280.人類滅亡がかかったブラックコメディです。思わず吹き出してしまう箇所満載の中でここまで緊張感に満ちた作品はなかなか無いです。50年も前の冷戦時の映画とはいえ、リアルに描かれているので過ぎ去った危機とは思えません。想定外の原発事故を思い起こすと、核保有国が増える一方の現在の方がかえって不気味です。キューブリックのセンスと一人三役と気付かせないセラーズの演技に拍手。 【ProPace】さん [CS・衛星(字幕)] 9点(2014-08-04 21:46:03) |
279.《ネタバレ》 今見ても面白い キューブリックで一番好き |
278.《ネタバレ》 当時の冷戦に右往左往する人間を皮肉ったブラック・コメディの傑作。 原爆や水爆を狂信的に作る「博士の異常な愛情」が時代を後押しする。 物語はミサイル攻撃を巡ってそれを阻止する者、実行する者の対立をシリアスかつコミカルに描く。 生きるか死ぬかの瀬戸際にコカコーラからのクレームを気にするような人間ばっかりだ。 いざ戦争になれば秩序も道徳も崩壊する。 会議場に集まる高官どもに、外で戦う人間の苦しみなんざ解るわけがない。 気にかけるだけで労いの言葉一つ送れない。 隅々まで届かない命令に何の意味も無い。 そんな人間が人々の上に立てばどうなるか? 無意味な実験や虐殺だけが繰り返されていくだけなのさ。 ラストシーンもまた印象深い。 敵の本拠を目の前にして投下装置が故障。 それを命懸けで外しに行き、爆弾もろとも基地にダイブしていくパイロット。 その時のソイツの顔は、黒い笑みで歪んでいた。 戦争の狂気がとり憑いた結果だ。 それを人々はどう思うのか? 英雄として見るか? 戦争を引き起こした愚か者と見るか? 答えは戦争を勝ち抜いた勝者か、後世に生き残った民衆のみぞ知る所だ。 【すかあふえいす】さん [DVD(字幕)] 9点(2014-01-31 10:34:30) (良:2票) |
277.《ネタバレ》 鬼才キューブリックによる核戦争を題材としたブラック・コメディ。キューブリック独特の意地の悪さが爆発しています。 訳の分からないデマを信じてソ連を先制攻撃しようと爆撃指示を出すリッパー将軍、徹底的な反コミュニズムであるためにソ連をなんとしても攻撃したくて堪らないタージンソン将軍、核弾頭に跨り狂喜乱舞して消し飛んだであろうコング少佐、そしてラストにDoomsday装置が作動した後の人類の存続方法についてナチズム視点から嬉々として捲し立てるストレンジラヴ博士(しかもその非人道的な構想についてタージンソン将軍がまんざらでも無い顔をしている 笑)。極めつけはエンディングの「また会いましょう」。 核への驚異について真面目に描くよりも(実際にそのアプローチで行く案もあったそうですが)馬鹿げた悪い冗談にしてしまった故、強烈に記憶に残ります。笑ってみるのが正しい映画、でも決して笑えない映画。米ソ冷戦が終結した現代でも今日性が感じられる映画です。 【民朗】さん [DVD(字幕)] 9点(2013-11-05 11:35:49) |
276.映画の見せ方としては、素場らしい。しかし、ストーリーは笑うしかないか。本当は今でも笑えないね。 【min】さん [DVD(字幕)] 8点(2013-08-07 19:58:16) |
275.実は、30年前の学園祭で上演しました。記憶が薄れていたので、本日ブックオフで950円で購入して、たったいま鑑賞しました。いまでは、この映画に匹敵する俳優も、カメラワークも、映像も、作られることはないのでしょう。粗製乱造ではない、作りこんである映画に出会いたいものです。『桐島』をよい映画だという人にも、鑑賞してもらいたいですな。 内容には、賛否両論があると思いますが、映像の技術や、俳優の演技(だいぶオーバーアクトでありますが)については、最近の邦画は言うまでもなく、洋画のお手軽版に比較しても、水準を凌駕していることは明白です。 【クゥイック】さん [DVD(字幕)] 8点(2013-08-04 22:25:12) |
