138.《ネタバレ》 彼の名は、ウォーレン・シュミット。長年勤めてきた大手保険会社で無事に定年を迎え、この度円満退職したばかりの平凡な男だ。長年連れ添った妻との仲も、いろいろと不満はあるがそれなりに良好。今は離れて暮らす一人娘のジーニーも結婚が決まり、現在式の準備に余念がない。たくさんの友人に囲まれ、平凡ながらも充実した人生を送ってきたと自分でも信じていた。だが、これから妻とともに穏やかな第二の人生を謳歌しようとしていた矢先、彼は急な悲劇に見舞われる。妻が病に倒れ、呆気なくこの世を去ってしまったのだ――。これまで家のことは何でも妻に任せきり、一人娘ともろくに腹を割って話したこともない、とにかく仕事第一だった彼の生活はその日を境に一変することになる。瞬く間に家の中は荒れ放題、身なりも乱れ、酒や食事にもだらしなくなり、娘との関係も次第にギクシャク。唯一の慰めは、アフリカの慈善団体を通して文通している会ったこともない6歳の少年との交流だけ。にっちもさっちもいかなくなった彼は、とにかく娘の結婚式に参列するため、大きなキャンピングカーで一人旅に出ることを決意する。果たして彼は無事に生活を立て直すことが出来るのか?定年退職を迎えたある一人の男の人生の危機を、ほろ苦いユーモアを交えて描いたヒューマン・ドラマ。監督は、この手のしがない中年男のトホホな日常を描くことにかけては定評のあるアレクサンダー・ペイン。彼の代表作として有名な本作を今更ながら今回鑑賞してみました。いやー、相変わらず抜群の安定感でなかなか面白かったですね、これ。よく考えたらけっこう深刻なお話なのに、そこまで重たくならずに描くこの監督のバランス感覚は大したもの。でっかいキャンピングカーで全米各地を巡る彼の珍道中はなんともトホホ感満載で、見ていて思わず苦笑い。特にヒッピー崩れの夫婦の妻に酔っ払って思わずキスしちゃうシーン、女にブチ切れされて慌てて逃げ出すとこは笑っちゃいましたわ。そして、娘の結婚相手の未だ性欲旺盛な母親に裸で迫られるシーンには爆笑。誰得ヌードを大胆に披露してくれた?キャシー・ベイツには拍手喝采ですね。唯一不満だったのは、主人公を演じたジャック・ニコルソンが強面過ぎて若干役に合ってなかったとこくらい。そして最後、主人公が会ったこともないアフリカの子供の絵を見て泣いてしまうシーンは、自身の置かれた境遇を改めて認識した末の絶望の涙だと思うとなかなか深い。人生のやるせなさを暖かな目で見つめたペーソス溢れる佳品でありました。 【かたゆき】さん [DVD(字幕)] 7点(2020-11-29 05:16:28) |
137.《ネタバレ》 J・ニコルソンが「普通の中年」になりきっていて、カッコーもシャイニングも、一度だってちらつかせないところはさすが。 (顔も体型も当時の面影ないから当たり前、とは言わないで (笑) ) 映画としては、各人のスピーチがよいアクセントになっています。冒頭にある、後任のクソ面白くないスピーチと友人の白々しいスピーチ。彼らの心がこもっていないスピーチが伏線的にあるからこそ、最後のJ・ニコルソンのスピーチが心に強く響きます。 (個人的には結婚式のスピーチは半分アドリブと思っています) "ドア" や "時計" といった小道具の使い方も効果的でした。会社を去るとき、家に帰るとき。誰かを迎えるとき、誰かに迎えられるとき。それぞれ、ドアが開くことによって目まぐるしく展開 (人生) は変わり、時計の秒針をさり気なく映すことによって、彼の人生に関係なく時は過ぎ行くことを印象付けています。気になった点。娘婿の家族たちのキャラがよくわからないのは仕方ないとしても、娘と旦那の馴れ初めくらいは会話の中でほしいところ。ベッドに横たわるJ・ニコルソンにキャシー・ベイツの姿は、まるでミザリーのようで笑えるが、おっぱいはいらない。最後、多くを失った彼の心を浄化したのは、家族でも同僚でもなく、皮肉にもはるか遠く顔も知らないアフリカの子、そして彼が書いた絵ということ。ここまできてやっと、"About Schmidt" という題名を不意に思い出して、家族とは一体なんだろう? と僕は考えてしまいます。 【タケノコ】さん [DVD(字幕)] 7点(2019-06-25 00:04:51) |
