★10.《ネタバレ》 テレビ映画という制約もあるかもしれないが、今作はハネケらしさを封印し、 フランツ・カフカの世界観を忠実に映像化しようとする姿勢が感じられる。 非常にクセが強く、読みやすいとは言い難いカフカの小説は、 当然、映画も多くの人に受け入れられる代物ではない。 ただ、活字で読むよりはマシだろう。
簡単に言えば測量士Kが仕事で城を訪ねるが一行に入れる気配もなく、右往左往に冬の城下町を彷徨うだけ。 周りの対応にイライラするが、主人公の優柔不断さにもイライラする。 ネガティヴな性格のカフカの人生を反映させているようである。 そして滑稽。
未完の小説を映画では如何してに完結させるか? 普通ならオリジナルの結末を付け加えるがハネケはそれを拒む。 いきなり黒画面を背景に「カフカの草稿はここで途切れている」とテロップを叩きつけて、 観客をそのまま放り出すのだ。
それを含めての不条理劇として受け止めるか、何を描きたいのか分からない映画として唾棄するか。 自分からすれば、その世界観に酔えるほどの感性はなかったということだ。 |
9.《ネタバレ》 主人公「K」って、カフカの事なのかなぁ。最後まで現れなかった「城」は、出版社?で、別の仕事をあてがおうとする人らは「社会」ってか。 うーむ。カフカとハネケのタッグ。何とてごわいのか。未熟者の私としては、正直かなわん。そしてしんどい。 【aksweet】さん [DVD(字幕)] 5点(2013-01-05 05:53:42) |
8.《ネタバレ》 原作をむかし読んだことありますが、あまりのつまらなさに100ページももだずに投げ出した記憶があります。それをあのハネケが忠実に映画化してるのだから、覚悟を決めて鑑賞しました。意外と映像としてみればまだ判りやすいかなと思いましたが、横移動しかしないカメラには退屈を禁じえませんでした。Kの助手の一人は『ファニー・ゲーム』のあのおデブちゃんじゃないですか、などと油断していたら私にとっては驚愕のあのラストが待っていました。 こんな映画の終わり方ってあり?いくら原作が未完と言っても、こんな撮り方を考えつくのは、世界広しと言えどもミヒャエル・ハネケしかいないでしょう。恐れ入りました。 【S&S】さん [DVD(字幕)] 5点(2011-02-14 21:38:32) |
7.《ネタバレ》 あの分厚くて字ばっかりの小説を2時間の映像に翻訳したことは偉い。だけども、面白くはなかった。途中から小説のディティールの再現にやりがいを感じ始めたのだろうか、肝心の映画の面白さが遠のいていった。まあハネケだからそれでいいのだろうけど。 あのラスト、続きはどうなるんだろうか、すごくロマンを感じる。 |
6.原作見てませんけど、途中まで面白かった。でも続きみたいなと思わせるできばえです。 【将】さん [DVD(字幕)] 7点(2009-09-28 13:14:17) |
|
5.原作ありきという印象で、読んでない人間は置いてけぼりですね。 【色鉛筆】さん [CS・衛星(字幕)] 2点(2009-03-07 20:35:55) |
4.《ネタバレ》 原作未読。うー、カフカをハネケが映画化だもんね。「変身」「審判」しか原作は読んだことがないが、この居心地の悪さは、むしろ予想通り。オーソン・ウエルズの『審判』とは全く違う趣きながら、不条理さ全開。フリーダといい、頭の悪そうな(でも良さそうな)助手の2人といい、まったくもってイラつく存在。しかし、最もイラつくのはK自身。・・・てところを、ハネケはうまく描写していると思う。自分のことしか考えないKが、彷徨い出会う人間たちが浮かべる無表情だったり、嘲笑のような笑みであったり、冷徹さであったり、すべてがKを追い詰めていくところはハネケの底意地の悪さの面目躍如といったところでしょ。そして、あのデッドエンド。ひゃ~、ここまでやられると、文句も言えません。ハネケさん、あなたもエゲツナイお方よのぉ。私はあなたにどこまでも着いて行くぜ。 【すねこすり】さん [DVD(字幕)] 7点(2009-01-13 11:00:12) |
3.原作未読。映画見ている限りで不愉快に感じられたのは、閉鎖的な村人ではなく、あまりに自己中な主人公に対してでした。我儘が叶えられないと駄々をこねる躾の悪い子供のよう。今思えば「八つ墓村」のショーケンにも同じ印象が。現状を覆う自由主義(≒無責任主義?)に懐疑的になっている昨今、ある意味示唆に富む映画でした。 【番茶】さん [DVD(字幕)] 6点(2009-01-11 08:03:53) |
2.カフカは「変身」と「ある戦いの記録」しか読んでないので、はっきりとは言い切れないのですが、実に良くカフカの世界観が映像化されているんじゃないだろうかと思った。城がすぐそこにあるのに辿り着けないという、一見あり得ない理不尽な設定が、いつのまにか受け入れられているという不思議な感覚、そして全体を覆う不安感がお見事。原作が未完だからって映画までぶちっと終わらせちゃうのは作品の世界観に浸っていただけにどうかとも思ったが、未完の部分を創作して物語が成立してしまうと、もうそれはカフカではなくなってしまうわけで、なぜならカフカは作家として生計を立ててはおらず、でもまぎれもなく本物の作家、つまり書くことそのものが目的であったという稀代の作家であったわけで、多くの未完の作品は物語が未完であるにすぎず、作者の中では完成されているんじゃないだろうかと思ったりする私にとっては、やっぱりこれで良かったのかもとも思ったりする。もちろん映画は別物で、独自に拡がりを見せても全く構わないのだが、ハネケはとにかくカフカの作った世界を忠実に再現したかったのではないだろうか。原作を映画的に見せる、というのではなく、原作を、原作の持つ魅力や端々に見て取れる作者の思想や精神といったものも含めて映像化する。ここにハネケらしさは無く、作家主義映画からは遠くに位置するが、試みは成功していると思うし、頭の良い人でなければ出来ない作品だと思った。(原作未読のくせに、、) 【R&A】さん [DVD(字幕)] 7点(2007-06-29 12:22:01) (良:1票) |
1.(酔ってるんで注意)作中、最も理不尽なのはクラムでも村長でもなく、フリーダだった…原作では。 この映画化を見て、今までのフリーダの解釈に納得の行く解釈を与えられて、それだけで十分なメリットがあったと思う。フリーダは全てのシーンで自分の得になるようなウソをついている…これは、他人から指摘されるまで気付かない側面だ(カフカは個的に楽しむ文学だからね…)。 もうひとつ、本作を見に行く際に期待していたのは「助手たちをどう描くか」。本気で原作通りのコメディリリーフに徹したのは、正直オドロキました。コレをやられたら、他のシーンがどんな凡作でも高得点を上げないわけにはいかないよなあ。 期待していたシーンは「コニャックが毛皮の表面を流れていく」シーン。微に入り細に入り、まるで拡大鏡で覗いた様な克明さで描かれるこのシーンをどう映像表現するかは、カフカ映像化のひとつの試金石でした。結果は…本気で毛皮の上にコニャックこぼしただけじゃん! 染み込んでるじゃん! ダメじゃん! CGなみのクオリティで描かなきゃ! せっかくカフカが苦労して描写したんだからさー! …3点引くからな、ハネケ。 【エスねこ】さん [映画館(字幕)] 7点(2006-08-05 02:44:51) |