274.《ネタバレ》 キューブリックのカメラワークの素晴らしさが良く分かる作品。 どのシーンでも「ここを見せたい」と言う部分に自然に視線が行くのは、観客の視点を良く理解して撮影しているからでしょうね。文句なしの傑作と言って良いです。 【ぴのづか】さん [DVD(字幕)] 9点(2013-05-07 23:35:33) |
273.《ネタバレ》 東西冷戦が激化し、いつ核戦争が起こってもおかしくない社会情勢のなかで撮られたキューブリックの強烈なブラック・コメディ。政治がいかに無茶苦茶で愚かで馬鹿馬鹿しく決定されていくかということ、そしてそれに関与できない多くの人々のそんな漠然とした不安感を乾いた笑いにまで昇華させたキューブリックの初期の傑作。ラスト、幾つものきのこ雲の映像に流される「また会いましょう」は、当時の「もう笑うしかない」というような社会不安を見事に表している。そしてそれは形こそ違えど今現代もあまり変わっていない。 【かたゆき】さん [DVD(字幕)] 8点(2013-04-10 12:32:54) |
272.《ネタバレ》 キューブリックは数少ないフィルモグラフィの中で色んなジャンルの映画をとっているが、彼が撮った唯一のコメディはブラックコメディとしては究極の域に達したと思います。なにがすごいと言ったら、P・セラーズ、G・C・スコット、S・ヘイドン、S・ピケンズ、P・ブルといった主要登場人物が全員で映画史に残る強烈な怪演を繰り広げてくれるところでしょう。良くこの映画ではセラーズの三役が話題にされますが、そんな彼を上回る凄まじい怪演でもっと評価されるべきなのはG・C・スコットのタージドソン将軍ですよね。この将軍のキャラは、当時の空軍司令官のC・ルメイ大将(太平洋戦争でB29による無差別爆撃戦略を実行した張本人)がモデルだそうですが、実は狂人なんじゃないかという説まであったルメイを強烈にカリカチュアしていて見事です。 いきなり空中で交尾しているB52爆撃機を見せてくれるオープニングは洒落てます。このB52が飛ぶシーンのチープな特撮がまた曲者で、完璧主義者のキューブリックですから低予算を逆手にとって狙った映像なのは明白です。地上戦闘のシーンも手持ちカメラで撮ったニュースフィルムみたいで、キューブリックの拘りが伝わってくるところです。そして“We'll Meet Again”をとんでもない映像にかぶせるあまりに有名なエンディング、そのセンスは今の眼で観ても鳥肌が立ちます。 こうして観ると、この映画は筒井康隆の初期の疑似イベントSFに通じるところがありますね(と言うより、筒井康隆の方が影響を受けたのかもしれません)。 【S&S】さん [映画館(字幕)] 9点(2013-04-09 23:37:21) (良:1票) |
271.《ネタバレ》 キューブリック監督の風刺が強烈。 ブラックジョークがそこかしこに効いている。 馬鹿な男が次から次に出てきて全面核戦争へと進むさまが笑える。 人類滅亡を前にした緊急事態に小銭をめぐってのやりとりは爆笑もの。 ただ、笑ってばかりもいられず、現実化する可能性を考えると途轍もなく恐ろしい。 ピーター・セラーズの1人3役は気づかなかった。 どの人物もキャラが立っていて存在感がある。 古いモノクロ作品なのに色あせないのは、さすがキューブリックというところか。 【飛鳥】さん [DVD(字幕)] 8点(2013-03-28 01:31:42) |
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270.《ネタバレ》 一寸先も見えない位真っ黒黒、強烈にブラックな喜劇。今日の核拡散の情勢を鑑みれば洒落にならないんだけど、次々繰り広げられる馬鹿者どもの狂気乱舞に笑わずにいられない。米国大統領に将軍、少佐に英国将校、元ナチ御用達博士とソ連大使。みんなのキャラ立ちが半端ない。うち三名を一人の役者が演っているなんて、神がかり的な人間離れした技に圧倒されるばかり。個人的に好きなのは、同士討ちになっちゃってる基地内部のやりとり。純血主義のリッパー将軍と、それをなだめすかすのに必死な英国将校。あろうことか公衆電話で小銭を調達しながら大統領に電話しなきゃならないシチュエーションの馬鹿らしさ。そこへ自販機会社に訴えられる、と主張する大佐。あーここにも馬鹿が~。