9.《ネタバレ》 ジョン・ヒューストン監督は見応えのある作品を作るなぁ。 『黄金』もそうだったけど作品に強く引き込まれた。 アメリカ映画は全般的に苦手だけど、ジョン・ヒューストン監督は好きなアメリカ人監督の一人だ。 とはいえ、悪人は最後全員滅んでしまった。 誰か一人くらいは逃して欲しかった。 勧善懲悪が行き過ぎている嫌いがある。 悪人が美味しい思いをするのは時代的に許されなかったのだろうか。 【にじばぶ】さん [インターネット(字幕)] 7点(2024-04-07 20:08:31) |
★8.《ネタバレ》 ルパンのような怪盗が綿密な計画で宝石泥棒を実行するが、やけに淡々と進めるあたりがプロフェッショナルっぽい。 完全犯罪になりきらず、ほころびが出てくる辺りから、メンバーが微妙に最適解から外れた対処をとっているのも見ものである。 あまりどの登場人物に肩入れするでもなく全員との距離を保った冷静な描き方で、興味深い手法である。 しかしそのせいで犯罪映画に期待するような興奮感が得られない。 【ほとはら】さん [CS・衛星(字幕)] 4点(2022-03-18 17:26:46) |
7.《ネタバレ》 私が書くまで、8点という高得点だったが、期待して損した。どうやら私には、フィルム・ノワール(=暗いギャング映画)は合わないらしい。 登場する男優は高齢者ばかりで、若くて美しいマリリン・モンローが禿げたジジイの愛人であることが許せない。 ストーリーも今となっては、(私には)「ゲッタウェイ」と「レザボア・ドッグス」さえ観ていれば十分かなって感じ。 最後に皆捕まるか死んじゃうっていうのも……まあ、当時のハリウッドでは仕方ないか。 当時は斬新だったかもしれないけど、斬新なものは必ず古くなるものです。私は普遍的なものを好みます。 【クロエ】さん [CS・衛星(字幕)] 3点(2014-09-16 09:47:02) (良:1票) |
6.犯罪映画でありながら、これほどまで人物描写に徹している映画は初めて。計画犯や金庫破り、用心棒そして悪徳刑事など、いろんな悪人が出てきて駆け引きや顛末を見せる。悪人も悪人でない面を描いて実に巧みなところを見せたり、台詞の端々にも意味深長さを感じさせる。人間は白とか黒とか決められない隠された面もあるということなのか。 【ESPERANZA】さん [DVD(字幕)] 8点(2014-03-27 21:24:31) |
5.《ネタバレ》 古い映画なので全然期待してなかったが、皆さんがおっしゃるように人物描写がしっかりしているので楽しめた。塚、女性の趣味に関して自分と同様な人物が二人ほどいたので少し感情移入してw(特にドクの逮捕シーン、まあ普通に見れば間抜けとしか思えないんですけど、別に下心とか何もなくても、若い女性の躍動的な姿に魅かれるの、わかるなああw《でももう少し街離れてからくつろげよw》) ただ、金庫をニトログリセリンで爆破して、警報がなりひびいて完璧な計画ってのは、ちょっとどこかな。 あと、主人公の悪人たちが、今の悪人たちと違って、薬をやったり口汚くののしり合ったりせず、おかしな言い方だけど悪人のくせにすごく上品だったのも好感度アップ。 【rhforever】さん [CS・衛星(字幕)] 6点(2013-12-19 14:31:36) |
4.《ネタバレ》 これは、フィルムノワールにはいるのだろうが、その中では群を抜いたできではないだろうか、原作はあるのだが、脚本が素場らしい。各人の心理、性格、果てはその個人の生活も見えてくるようだ。綿密な計画に少しずつ狂いがはじまって、一人ずつ減っていくヒューストンらしい自滅か。悪徳警官についての警察のコミッショナーの会見が興味深い。 【min】さん [DVD(字幕)] 9点(2013-11-17 22:37:45) |
