179.《ネタバレ》 題名通り「夏休みのとんでもないひととき」に巻き込まれるストーリー。
「ぼくらのウォーゲーム」を拡張したような世界観で、さらに複雑に入り組んだ展開である。
何がしたいのかよく解らないヒロイン夏希にいざなわれる主人公の健二。
一貫性が無くて飽きやすい性格、自分のやりたい事がハッキリしないグラグラのヒロインを、一本筋が通った健二が支えていく。
理想を具現化したような大家族に囲まれながら、今の世の中には無くなってしまった懐かしさも感じられる。
大家族のほとんどがネットゲームやアバターに興じるというところは現代的だが、全員が戦力になり得るというのはちょっと疑問。
だが、事件は世界中のネットで突然起こり、主戦場は片田舎である。
「ラブマシーン」と呼ばれる凶悪なウイルスに食い荒らされるネット空間。
何でもかんでもデータにして情報を統一しようという「OZ」の危うさと人間の限界を語りかける。「OZ」を破壊されれば、それが管理する医療機器に繋がれた命も危ない。
栄ばあちゃんもそれが原因で助けが間に合わなかった。
最悪「ラブマシーン」に侵食された軍事システムが街を焼き払うだろう。
仇討合戦誰がやる?
誰もやらなきゃ誰がやる?
俺たちがやってやる!
今作の“戦”は刀や槍ではなく、それぞれの知恵と能力を武器にして立ち向かう。
「いくら大家族とはいえ戦力揃いすぎバロス」というツッコミはこの際ヤボだ。
数学に強い学生健二、
ネットゲームのチャンピオン佳主馬、
生まれた時代を間違えたネトゲーじいさん万助、
自衛隊の理一、
オーバースペックな電気屋である太助、
戦う覚悟を決めた夏希、
そして曲者の侘助。
41歳にしては若すぎる(伊丹十三モデル)容姿だが、そこにはラブマシーンの開発者として責任を払おうという覚悟が芽生えていく。
そして夏希の家族たち。
ひと時の夏に全てをかけた老若男女の男女たちの映画。
TV版では夏希と侘助が花札に興じる場面がカットされていたり、最終決戦の重要な伏線が削られてしまっていた。今度TVでやる時は是非ともフルで鑑賞したいものだ。