19.《ネタバレ》 大陸の人間は、発想のベースが違うよね。 昔、あまり有名じゃない映画なのだが、ロシアからインドまで歩いて渡った人間たちを 描いた映画を観たが、ありゃ嘘だな。 (※「ウェイバック~脱出6500キロ~」と言う映画です) この映画の方がリアルだよ~ 怖っ!人間も、地球も・・ 【トント】さん [DVD(字幕)] 7点(2023-04-29 23:28:13) |
18.《ネタバレ》 結果として子宮外妊娠が破裂した妻を6キロも歩かせた復讐として,その先に何もない砂漠をドクターに歩かせたボルタクなのだと思いますが,もしや何らかの妻への復讐として、雨の夜中に子宮外妊娠が破裂した彼女を6キロも歩かせたのではないかと想像してしまう恐怖。■松本清張か筒井康隆の短編のよう。面白いです。 【なたね】さん [DVD(字幕)] 8点(2023-04-23 21:16:08) |
17.《ネタバレ》 設定は地名や通貨名からレバノンあたりみたいですね。とある町の病院に勤務する外科医バルテル=クルト・ユルゲンス、有能だけどいかにも傲岸不遜という感じです。このフランス人医師を、どこから見ても典型的なドイツ人のクルト・ユルゲンスが演じているというのがミソです。この人物の背景説明はいっさい無いんですけど、最近赴任してきたばかりなのか現地の言語や地理を皆目理解していなく、これが後ほど彼を地獄に落とす上手い設定なんです。この物語には圧倒的に多数派である現地人と少数派のフランス人およびイタリア人が登場しますけど、民族間の交流や良好な人間関係は存在しない異様に冷たいコミュニティであるのが特徴です。 前半は短いシークエンスを繋いでゆくストーリーテリングになっていますが、劇伴音楽をいっさい使わず徐々に高まってゆく緊張感は息詰まるほど。西洋文明とアラブ社会の対立・反目という視点を持って撮っている感じが濃厚ですけど、ボルタクの妻の死は不幸な偶然が重なった不可抗力としか言いようがなく、こういうアクシデントは人種・宗教とは関係なく誰にも降りかかる可能性があるものです。この映画の様にアラブと西欧の対立に持ってゆかなくても成り立つお話しですが、遠隔の村でのエピソードなんかには監督・製作者の西欧人らしい視点というか偏見すら感じてしまいます。まあまるでエイリアンのように通じあえないバルテルとアラブ人という図式が、サスペンスを究極まで高めているのは確かですけどね。 そしてあの“世界一怖いロープウェイ”を二人が降り立ってから、ガラリと雰囲気が変わり、そして“映画史上最凶のロードムービー”が始まります。この延々と続く荒涼とした砂漠というか荒地の風景には戦慄させられますが、実はこれはスペインでロケされたそうです。60年代にさまざまなマカロニ・ウエスタンや『アラビアのロレンス』のロケ地になりますが、スペインにこんな土地があるとはサプライズでした。バルテルが颯爽と着こなしていたライト・ブルーのスーツがどんどんズタボロになってゆくのがリアルです。そして鳥瞰で見せられる永遠に続くかのような荒地、 “絶望というものを画にしたらこうなる”という映画史に残る残酷なラストシーンです。 ここまで徹底的に人間不信というものを見せてくれる映画は、滅多にあるもんじゃないです。私の中では、本作はサスペンスじゃなくホラーです。 【S&S】さん [DVD(字幕)] 9点(2021-12-03 21:25:55) (良:1票) |
16.《ネタバレ》 絶望という言葉がこれ程までに感じる。当てはまる映画は無い。それぐらいこの映画には絶望的、極限状態の中で人はどういう行動をするか?考えさせられる。理不尽な復讐の中で人間の絶望に対する意識、考え方、妻を助けてもらえなかったからという理由で妻を助けなかった医師への恨み、親切の様に見せかけてはどんどんと追い詰めていくボルタクの凄まじさ、砂漠を歩き、ひたすら歩き、喉が渇いて水が欲しいという先生へ、水の入ってない水筒を渡したり、井戸があると言って目的地と反対の方へ連れて行ったり、しかも、そこには水など無い。