1.《ネタバレ》 初鑑賞から約3年ぶりに、観る機会があったので観て来ました。
映画が始まって間もなくのオープニングクレジットはやはり格好良かった。
2回目の鑑賞で、モノクロ映像の美しさを存分に堪能できる作品だということを再確認。この映画は、ストーリーがとにかく暗い。映像もまた、非常に暗い。地下室のシーンだったり、夜に散策するシーンだったりと、とにかく光のない場面のみを選んで撮っているかのように、暗さが目立ちます。しかし、顔をアップにして映すシーンでは、表情がわからないくらいの暗さでありながら、目の中の白目だけが表情を出し“演じて”いる。また、地下の螺旋階段の下で姉弟が出会うシーンでは、ジャンニの指に光る指輪を水溜りの水面に反射させ、巧みにその存在を強調することによって、ジャンニの異常さを醸し出している。モノクロ映像は白か黒か、である。画面が黒で満たされれば、おのずと白が際立つ。カラーの映画ばかりを観てばかりいると見過ごしてしまいそうですが、映像のみでその存在を際立たせるというのは、やはりモノクロ映画の真骨頂でしょう。
また、音楽の使い方も個性的で面白い。映画全体の半分近くのシーンにピアノのBGMが流れていたように感じられましたが、これが何とも言えぬ哀しげな旋律で、非常に美しく、これも印象に残ります。
ストーリー展開も、物語の中に存在する“過去の出来事”を最初にほのめかすことによって観客を引きつけ、話が進むにつれてだんだんとジャンニの本性が現れ、歪んだ姉弟愛が暴かれるラスト(特にジャン・ソレルの演技)は圧巻の一言。
ただ一つ、カメラのズームイン・アウトが非常に多かったのがちょっと違和感があったように思えます。ちゃんと普通にカットを割っても問題ない箇所ばかりだったので、ちょっとこれは勿体無いような気がしました。
この作品も貴族階級の廃退やそれぞれの人間模様が描かれていて、ヴィスコンティ監督のファンにとっては十分に楽しめる作品であると思います。自分としては貴族階級を描いた作品というのは肌に合わない気もしますが、監督したほとんどの映画に、テーマが一貫して存在するというのはやはりカッコイイですね。