222.《ネタバレ》 夢と現実を行き来してどちらにいるのかわからなくなる。
世界観が独特で、『マトリックス』と通じるものがある。
夢の共有や三層構造の設計、キックの定義など、そこにおけるルールや設定が難解で把握しにくい。
セリフのやりとりによって説明されているが、それだけではすんなりとは入ってこない。
深層心理を素材にした物語で、心理学の概念を応用しているのでその方面に明るいと受け入れやすいのかも。
ストーリーをおもしろくするために、都合のいいルールや設定をこじつけた感がある。
どうやって夢を設計し、他人の夢に潜入し、共有できるのか、そのメカニズムはあいまいで明確に描かれてはいない。
そこに整合性と説得力のあるロジックが成立しえないから、あえて省いているのか。
一部機器も装着しているようだが大掛かりなものではないので、まるでエスパーのように自在に夢に出入りしているようにも見える。
細かく見れば矛盾点や疑問点も出てくるが、もともと夢というのは論理的ではなく話がとんとん運んでいくもの。
この映画自体もそれと同じ感覚で、分析せずになんとなくわかったような感覚で受け入れるのが正しい楽しみ方なのかもしれない。
アイデアはとても独創的でおもしろく、特にコブとモブのエピソードには惹かれる。
サイトーの依頼した仕事をもう少しシンプルに整理して、コブとモブの話にもっと軸足を置いたほうがわかりやすかった。
戦闘シーンが結構長いのでそこは短くできたと思うが、アクションは売りものとしてしっかり見せたかったのだろう。
ラストのコマが微妙に揺れたところでカットアウトするのは、夢か現実かあえてあいまいにさせて解釈を委ねている。
そういう委ね方を映画ではときどき見かけるけど、これは作り手として少し無責任に感じるときもある。
いわゆる夢モノが性に合わないのと、シュールな世界観で自分の好みからは外れた。