★11.《ネタバレ》 てっきりダブル主人公制かと思ったのですが、完全にアベルが主人公ですね。 ケインは副主人公、もしくは主人公のライバルといったポジションに思えました。
で、自分としては当然、出番の多いアベル側に肩入れしつつ、楽しく鑑賞出来たのですが…… 物語の一番のオチと言うべき「苦境のアベルを匿名で救った人の正体は、宿敵ケインであった」って事が、観ていてバレバレだったのが残念です。 これに関しては、古典的名作ゆえの弱点というか、原作が書かれた1970年代なら意外性のあるオチだったものが、現代では「王道」「ありきたりな展開」になってしまったがゆえの悲劇なんでしょうね。 観客の自分としても(これ、絶対ケインが助けてるオチじゃん)と思えたし、それと同時に(救い主はケインって展開が一番面白い、そうじゃなかったらガッカリする)と思えたりもしたんだから、何とも判断が難しい。 もうちょっと見せ方を工夫して「観客にはケインが救い主である事を示しておき、アベルがそれに気付くまでの流れを俯瞰的描写で楽しませる」という作りであったなら、印象も違ってたかも知れません。
そんな本作は、300分越えという長尺の品であり、色んな要素が内包された大河ドラマのような作りなのですが、自分としては「収容所から脱走するアベル」の件が、一番お気に入りでしたね。 列車の中で、たまたま相席となった貴婦人がアベルを庇ってくれたお陰で難を逃れる辺りとか、特に好き。 これに関しては、上述のオチと同様「この後どうなるか分かってる」「もし予想通りの展開にならなかったら、逆にガッカリする」という例の最たるものであり「古典的名作の良さ」を存分に味わえた場面として、印象深いです。
後は、終盤にアベルの娘とケインの息子が惹かれ合うという「ロミオとジュリエット」的な展開になるのも、また面白い。 こういうストーリーの場合、普通は惹かれ合う男女が主人公となるので「偏屈な親どものせいで結ばれない二人が可哀想」としか思えないのに、この話では、その偏屈な親の方が主人公になってる訳ですからね。 (実際に、原作の続編である「ロスノフスキ家の娘」では、娘視点の物語として描かれていたりする) 「憎いアイツの息子に娘を奪われるだなんて、冗談じゃない」っていう親側の気持ちに寄り添った作りなのは新鮮であり、三十年以上経った今観ても、目新しい魅力を感じました。
アベルだけが生き残り、ケインは死んでしまう後味の悪さとか、手放しには褒められないし、あまり再見しようという気にはなれないんですが…… 間違いなく「観て良かった」と言える、骨太な一本だと思います。 【ゆき】さん [地上波(吹替)] 6点(2023-08-02 20:43:51) |
10.人生は短い。権力闘争と復讐に明け暮れてるヒマはない(というか、時間の無駄でしかない)という事にあらためて気づかされる。地位や名誉や権力とは無縁の人生で、他人がどうだろうと一切無視して、自由に生きてきたいものだなと。当時40前後の2人が二十前後を演じるのはちょっと無理があったかな。 【東京50km圏道路地図】さん [地上波(吹替)] 7点(2015-04-27 11:50:39) (良:1票) |
9.原作の大ファンでしたが、このような形でドラマ化されていたとは迂闊にも知りませんでした。まさに王道といった、しっかりした作りで、とても面白かったです。サム・ニールはちょっと高慢だったり、いやな奴、といった役がうまいですね。 【ジャッカルの目】さん [地上波(吹替)] 7点(2009-03-20 19:21:51) |
8.とてもレベルの高い仕上がりだったと思います。本当に映画でなくていいの? 【将】さん [地上波(吹替)] 10点(2008-08-14 20:51:39) |
7.《ネタバレ》 自分の中では原作を超えた珍しい作品です。原作では余計なエピソードと感じた部分が所々にあり、少し単調に感じる部分もあったのですが、この映画は原作を上手に刈り込んだ結果、単調な部分が少なく最後まで緊張感を持って見ることが出来るように仕上がっています。何より最後の最後でアベルの漏らしたセリフ、原作ではさらりと流していたこの部分が個人的にはとても気に入ったのでその点だけでも原作を超えたと感じました。良い映画です。 【kirie】さん [ビデオ(吹替)] 8点(2008-07-13 14:29:16) |
