5.《ネタバレ》 平穏な村が突如として怪奇現象にみまわれる。
平和な日常の生活が徐々に不安に支配されていく。
それをとても冷静に、とてもリアルに描いた作品だと思う。
それは徐々に淡々とやってくる。
村全体が眠りにおちたり、村の女性全員が妊娠してしまったりと、そういう得体の知れない「怪現象」の雰囲気が好きだ。
だから冒頭の、道の傍らでバスが停まっていたり、軍隊が調査したり、不可解に人がバタバタ倒れてゆくのもとても普通に(リアルに)描かれていて面白い。
子供たち全員が統率のとれた同じ動きをする、感情の無い子供達はとても冷たくて、変で、それは「怖い」というよりもなんだか普通と「違う」のだ。
愛情も感情も何も無い無表情な息子に(まったく別の生物に)、敬語で「お父様」「お母様」と言われるのはどんな気持ちであろうか?とても冷たくは無いだろうか。
そういった主人公ゴードンの精神的葛藤を見事に描いていると思った。
村の人々が精神的に追いつめられて行く、「外見的には何も変わらないのに、何かが確実に起こっている怖さ」みたいなものを描いていると思う。
生物の正体も明かされないが、それが「未知の恐怖」を演出しているのかもしれない。
この作品は心理描写が見事だ。
淡々としているが、ちゃんと描いている。