★15.戦後ならではの男女の恋愛を軽いタッチで描いたコメディドラマです。戦後間もない時代に作られた作品なので、風景、ファッション等衣食住のすべてに本物を実感できた貴重な作品です。結末もいい感じでした。 【ProPace】さん [CS・衛星(邦画)] 7点(2014-08-12 21:10:23) |
14.木下監督生誕100年を記念して作られた「はじまりのみち」。この中で少し取り上げられていたことをキッカケに鑑賞しました。もったいぶったことはせずにサクサク進むストーリーが気持ちいいです。観客を楽しませるぞ、という姿勢が嬉しい。最近ではなかなか見れない純情ラブコメですが、当時の社会背景も描かれているので、今見ても面白いと思います。戦後の死別や経済状況など重くなりそうなところも、コメディを通して描いているのがオトナですね~。資産家家族も悪い人たちじゃないけれど、どうしてもお金や家柄にこだわってしまう姿が憎めない描き方で好きでした。結婚祝いの前に家族が悪気なく愚痴ってしまうシーンなど必見。主人公本人からすれば全く笑えない状況だけど、怒濤の追い込みに思わず笑ってしまいました。原節子の演技も迫力があって逆に浮いてるくらいでした(笑)。主人公たちの思い込みや早合点、ひとりよがりなところでヤキモキしてしまうところもあったけど、それも、ストーリーに入り込んじゃってたからでしょうね。 【ゆうろう】さん [DVD(字幕)] 6点(2013-12-10 10:36:51) |
13.《ネタバレ》 全うなロマコメでありつつも後半でしっかりと深刻な主人公の悩みを描くのには、ホントに木下監督は真面目な人なんだなと思えます。生まれの差を乗り越えて愛を達成させようとする主人公の姿はとにかく一直線、猪突猛進で観ていて気持ちがよかった。それだけにもう少し上映時間が伸びてでも脚本にひと捻りあっても良かった気もします。その辺りが同時期に活躍していたビリー・ワイルダーとのコメディ演出の差でしょうか。 【民朗】さん [DVD(邦画)] 6点(2013-09-25 23:23:48) |
12.《ネタバレ》 一応ラブコメなんですが、借金だらけのご令嬢と成金青年との恋愛、おまけに父親は獄中の身ということで、ちょっと重め。そこを重くなりすぎないために入れている笑いの要素が、とても効果的でした。時代が時代だけに恋愛も純情可憐で、手袋にキスしたあとあわててずっこけるあたり、単なるギャグではなくそうした性格描写になっているのがうまい。その一方で、家のためではなくあくまで自分の気持ちで結婚するという、戦後らしい姿が描かれているのもいいし、それが見終わってのさわやかさにつながっていると思います。ただ、それを引き出すためのマダムのセリフが理屈っぽいのが残念。しかし互いの気持ちの微妙な変化がうまく出ていたし、良作でした。 【アングロファイル】さん [CS・衛星(邦画)] 8点(2013-06-24 18:25:17) |
11.戦後まもない作品ながらも、洒落た作品を作りたいという制作者側の心意気が伝わる、コメディータッチのラブストーリー。 時代背景に合わせた主役たちの状況設定が興味をそそらせるし、主人公の描写もいいのだが、ヒロイン原節子の感情表現がとても読みづらい。 うれしいのか、愛想笑いなのか、ときどき本当に嫌そうな引き攣り笑顔を見せるので、観ていてちょっとイライラしてくる。 ヒネリやオチは目立たないストレートな恋愛モノだけど、軽快で明るいテーマ曲と古い東京の市街地が映るシーンだけは印象に残っている。 【MAHITO】さん [DVD(邦画)] 4点(2013-01-31 02:52:17) |
10.《ネタバレ》 日本にもこの頃からラブコメという表現が存在したことを示すという意味において貴重な作品。ラストの一言をヒロインに言わせたいための脚本ですね。 【Olias】さん [CS・衛星(邦画)] 5点(2012-09-25 02:28:00) |
