86.《ネタバレ》 少年のころ、初めてこの映画を見た。麻雀をほんの少し知ってて、単語としての「リュウハ」やチューレンの形など知らなくともかなり面白い映画だった。
令和になって折しも麻雀ブームが到来し、今また鑑賞してみて、評価はさらに上がった。
いきなり冒頭のクレジットで驚いた。特撮:成田亨!ウルトラマンの美術監督としてのイメージ一色な成田亨氏が関わっていたのか。
敗戦後の焼野原の東京をカメラが新撮。ミニチュアセットの出来はもちろんいいのだが、カラーだったらもっとチャチに見えてしまったかもしれない。
ノスタルジー効果だけでなく予算にも優しいナイスなモノクロの選択に思える。
有名な勝鬨橋をバックに坊や哲とオックスクラブのママが歩きながら会話するシーンは勝鬨橋のミニチュア映像にクロマキー合成するために、その場歩きをしながらの演技だったらしい。
いわれて見れば若干ぎこちないが、そういう工夫は好きだし、面白いポイントになってくる。演者さんは大変だったろうけど、良き思い出になってることだろう。
やりすぎなぐらい敗戦直後のGHQ統治下における風景が見られるが、間違いなくブラックジョークだろうと思う。
誰もギブミーチョコレートとDDT散布のシーンをひとくくりにまとめて捌いてしまうなどというふざけたシーンを冗談じゃなくやりたがるはずがない。
むしろ滑稽なシーンに仕立てているよう見せて実のところそのまんま滑稽で哀れな歴史だったという皮肉がこめられているのかもしれない。
出目徳が死の間際にツモ和了った九蓮宝燈は非常に和了りが難しい、和了ったら死ぬとまで言われている幻の役満。
麻雀好きならそれを知らぬ者はなく、「だからか!」と思わず声を出してしまうシーンだ。
出目徳の遺体の、一度見たら忘れられないシーン。二回目以降の鑑賞では、決戦の朝(?)出発時に妻が水たまりに砂を入れているところを見ると、「これが明朝・・・」とわかっているのでジワジワくる。
結局水たまり埋まってねーじゃん!とも思うのだが。