47.《ネタバレ》 3人の可愛い子供たちに恵まれ、現在子育て真っ最中の専業主婦ベス。手のかかることも多いが、優しい夫にも助けられ幸せいっぱいの充実した毎日を送っていた。そんな彼女をある日、悲劇が襲う。子供たちを連れて高校の同窓会に出席した際、ちょっと目を離したすきに3歳になる次男ベンが迷子となってしまったのだ。当初はすぐに見つかると思っていたベスだったが、何処をどう捜してもベンの姿は見つからない。友人たちの助けでテレビでの公開捜査に踏み切るも何の手がかりも得られることなく、時間だけが空しく過ぎてゆく。罪悪感と喪失感からふとした瞬間に半狂乱となるベス。次第に険悪となってゆく家族。失踪から1年が過ぎたころ、ベスは残された子供たちのため気持ちに区切りをつけることを決意するのだった――。9年後、成長した長男や長女とともに穏やかな日々を過ごしていたベス。それでもベンのことを1日たりとも忘れたことはなかった。そんなある日、ベスはたまたま近所の少年を目にした瞬間、雷に打たれたような衝撃を受けるのだった。その男の子は自分が思い描いていた成長したベンと瓜二つだったのだ。果たして彼は本当に9年前にいなくなった我が子なのか?警察とともに少年のことを調べ始めたベスはやがて衝撃の事実に辿り着く……。失踪した我が子を巡って人生を翻弄される母親の苦悩を描いたヒューマン・ドラマ。非常に丁寧に描かれた作品で、冒頭から流れるように続く子供失踪までの過程にまず惹き込まれました。その後、3歳の子供がいなくなってからの母親の苦悩はとてもリアルで、ミシェル・ファイファーの抑えた熱演の力もあり、見ていて痛々しいくらい。夫や残された長男の苦しみなども抜かりなく描かれており、この監督の演出力の高さは相当なもの。特に、自分のせいで弟が居なくなってしまったと自らを責める一方、弟一辺倒で自分を二の次にする母親に反発する長男の哀しみはダイレクトに伝わってきました。ただ、これはきっと意図してのことだと思うのですが、良くも悪くも軽いんですよね、この作品。心に重くのしかかってきそうなシーンもそうなる直前くらいにすぐ別の場面へと移行する。最後まで流れるようにテンポよく進んでゆく。きっとそれがこの作品の美点だと思うのですが、自分はもう少し魂を震わすような圧倒的な現実を見せつけるような物語が好みですかね。それは失踪したかもしれない次男が9年後近所で見つかるシーンで顕著になります。真相はネタバレになるので避けますが、いや、さすがに偶然が過ぎるんじゃないですか。そこの部分もちょっと引っかかってしまって、僕はどうにも物語に入り込めず。途中からほとんど出てこなくなる妹の存在も気になりました。と言ったわけで完成度は確かに高いとは思うのですが、好みの問題もあり自分はそこまで嵌まれませんでした。 【かたゆき】さん [DVD(字幕)] 6点(2023-01-19 07:30:22) |
★46.《ネタバレ》 家族というものをじっくり描いた、静かでじんわりくる作品。 誘拐で子供を失った家族に生じた歪みがリアル。 最近どこかで似たような設定の映画を観たなと記憶を辿ったら『八日目の蝉』もそうだった。 生みの親か育ての親かというのは、昔からよく扱われたテーマでもある。
弟が発見されて戻ってきても、9年間の空白はあまりにも大きかった。 弟が育ててくれた男の元に戻りたがったのも無理はない。 誘拐犯だった女が自殺して、残されたものは誰も悪くない善人ばかり。 犯人が起こした不幸ではあるけれど、女も子供を失う不幸があった。 誘拐しても結局心の隙間が埋められずに自殺してしまった、悪人というよりも悲しい人。 不幸な出来事ですべての歯車が狂っての軋轢がもどかしい。
