11.《ネタバレ》 久しぶりに「最後はどうなるのか?」と楽しみながら見ることができた作品。 悪を裁くことより好奇心を優先させた男の末路、これがなかなかにシビア。 流石に哀れ過ぎる結末。 夫が妻のその後を知りたいのは当然のことだ。 事実を知りたいという好奇心を、この作品はストーリー展開にうまく活用しており、見ているこちらもそれを知りたいという好奇心に巻き込まれていく。 殺された男の気持ちと、見ている自分の気持ちとが、事実を知りたいという点において、完全にシンクロしてくる。 人間の持つ好奇心というものの扱い方が実に見事だ。 【にじばぶ】さん [インターネット(字幕)] 8点(2023-09-09 18:51:30) |
10.じわじわときて、ああ、そうか、と。 よく出来ている。 【simple】さん [インターネット(字幕)] 6点(2022-05-26 19:25:00) |
9.《ネタバレ》 なるほど、サイコパス気質のキューブリックが怖がるぐらいですから、やはりこの映画の禍々しさはタダもんじゃないという証左になるでしょう。しかしこの真綿で首を絞めてくるような恐怖の盛り上げ方は、たしかにトラウマ級です。オランダの映画にはこういったヤバさや不快感といった嫌な後味が残る作品が見受けられますが、ヴァーホーベンなんて可愛く感じてしまうレベルでした。 反社会性サイコパスの犯人像がリアル過ぎて恐ろしい。二人の娘を持つ理科教師、夫婦仲はごく普通で性格は几帳面で高血圧を気にする一見平凡な中年男。この男の恐ろしいところは、何度も失敗しながらもなんで女性を狙うのかが理解不能なこと。ナンパが目的なら判るけど、失敗から教訓を得てひたすら犯行手口を改善させてゆく執念には、淡々と見せられるだけにゾッとするしかないです。“キーホルダー”や“閉所恐怖症”といった伏線が戦慄のラストで回収されるところも見事です。また失踪したサスキアを探し回るレックスを執拗に狙う心理も、常人には理解しがたい。でも彼なりのレックスを追い詰める作戦は理にかなっており、5回も匿名手紙の呼び出しに応じるレックスから彼の心理を深く理解するまでに至る知性は驚異的ですらあります。レックスはこうなると蛇に睨まれたカエルも同然、理性は激しく警告しているのに催眠術にかけられたように睡眠薬入りコーヒーを飲んでしまうのは人間心理の闇を見せられたような気分です。これはオーウェルの『1984』的な現在の権威主義国家が、民衆を操る手法に通じるものがあるかと思います。 やはりあの絶望のラストは、『キル・ビルvol.2』のユマ・サーマンに影響を与えたんでしょうか、タランティーノなら本作を観ている可能性は十分ありますね。 【S&S】さん [CS・衛星(字幕)] 7点(2022-04-05 22:56:22) |
8.《ネタバレ》 88年の仏蘭西。年代物でしたが、現実的で恐ろしかった。 携帯も無い、監視カメラも無い。「知らない人についてっちゃだめ」と教育するしか防犯策が無かった犯罪が容易い時代。 アナログ時代ならではのスリラー。誘拐犯は表向きは家庭的なパパも裏の顔は緻密な計画を立てるサイコパス。 失踪した恋人を探し求める主人公の前に堂々と現れる。果たして死んでるのか、生きて監禁されてるのか…?誘導するドライブの行方は?? 衝撃の結末までのめり込んでしまった。 後味の悪さは一級品。それが本作の魅力ですね。 |
7.《ネタバレ》 先にリメイク版の’93‶失踪”を鑑賞済みでした。枝葉末節を付け加えたせいでとんだ駄作になった米国版がどんな間違いをしたのか、手に取るように分かりました。 主人公の男がなぜ薬物入りコーヒーを飲んだのか、肝のここがオリジナルはちゃんと説明できています。じゅんじゅんと尺の四分の三も使って「真相を知ること」に男が絡めとられてしまっていることを訴えているのですもん。ゆえに殺人者のわなが甘美にも感じられてしまったのだろうと、彼の気持ちを察することが容易でした。 殺人者のサイコぶりの描写も丹念です。何度女性を車に引きこむことに失敗しても諦めない粘着性。誘い言葉を発音まで修正しつつ練習を繰り返す姿はまごうかたなく異常が漲り、観てて震えます。 被害者が奴の手に落ちる再現場面も怖くて上手い。キーホルダーがここにきて伏線として活きる巧みさ。「もう少しで」運命が違う方へ流れたかもしれない可能性多々。外国人でなかったら。「瓦」の文字に怪しむことができたら。「志村後ろ後ろ」じゃないですけど、観ている者にきりきりともどかしい思いをさせるシチュエーションの連続。 映画史のバッドエンド上位に輝くであろう救いの無いエンディング。凄く恐ろしく嫌なものを観ました。嫌なんだけど、その巧さが忘れがたい映画です。 【tottoko】さん [CS・衛星(字幕)] 8点(2021-08-24 23:00:10) (良:1票) |