9.原節子の役柄が微妙なんだ。「コメディ」と割り切った造形なのか、それとも「微笑ましい話」としてリアルに出来ているのか。こういう話は当時そこらにあって、観客の受けとめはけっこうリアルだったんじゃないか。でも「お話」っぽさも強く感じられる。令嬢を誇張した振る舞いにそれをはずす言葉を挟んだりして、笑いを狙ってるのは分かるんだけど、お嬢さんが一生懸命庶民たろうとしているのか、深窓育ちゆえの天然ボケなのか、判断が難しい演出。けっきょく木下作品での原の起用はこれ一本となった。木下の好む庶民の肌合いとは遠い俳優だったってことなんだろう(成瀬や小津の庶民と木下の庶民との違いを考えるいいポイントになる)。没落一族の描写がよく、とりわけ祖母の藤間房子の愚痴っぽさが笑わせてくれた。ピアノのプレゼントをめぐる斜陽族と勃興成金の意識のズレなんかよく出ていて、いい場面だった。ピアノのまわりでバレー踊ってる人はちょっとアレなんだけど。朴訥な人物として描かれた勃興成金ってのが、本作の着眼点。松竹の三羽烏と呼ばれた上原謙・佐野周二・佐分利信は、それぞれ智・情・意に当てはめられるんじゃないかと思っているが、本作なんか情の人としての佐野周二がうまく使われていた。よさこい節をまじめに独唱する場、下の階に掛かった電話がゆっくりと上昇するカメラとともに上に住む佐野に切り替えられ、はしゃいでドアから出てくる場など、上原・佐分利では「違う」だろう。佐野周二もこれが木下との初仕事だったが、彼は原と違い『カルメン故郷に帰る』『春の夢』とコメディで以後も顔を合わせる。オートバイで走り回る当時の東京の街頭風景に記録的価値。 【なんのかんの】さん [CS・衛星(邦画)] 6点(2012-09-15 09:26:58) |
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8.《ネタバレ》 34歳の自動車修理工と26歳の学習院出のお嬢さんか、よさこい節と幻想即興曲との違いは何といっても大きすぎる。うまく行きかければだめになるし、だめになったかと思ったら・・・。追っかけていくところで終わるのが、いかにも木下恵介らしい人情劇。昔はこういうのが多かったなあ。 【ESPERANZA】さん [DVD(邦画)] 6点(2011-10-10 14:19:31) |
7.おっと、意外にもレビュー数が多いんですね! やはり、木下惠介監督の知名度がなせるわざか?! さて、本作は嫌味のない、そしてシンプルに心和ませる作品です。 ほんとに木下監督は幅が広い! 悲劇から喜劇まで撮れてしまう監督さんだ。 原節子って、やっぱり20代の頃が圧倒的に綺麗ですね。 『河内山宗俊』でもそうでしたが、まだこの頃は顔にクセもないし、ふっくらし過ぎてもいない。 まさに清楚な女性の鏡なのであります。 小津作品での原節子はどうも好きじゃありません。 笑顔が不自然で、どこか怖いのです。 作り笑いが過ぎるというか。 ところが、本作での原節子は神々しいほどに、清楚で控えめな美しさを画面いっぱいに発しています。 原節子の魅力を存分に味わえる作品だと思います。 【にじばぶ】さん [ビデオ(邦画)] 7点(2008-05-28 23:27:48) (良:1票) |
6.《ネタバレ》 はじめてであったときには下ばっかり見て、家に遊びに行けば、飲み物出して「どうぞ、どうぞ」攻撃。この時代の恋人が話すことって、現代の恋人たちの会話とずいぶん違うんだろうなぁと想像すると楽しい。佐野周ニの手にキスしたあと、あせって家の入り口でこけちゃう所とか、こういうボケが成立する映画の雰囲気に触れると、懐かしいというか、すてきというか、シンプルに心が癒される。足がしびれた佐野の演技もいいし。あれこれと考えることなく、すかっとたのしめる作品。原節子のアップが、今まで見た彼女の作品の中で一番神々しいように感じられた。 |