子供を喪失して崩壊状態だったカッパドーラ家は、もがきながらも再生の道を探る。 ベスは夫に愛して欲しかったし、兄は母に愛して欲しかった。 もちろん当人は愛しているつもりだけれど、いろんな事情にとらわれてそれが疎かになり、伝わっていなかった。 愛情不足でできた隙間は、愛情で埋めるしかない。 そんなメッセージが聞こえてくる王道のホームドラマ。 兄は何をふてくされているのかとガキっぽく見えたが、あの年頃だとそれが普通か。 むしろ、そんな兄を素直に受け入れる弟が出来すぎている気もする。 そうでないとドラマが収拾しなかっただろうが、兄弟のどろどろとした葛藤が続いても不思議ではないところだ。 あくまで子供の頃のよくある兄弟ゲンカとして仲直りしたのが微笑ましかった。
違和感を感じたのは、犯人の夫が意外と被害者家族に強気で、子供の扱いについて責めるようなことも言っていたこと。 誘拐のことは何も知らなかったとはいえ、身内の犯罪なのだから日本的な感覚でいえばもっと低姿勢で当たり前のところで、その辺はお国柄の違いだろうか。 弟がカッパドーラ家に戻るにあたって養父との別れのシーンがなかったが、そこはちゃんと描いて欲しかった。 カッパドーラ家にとってはハッピーエンドだけれど、養父にとっては厳しく寂しい結果でもあるので気になった。 【飛鳥】さん [DVD(吹替)] 6点(2015-01-08 21:48:00) |
45.《ネタバレ》 弟ベン(サム)の性格の良さが無ければ成立しない感動の物語。久しぶりにものすごく良い映画に出会いました。 ひとつも無駄なシーン、無駄な台詞が無い完成度の高さです。役者さん達の演技も素晴らしい。とりわけ、子供時代のヴィンセントの演技は完璧でしょう。責任を感じながらも、母への不満を、その表情と少ない台詞のみで体現してしまっています。 ベンがいなくなり、母の心が壊れてしまい、家族の心の歯車が狂っていく序盤のシークエンス。正直ここでのベスには賛同できません。気持ちはわかります。でも母親です。いなくなったベンと同じくらい、ヴィンセントとケリーを、そして旦那さんを大切にしてほしいものです。ただ、『自分とベンだけが辛い』みたいなこの母親の姿が、きっと一番リアルに近いのでしょう。 母が母としての努めを果たさない日が続き、ヴィンセントは責任を感じているためそれに文句も言わず、諦めたように自分の足で家に帰り、母の代わりにケリーの世話をする。その様子がリアルすぎて痛々しすぎて、そして後半に活きてくる演出。すごい映画です。 家族の絆、リアルな兄弟の姿、それは決して完璧ではないが故に、見ていて感動しっぱなしです。 『君は木製のチェストから出られなくて、でも全然怖がりもせずに笑っていたんだ。』『君が来てくれると思って安心していたんだ。』のように、さりげなく心を打つ台詞が多いのもこの作品の特徴。その中で、『君』と、決してまだ家族にはなっていない距離感があることを感じさせる言葉のチョイスが逆に素晴らしい。 まさに名作と呼ぶにふさわしい傑作中の傑作です。 【たきたて】さん [DVD(字幕)] 10点(2014-10-20 00:46:42) (良:1票) |
44.《ネタバレ》 まあ、よくできた映画だと思います。もし自分がダンナだったら「オメーが目を離すからだぞボケ!」とたぶん嫁に激昂しているでしょう(苦笑)最後の方は弟がいる身の上としては涙がにじんできました。確かに幼い頃の9年の空白は大きいのですが、普通に生活していてもある年頃になれば学校や仕事の関係で離ればなれになるのは世間でもよくあることなので、長い目で見れば大したことではないように思います。特に問題があるわけではないのですが20年以上実家に帰っていない友人のことを考えると家族の絆とは何だろうと考えてしまいます。 【イサオマン】さん [地上波(吹替)] 5点(2013-02-24 21:32:10) |
43.《ネタバレ》 ベンも親夫婦は、もちろんそうなのだけど、ヴィンセントも大きな被害者だよな。 グレてあたりまえだ。 ジョージおじさんも警察に踏み込まれた時のことを考えると、 最大の被害者は彼なのかもしれないな。 【バニーボーイ】さん [地上波(吹替)] 7点(2013-02-14 23:30:34) |