136.まるで邦画のようなテンポ感で少し地味ではあるが 俳優の演技力と脚本の無難さで最後まで飽きなく見せてくれる 【非映画人】さん [DVD(字幕)] 7点(2018-04-22 17:48:35) |
135.他人に何等かの影響を与えることができたかどうか。そんなことは気にせず、逆に他人から影響を受けることもない、そんな余生に価値を見出すことを、今のうちから考え、少しずつ心の準備をしておくことが、この先ますます重要になってくるのでしょう。 【マー君】さん [DVD(吹替)] 4点(2016-01-09 12:16:18) |
134.《ネタバレ》 ○主人公含め出てくる登場人物が嫌なやつばかり。その中でも主人公が割とまともに見えるが、行動の意図もよく分からない。○手紙のエピソードもとってつけた感があり、シュミットの涙にも共感できない。 【TOSHI】さん [CS・衛星(字幕)] 3点(2013-10-27 17:29:44) |
133.2度目です、細かい演出で胸が痛いところも多々。スピーチのシーンが二箇所にありましたが、退職のときは友人が本音を、結婚式では主人公が真っ赤な嘘で場を持たせています、代わりに手紙でまだ字が読めない子供に全てを吐き出します。そんな本音が言える相手が必要ですね。ところで、婿のランドール、ありゃひどい(苦笑) 【HRM36】さん [DVD(字幕)] 7点(2013-07-19 10:37:27) |
132.《ネタバレ》 会社を定年退職し、さらには妻にも先立たれ、自分を管理していたものをすべて失った老人のお話なのですが、これが恐ろしく日本的な内容だったので驚きました。アメリカのホワイトカラーは個人主義でバリバリやっているイメージだったのですが、実際には日本のサラリーマンと同じく、組織への滅私奉公に人生の時間の大半を費やしているようです。。。 仕事をしている間にはそれなりにやることもあったし、家族と向き合わないことを正当化する言い訳もあった。プライベートで気に入らないことがあれば、妻のせいにしてればいいし。しかし、仕事を離れてそれらの制約条件がとっぱらわれた時に、それまでの人生への評価が冷酷な形で下される。以上、本作のテーマは普遍的なのですが、一方でその語り口は非常に型破りです。主人公は妻を失ってもさほど悲しまないし、疎遠になっていた娘との劇的な和解もない。娘の旦那は相変わらず好きになれないし、長旅に出ても感動的な出会いなどない。そして、主人公の偏屈な性格も一向に治らない。この手のドラマにありがちな展開は全て外してきているのです。。。 ハリウッド的な感動ストーリーに代わって描かれるのは、ひたすらに非力な老人の姿。その生き方のツケから家族にも友人にも恵まれず、その状況を変えるだけの力も度胸もない。ただ目の前にある孤独な余生を受け入れるしかない主人公の姿が、情け容赦なく描かれます。コメディとして作られているので直感的な衝撃度は低いものの、よくよく考えれば相当に欝な話です。。。 そして、オチの付け方も底意地の悪いものでした。アフリカの子供が描いた絵を受け取って涙する主人公。これを、主人公が人間性を回復した瞬間だと解釈する向きもあるようですが、私はそうは思いません。添付の手紙には、この子は英語が分からないという説明がありました。つまり、子供は主人公からの手紙の内容を分かっておらず、当然主人公の人となりも理解しておらず、恐らくは保護者から促される形でとりあえず描いた絵があれだったのです。主人公の涙は、こんなものにすがり付くしかない自分のみっともなさを嘆いたものでしょう。たまに小銭を寄付し、そのお礼に絵や手紙が送られてくるだけの関係。しかし、主人公が誰かから求められていると実感できる瞬間は、これしかないのです。本作では、家族を大事にしないと大変なことになるという重要な教訓が提示されています。 【ザ・チャンバラ】さん [DVD(吹替)] 8点(2013-07-06 00:14:47) |