さらにペンタゴンの地下では政府高官がずらりと顔を並べる中、いかにもソ連人な面構えの大使が盗撮(!)なんかして将軍と取っ組み合い。あと数分で核が落ちるんですよ?あっ、やっとつながったソ連首相、酔ってるってさ。極めつけの狂気はストレンジ・ラブ(なんて名前だ)博士、キワモノ中のキワモノ。この怪演に水を打ったように静まり返る作戦室。博士によって提示される地中の新世界構想。これがまた酒池肉林的な側面があってアヤシイことこの上ないんだけど、事ここに及んでも共産主義社会との格差を心配して声を張る馬鹿将軍。ここまでくると「もうお前ら死んでしまえっ」という気持ちになるわけで、果たしてソ連大使もそう思ったか人類滅亡スイッチをONする始末。キノコ雲にのせて「また逢いましょう」の調べが美しすぎる。なんという逆説。たらたらとあらすじ書きになってしまったけど、「こんな馬鹿みたいなことで絶滅なんてヤだろ?」とキューブリックの声を確かに聞いたような気がする私はこの映画を愛してやまないのです。 【tottoko】さん [DVD(字幕)] 10点(2013-02-14 01:15:25) (良:1票) |
★269.強烈なメッセージ性を含みながらもそれを皮肉とブラックジョークを交えて描いた手腕に脱帽です。これだけあらゆるジャンルに手を出してそのどれもが異常なクオリティを有しているのはキューブリックくらいではないでしょうか。天才の成せる業ですね。 【キリン】さん [DVD(字幕)] 8点(2013-01-06 15:07:03) |
268.いいたいことはわかるが、悪ふざけ的な印象。「When Johnny Comes Marching Home」の音楽を多用しているが、これはこの音楽に対する侮辱とみた。キューブリックは肌に合わない。 【風小僧】さん [CS・衛星(字幕)] 1点(2012-12-15 20:51:49) |
267.評判どおりの怪作です。当方も、「1人3役」には最後まで気づきませんでしたが。なぜ3役にする必要があったのか、むしろそちらのほうが気になります。 それはともかく、この作品のテーマの1つは「やりきれなさ」「無力感」でしょう。最大の権力を誇る米大統領といえども、ソ連首相といえども、動き始めた歯車を止められないときがある。それは今日の日本の政治でもおおいにあり得る話です。この作品では1人の狂人と融通のきかないシステムが元凶でしたが、今の日本の場合、「民主主義」という名の“数の暴力”がそれに匹敵するかと。あんまり言うと怒られちゃいますが…。 【眉山】さん [CS・衛星(字幕)] 8点(2012-12-13 01:32:16) |
266.《ネタバレ》 観よう観ようと思いつつモノクロだしタイトルからしてわけわかんないし50年も前の作品だしでなかなか観る機会を逸していたキューブリックの有名な作品。 観てみたらなんとまぁ面白いこと! さすがですねよね、キューブリック!! いきなりクライマックと言える、イカレ将校の核攻撃命令クーデター。ストーリーの運びは緊迫感とユーモアで絶妙のバランスを保ちつつ、実にいいテンポで進行します。 東西冷戦の崩壊なんて言われて久しい現代ですが、当時(わたしが子どもの頃)はやはり2極構造みたいなものは確かにあって、その間には『核』というものが存在していました。っていまだに『核』の脅威は世界各国、絶えずあるんですけどね。 実際カタチは違えど今の日本は放射能の脅威に苦しんでいるわけですし。。。 あとこの作品を観るにあたってブラックユーモアであるってことを知ってたのも楽しめた要因としてあると思います。 なんせ50年前でモノクロ、一応洋画ですし、演者がみな結構紳士な風情なのでわかりづらくもありますが、みんな結構ボケてます。ボケ倒していると言ってもいいかも。 とにもかくにも巧みな脚本で、短い上映時間を差し置いても飽きることはいっさいありませんでした。 現在の派手な映像技術なんかなくても強烈なメッセージをもった脚本なら充分に楽しめることを再認識しました。 まぁ映画業界、あらゆるテーマをやりつくしてしまった閉塞感は否めないと思うので、その点ちょっと現代の監督さんはツライものがあるのかな、なんて余計なことまで心配しちゃいましたね。 【ろにまさ】さん [CS・衛星(字幕)] 8点(2012-10-29 19:46:08) |
