16.《ネタバレ》 古い映画ですが、これもまた掘り出し物でした。
退屈で固いんじゃないかと思っていただけに、予想を裏切る面白さでした。
笑えるところもきちんとあるし、見せ所のパニックアクションは、ジョーズをしのぐと・・
ジョーズは何度も見ていて評価をまだつけていないので、もう少しお待ちくださいね。
そのジョーズに匹敵する、いや時代からしたらしのぐんじゃないかと思いました。
まじめな文芸作品、でも単純でそして深いドラマです。
ただ単に仕返しの鯨退治じゃあないのです。
私はこの船長はもしかしたら白鯨、そして白鯨もまた船長と思います。
同じ敵同士でその時を待っていたかのように・・
この映画もまた他の洋画の例にもれず、キリスト教の教えがあります。
単純なストーリーですが深い深いものがあります。
途中に出てくる船員の言葉、「鯨を捕って油を売るのは人様のためになり神も喜ぶ」
「けれども復讐のために鯨を殺すのは神にそむく行為だ」こんなような言葉・・
うまいこと言ったものだと納得しました。
あの白鯨は守り神なのかもしれないし、殺された鯨の怨念かもしれない。
船長の言葉も「この船では私が神だ」のような言葉を言いますが、
あの驕りは前者の言葉とリンクしているような・・
最初に主人公が出会う預言者の言葉が怖いです。
ひとりを残してみんな死ぬ、船長は手招きして呼ぶ・・そんな風な言葉。
見終わるともう一度すぐ見たくなる。
すべて登場人物から言葉からつながっています。
あまり古い役者は知らないのですが、教会の牧師がオーソン・ウェルズだった。
とにかく暴れまくる白鯨のすごい迫力に圧倒されます。
たまに海が船と色があってなくて合成技術の甘さは感じるものの、
それでもこれだけの無駄のない面白い作品が作れるんですね。
今の映画のアラは気になりますが古い良質の映画のアラは気にならない。
ラストのあるモノが浮かび上がりたったひとり生き残った人物は・・
そのあるモノにも深い意味があるんですよ。
後味は普通悪いものなんですが救われました。
私はどの人間になれるのだろうかと少し怖かった。
ある意味宗教がかっていて、ホラー感覚も味わえます。
小説で読んだ人にも映像が迫力あるのでおすすめ!