★131.このまま年をとってゆくのが怖くなる映画。主人公が追いつめられていないようですごく追いつめられており、下手なホラー映画より先の展開が不安になった。画面に飛び込んでジジイを抱きしめてやりたくなる。 【肛門亭そよ風】さん [DVD(字幕)] 7点(2012-12-29 06:14:34) |
130.《ネタバレ》 ラスト数十秒のジャック・ニコルソンの泣き笑いの表情にすべてを語らせる映画。そこまで観てやっと、今までの約2時間がそのシーンに至るための壮大な前フリだった事に気付く。内容は一応コメディなのだが、引退したサラリーマンの悲哀がこれでもかと無様に描かれるので、微妙に暗かったり痛々しかったりして笑えない場面の方が多い。しかし、少々退屈に感じたとしても、最後まで投げ出さずに観るべきである。晩年に差し掛かっても何者にもなれず、何事も成し遂げられなかった平凡な男に訪れる、ほんのささやかな救いを。「自分の人生に意味などあるのか?」、一度でもそんな自問をした事がある人なら、人生観を変えてくれる1本にもなり得るはず。ただし、終盤に出てくるキャシー・ベイツの裸体には人生観を狂わされるくらいのインパクトがあるので要注意。 【オルタナ野郎】さん [CS・衛星(字幕)] 8点(2012-12-15 00:46:06) |
129.ロードムービーかと思いきやそこまでではなく、毒づきもそこまでではなく、ランドールの一家のめちゃくちゃさもそこまでではなく、全て中途半端になっている印象があって、ジャックニコルソンでなければきつかった。キャシー・ベイツが動けないニコルソンに食事をさせてあげるのは完全にキャリーのパロディ。面白かった。 【Balrog】さん [DVD(字幕)] 6点(2012-10-28 11:51:29) |
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128.《ネタバレ》 哀れな中年を描いたらピカイチのアレキサンダー・ペインですが、個人的には彼のフィルモグラフィーの中で最も好きな作品です。とにかく哀愁漂う可哀そうな主人公を観ているだけで笑えるし、また泣ける。そしてそう思えるのはジャック・ニコルソンの高い演技力によるとことが大きいと思います。なんだかんだ言って大御所は凄いですね。この主人公は所謂孤独というレッテルを張られた良くあるキャラクターなのですが、それゆえに非常に感情移入してしまう。だって誰だって自分は結局孤独だとか思ってしまう時ってあるじゃないですか(無いって人もいるのかな?)。だからこの映画は"アバウト・シュミット"であり"アバウト・アス"でもあるのでしょう。終わった後に自分が所謂独り者であることに戦慄を覚えましたわ。 【民朗】さん [DVD(字幕)] 8点(2012-06-09 13:40:45) |
127.《ネタバレ》 この寂しげなオジサン誰かに似てるよな~~って なかなか誰か分からず それほど老け込んじゃったジャック 演技なのか(まぁそうだろうけど) お見事な普通の人を演じていて しっかしビックリしたのはキャシー あの体はCGか? 内容のいわば 淡々とした 中に一番インパクトがあったような ある意味「キレキャラ」の二人が会った瞬間 ちょっと緊張してしまったのは俺だけ!? 身につまされるような内容だったけど 老後も楽しめる趣味を持たないといけないなぁ 寂しい人生はヤダなぁ 結局のとこ 人は一人じゃ生きていけませんからね なかなか深い内容でゴザイマシタ 【Kaname】さん [CS・衛星(字幕)] 6点(2012-05-23 08:23:09) |
126.《ネタバレ》 どこにでもいて、どこにでもあるシチュエーション。 夫婦なら必ずその時が来る別れ。といって彼は、落ち込むかというとそうでもない。 束縛されることなく用を足せる…。なんてな些細な楽しみが出来たからだ。 いやいやそれよりも愛娘が、とても好きにはなれそうにないインチキくさい男と結婚。 娘に話を聞いてくれず、相手にもされない。 苛立ち、寂しさ、哀しさ。 式後、そんな彼に届いたンドゥクからの絵。 人が二人。大きい人、小さい人、手をつないでいる。明るい太陽。ただ・ただそれだけ。 お世辞にも上手とはいえない。 一人はシュミットだろう。手をつながれている小さい方は誰だ? 死んだ奥さん?愛娘?それともンドゥク? それをみて、シュミットも何もセリフはない。 ただ、顔がアップのシーン。涙がボロボロ。笑っている。 この瞬間にわかる。「あっ。彼は今救われたんだ。」と。 この静寂かつ感動のラストシーンを見せたいが為の映画。 これぞ、映画。 また、10年後に観てみたい。そう思った。 【湘爆特攻隊長】さん [DVD(吹替)] 9点(2012-01-14 14:25:20) (良:1票) |