何という復讐の凄まじさ、あの広大な砂漠の中で2人の他には誰も居ない。助けを求めても無駄である。ボルタクに何とかして、目的地であるダマスクの街への行き方を聞き出したものの、その向こうに見える気色は砂漠、砂漠と果てしなく続く景色、ボルタクの高い笑い声の不気味さと空を飛ぶ鷹、全てがこの映画の恐さ、恐怖を表している。もう、ボルタクは死んでしまい、残されたのは自分一人という絶望、人間の絶望への道、凄まじい程の広大な砂漠の景色、正に地獄とはこの事だ!この映画そのものが地獄である。人間の恨みと復讐からは何も生まれないという事を描いた凄い作品! 【青観】さん [DVD(字幕)] 9点(2017-05-24 20:16:14) (良:1票) |
15.《ネタバレ》 復讐劇の異色作。得体の知れない緊張感で最後まで釘付けにされる。 言葉の通じない中東の村での孤立感と焦燥感。ボルタクの思惑をはかりきれないので不気味さが募っていく。ストレートに憤怒をぶつけるのではなく、時折見せる親切な言動に、妻を失った恨みの深さを覗かせる。道連れ覚悟の激しい憎悪が、簡単には殺さない凄みを感じさせる。自爆覚悟の執念深さで狙われたら、もうどうすることもできない。真綿で首を絞められるようにジワジワと迫ってくる恐怖。 猜疑心に苛まれ、生殺し状態の主人公に、いつしか感情移入していく。岩と砂ばかりの山の中で、喉の渇きと足の疲労がビンビン伝わってくる。いっそのこと殺してくれと懇願するほどの苦しみ。 希望を与えては絶望させる究極の復讐。絶望を見事に描き出すラストの俯瞰が圧巻。 あの山を越えれば町が見える――最後の気力を振り絞って希望にすがりつきながら、絶望のどん底に叩き込まれて行き倒れ、ハゲタカの餌食になっていく姿がはっきりと見えるようだ。 医師が最初に男の妻を診ていてやればと悔やまれるが、それも結果論で、勤務外にどんな患者でも対応するとなると医師の負担が大きすぎる。 ボルタクの方も、逆恨みではあるけれど、恨みをぶつけたくなる気持ちはわかる。でも、共倒れになったら、残される幼い娘はどうなるか考えられなかったのか。憎悪は人を狂わせる。 自爆覚悟で捨て身になった人間に狙われたら逃れようがないんだなという怖さ。 死んだ妻の美しい妹の態度の変化がとてもリアルだった。 【飛鳥】さん [DVD(字幕)] 8点(2014-11-01 21:50:52) (良:1票) |
★14.《ネタバレ》 アンドレ・カイヤットはヴェネツィア国際映画祭金獅子賞を二度も受賞した存在であるが、最近まで彼の存在は忘れ去られていた。 フランス本国やアメリカでもカイヤットの名は余り聞かない。 知る人ぞ知る存在にすぎなかったカイヤットだが、TUTAYAからもDVDが出たし、今最も再評価が進む作家の一人だ。 というより、非常に日本人好みの映画なのかも知れない。
この「眼には眼を」は一言で言うと、“逆恨み”を極限まで高めた究極とも言える映画である。 復讐者も意地っ張りだし、それに対峙する医者もどうしようもない頑固者。意地と意地のぶつかり合いだ。 「あんたが殺したって言ってんだろ!!」 「あれは事故だっつってんだろうがっボケェ!!」 馬鹿VS馬鹿。 人々の葬儀の様子からはじまるファースト・シーン、画面は病院へと移る。 医者たちの淡々としたやり取りが、やがて壮絶な意地の張り合いへと発展していく。 不幸な偶然が重なり起こる“死”。 助手の「先生なら助けられた!」という一言も妙に突き刺さる。 それと同時に医者の周りで異変が起き始める。 冷たくなった女の顔、その顔が移った写真、 無言電話、 無言で何かを語りかける車、 時々姿を見せるサングラスの男の不気味な影・・・。 アンリ=ジョルジュ・クルーゾーのような徐々に緊張感を高めていくスリルだ。 撤去した筈の車が元通りになっているのもゾッとする。
120kmが空耳で300kmと聞こえた俺は病院行った方がいいのかも知れない。