265.2012.10/25 鑑賞。題名の長いこと長いこと、or以下は覚えられず。Dr.Strangelove で充分しかも、邦題は秀逸。観たかった作品の一つだったがタイトルでのイメージで敬遠してた嫌いもある。シリアスな出足もその後は何でもアリ。皮肉・ブラックユーモア・エロ・ハチャメチャ・笑い・愚かさ・自己主張・等等・・・。50年前も現代も変わらず同じ問題を抱えている。この作品では救いはあったのか無かったのか観る人が考えるのか? でも人間の愚かさを知恵が凌げるのか甚だ疑問で最近の世の中、国の中を考えれば人間不信に陥る。セラーズの3役見事(恥ずかしながら気付かず、ヒゲのセラーズは言うまでもないが、大統領・博士は見たことあると思ってたが・・)。後半最後の部分もう一つ理解出来ず。 【ご自由さん】さん [CS・衛星(字幕)] 8点(2012-10-25 13:03:03) |
264.評価の高い本作..当時の世相を反映した、風刺映画ではあるのだが..私的には、それほど良作とは思えなかった..人類は、皆が思っているほど バカ じゃない!! 【コナンが一番】さん [CS・衛星(字幕)] 6点(2012-06-20 13:01:06) |
263.再見。初見時は大笑いした記憶がありますが、今回はあまり笑えなかった。それはおそらく、3.11以降放射能の脅威が身近に感じられるようになったためだと思います。初めて見たのは、東西冷戦がすでに過去のものとなっていた時で、どこか他人事として捉えていたのかもしれません。まあ、笑えなくなったとはいえ、本作の価値がいささかも下がるわけではありませんが。むしろ右往左往する大統領たちから、どうしても永田町の方々を連想してしまいます。今の日本人こそ見るべき映画ではなかろうか。 【アングロファイル】さん [CS・衛星(字幕)] 9点(2012-06-18 20:30:10) |
262.《ネタバレ》 これはキューブリックの最後の白黒映画で、その後カラーの世界でも美しさを極めていくが、光と影の洗練は本作が頂点だろう。とりわけ将軍がらみのシーンで、狂っていく男をとりまく環境の冷ややかさが素晴らしい。暗がりよりも光(おもに蛍光灯)が冷ややかなのが特徴。カラーの世界でも狂っていく男や狂っていくコンピューターを光のもとに描いていくが、白黒の本作が一番ひんやり感じる。外では基地での攻防が、実際の戦闘のドキュメントのような迫真で展開していて、ならばこっちは熱いのかと言うと、車両が燃え上がっているにもかかわらず、トップの狂気が原因の同士撃ちという理由をこちらが知っているせいか、冷笑とまでは言わないがどこか冷めた気持ちで見てしまっている。作戦会議室がひんやりする広さを持っているし、爆撃機の外にはロシアの寒冷地の光景が飛び過ぎていく。この冷たさが畳み込まれた結果、高熱の爆弾が炸裂し続けるのだが、このまぶしい光景すら蛍光灯の光のように冷えびえと迫ってくるのは、自分が地下シェルターに逃げ込める側の人間ではなく、間違いなく取り残される側の人間だからだ。ストレンジラヴ博士にナチの影を与えているのが、話を狭くしているようで昔は不満だったが、ナチの選民思想が当時の核保有国に受け継がれている、ということを言いたかったんだろう。それがこの長い題名の意味するところでもあった。この副題の構文は現在でも有効だな。ちょっと変えて「日本人は如何にして心配するのを止めて原子力を愛するようになったか」と綴れば、深く考えずただ流されていったこの国の戦後史になる。 【なんのかんの】さん [CS・衛星(字幕)] 8点(2012-05-29 09:48:15) (良:1票) |
261.《ネタバレ》 再見。確かに初見時には、一人三役は気づかなかったです。でも、それを知った上で二度目を観ると、全く違った趣きの楽しみがあります。特に、真面目な校長先生のような大統領とイカれた科学者である博士が向かい合うシーンとか、一人の人格が二つに分かれているような感じ。スラップスティック・コメディの傑作。 【なたね】さん [CS・衛星(字幕)] 8点(2012-05-26 08:43:12) |