5.映画館で見て、原節子のクローズアップがいかに美しいかが理解できました。それまではちょっとバタ臭すぎる顔だなと思っていたんです。でもあの顔が紗の掛かったモノクロ画面に映えること映えること…。娯楽の少ない当時の庶民は、銀幕の原節子を見て「非現実」を味わっていたんだろーな。特になにも先入観なしで鑑賞したんですけど、佐野周二の演技が自然で巧くて、自然と微笑んでしまうシーンがいっぱいありました(弾けもしないギターで不協和音立ててるところ、大笑い)。逆に原節子はカマトト演技がちょっと過剰じゃぁ…と思いきや「どうぞ。どうぞ」や「お腹がすいたぁ…」のシーンでトートツに笑わせてくれます。戦後すぐの映画ですが、難しさもなく後味もよろしい素敵なコメディです! 【ミカエル】さん [映画館(邦画)] 8点(2007-01-06 14:23:26) (良:1票) |
4.《ネタバレ》 木下恵介監督のコメディー映画といえば田舎が舞台だった「カルメン故郷に帰る」しか見たことなかったので、こういう都会的なコメディーも撮れることをしって幅の広い監督なんだなあと思った。佐野周二と坂本武のたたみかけるような冒頭の会話シーンからテンポがよく、最後まで面白く見られる。もちろん原節子の美しさも特筆もので、この映画では没落貴族の令嬢という役柄もあってか、今まで見た出演作(そんなに見ていないということもあろうけど。)の中でいちばんきれいに撮れているように思えた。村瀬幸子に佐野周二のことをどう思うのか聞かれた彼女が「惚れております。」と言い残して佐野の後を追うラストシーンが気持ちよかった。佐野と佐田啓二が道路をバイクで疾走するシーンもコミカルで印象的だ。シリアスな社会派というイメージの強い新藤兼人が脚本を書いているというのがちょっと驚きである。 【イニシャルK】さん [CS・衛星(邦画)] 8点(2006-02-09 16:58:34) (良:1票) |
3.《ネタバレ》 華族の令嬢、池田恭子演じる原節子の燐とした美しさ、気品に満ち溢れた姿、そして、そんな原節子に「おなか、空いたわ!」なんて笑える台詞を言わせてしまう木下恵介監督、凄い!あの場面は本当に笑った。それとこの映画、不器用な男と女の大人の恋愛を描きつつも、本来なら暗くなりがちな所をユニークな場面と会話のやり取りで楽しい仕上がりになってます。原節子が佐野周二にお茶を進める場面での「どうぞ!どうぞ!」ていう時の可笑しさときたらたまりません。木下恵介監督と言えば悲劇のドラマばかりの監督だと思われがちですが、そんなことはなく、こういう上品で楽しい喜劇も撮れる素晴らしい監督だということがこの映画を観れば解ると思うし、とにかくどの俳優にしても上品で嫌味がないのが素晴らしいです。これもまた日本映画全盛期の頃の日本的な雰囲気を感じるそんな一本です。 【青観】さん [ビデオ(字幕)] 8点(2006-01-23 22:02:57) (良:1票) |
2.一連の小津映画での良く言えばミューズ的、悪く言えばお人形さん的扱いの原節子よりも、きちんとした自分の意思を持ち最後には惚れた男の胸に飛び込んでいくこの映画の斜陽貴族のお嬢様のほうが自分には魅力的に映りました。随所にクスクス笑いを取れるような仕掛けが施されているが、自分が一番笑えたのは憂いを含んだ原節子の横顔をとらえ、どんな名台詞を吐かせるのかと思いきや「おなか空いたわあ・・・」と呟かせる抜群の木下演出! |
1.《ネタバレ》 一応、便宜上コメディにジャンル分けしましたが、正確に云うならば「人情喜劇」がピッタリかと思います。欧米のコメディのノリで観ると肩透かしを食うかもしれません。斜陽華族のお嬢様、恭子を演じた原節子の気品溢れる演技、対照的な自動車修理工・圭三役の佐野周二が見せる野暮ったい中にも誠実さを滲ませた演技、いずれも見事に彼らの持ち味が引き出されています。流石は木下恵介、といったトコロでしょうか。”金のための意に沿わぬ見合い”に打算を感じ、決然と結婚を破棄する圭三の姿には失われつつある当時の日本人の心意気を見ました。ラストで見せる恭子の情熱的な行動がグッと高揚感を増して心地良い幕切れでした。 【へちょちょ】さん 8点(2004-01-16 09:29:59) (良:1票) |