翌朝よそよそしくなる妹も怖い。 それにしても、長くいて現地語を殆ど覚えていない医者も医者だけど。 ま、密室で付きっきり、通訳もいればそんな気も起こらないだろうか。 それにしたって通訳を連れて来なかったのはおかしい。 せめて帽子くらいは被ろうぜ・・・。
ナイフ投げのシーンやゴンドラの異様な緊張。 医療器具を落としたのも絶対“ワザ”とだろう。 復讐者の変質的な嫌がらせもエスカレート。家族もいるのにこの男は・・・酷い野郎だ。
砂漠の様な場所を延々と歩き続ける。 出血多量になろうがそれすら演技にしてしまう恐ろしさ。 復讐者の体力も凄まじいが、医者も気力でふんばる。 動物の死骸が腐っていく様子が恐ろしい。
医者は余りに絶望的な“良い旅”へと出掛けていく・・・。 【すかあふえいす】さん [DVD(字幕)] 9点(2014-11-01 00:43:11) (良:1票) |
13.《ネタバレ》 医者もわざとやったわけじゃないんだけど今でいうストーカー男にまんまと引っ掛かった悲劇。遠回り遠回りしてじわじわとじわじわと、じわじわとすぎるほどに相手を追い詰めていく姿はなんともいえない恐怖。相手を信じたヴァルテルの単純さもアレっちゃアレなんだが別に復讐と言ってもボルタクが直接手をだしてやったわけじゃなくて信じたあなたが悪いんですよ、何もがすべて正しいわけじゃないんです誰だって間違いはありますよ的なのを言っちゃうの見て「ぐぬぬ。・・こいつやるな・・・」(笑)しつこさと不条理さは天下一品なとこもありますけどラストショットの絶望感はたまらん。よくこんなとこで撮影したもんだと逆に敬服しちゃいました。 |
12.《ネタバレ》 いい具合にガソリン切れたり、医師が良心で遠い村まで病人救いに足伸ばしたり、都合良く医者だけバテたり、計画を成功させる確立がかなり低いお話。「最後はどうなるのかな?」の興味でラストまで面白く見ることは出来ましたし、絶望的なラストカットも印象的でしたけれど、観ている間ずっと「めんどくせ~復讐の仕方!」と思えてあまりついていけませんでした。「タイトルはミスリードを誘うもので、実は復讐ではないオチがあるのかな?」と思ったほど、やり方が「めんどくせ~」でした。 【だみお】さん [DVD(字幕)] 6点(2014-01-01 01:57:26) |
11.若き時代に強烈な印象を貰った作品。過去二度ほど観た記憶あり。もう一度観たいものだ。衛星放送などTV放映期待する。 クルト・ユルゲンスの最高作品は「眼下の敵」「眼には眼を」。 【ご自由さん】さん [映画館(字幕)] 9点(2010-08-11 14:31:50) |
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10.《ネタバレ》 「すいません。山を一つ間違えました。あなただって間違うことあるでしょ?」という台詞を聞いて、このタイトルにした理由がわかりました。 ここまで徹底した不条理劇もそうお目にかかれず、なかなか面白い。 最初は、訳もわからずイタ電かかってきたり監視されたりと、主人公と同じ気持ちで不安になったりイライラしたりしていたのが、冒頭の1人の女性が亡くなったことと結びついてから徐々に面白くなってくるという、観る側を主人公に感情移入させる演出が上手く、また、晩年のヒッチコックのような車のサイドミラーに相手の顔が映っているというサスペンスな演出も、なかなか見ていて面白い。 しかし、夜の街を歩いていると後ろから車が突っ込んできたり、物音がする方を見たら犬が生ゴミを漁っていたりとか、脅し(フェイントというべきか)が多すぎて拍子抜けしてしまうシーンが多かったのがちょっとクサイかなぁと。一連のこういうシーンを見ると、やっぱりこの監督は二流なのかなぁなどと考えてしまうんですよね~。ここが大きな減点ポイント。 執拗なまでの砂漠の放蕩シーンは最初だけは見ていて面白く感じられるのだけど、2回目以降はもうイイやという感じで、おなかいっぱいになりそう。初めて観た時は、これから先どうなるんだろうといった好奇心のようなものは確かにありましたが、恐怖感とかは特になかったです。 【もっつぁれら】さん [映画館(字幕)] 6点(2008-08-11 01:26:06) |