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6.先日「午後のロードショー」でやってたのを見たのですが、「なぜこんなすごい作品を今まで知らなかったんだ」と思うほど面白かったです。本作はアメリカのテレビ映画ですが、劇場用の大作にまったく引けをとらない完成度。上映時間の使い方が抜群にうまく、長い長い上映時間にも関わらずまったく飽きさせない作りとなっています。3時間を超える伝記映画がどれもこれも冗長で退屈な映画になっていることを思うと、2時間枠で3日連続放送という超長尺でありながら話のテンションを徹頭徹尾維持できていた本作は驚異的とも言えます。また「24」や「LOST」のように飽きそうになったらとりあえずイベントを放り込むという適当な盛り上げ方ではなく、ふたりの男の確執というテーマから片時も離れず、すべてのイベントが主題に沿って展開され、ムダなエピソードが何ひとつないという見事な構成。ロミオとジュリエット風になってきた後半では「いよいよ息切れしてきたか」と思ったのですが、これもまたケインとアベルの物語を構成する重要なピースのひとつであったと後でわかり、この話はとんでもなくよく出来てるなとあらためて感心しました。「テレビ界のゴッドファーザー」とは言いすぎかもしれませんが、テレビにありがちな軽さがなく、重厚で見ごたえのある作品となっています。俳優の演技も見事。当時ともに30代後半だったサム・ニールとピーター・ストラウスが10代後半から60代までの主人公を演じるのですが、さすがにムリを隠しきれない10代後半はともかくとして(ここは若い役者を別に立てた方がよかったと思います)、野心に燃える20代、各自が帝国を築きあげる40代50代を経て、哀愁溢れる60代までを違和感なく演じてみせた芸の広さはなかなかのものです。NHKの大河ドラマのようなウソ臭さがないのは、メイク技術の違いだけではなく役者の力量の差も大きいでしょう。激動の60年を生き抜いてきた男の顔にちゃんとなっているのです。こういう知られざる傑作を突如放送するので、テレ東はあなどれません。レンタル屋に行けば簡単に見られる最近の大作ばかりを放送する他局のロードショーはもう10年近くも見ていませんが、テレ東だけはチェックしてしまうのはこういう出会いがあるからです。 【ザ・チャンバラ】さん [地上波(吹替)] 8点(2008-07-13 04:17:50) |
5.アダムの2人の息子たちの悲劇になぞらえて、生まれも育ちも異なる2人の男たちの人生が運命の力で引き寄せられ、火花を散らす。苦境から這い上がり、ひたすら復讐に賭けるピーター・ストラウスのアベルの執念に主眼が置かれるが、受けにまわるサム・ニールのケインも素晴らしく、彼の演技力を知る好機となる。彼らの次代にまで愛憎が及ぶ様は「嵐が丘」を思わせ、ある真実が明るみに出る終盤は憎悪を一瞬にして打ち砕き、哀惜の念にたえない。 【レイン】さん [地上波(吹替)] 8点(2006-01-09 21:30:01) |
4.ひたすら追い詰められていくケインがとにかく悲惨で最後の最後まで彼に同情してしまいした。ほんの些細な出来事からアベルに憎まれ姉妹には彼のことを憎むようになっていく、ここら辺の描写が自然なのでラストで彼がアベルに卑怯な手を使っても素直な気持ちで見ていられ、頭取の席を立つときの後姿にも哀愁を感じました。逆にアベルの方は完全に悪役として見てしまいます。後半になってからの異常な執着ぶりは破局に対する彼への八つ当たりのような気がして全く同情できませんでした。しかしその分、ラストの彼のセリフには本当に泣きそうになりました。支援者の正体は古典的な小説から見るとややありきたりで前半で既にわかってしまったのですが、忘れかけた頃にきたので素直に彼に同情できました。「良き友人になれたはずなのに・・・」という彼の最後のセリフに全てが詰まっています。 【マイカルシネマ】さん [地上波(吹替)] 8点(2005-03-24 23:35:37) |
3.残り15分で泣きました。このラストは思わず涙がとめどなく出ました。私にとって涙が出た貴重な一本です。(^^ゞ 勘違いから憎しみあい、気づいたときには遅かった・・・こんな事って現実でもあると思います。(スケールは違うけど)原作も勿論いいですが、映像になっても素晴らしい出来でした。 また主人公のイメージがぴったりでとても嬉しかったのを覚えています。 あまりレンタルビデオ店には置いてないと思いますが、いろんな人に勧めた一本です。是非見てほしいなぁ。 【だんぼ32cm】さん 10点(2004-06-10 23:41:27) |
2.二人の男の皮肉な人生を壮大なスケールで上手く映像化している。テレビで本作を観た後原作小説を読んだが、原作をうまく刈り込んでまとまっていてよい。キャストも主演二人は役にはまっている。 【恭人】さん 7点(2003-11-24 21:56:22) |
1.ジェフリー・アーチャーの作品で本でも読んだけど、映画も本も両方とても良かった。テレビ映画だから置いてるレンタルビデオ屋は少ないけど、スケールが大きくて物凄くイイ映画。 【丸子】さん 9点(2003-05-13 04:52:07) |