68.《ネタバレ》 「何年も置きっ放し!」
あのミレニアムファルコンが砂にまみれて放置され動くかどうかも分からない。だが、EPIVの冒険を神話でしか
知らないような若い新しい人たちがファルコンを起動させタイファイターの追撃を、いつかどこかで見た
ような逃走劇を演じてかわしていく。
このシーンで初めて、我らのSWが帰ってきたと感じ、EPIVを初めてみて一目惚れした、遠い少年の日と繋がった。
途中アナキン3部作もあったけれど、最初の衝撃が絶大でSWと云えばEPIVであり、ルーク3部作なのだ。
そして、スカイウォーカー家の人物にはやはり砂だらけの背景がよく似合う。その意味でもルーク3部作の続編に
ふさわしい序章だ。
ニューホープだったルークが消え30数年が経った設定だと云う。劇中の世界も今自分が見ている世界も、
同じくらいの時が過ぎてしまった。ファルコンが砂漠の中を宇宙と変わらないようなスピードで元気に逃げ回り、
(神話の象徴の一つである)スターデストロイヤーが幾隻も砂に沈み空にそびえる遺跡の中を疾走する。
誰にも、この38年の間、色々なことがあったと想う。当然自分にも多くの事が起き、沢山の想いが生まれそして
消えていった訳で、映像を見ながら不意にそんなことに思い至ってしまった。そして、「希望をあらたに持ち続ける砦(Rook)」を
失っていた自分の心の、想像力の墓がスターデストロイヤーに重なってみえて、思わず胸がいっぱいになった。
同時に、昔と変わらない元気いっぱいのミレニアムファルコンに勇気づけられ憧れるのだ。
序章でさえこれ。全編こんな調子で多くのことに不意打ちで気づかされ、ファンとしてのうれしさと
長い時の経過への想いが ない交ぜになって、感慨というより感無量の連続だった。
あとどうしても云っておきたいのは、今回ハンソロとレイア姫の息子がかつてのダースベイダーのような
立ち位置で出ていて、彼には魅力的な敵としてのオーラが無いとか散々云われているけれど、あの映し方で
間違っていないんじゃないかということ。神話は終わってしまった時代なのだ。彼だけでなく敵軍も、アイデンティティを
失った若者たちの愚連隊であるし、戦後70年が過ぎた現代世界のメタファーと云える。
ソロの息子が自信無さげで猫背でせかせかと歩きつねに苛立っていながら、だけど、マスクの下の目が凄く
悲しそうなのは、もうほんとうに仕方の無いことなのだ。単純明快な悪でもなく、鬱屈してるけど魅力的な愛すべき人物
だと思う。
最後にもうひとつ。フォースとルークを象徴するあのテーマ(原題は「オビワンのテーマ」と云う曲)が
劇中何度も、ルークまたはジェダイ騎士団やフォースを想起させるシーンに使われているのだけれど、その度
なかなかクレッシェンドに盛り上がるまではいかずに止んでしまって、でも最後に、やっと伝説のルークの登場
シーンで(予想通り)初めて、最後まで盛り上がって聴かせてくれて、渋く老成して格好いいマーク・ハミル
にも会えて、涙が出ました。(笑)