★8.《ネタバレ》 「暁の7人」の主演俳優ティモシー・ボトムズは、「ジョニーは戦場へ行った」「ラスト・ショー」「ペーパー・チェイス」等での印象的な演技で私のお気に入りの俳優のひとりになりました。
今回DVDで観た「暁の7人」の彼は、きりっと引き締まった表情で、緊張でピリピリするような心が張り詰めた荒武者といった風情があります。 そして、ある種の悲しみを湛えた優しく暗い眼が、とても印象的です。
第二次世界大戦において、チェコスロヴァキアはドイツ軍の怒濤の進撃で占領されてしまいます。 ティモシー・ボトムズ扮するヤンは、ロンドンで機会を待つチェコ解放軍の兵士。 その彼らに、祖国チェコで占領・支配しているナチス・ドイツの総司令官ハイドリッヒ暗殺の指令が下される。
この指令は、大胆不敵な極秘作戦で、戦局を連合国軍側に有利に展開させるための、非情極まる作戦計画だった。 そして、今回選ばれたヤンを含む解放軍の3人は、明らかに"捨て駒"だったのだ。
私は、この映画を観ながら、イギリス、ドイツ、ロシア等の強国に挟まれて、悲劇的な歴史を歩んできた東欧諸国の運命を垣間見る思いがしました。 そのように感じた時、どこか悲劇的で悲しい表情を張り詰めさせたティモシー・ボトムズの個性が、ひと際、ものをいっていると思います。
このティモシー・ボトムズという俳優は、本質的に"青春の悲しさ"を体現できる稀有な存在だと思います。 眉をきりりと上げて、しっかりと未来を見据えている時でも、その高い鼻梁のかげに、若く純粋な悲しみと愁いの影が漂うのです。
「暁の7人」は、ティモシー・ボトムズを主演俳優として起用したことで、この悲劇的な戦争秘話に、悲しみの感動を盛り込むことができたと言ってもいいと思います。
ただ、その後の彼は、良い作品にも恵まれず、役者として失速していったのが残念でなりません。 【dreamer】さん [DVD(字幕)] 7点(2019-03-11 09:57:27) |
7.《ネタバレ》 ドラマ的なけれんみを極力排除して、生真面目に対ナチス抗戦を描いています。堅いドキュメンタリー風でもあり、そういった点ではちょっと退屈かもしれないのですが、現場に身を置いたつもりで観ると、裏切り者あり、予定外の報復あり、恋情の発生ありでかなりの波乱万丈ではあるのです。ここぞという時の銃の故障には叫びたくなりました。 ナチの暴力性は克明に描かれ、教会に籠城したメンバーが殲滅させられるラストは非情が過ぎて恐ろしいとしか言えない。ダメ押しでエンドロールに実在した人物の写真とその後の顛末が流れる場面は戦慄必至。つらいです。 【tottoko】さん [CS・衛星(字幕)] 6点(2016-01-22 23:22:28) |
6.《ネタバレ》 ハイドリッヒ暗殺とその後の報復虐殺事件の悲劇をストレートに映像化し、戦争映画史上に残るダウナー映画として名を残しています。本作と『ジョニーは戦場に行った』および『炎628』が私が選ぶ三大ダウナー戦争映画です。ティモシー・ボトムズはこのうち二本で主演しているというのはある意味凄いですね。 暗殺成功した後の報復を恐れる現地レジスタンスと、命令遂行しか眼中にないまるで青春物語のキャラみたいに脳天気な若い潜入組との対比が面白い。だいたい史実通りなんですけど、暗殺隊員たちのグダグダぶりはイライラさせてくれます。でも妻子持ちをメンバーに選ぶおえらいさん方もたいてい間抜けです。そんな杜撰な計画でも暗殺は成功してしまい、その後にメンバーたちとチェコのリディツ村の住民の悲惨な運命を見せられると、実に暗澹たる気分にさせられます。 映画ではハイドリッヒが全欧のナチ占領地の責任者になることを阻止するのが暗殺を急ぐ理由になっていますが、そんな事実はなくこれはウソです。本当は有能なハイドリッヒが飴と鞭の占領政策で労働者階級を味方につけるような情勢になって来たので、チェコ亡命政府が住民を虐殺される危険を承知のうえで決行した作戦でした。この政治感覚は、ヴェトナム戦争のヴェトコンと相通ずるところがあります。冷戦時なのにプラハでロケさせてもらえたぐらいですから、そこら辺の機微に触れる様な部分は改変せざるを得なかったんでしょうね。 【S&S】さん [映画館(字幕)] 6点(2015-08-13 20:54:12) |
5.7人? ストーリーとしてはっきり「暁の7人」に入っていると分かるのは3人しかおらず、あとの人間に対する掘り下げが浅すぎます。暗殺劇の顛末はなかなかに面白いのですが、ストーリーとして最も盛りあがるその部分が中盤に配されているため、それ以降が尻すぼみになってしまった感は否めません。 【K】さん [ビデオ(字幕)] 5点(2005-11-13 02:04:03) |
4.《ネタバレ》 暁の6人の戦士と1人の愚か者の話でした。ナチス総督の右腕の人物を暗殺する為に英国が暁の7人を潜伏させ作戦は実行される。密告者は家族云々じゃなく単に自らの命乞いに見えて不快だった。国家反逆罪で死刑になったこの人、一番惨めな気持ちで死んだ人と思う。目的に向かってスマートな展開で余計なところが無かった。教会に追い詰められた戦士達の最後の抵抗は雰囲気も映像も重みがある。観てるだけで追い詰められる恐怖を感じる、男気。 【スルフィスタ】さん 9点(2003-11-11 16:45:07) |
3.史実に基づいて作られた映画というのは、時として、非常に重たいものを感じます。もちろん、どれだけ忠実に描かれているかは知る由もありません。ですが、この映画はかなり客観的に描かれているのではないでしょうか。そして、網羅的(こんな言葉があるのか?)だと思います。特殊部隊として、あるいは、レジスタンスとして勇敢に戦う人の姿、暗殺の犯人を探すために、村を一つ丸ごと破壊したという史実(実写フィルムもありました。)そのために、いたたまれず?犯人を密告する人の姿、最後の舞台となった教会の外で事の成り行きを見守る女性の姿。やがて2発の銃声が・・・。なんともため息の出るような結末です。そして、国家反逆罪で処刑された人等を最後で伝えていました。歴史として、そういう事実があったというのが、ひしと伝わって来る映画だと思うんです。重いんです。だから迷ったあげく、10をつけちゃいました。もちろん、ちょっとした疑問もありますよ。暗殺時に投げられた手榴弾って、実際、あんなにシケてんの?とか。最近見たわけではないのですが、印象深いので、つい記入してしまいました。あ、そうそう、邦題は無視した方が良いと思うのです。僕は、7人を特定できません。 |
2.ナチスドイツ占領下のレジスタンスの悲劇ですね。同様のテーマを扱っているものとしては、ワイダの「地下水道」なんかがありますけど、こちらはカラー画面の分、かえって損をしている気がします。実話に基づいているけど、ストーリー中に恋愛の要素はいらないなあ。でも、自由のためにとはいえ、暗殺で物事を解決するのは私は賛成できません。 【オオカミ】さん 7点(2002-04-28 16:08:38) |
1.”7人”と名のつく映画では一番悲劇的な終わり方の映画だと思います。レジスタンス活動が映画では華々しく映るものですがこの映画ではとにかく地味で地道な活動で少ない代償で大きな成果をという希望的な生き方をする7人にただ空しさだけを覚えました。 【奥州亭三景】さん 8点(2001-12-03 19:16:03) |