3.《ネタバレ》 なんでこんなとっ散らかった映画になっちゃったのかしらねぇ? アレやコレやと色々盛り込んだせいでテンポ悪いわ、物語の流れが不恰好だわ(登場人物の言動に納得できない箇所が多過ぎ)、ラブストーリーとアクションとがお互いを薄め合ってるわ、コレ面白いでしょ的な映画ネタが余計な贅肉みたいになっちゃってるわ、ドラマもアクションもダメ押しのようにクドいわ、ゴージャスな素材を盛り込んだつもりが随分ダラダラとしたモノになっちゃたって印象ね。
『サイレント・ムービー』とか『カメラを止めるな!』とか、ああいう「映画を作ろう!」ってキモチがそのまま映画になってる、そういう入れ子細工構造なのはいいのよね。
だけどハリウッド的なバジェットとかプロダクションとかスターシステムとかまでも入れ子細工化してしまっていて、ちょっとグロテスクな感じがしてしまうのよ。これがハリウッドでござい、みたいなのが無自覚にいっぱい入りこんじゃってるような。
ロケ撮影中のハズの映像が(未来の、そういうカタチになる予定の)VFXで埋め尽くされた完成映像として表現されるあたりなんか面白いネタのつもりなんでしょうけれど、見てるこっちは金持ちの悪趣味としか思えなかったわ。
大体、スタントマンの大変さを描き、って割にはそれがあんまり伝わってこない(エンドロールで断片的にチラチラ判る程度)のが問題なのよね。VFX使わず現場主義!みたいなシーンを描きつつ、映画自体はVFXタップリで、じゃあどこまでが?っていうのは虚実に紛れてよく判らないっていう。
わがままで才能の無いスター、映画を完成させる事だけが大事なプロデューサー、大量のスタッフで溢れて意思の疎通もままならない撮影現場、そういうハリウッドの映画製作の実態みたいなのをシニカルに自己批判的に描いた映画、にしてもそれがそのまま実際の映画にカタチとして表れちゃってるのは、ねぇ。
もっと削ぎ落とされた、スマートな映画が見たかったわ。