8.《ネタバレ》 三大喜劇役者の一人としてキートンの名は知っていたものの、
なかなか見る機会に恵まれなかった。
チャップリンの映画でさえあまり見る機会が少ないのに、
三大喜劇役者の中ではキートンよりもチャップリンの方が圧倒的に一般的に有名なものだから、
どうせキートンの映画は普通のコメディなのか(失礼すぎる!)、なんて酷い偏見も少し持っていた。
しかし、単なるコメディとして終わっていないところが素晴らしい。
父と息子の親子愛を強く感じるのだ。
前半では父と息子はうまく行っていないようではあるが、、、期待はずれの息子に対する父親のイライラが伝わってくるのであるが、
しかしそういった場面からですら、父親の息子にかけるささやかな気遣い(?)というものが微かに感じられる気がするのである。
実際に父と息子なんてなかなか上手くいくものでもない。
お互いに相性が悪い父子の方が多いと思う。
しかし、だからこそこの作品中の親子関係に自分は感じるものがあった。
“父と息子の関係なんざこんなもんよ”と見せられてるみたいに。
喜劇の主人公は滑稽だから良い。
だからこそ自分と重なり合うし、感情移入が出来る。
しかしキートンはなかなか体を張っている。感心した。
チャップリンもそうだったとは思うが、キートンも負けてはいないようだ。
そして、モノクロ・サイレント映画の中ではなかなか迫力がある。
アクション性がハンパない。
崩れる町の連続といったら大迫力で、臨場感ではハリウッド映画のCG表現を楽々と超えると思う。
ヒューマンドラマがちゃんとあり、ロマンありと、決してチャップリン映画には引けを取らないと思う。
チャップリンは自ら監督もやっている天才アーティストという意味で強くリスペクトするが、喜劇役者としてはキートンは同じくらいに素晴らしい。
ただ、安物のDVDなのか、サイレントだからといっても、音楽もない無音なのにはビビッた。
音楽無しのリアルサイレント!自分には合わぬ。
なので1点マイナス。
(でも好きな音楽とあわせて鑑賞すれば、不思議と映像と音楽があってくるものだ)