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6.《ネタバレ》 キューブリックがこれまでで最も恐ろしい映画だと絶賛したそうだが、サイコサスペンスとしてよくできた作品。 反社会性パーソナリティ障害の犯人の不気味さがヒシヒシと迫ってくる。といっても、犯行のシミュレーションや失敗続きが少し滑稽で軽いタッチなので、おどろおどろしい感じはまったくない。日常に潜む狂気というようなものが、次第に正体を表す感じ。 消えた彼女は一体どうなってしまったのか、そのサスペンス性で最後まで引っ張られる。その謎が明かされるラストがインパクトがあって余韻が残る。 金の卵に閉じこめられた夢の話と、ラストの新聞記事の卵型の二人の写真が重なってくる。トンネルの暗闇や閉所でのサスキアの恐怖心や犯人の閉所恐怖症など、他にも伏線が巧妙に幾つも張られているのに感心する。何気ないシーンも、後になって意味を持っていることに気づく。 彼女がどうなったのか知りたければ、同じように睡眠薬入りのコーヒーを飲めという犯人の要求。 普通なら絶対拒絶するようなとんでもない話なのだけれど、レイモンがそれを受け入れても仕方ないかもと思わせるくらいの追い込まれ方なので、そんなことありえないとは感じさせない。 犯人への嫌悪感がまとわりつくような余韻の残るラストで、この後味の悪さは監督としてはしてやったりなのだろう。 【飛鳥】さん [DVD(字幕)] 7点(2020-09-29 20:52:24) (良:1票) |
5.《ネタバレ》 こんな絶望のラスト、あるだろうか・・ 行方不明の恋人がどんな目にあったか、知りたいために 犯人の差し出す睡眠薬のコーヒーを飲む。 そして、このラスト・・ 「キルビル2」では脱出すんだよね。こういう状況でも・・ 漫画「ワイルド7」では仲間の隊員がこの方法で絶命する・・ この犯人面、映画史上忘れられない顔だ・・ 【トント】さん [DVD(字幕)] 7点(2020-02-08 17:34:36) |
★4.《ネタバレ》 全体的に描写自体は地味なのだが、結末部分がとにかくその辺のホラーなど問題にならないくらいにおぞましく、かつ(怖いを通り越して)恐ろしい映画である。サイコ・サスペンスでは文句無しに最強レベル。かなり緩慢で(前半は正直言って若干退屈)、かつ非常に淡々としつつも、徐々に徐々に着実に不穏さを増してゆく展開運びは全体的に極めて秀逸で、ラストの一気に盛り上がる緊迫感→絶望感は他に類を見ない素晴らしさ。犯人のサイコな演技も◎。掘り出し物ながら、非常にオススメ。 【Yuki2Invy】さん [映画館(字幕)] 9点(2019-12-10 23:27:57) |
3.まず、冒頭のトンネル内の一件により、主人公の男に全然好感が持てないので全然感情移入できないし、必死で消えた恋人を探す様子を観ていてもふーんという感じしかしなかった。冷たいですけど。 それよりも、犯人の奴の得体の知れないヤバさがじわじわと感じられて、現実にこういう奴居るかもしれないというリアルな怖さがあった。 いかにも80年代のサスペンスという感じで、最近の映画を見慣れた人にはテンポは遅く感じると思うが、淡々としているからこそ主人公の絶望などがより深く感じられると思う。 【ヴレア】さん [映画館(字幕)] 8点(2019-05-21 21:17:37) |
2.《ネタバレ》 スタンリー・キューブリック大絶賛作品で本邦劇場初公開という事で駆けつけました。 良き夫良き父親良き教師であるレイモンが自身の異常性を証明しようと静かに理路整然と行動する姿が怖くて息苦しい。 サスキア生存に一縷の望みを託したレックスの賭けの結果があまりにも酷過ぎて、誘いをかけ続けたレイモンを八つ裂きにしてやりたいと興奮状態に。 救いの無さが極まれるラストショットに後味の悪さを噛み締める。 1滴の血が流れる事も無く、殺人描写があるわけでもないのですが、上質のサイコロジカルサスペンスでした。 |
1.《ネタバレ》 味のあるサスペンス・ホラー ヨーロッパ的な雰囲気のある映画だ。 突然彼女が消えてしまう。おおよそ起きたことはすぐにわかるのだが、細かい部分の謎はどんどん深まっていき、画面にひきつけられる。 最後の犯人との対話は恐ろしい。 こういう普通の人が普通に犯罪をしていくというのが妙にリアリティーがある。 ラストはわりと予想できたが、しかし後味は非常に悪い。 【θ】さん [ビデオ(字幕)] 7点(2008-09-04 19:02:53) |