく生まれた愛情は刺激的で、サスペンスを感じさせるほどのスリルと熱狂のなかにある。一方で、消え去ってしまった愛情に対しては、自分の書いた愛の詩さえも思い出せないくらい、無意識に過去のものになってしまう。もしかしたら、自分も誰からも愛されることなく死んでいくかも知れないという恐怖。愛が消えてしまったという事実、その有限性に恐怖し、抗おうとする男。偽りの関係の中で人は生きていける存在であるならば、その一つ一つの人生とはなんと孤独か。アントニオーニらしい斬新な構図は、『さすらい』のような牧歌的な風景よりも建築物内という本作品の環境の方が多様なアングルが楽しめて断然面白い。車の中の空間の持つ特異性を色んな監督が実証しているが、ドシャ降りの中にある車の空間を外から撮るってのは面白い。 【ハッシーふりかけ】さん [DVD(字幕)] 8点(2007-03-16 17:10:04) |
3.《ネタバレ》 アントニオーニの映像の世界にどっぷり浸れます。オープニングの病院のシーンもいいし、富豪邸のパーティーの後のシーンのどれもが印象深い。人間が人間らしくあるが故の、痛いところや寂しいところがヒリヒリ沁み込みんでくるようで、ラストのマストロヤンニの押し倒してのキスの雨には、まるで我がことのようにハッとさせられました。 それにしてもマストロヤンニもジャンヌ・モローもまったくオイシくない役柄のようで、ある意味主役二人が汚れであり、言い換えれば流石に巧いです。反面、モニカ・ヴィッティは登場シーンが少ないながらも魅力全開で、最後の足で電気を消して、パッとシルエットに変わるシーンはあまりにも出来すぎですね。 【よし坊】さん [DVD(字幕)] 6点(2006-08-20 23:49:15) |
2.あるとき突然、女は愛の喪失に気付く。男は納得のいかないままこの告白を受け入れざるおえないのが常なのだが、この作品では、納得がいかないまでも、一応の理由が語られる。女がその心情を言葉で説明するラストシーン、、これさえなければと思った。同じ目にあっているが故に、ちゃんと納得したいというアントニオーニの願望がついつい出てしまったのだろうと思った。それでも男と女のすれ違う想いが痛々しくもリアルだと思った。、、、と、以上がずっと昔に見たころの感想。点数にすると5~6点てとこかな。でも他のアントニオーニの作品を何本か見た今はこの作品の見方も変わっている。いくらマストロヤンニやジャンヌ・モローといったビッグネームが出ていようとも、人物を追ってばかりじゃこの作品の旨みはわからない。女が自らの愛の喪失に気付く前に、背景は彼女の心情を映し出していた。ラストの説明は観客に向けたものではなく、あくまで夫に向けたものであって、観客に見せたのはその後の悲しすぎる言葉のすれ違いにすぎない。あぁ、やっぱり痛々しくてせつない。 【R&A】さん [ビデオ(字幕)] 7点(2005-07-04 17:56:30) (良:1票) |
1.社会の堕落を淡々と、無機質に描くミケランジェロ・アントニオーニ。ジャンヌ・モローの徘徊やラストに手紙を読み上げるとこなんかは特に現代人の空虚感がひしひしと伝わってくる。また、他の方が言っているように音楽の使い方、構図、影の使い方などが無機質な感じで社会の堕落、愛の不毛を強調していると思います。このクールさがたまりません。 【たましろ】さん 10点(2004-01-25 17:28:33) |