★21.《ネタバレ》 マスコミが報道しないところも映し出しているので、そうした意味では貴重。 教団を囲む近隣住民、マスコミ、右翼団体などの知られざる実状もある程度伝わってくる。 オウム追放運動を続ける地域住民と信者との意外に和やかな交流などは、こうしたドキュメンタリーでないと知りえない。
談笑しているのを見ると、どこにでもいる温和で善良な若者たちに見える。 ところが、インタビューの中でゾッとする本音が垣間見える。 自分の感性でそれがどんなに変だと思っていても、グルからの言葉であれば従うべき。 信者がそう思っている時点で、今も危険な集団だということがわかる。 麻原を今も尊士とあがめているから、辞めることなくまだあの集団にいられるのだ。 宗教の持つ危険性を自覚している信者もいた。 考えたくもないことだが、もし麻原の指示があれば、また同じことを繰り返すに違いない。 この作品を見終えて、そう確信した。 麻原を信奉している限り、一般社会との真の融和はありえない。
被害者である河野氏が指摘した信者の甘さは、まさにその通り。 謝罪の一言もなく面談に臨んだ姿勢には呆れるしかない。 つまりは本当の意味での反省などしていないのだから。 反省のフリをしているのは、あくまでも教団生き残りのための「方便」でしかない。 表層的な融和で乗り切ろうとしているのが伝わってくるし、生真面目な荒木広報部長が森監督の言葉に反論できなかったのも印象的。 マスコミが必ずしも事実を伝えるものではないのは今では周知のことだろうが、事件を起こした教団が被害者面するのもそれは違うだろうと思ってしまう。
ああ言えば上佑氏の姿も久々に拝見。 この後、教団は麻原からの脱却を目指した上佑派と、それに反発する主流派に分裂したようだが、『A3』でその実態を伝えてほしい。 【飛鳥】さん [DVD(邦画)] 6点(2014-12-08 19:52:18) |
20.《ネタバレ》 オウムを通してマスコミ・警察を批判した前作とは視点が異なりますね。オウムとその周辺がメインになっており、信者の住む施設に過剰な反応を示す住民たちがいる一方で、信者に情が湧いて仲良くなる住民たちがいると。オウム事件当時はまだ子どもで、オウムについて殆ど知らない私にとって、後者の反応はとても驚きました。日本中がヒステリックに追放を叫んでいたわけではなかったのですね。 オウム追放を叫ぶ住民たちは、ちょっと稚拙ではないかと思いました。終盤に出てくる1000人規模の集会に対する信者の感想と同じことを思いましたね。どう反応したらいいのかわからず、思いのままに行動しているから上手くいかないんでしょう。鬼畜扱いしているだけで理解を示そうとすらしませんから、対立するばかりです。敵を倒すにはまず敵を知ることが大事だと勉強させていただきました。 【カニばさみ】さん [DVD(邦画)] 7点(2014-05-24 13:23:24) |
【K】さん [DVD(邦画)] 6点(2013-08-19 23:04:49) |
18.《ネタバレ》 前作でおばあちゃんを見送ったのち、電車に乗る荒木氏のその先が見たくて、速攻借りてきた本作でした。しかし、そういうものではないのですね。ワタシには、むしろ散漫になったように見える。警官VS右翼なんてガチャガチャしたもん、いまさら見たくもないです。刑務所くらった上祐よりも、ボロボロになっている荒木氏に、最後に極めて大切な質問をする監督ですが、なんか誘導しようとしていないか。なにかけしかけていなかったか。タチが悪いよ。あんた、電波少年の某ディレクターか。 【なたね】さん [ビデオ(邦画)] 4点(2011-05-30 19:48:34) |
17.前作のような衝動というか、いい意味での雑さが無くなり、かなりスマートな作品になっています。森氏に余裕が感じられて、信者に投げかける質問も厳しくなっています。しかし身体ごとぶつかっていったような前作の方が重みがあったと思います。前作は荒木氏という人物に焦点を当てていましたが、本作は多くの指摘があるように、どこか滑稽さを強調している気がします。そして多数者の強さというものを改めて感じました。 【Balrog】さん [DVD(字幕)] 7点(2009-07-24 17:46:58) (良:1票) |
16.上祐史浩を見られただけでも観た甲斐があったってもんだ! 【にじばぶ】さん [DVD(邦画)] 7点(2009-03-22 04:09:24) |
15.《ネタバレ》 ある信者は「宗教団体だから心の病を持った人が集まる。彼らを拒んだら宗教ではない。」と言った。オウムが正しい宗教団体だったとは言えないが、この主張は正しい。日本は宗教立国ではないわけだからなおさらだろう。 しかし、オウムの教えに答えを求めてしまった彼らは愚かだと、言ってしまっていいのだろうか。たまたまオウムは人殺し集団になってしまったが、中で信仰を深める彼らは、こんな時代なのにもかかわらず宗教に救済を求めていたわけだ。それはわれわれが忘れていたことなのではないか。食べ物に手を合わせるだとか、お地蔵様に手を合わせるとか、「祈る」ってことをわれわれはおろそかにしてはいないだろうか。 信仰を持つと言うことが実は人らしい幸福に繋がるのではないかと、薄く感じた。 |
