2.冒頭から繰り広げられる“一人称視点”での大殺戮シーンを皮切りに、想像以上にぶっ飛んだ映画だった。良い意味でも悪い意味でも。
「ニキータ」+「キル・ビル」+「女囚さそり」+etc…古今東西のあらゆる“ヒロインバイオレンス”の要素を詰め込み、混ぜ込んだ上で、独特の空気感でぶっ込んでくる。
見せつけられるエンターテイメント性は強引ではあるけれど、極めて高い。
相も変わらず韓国映画の土壌は、よく肥えて、充実しているなあと思う。
ただし、数多の韓国映画の傑作の数々と比較すると、「稚拙」な部分は多々ある。特にストーリーテリングにおいてはトータル的に稚拙だったと言わざるをえない。
中盤に挟み込まれる恋愛シーン、回想シーンは、ヒロインの「業苦」を増幅させるために確かに必要な要素だったとは思うけれど、もう少し手際よく見せるべきだった。
それに特別捜査官の男の心情はもっと包み隠した演出にすべきではなかったか。序盤から彼の想いはダラダラと垂れ流されているため、感情移入はする反面、終盤の彼の行動にエモーションを感じることができなかった。
で、可哀想な“娘ちゃん”の出自は結局なんだったのか?中途半端な尻切れ感は、後味の悪さに悪い方向に拍車をかけている。
だがしかし、だ。冒頭から最後の最後までアクションシーンはまさに「怒涛」。それは否定できない。
想像よりもずっと「漫画的」な映画で、上質な傑作とは言い難いが、「殺人の告白」に続きこの監督の良い意味でも悪い意味でも雑多な味わいは、一つの特徴だと思う。
ストーリーの粗とチープささえ嘲笑うかのように、「絶望」なんて言葉を遥かに通り越した終着点で高笑いを見せる“悪女”のおぞましい姿に絶句。