2.《ネタバレ》 見終わって真っ先に思ったのは、こいつぁ昭和の頃によく作られたチャンバラ時代劇、ぽいな~でした。音楽然り、カット割り然り、極めつけは夕日を背に歩いてくる大泉洋たち然り。時代考証も一応はされてはいたみたいですが、もうそんなの関係ないくらいエンタメエンタメしまくりで、野暮なツッコミなんかいらぬお節介と思えてしまうほど、懐かしのチャンバラ時代劇を感じさせてくれました。で、最初に「ぽい」といったのは、あの頃の時代劇は勧善懲悪がほぼ主流だったけどこの映画は多少は勧善懲悪を本流としながらも、やや考えさせられる不変的な問いかけ要素も含んでいて、痛快なエンタメ映画にとどまっていなかったのと、それを象徴するかのような堤真一の存在が単純な憎たらしい悪役ではなかった点ですね。私利私欲ではなく揺るがない理念や信念を持って行動するタイプで、それでいて処世術で世渡りもするような、単純に善悪で割り切れるようなキャラではなかったです。まあ何となく中村主水みたいな、そんな感じでしょうか。
この映画の主演はもちろん大泉洋。彼のファンも大勢観に来るでしょう。がしかし、今回の大泉さん、あまり表情の変化がなく多彩な演技力をあまり感じられませんでした。主演とは言いつつもなんかそこまでぱっとしないんです。主人公ぽくないというか、困難や試練を苦労して乗り越えるようなこともなく、終始ひょうひょうとしているんです。だからどちらかといえば孤児の才蔵の方が主人公ぽくは感じられましたね。読んではいないけどもしかしたら原作小説は才蔵が主役なのかな?わからんけど。とにかくこの才蔵くんが努力して強く成長していく過程がまるで少年漫画のようで面白かったし、最後の大立ち回りも最高にイカしてました。ハッキリ言って大泉洋よりもめっちゃ強かったです(笑)
正直、もう少しコンパクトにまとめても良かったんじゃないかなとも。それと殺陣のシーンにもう少し迫力は欲しかったな。なので最初は及第点で5点くらいかな。て思いもしたんですが、チャンバラ時代劇がめっきり減って需要もあるのか分からぬこのご時世に、それでもこうやって作品として世に出してくれたことへの感謝と、作品から滲み出てくるチャンバラへの熱い愛をいやというほど感じ取れたのでプラス1点で6点にしました。あしからず。
追記:もしこれから鑑賞してみようかと思われているのなら、多少なりとも歴史を軽くかじっておくことをお勧めします。室町後期と応仁の乱あたりを中心に。私は知らない状態で鑑賞してしまったので知ってたらもう少し感じ方も違っていたかも...と後悔しちゃったので。はい。