14.オウムと近隣住民の話をしたら、父親に烈火のごとく怒られました。「お前はメディアに毒されている!」「森?誰だそいつは?他に何撮ってんだ?」なんて。「ドキュメンタリーは嘘を付く」でも言っていた通り、この映像も所詮森氏が作った恣意的作品なのかも知れません。でも世の中ってそんなに簡単なものじゃないし、本当に微妙なバランスで成り立っているんだなぁと色々と考えさせてくれます。「A」より大衆向けと言うか見やすかったです。感想は「A」と一緒です。「A」とセットで、一度は見るべき良作です。 【Kの紅茶】さん [DVD(邦画)] 9点(2008-01-12 12:42:01) |
13.《ネタバレ》 前作の「A」と今回の「A2」という2つのドキュメンタリーは本当に後々まで遺すべき貴重な映像作品だと思います。 この作品に映るオウムの姿には、飽食の時代の中で現実逃避をはかっている連中だな位の印象(まあ、そういう自分も大して変わりはないんですけどね)しか持てませんけど、それを取り巻く人々の姿に日本社会の良いところも悪いところも映し出されていて本当に面白かったです。 本当に、オウム事件に乗じて利を得ようとする人たちがいるかと思うと非常に愚かで滑稽で哀しいですね。そして恐ろしいです・・・・・・。 【TM】さん [DVD(邦画)] 8点(2007-06-14 18:46:13) |
12.公開当時、森達也さんをあまり知らずにみにいったのですが、オウム真理教を題材にしたドキュメンタリーでまさか笑えるとは思わなくて驚いた記憶があります。 大手マスコミによっていかにオウム真理教が「料理」されてしまっていたのかがよくわかります。森監督は、オウムに体ひとつで飛び込んでいく驚くべき行動力と、彼等をひとつの正当性を軸に追及していくのではなくひたすら見つめ続けようとする「待ち」の姿勢で、ただそこにあるオウムの「事実」だけを差し出してくれました。 信者たちが自分達と同じ人間である、という気がついてみればあたりまえのことに改めて目を向けさせてられたのですが、それは森監督が吹き荒れる北風ではなく控えめな太陽であったからでしょう。静かな粘り強さに脱帽です。 【クリロ】さん [映画館(邦画)] 8点(2007-04-07 04:51:28) |
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11.監視する側だった住民と心を通わせるオウム信者の映像がなんとも温かい。数年間の苦労で疲れきった荒木さんも心配です。性欲を正直に告白する信者。なんとも人間くさいじゃないですか。普通に暮らす信者と狂気じみた住民。正常なのはどっちなんですかね? 【バチケン】さん 9点(2004-11-18 20:40:38) |
10.心地よい混乱と、そして感動が味わえた作品でした。当初オウムに対して反発していた地域住民が次第に信者たちと心を通わせていくところはとても感動的。個人的に横浜の右翼の人が非常に理知的だったので、ちょっとびっくり。それに比べると茨城の右翼は、ちょっと何だかなあってな感じだったけど。 【ぐるぐる】さん 8点(2004-10-31 19:07:56) |
9.「A」よりも焦点が絞り込まれた感があります。森達也さんスゴイです。関連書籍も読みましたが、テレビ局から『アンタのやり方じゃ数字は取れない』と言われて契約を打ち切られて、自主制作というかたちで撮影を続けて、資金繰りも苦しくて、・・・。この人が、特別にジャーナリストとして才能があったとか人脈があったとか、そういうんじゃないと思う。この人はただ諦めなかったんだなぁ。そのおかげで今こうして我々はこのフィルムを見られたんですから。アリガトウ。 【キュウリと蜂蜜】さん 9点(2004-07-10 22:08:35) |
8.「A」から数年経ったこともあってか、人々の変化といったものが見てとれますね。 住民との和解のシーンや、オウムでていけ集会の様子、右翼の人の一面や、同級生との会話等々、とても興味深かったです。ところでですね、一応これは言っておきたいんですけど、いまだに逃亡中の信者が数人いるという事実があるわけです。よく見かけるでしょう、街中や交番に貼ってある指名手配の。こいつらがまだ逃亡中だからオウム事件は事件としてもまだ終わってないんです。アーレフの人たちはこいつらに対しても(日本にいるかどうか知りませんが)出頭してくるようにいつも訴えたらどうでしょうか。 【あろえりーな】さん 7点(2004-07-02 01:32:35) |