3.《ネタバレ》 荒涼とした都会の犯罪多発地域が舞台。不況のせいで庶民の生活は苦しく、心は荒んでいる。そこへ出所した知能犯ドックが、周到に練られた宝石商強奪計画を持って現れたところから物語が動き出す。宝石略奪という大博打にかける六人男たちの行動と心理が鮮やかに描かれる。表情を常に正確に捉えるライティングや端正に構図を決めるカメラワークは好印象。緻密な計画だが、弁護士があらかじめ裏切りを決め込んでいるなど、不確定要素を含んでいてサスペンスが持続する。うまい脚本だ。舌を巻くのは各人の掘り下げがきちんとできていること。個性豊かなのが嬉しい。全員根っからの悪党ではなく、善人の部分と精神の弱みを併せ持つところが味噌。実に人間らしいのだ。ドックは頭脳明晰で大胆かつ紳士だが、若い女性に弱く、失敗は偶然のせいにして反省しない傾向が強い。そのため自滅する。用心棒のディックスは競馬狂いで強盗常習犯だが、子供時代に育った農場を買い戻す夢を捨てていない。そっけないが、約束は守り、女性にも親切だ。資金提供者のエマリックは悪徳弁護士で高利貸しだが、若い娘を囲うなどの散財で破産の憂き目にある。それでも病気の妻への愛情は持ち続けていて、最後は自責の念から自殺する。金庫破りのルイは風邪をひいた自分の赤子を気遣う、良き父でもある。運転手のガスは食堂経営者だが、せむしで小男のため世間からは冷たい目で見られている。金に困っているディックスに金を融通するなど、友情に篤い面がある。賭博業者コビーは大金を見るだけで汗をかくという気弱な性格。これに賭博業者と結託する悪徳刑事とディックスに思いを寄せる女が絡むのだから、面白くないわけがない。犯罪撲滅に苦慮する警察側の様子も描かれるという丁寧さ。まだ無名のマリリン・モンローが花を添えるという贅沢さもある。監督が描きたかったのは、犯罪そのものではなく、犯罪を生む風土だ。死人の出る犯罪映画だが、過激で扇情的な演出や痛快なアクション、美男美女の織り成す恋愛などの現代映画的な要素はなく、むしろあっさりしている。これは時代の制限であり、監督の良心でもあるのだろう。古い映画だが、今でも映画作りの手本になる映画だ。 【よしのぶ】さん [DVD(字幕)] 9点(2012-12-10 15:48:17) (良:1票) |
2.《ネタバレ》 同じ強奪物のフィルムノワールではキューブリックの「現金に体を張れ」を思い出すけど、こちらは人間の心理描写にまで踏み込んでいて奥が深いと思いました。メンバーは必要最低限の人数、普通警報が鳴ったらそこで終わりだがこの映画の男たちは何事もなかったかのように着々と計画を進めていく。どこかの余分に11人も集めてくる誰かさんとは大違いです。犯人たちに子供がいたり実は破産していたりと訳有りなところも感情移入できるし、綿密に練られた計画がほんの些細な出来事で崩壊していく様も非常にリアルで説得力がある。それにしてもチームの頭脳的存在"ドック"を演じるサム・ジャッフェは渋いですねぇ、もし自分が犯罪計画に参加するならあんなリーダーの下で働きたいですな。 【かんたーた】さん 8点(2005-02-15 11:57:38) |
1.《ネタバレ》 ジョン・ヒューストンによる犯罪映画の佳作。周到に練られたハズの強盗計画が様々な思惑が絡み合った末に呆気なく水泡に帰す、というヒューストン十八番のストーリーがモノクロ画面の中、実に快調なテンポでスリリングに展開する。冒頭の面通し場面などは間違いなく「ユージュアル・サスペクツ」辺りに影響を与えていると思う。この手の作品は(仏のフィルム・ノワールも含め)枚挙に暇がないくらいに量産されて今日に至るが、詰まるトコロ名画のステイタスを獲得できた僅かな作品群に共通するのは描写の緻密さとキャラクターの活写である。本作を例に採れば、並みのカントクなら多彩な登場人物全員を捌くのは到底無理で精々ディックスとドク辺り止まりだっただろう。しかし流石はヒューストンだけあって弁護士エメリックや運転手ガス、金庫破りルイに競馬ノミ屋コビー、ハーディ署長に汚職警部補ディトリックに至るまで徹底的に人物像を掘り下げて物語に深みと厚みを加えることに成功している。ただ…漢(おとこ)を描くことには天下一品のヒューストンだが、女性を描くのは余り得意ではないようでドールとアンジェラは(役者のせいもあろうが)凡演。さしものモンローもこの時点では単なる添え物だ。ココが弱点と云えば弱点だが、元来が女性メインのストーリーではないので或る意味仕方が無いかも。場面的には宝石店襲撃シーンも勿論イイが、矢張りディックスがドクと交錯しつつボブを射殺する場面の鮮やかなショットが見事。原作はW・R・バーネットの同名小説だが、人物造形から何から映画の方が圧倒的に優秀。よって9点。 【へちょちょ】さん 9点(2004-04-16 03:37:16) (良:1票) |