42.これは家族愛を丁寧に描いた感動的な物語だと思うんだけど、泣く1歩手前という感じの惜しい作品でした。 基本的に悪人が登場しなくて、みんないい人ばかりなので、きっと悪いようにはならないだろうという安心感が漂っていて、家族の苦悩とラストのハッピーエンドの落差が余り感じられなかった。 確かにこの家族は様々な苦難に直面するわけだけど、きっと最後は丸く収まるだろうという予想通りの展開なので、涙腺が決壊するほどのインパクトがなかった。 逆にジョージ・カラス目線でこの作品を考察するととてもハッピーエンドとは言えない複雑な感情が沸き起こりそうではあるけど。 【もとや】さん [地上波(吹替)] 7点(2012-11-26 12:01:47) |
41.だいたいこういう内容だと離婚ということになるんだけど、この夫婦はよく頑張ったなあと思う。子ども時代も含め、お兄さんの心理描写がもっと上手く出来てると良かったかな。 【noji】さん [地上波(吹替)] 6点(2011-03-04 21:43:47) |
40.映画の内容を知らずに見始めてラストはとても感動的でした、いい兄弟、いい友達になれる気がして、後味よい映画でした。 【HRM36】さん [地上波(吹替)] 6点(2011-02-03 16:46:49) |
39.《ネタバレ》 ■家族、そして親子のつながりとは何か。本作はそういったことを問いかけてくる。 ■母と兄はそれぞれ自分の過失で弟がいなくなってしまう。それぞれ自分を責めつつ、周りのことが見えなくなってしまう。母は周りに過剰に当たり散らす。「子供のために尽くす」ことは必要でも「子供を生きがいにする」にしてはいけない。ここら辺、ドライな(そして母を責めている)父と対比的だ。 ■そして突然息子が帰ってくる。息子は今までいた家の方が居心地がいい。当然だ。いきなり「あなたのお父さんは実はお父さんではないんですよ」などといわれて知らない家に放り込まれたら誰だって耐えられない。両親は「息子がいること」の方を目的化してしまい、まさに「子供を生きがいに」してしまう。兄は虐げられ、妹は存在すら隠される状況である。 ■しかしそれがまずいと気づいた母は息子を元の家に帰す決断を下す。しかし、弟から兄に歩み寄る。やっぱり一緒にいたいし、血の通う者同士の思いもあるのだろう。「消えちまえ」とよく言われていたことからも、元の家での生活も苦しかったことが思い起こされる。 ■しかし、兄弟の仲は回復したが、父母がこれで上手くいっていたのかはよくわからない。いまだに父は「子供を生きがいに」してしまっているかもしれない。「息子が帰ってきた」だけだとそうも捉えられる。だから安易に「ハッピーエンド」とは言い切れない。 ■そして、誘拐犯のセシルも意外と重要なのではないか。生まれた子供が死に、自分も体調を崩す。再婚だと言っていたから、夫との仲も破綻したのだろう。そんな中、子供に恵まれた母ベスを見たらどう思うか。きっとセシルはセシルで、子供を連れてくることで自分の「空白」を埋めようとしたのだろう。しかしその空白は「よそから持ってきたもの」では埋まらなかった。傷は深まるばかり。だから結局「死んだら楽になる」と自ら死を選んでしまったのだろう。 【θ】さん [DVD(字幕)] 7点(2010-07-27 01:15:05) |
38.誘拐された子供がねぇ、、わずかな間で記憶が戻るとはあんまり思えないけども実際にありそうで怖い。ほとんど記憶がないのにおきなり「おまえはあの人の子供だからあの人のとこで暮らしなさい」と言われれば誰でも戸惑いますよそりゃ。でもまぁミシェル・ファイファーがいいお母さん役してますねぇ。自然な演技ができる彼女らしいいい役。ほいでB級映画に結構出てたトリート・ウィリアムズがさりげなく・・父親役ですか。個人的に彼はアクション派というよりこういう硬いけどもほんわかな空気がする映画の方が似合うような気がするんですよね。最近は方向転換?したのか脇役でいい役してるみたいですし。まぁ彼はいい俳優さんなんでこれからも頑張ってほしいなぁ。 |
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37.弟の事よりも、、途中から妹の存在が無くなった事を気付かせない演出が秀逸だったり。。 【山椒の実】さん [地上波(吹替)] 6点(2009-02-03 00:07:15) |
