129.《ネタバレ》 「うん、そうだよ!これがSF映画だよ!」
観終わった後の感想はこれです。
子供の頃、劇場で観た「未知との遭遇」。名作という噂は聞いていても実際に観るまでに時間がかかった「2001年宇宙の旅」等々
昔はセンスオブワンダーに溢れた「ガチな本物の重厚なSF映画」がたくさんあったのです。
それがいつのまにやら「SF風味」の娯楽作ばかり。
かつての名作「ガチな本物のSF映画」はすっかり過去の物となってしまいました。
しかし、ついにこの「インターステラー」が、その忘れていた「本物のSF映画」の存在を僕に思い出させてくれたのです。
それが実に40年ぶりというのはあまりにも時間が経ちすぎている気もしますが、きっとそこは重力の影響で時間の遅れでもあったのでしょうw
さてあらためて、
【この映画が、この映画こそがセンスオブワンダーです】
先に結論を言うとこれが僕のこの映画への評価です。
さて「ある程度のSF知識がない人にはハードルが高い」とも言われているこの映画ですが、実は日本人はその点においてめぐまれています。
昔から存在するSFアニメのおかげで、多くの人には無意識にある程度の基礎知識があるからです。
たとえば映画の終盤、クーパーが目覚めた病院で外を見ると野球をやっている風景が映し出され一瞬きれいになった地球かと思わせておいて実は空まで地面が続く姿が映し出されます。
多くの日本人はここで「あ、(オニール型の)スペースコロニーなんだ」と一瞬で理解できてしまう。
これはもちろんガンダムのおかげなのですが、しかし、これって実はけっこうすごい事です。
普通の国の人はそもそも(オニール型の)スペースコロニーの構造なんか知りません。
このシーンも「うわなんだろうこれ!」と思うわけです。
これを「なんか知らんけど未来だから空まで地面が続いてるのかな?」と思うか「スペースコロニーなんだ」とすっと納得するか、この映画を観る上ではこの違いは結構大きいと思います。
映画中で重要なワームホールについてはさすがに途中で(定番の紙を折り曲げるやり方で)簡単に説明してくれますが、これも多くの方は説明されなくても知っている事でしょう。
そもそもこの映画、SF映画としては非常にやさしい造りで、SF知識としては入門編レベルのものしか要求しませんし、「どう見ても伏線の腕時計」とか「どう見てもわざと壊されたとしか思えないKIPP」とか、映画中の伏線も簡単にわかるようになっています。
一部では難しいと言う話も聞きますが、実際のところ、このわかりやすい映画の内容を理解できないような人はほとんどいないでしょうし、もしいたらそれはちょっと問題だと自覚した方がいいレベルです。
映画の中にはこの映画より難しい内容のものがゴマンとありますから、他の映画を観るとき困ると思いますから。
閑話休題
さて、この映画の縦軸が「久しく忘れていたガチSF映画の復活」であるならば、横軸は「家族、父娘の愛の物語」です。
劇中でもおりにふれて愛について語られますが、この映画は本格SF映画でありつつも、かつてのSF映画にやや欠けていた「愛」を話の軸として取り込むことに成功していて、ややもすると無機的になりがちなSF映画に「暖かさ」や「感動」をプラスする事に見事に成功しています。
これこそがこの映画の素晴らしいところで、かつての本格SF映画に欠けていた「愛」を物語の核に据える事で、ついにかつての名作達を超える映画になれたと思うのです。
さて結論。
40年ぶりに現れた「本格SF映画」であり、そこに「人間の愛のドラマ」を絡める事でかつての名作を超えた最高峰だと言える名作です。
これに高得点をあげない事は許されません。
個人的には10点をあげるしかない映画です。
それにそれに、なによりも萌えキャラの「TARS」の存在。
この映画を観て「TARS」を好きにならずにいられる人がいるでしょうか?
いやいない!
C3P0でもHAL9000でもハロでもなんでもいいのですが、SF映画には「人間外でキャラが立ったやつ」の存在は極めて重要な位置をしめてきました。
その存在はSF映画の伝統芸です。
そして、TARS(CASEも)は、過去のそのようなキャラクターの魅力も受け継ぎつつ、それをさらに超えるものになっていて、個人的には「過去のSF映画全部の脇役相棒キャラで一番好きな奴」だと言っても過言ではありません。
ちなみに僕の正直度は80%程度とやや低めなので、このレビューはそれを前提として読んでいただけると幸いです。