9.《ネタバレ》 決して明言はされていないが、しかし壮絶な復讐劇。 不条理な巻き込まれ方としては「オールド・ボーイ」を髣髴させられるし、やり口の悪質さ加減は「ファニーゲーム」級でさえある。 だが、そのリアルさはこれらの作品をはるかにしのいでいる。 医師自身にも手落ちがないとは言えない。 あの復讐はやりすぎとも見えるが、むしろあれが人間の本性かもしれない。 ラストの笑い声と俯瞰ショットはぞっとさせられる。 【θ】さん [ビデオ(字幕)] 9点(2008-08-02 20:49:25) |
8.《ネタバレ》 ラストの俯瞰ショットにはマジでやられた。 これは凄い作品だ。 凄いというしか表現のしようがない。 冒頭で、ドクターが手を洗うシーンがある。 手を洗った後も、水をとめない。 私は思った。 「なんで水をとめないんだ?水がもったいないじゃないか。」 と。 この冒頭のシーンに、深い意味があるとは知らず、そう私は思った。 本作は、「巻き込まれ型サスペンス劇」だ。 そしてそこに復讐劇の要素も加わっている。 最愛の妻を殺された男は、復讐をする。 愛というものは、ここまで人間を狂気にする。 愛というものが、人にとってどれほど大切なものか。 それが痛烈に伝わってくる傑作だ。 細かいことを言えば、所々でリアリティを欠く部分があるにはある。 だが、それは「最愛の女性を殺された男が、復讐という想像を超えるパワーを身につけた」と解釈すれば、納得することも可能だ。 しかし、主人公のドクターだが、直接には女性を殺していない。 なんで部下である担当医が狙われずに、このドクターが復讐の的になったのか? そこが納得いかないと言えば納得いかない。 だが、これほど面白ければ、そんなことを気にする必要はないであろう。 あー、面白かった。 本作を沢山の人に勧めたい。 あ、そうだ、水を飲んでおこう・・・ 【にじばぶ】さん [ビデオ(字幕)] 9点(2008-04-28 01:03:55) |
7.ああこれ、確か中学生くらいの時にたまたまチャンネルあわせたら放送していて、もう途中で観るのをやめられなくなりました。NHKだったと思う、NHKらしい作品ですね。恨まれても文句は言えないのはわかりますね。そして訴訟だ裁判だので勝てる相手ではないことは火をみるよりも明らかだしね。しかし人の執念、憎しみってすごいパワーだ。あのアラブ人の復讐は自分も死ぬ覚悟、刺し違える覚悟、捨て身だからこそ観る者を納得させ、恐怖を感じさせるのだと思う。これがあざとく画策するけど自分の手は汚さず、高みの見物状態なら「いいかげんにしろよっ!おまえはどうなんだよ」とそのずるがしこさに憤慨するだろうな。ラストの絶望的などこまでも続く砂漠の映像が強烈。なんといいますか「夢なら覚めて」と思わず叫びそう。 【envy】さん [地上波(字幕)] 7点(2006-01-16 16:58:11) (良:1票) |
6.うわー登録されてたんだコレ! 観ましたよ観ましたとも子供の頃! あの壮絶なエンディング! 太陽、荒野、そして腕から滴る真赤な血! 30年以上前に一度観ただけなのに、いまだ忘れられません。子供時代にこれと『激突!』と『悪魔のいけにえ』を一緒に観れば、「運転免許なんていらないいぃ! ドライブなんて一生しなくていいいぃ!」と決意できます。かく言うオイラがその一人(苦笑)。 【エスねこ】さん [地上波(吹替)] 9点(2006-01-16 01:38:22) (良:1票) |
5.2000年にNHK-BSで見た作品です。10数年で1000本ほど記録に留めていますがこれほど印象が残っている映画はありません。たいていシュールなヨーロピアン、その究極かと思います。だいたいあの風景はどこの風景なのか。まだまだ世界には知らない所が多々あるんですね。その景色と相まって、本当の恨み、というのは日本人にはわかり得ないのかもしれません。これほど怖い映画はありません。 【PaperMoon】さん [CS・衛星(字幕)] 10点(2006-01-15 22:44:34) (良:1票) |