36.久しぶりに、「ある戦慄」のトニー・ムサンテがいいおじさんになってましたね。 【白い男】さん [CS・衛星(字幕)] 8点(2009-01-24 23:06:56) |
35.《ネタバレ》 再編が結構あっさりしてるんだが、まあタイトルと相まってそういう解釈も出来るという感じ。血の繋がりというよりは、感覚による記憶なんですかね 【デフォルトモード】さん [DVD(字幕)] 9点(2009-01-23 19:54:00) |
34.《ネタバレ》 とりあえずハッピーエンドでよかった。「死ぬのが一番楽になる方法だ」みたいな会話があったところが印象に残ったなあ。 【すたーちゃいるど】さん [DVD(字幕)] 6点(2007-10-07 22:16:43) |
33.《ネタバレ》 あのような状況で、たった3ヶ月もとの家族と過ごしたからといって気持ちまで戻ってくるだろうかという疑問はあるけれど彼の場合はラッキーなことに断片的ではあるけど思い出した部分があるのでああいう結末になったのか。ラストで兄が告白したシーンで「誰でも消えちゃえ!なんていうさ」と答えた場面が凄く良かった。その場面だけで、空白の数年間の暮らしぶりも良くわかる。 【civi】さん [地上波(吹替)] 5点(2007-06-21 13:50:52) |
32.こんな劇的なことはなかったけど、似たような関係性を家族と経験した身としては納得の内容。 「家族」って、なんて観念的なものなんだと絶望することもあるけど、「血の繋がり」って情報は意外なほど深く根付いているんですよね。 ただ、こういうことって経験してない人には全くわからない人もいるから、どんなに雄弁に物語っても万人に理解させることは難しいと思う。 【カラバ侯爵】さん [地上波(吹替)] 5点(2007-06-20 12:56:52) |
31.聞いたこともないタイトルだったけど、観終わった後の後味が抜群によかった。アメリカ人は日本人以上に「恨みを水に流す」民族なのかなぁとふと思った。 【りんす】さん [CS・衛星(字幕)] 7点(2006-12-21 20:21:13) |
30.次男がミッシング・チャイルドとなってしまった家族の喪失感と、家庭の再構築を描くヘヴィなホームドラマ。家庭という共同体の中に、ある日突然ポッカリと穴が開く。しかしそれでも月日は流れ、暮らしは営まれていく。開いた穴は何時しか塞がれ、歪な形ではあっても、以前とは違う形の家庭が出来上がる。例え次男が戻ってきて、塞がれた穴に無理矢理押し込んだとしても、家庭の形は更に歪さを増すだけで、もう元には戻らない。ここは家族というピースを一度解体し、新たに組み直さなければならない。収まるべき形は必ずあるのです。それにしても惜しい作品。残された家族の間に常に張り詰めている緊張感を「イン・ザ・ベッドルーム」レベルまで表現できてれば、もっともっと上質の人間ドラマになったと思います。ウーピー・ゴールドバーグのキャラクター設定(アフリカ系アメリカ人で女で、おまけにレズビアン)にも全く意味がありませんでした。そういうことで、6点献上。 【sayzin】さん [CS・衛星(字幕)] 6点(2006-08-07 00:24:18) |
29.確かにいい作品ではありますが、割と淡々と月日が流れていきますね。6週間、8年とか。。。あと妹は??どっか途中で行っちゃったの??ファイファーはがんばってたけど、旦那さん役の方がイマイチステレオタイプの演技ですね。映画としてはもうちょっと感情の起伏であるとか「見せ場」が欲しかったかな。 【たかちゃん】さん [DVD(吹替)] 6点(2006-04-07 15:05:40) |
28.ミシェルハイファーさんって最高です。誘拐された息子は何であんなオヤジ臭い踊りを知ってたんだろうか。 【ケムール人】さん [CS・衛星(吹替)] 7点(2005-12-14 02:20:06) |