6.《ネタバレ》 降霊ものとアッテンボローの組み合わせでおどろおどろしさに身構えていましたが。まさかの展開で憤りともどさしさに支配された2時間でグッタリ。精神は病んでいても犯行計画は理詰めで的確なマイラと、幼女とその母親への気遣いを見せながらも犯行実行役のビリー。妻の暴走を食い止めようとしても言い負かされて押し切られる夫にもどかしさで身悶え。引き立て役にもなっていない捜査当局ももどかしい。誘拐幼女殺害シーンは描かれていません。自主規制したのかもしれません。私はビリーが殺害せず発見されやすいあの場所に寝かせたと思います。彼のクレイトン夫人をマイラ同様に悲しませてはならないとの思いと、マイラを絞首刑にさせはしない思いを感じました。マルチな映画人アッテンボローの役者としての絶品振りが記憶に刻まれる傑作です。 |
★5.《ネタバレ》 英国映画「雨の午後の降霊祭」は、役者として「大脱走」、監督としても「ガンジー」や「遠すぎた橋」で有名なリチャード・アテンボローがプロデュースしつつ主演もしている映画です。
いかにも英国映画らしい、モノクロームでなくては作れないお芝居です。 テーマは誘拐。犯人夫婦の妻の方が霊媒で、僅かな信者を集めては降霊会を開きます。
リチャード・アッテンボロー扮する夫が、子供を誘拐し、妻が霊媒としてその家に乗り込んで、子供が自分の夢に現われたなどと話します。
身代金をうまく手にいれる場面の疾走感が、とてもいいんですね。 これで犯罪としては成功なのですが、結局は誘拐された子が殺され、やがて実に意外な方法で真実が暴露される。
ここでは、ミステリーという言葉も推理ではなく、神秘という本来の意味に取ったほうがいいのかもしれません。
抑制されたリアリズムで作ってゆくから、最後の超自然的な展開が冴えわたります。 英国以外の国では絶対に作られない種類の映画だと思いますね。 【dreamer】さん [DVD(字幕)] 7点(2019-12-17 09:24:03) |
4.静かなサスペンス映画ですが戯曲の映画化と思ってしまうほどストーリーと気弱な夫が似合いすぎるリチャード・アッテンボローと狂気のキム・スタンレーの演技の完成度がめちゃくちゃ高い。モノクロ映画ならではの黒と白を基調とした怖さがあり普通の映画になってないところがよかったですね。後半マイラに真実を語るシーン、あのアッテンボローの顔はたまらんわ。この映画を見てて何年か前に韓国で霊能力が全くないのに霊能力者と名乗って金を稼ぎ大問題になった事件を思いだしてしまった。 【M・R・サイケデリコン】さん [DVD(字幕)] 7点(2010-11-30 13:32:51) (良:1票) |
3.《ネタバレ》 サスペンス映画かと思っていたので最後の展開にびっくりでした。携帯電話やモロモロのアイテムがある現代と違ってアナログ感がありますが、かえってそこがもどかしく、不安を煽られます。身代金の受け渡しはもう少し何かあってもよかったかな(旦那の発作が起きるとか)家を調べる場面と重なって緊張感はすごかったです。降霊は動機だけかと思っていたら、アーサーの正体と同じく最後にガツンとやられました。私は少女は助かったと思いたいところです。降霊に現れた少女の母親に「娘さんは帰る」と言った旦那は、彼女も妻と同じ目に合わせてはいけない、と思ったのではないでしょうか?少女の証言で警察が家にやって来たのではないか、と。これは観客に委ねているので、いろいろ解釈出来るところです(病気で亡くなったという解釈も出来るかも?;)台詞も少なく、過剰な演出もないのに緊迫感が切れません。役者さんの熟練した演技がすごい。これは、サスペンスでもホラーでもなく、淋しい夫婦の哀しい愛の物語でした。 【果月】さん [DVD(字幕)] 7点(2010-09-15 16:13:58) |
2.《ネタバレ》 私は未見ですが、黒沢清が撮った『降霊』は本作のリメイクだそうです。『降霊』はホラーですが、本家はホラー的な雰囲気はありますが非常に良質のサスペンスです。名舞台女優でめったに映画出演しなかったキム・スタンレーが霊媒で、気が弱く優しい夫をリチャード・アッテンボローが演じているのですが、二人とも実に見応えあるいい演技ですね。降霊会を開いている自宅を外から見せる映像がいずれも低い位置から仰ぎ見るショットなのですが、そこは名作ホラー『回転』を思い出させてくれます。 スタンレーは自分の霊能力を世間に知らしめたくて、嫌がる夫をまきこんで金持ちの女児を誘拐します。どうやら彼女の霊能力とは子供を死産してしまったトラウマが原因の一種の狂気らしくて、根が優しいアッテンボローは妻を愛するが故に誘拐の実行を助けてしまうのです。やらせで霊視をして事件が解決したように騙すはずだったのに、お約束の様に歯車が狂い始めて思わぬ展開になってゆくのはコーエン兄弟が好きなプロットですが、そこは60年代のイギリス映画、ピリピリした緊張感に満ちた展開を見せてくれます。 地下鉄を使った身代金の受け渡しシークエンスは、ドキュメンタリータッチでけっこうハラハラさせられました。ちょっと不満なのは、ラストでアッテンボローが誘拐した女児を殺害したのかどうか良く判らない描写になっていることで、殺していないようにも受け取れる撮り方なのです。まあこの辺はアメリカで公開することを考慮して、自主規制したみたいです。 こんな良作がこれほど無名だというのは、ちょっとサプライズですね。 【S&S】さん [DVD(字幕)] 8点(2010-08-31 00:45:02) |
1.《ネタバレ》 強い妻と弱い夫の話と思わせておいて、ここからがネタバレの核心ですが、実は妻の弱点を包み込んでいる夫の愛がラストで明らかになる、ってところがポイントの話だったと思う。大昔に見た映画で、白黒ならではのしっとりした質感は思い出せるのだが、あとは不確か。いま日記の記述をひもといてみると、「妻への一途な愛・献身」とか「絶望的な企てに加担していく悲劇」とか「愚行ゆえの神々しさ」などと記されている。「妻の死を願うまでに思いつめているのにズルズル犯行を続けていくあたりのアッテンボローの演技が見もの」だそうだ。「アーサーのイメージがも一つ弱いのが、スリラーとしてみたときに弱点になる」そうだけど、このアーサーってのが何なのか思い出せない。死んだせがれの霊だったか。無責任な書き込みで申し訳ない。レビューなしの作品で見たことある映画だと、つい埋めたくなってしまうもので。 【なんのかんの】さん [映画館(字幕)] 6点(2008-01-04 12:21:34) |