7.「A」と比べて「A2」がそのテーマを明確にしたことによって、出色のドキュメンタリーとなっているということに全く異論はない。そして、そのテーマとは、「オウムと世間との共存の可能性」である。オウムが日本各地に移転するたびに地域住民から排斥運動を受けて、結局追い出されてしまう、こういった構図は僕らも新聞報道等でよく見かける。しかし、映画の中では、オウムを監視していた地域住民ボランティアが監視を続けるうちにオウム信者達と仲良くなり、逆に地域内での一般住民たちの軋轢こそが浮き彫りになる、というケースを克明に描いてみせる。確かにそこで描かれるオウム信者はあまりにも普通の好青年であり、オウムでありながら地域社会に見事に溶け込んでいるように見える。彼らがその地域から引っ越す際には多くの地域住民たちに涙をもって見送られるのである。もちろん、このような例は数少ないに違いない。多くはオウムと地域住民たちとの滑稽なすれ違いの繰り返しなのだろうと思う。しかし、一部ではありながらこういった例が存在し、そんな現実をひとつの可能性として提示し得たことにこの作品の重要なテーマをみるのである。基本的に未だオウムというのが麻原への信仰を捨て切れない、世間から閉鎖した危険な思想団体であることに間違いはないだろう。それは彼らが世間から閉鎖された出家団体であり、世間とは根本的に対立する考えを持った人々の集団であることから既に自明なことである。一見するとそこに出口はないように思えるが、彼らが共存を求めており、僕らが社会としてそれを受け入れることを選択した以上、それが全く不可能ではないことをこの映画が指し示していることは重要である。人には信仰の自由があり、各人が別々の信仰を有しながらも共存共栄していくというのが正しい社会のあり方である。そんな当たり前の社会を不可能にしているとすれば、それは人と人との関係を強烈に捻じ曲げる偏見という名の人格無視だろうと僕は思う。お互いが分かり合える足場を失った状態でも人が人を理解する希望を失わないこと、そのためのシステムを作り上げること、それがこれからの社会の中で重要になっていくに違いない。無条件な憎しみの連鎖にだけは陥ってはいけないのだと僕は思う。 |
6.『A』と比べると、こちらはなんというか肩の力が抜けているというか。 『A』には『A』が出来るまでの色々な苦労や軋轢やしがらみやら何やらが 凝縮されていて、圧倒されるばかりだった。が、今作ではそれなりに地位も 確立して、撮ることに集中出来てるなぁと感じる。 何よりも笑えるシーンが多く、面白がってるのが伝わってくるのがいい。 【ナクサライト】さん 10点(2004-05-28 09:35:43) |
5.《ネタバレ》 オウム対右翼の絵だけで9点献上できる。前作に比べより焦点が絞りこまれ、それは監督の立ち位置が明確になったことを表しているのだろう。これは、コメディ映画だ。 |
4.これぞドキュメンタリー映画の醍醐味! 特に、群馬での地域住民とオウム信者の交流を映像として見る事ができたことはすばらしいことだと思います。また、「答え」を提示するのではなく、矛盾しまくりなオウム信者や地域住民の行動や発言をそのまま見せることで、わかりやすい解答に安心するんじゃなくて、考え続けること、試行錯誤することの大事さ、そして想像力を鍛えることの大事さが伝わってきます。その一方で、「A」の主役だった荒木さんが、どこか虚ろなイメージだったのが気がかりです。小さな希望の光のようなものが見える反面、どんどん彼らを追いつめている大状況が恐ろしく感じました。 【ころりさん】さん 9点(2004-03-07 13:59:00) (良:1票) |
3.今われわれ日本人が北朝鮮に対して抱いている嫌悪感や、マスコミの対応についても考えさせられる。まさに、日本人は戦前の大政翼賛会のように一度見方が決まるとその見方を決して変えようとしないのだと感じた。さらにマスコミは、それをどんどんあおる。 【孤島の鬼】さん 9点(2004-02-29 18:50:29) |
2.Aの続編ですが、合わせて4時間ぶっとおしで観てしまうほど熱中した作品です。コンセプト、何を伝えたいのかはっきりしないところの多かった「A」に比べて映像的にも観やすくなっているし、解りやすくなっていると思います。荒木浩氏は、なんだかずいぶん老けたように見えますが、やはり心労と食事面が厳しいのでしょうか?「A」からの変化にちょっと驚きます。右翼の登場するシーンなど、ドキュメントにしても凄いなと感心する、ビックリするほどの取材能力です。アレフ側のみじゃなく、もっと広い視野を取り入れているところなど、前作よりもグレードアップしている感もあります。それにしても、これは考えさせられる作品です。是非、是非おすすめ。 【fero】さん 9点(2003-11-23 20:44:33) |