3.《ネタバレ》 ケン・ラッセルの得意としたジャンルは音楽家の伝記とD・H・ロレンス小説の映像化でしたが、本作はそのロレンス文学の初の映画化です。ロレンス文学らしく、登場人物がみな観念的で理屈っぽいところは、はっきり言って観ていて鬱陶しいところです。マイケル・ベイツとオリバー・リードのフルチン・レスリングはいかにもケンちゃんらしい画ですけど、別に彼の創作ではなく原作通りなのです。それよりも彼らしさが出ているのは、2回出てくる女性が踊るシーンでしょう。ケンちゃんの映画では常にダンスが、良く言えばシュール、ぶっちゃけて言えば奇妙奇天烈な振り付けで、本作でもグレンダ・ジャクソンが牛の群れにダンスを見せるシーンはいちばんインパクトがあったシーンでした。本作でケンちゃんはオスカー監督賞にノミネートされ新しい文芸派監督が誕生と称賛されたのですが、その男が70年代になると映画史に残る変態監督になろうとは、誰も予想してなかったでしょうね。 その私が愛してやまないケンちゃんも昨年ついに昇天してしまいました、合掌。