125.ニコルソンのおとなしい役って久しぶりというか初めてじゃないか?という感じでいろいろな感情を含んだ表情がなんだかケッサクで笑ってしまった。キャンパーのとことか。 【kagrik】さん [地上波(字幕)] 8点(2011-10-08 22:01:28) |
124.《ネタバレ》 一見娘の結婚を祝福したかに見えたが、結局のところ阻止することもできずに「自分は何やってんだかな…」って落胆しつつの帰宅ですよね?そこに舞い込んだ少年の絵。全ての鬱憤を洗い流してくれるかのような、余りあるその純粋さに、思わず涙が…と解釈しています。 【カタログ】さん [CS・衛星(字幕)] 7点(2011-09-19 01:43:11) |
123.話としてはありふれたものです。ジャック・ニコルソンは確かに上手いですが、ラストの涙にいまいち感情移入できず。 【noji】さん [地上波(吹替)] 5点(2011-05-19 23:37:37) |
122.「シャイニング」のJ・ニコルソンと「ミザリー」のK・ベイツ、夢の共演!! いつキレ出すかハラハラする恐怖映画。 【j-hitch】さん [DVD(字幕)] 7点(2010-08-17 21:43:28) |
121.中年男が踏んだり蹴ったりな余生を過ごす様子が終始コミカルに描かれていて、 うわぁ・・・って思うシーンが多いのに何故だかそれが心地よかった。 【チートイ】さん [地上波(字幕)] 6点(2010-01-12 22:09:52) |
120.《ネタバレ》 導入部分は、見知らぬ子供への援助という善行と手紙で愚痴や雑言をこぼしまくる内容のギャップがよかったのに、それはいつの間にかどこかに行っている。次に、娘から来訪を拒否されて、そこで人生のポイントをめぐって行くのかと思ったら、それもあっさり切り上げてすぐに娘のところに着いている。また、妻との関係でも、娘や婚約者との関係でも、どこが問題でどう整理されたのかが不明。つまり、すべてが中途半端なのです。なので、ラストのニコルソンのアップも、予定調和にしか見えません。手紙に切れて妻の衣服を処分したりとか、招待されたキャンピングカーからすたこら逃げ出したりとか、そういう小市民的な混乱・破綻は面白かったので、そこで押してほしいところでした。 【Olias】さん [DVD(字幕)] 5点(2010-01-04 03:22:12) |
119.《ネタバレ》 定年退職、心にぽっかりと開いた穴。追い打ちをかけるような妻の死。一人娘の親離れ、そして結婚。彼が旅の途中招待されたキャンピングカーでとってしまった軽率な行動。人間、いくつになっても誰かに甘えたくなることってあるものですね。しかしもう甘える相手は誰もいない。そうなるとなおさらなのでしょう。そんなシュミットの心情を思うと観ていて哀しい映画だった。でも、いい映画だった。人生も晩年に差し掛かった男をジャック・ニコルソンが演じるロードムービーと言えば「最高の人生の見つけ方」を思い出します。あちらは何か別世界の出来事のような感覚で観ている自分がいました。一方で本作は僕にとっては定年退職はまだまだ先ですが、いずれはこんな時が必ずやって来る。その時、自分は幸せなんだろうか?その時、これまでの人生を振り返って果たして満足できているのだろうか?これからの生き方次第なのかな。色々と考えさせられる映画でした。ラストシーンの絵、そしてジャック・ニコルソンの様々な感情の詰まった表情は何度見ても泣けてきます。 【とらや】さん [映画館(字幕)] 7点(2009-11-19 22:07:19) |