4.イスラム圏では、こんな身の毛もよだつ復讐の仕方もあるのだろうか。戦後、日本人は西欧文化の合理主義に慣らされてしまっているせいもあると思うが、これはどう見ても不条理に巻き込まれてしまった“世にも気の毒な男”の物語にしか映らない。いや、西欧の支配下に置かれていた当時のシリアの国情も考えなくてはならず、アラブ人の視点からするとまた違った受け取り方をするのかもしれない。この映画は個々のシーンが丁寧に作り込まれており、しかもミステリアスな雰囲気を漂わしながら進行するためグイグイと画面に引き込まれる。《ネタバレ》そして後半、クルト・ユルゲンス演じるフランス人医師に向かって放つアラブ人ボルタク(フォルコ・ルリ)のことば、「よい旅を! !」から二人の心理サスペンス劇がただならぬ緊張感を持って展開される。太陽が照りつける岩石砂漠が延々と続く中、脳裡に焼き付くシーンも数多い。工事用のロープウェイのシーンは見ているだけで縮み上がりそうで、喉の渇きに耐えかね瓶に入ったオイルを飲み干すシーンなんかは想像しただけでもゾッとする。ボルタクの本心は最後まで分からず謎のままだが、ラスト、俯瞰から捉えた延々と続く熱砂がこの絶望的な不条理劇を物語っている。スゴい作品です。 【光りやまねこ】さん 9点(2004-10-16 11:36:32) (良:1票) |
3.砂漠の中を彷徨い歩く医師が抱いているであろう死ぬかもしれないという恐怖感を想像すると、見ていて怖くて怖くて仕方なかったです。男が妻を連れて病院へ向かう心中も同じものだったのでしょう。「同じ思いをあじあわせてやりたい」 悲しみ憎しみが人を復讐へと駆り立てるのでしょうが、ラストの男の哄笑、砂漠の光景はこれ以上ない程救いがなく、舞台は灼熱地獄ですが、男の決して融けることのない凍りつくような心中に息を呑む思いがします。男は本望なのでしょうが、虚しさが消えない恐ろしい作品でした。 【2014.7.13追記】レンタル店で発見し再見。 「井戸に水があるとは言ってない」ボルタクの物腰の冷静沈着さに誰にも止める事が出来ない意志が見て取れ、やはり虚しさに支配される作品でした。 |
2.《ネタバレ》 究極の嫌がらせ映画。理不尽な目に合わされた主人公の医師が不憫でならないが、彼にも絶対落ち度がないとは言い切れないところがミソ。そしてボルタクの方も直接手を下すわけではなく、あくまでも親切的に接してワルテルに復讐を開始していく。前半は無言電話にストーカーとあまり大したことのない話が続くが、後半になってからの展開がひたすらに凄い。主人公はいつ広大な砂漠に置いてけぼりにされるのかとドキドキしました。ラストシーンは確かに圧巻だけど、あれを見ると結局ボルタクも最初から死ぬつもりだったのかな?とちょっと疑問。何はともあれ自分もこういう目に合わないよう、なるべく他人の反感を買わないように生きていきたいものです。 【かんたーた】さん 8点(2004-04-19 19:33:23) (良:1票) |
1.《ネタバレ》 イラク戦争が泥沼化する今日を予測したかのような白人医師とイスラム教徒との相容れぬ相克を描いた異色作。本作でのカイヤットは「ラインの仮橋」とは対極的な作風で異文化間の相互理解の困難さを、舞台となる中東の砂漠さながらの乾いた視点の下で描き続ける。全編ほぼクルト・ユルゲンス扮する白人医師ワルテルとフォルコ・ルリ扮するシリア人ボルタクの圧倒的な二人芝居から成り立っており、荒涼とした砂漠のロケーションが秀逸な舞台効果をあげている。殊にラストシーン、ボルタクに欺かれたワルテルがヨロヨロと歩む彼方に無情に広がる砂漠の俯瞰撮影はクリスチャン・マトラのカメラワークも相俟って鳥肌モノの絶望感に包まれる。まぁ確かに後味は最悪だが人間性の真実を直視するカイヤットの力感溢れる演出に嘘が無いので、色々と示唆に富むことは否定できない。 【へちょちょ】さん 9点(2004-01-13 13:24:23) (良:1票) |