★133.《ネタバレ》 ロボットアニメなのにレイバーの活躍は僅かで、騒々しい特車二課第二小隊の面々を、前作以上に脇役にして、両隊長を事件の中心に置いてます。もともとがOVA版『二課の一番長い日』のリメイクともいえる作品です。そこから更に押井テイストが前面に出た本作。観はじめは「私たちが知るパトレイバーらしくない」…って感じもしましたが、観ているうちにグイグイ引き込まれてしまい、最後のレイバー戦すら不要だったんじゃないか?って思えるくらい、見応えのあるSFアニメでした。
この映画のハイライト、幻の空爆が凄いです。平和ボケと言われた当時の日本で、かつて無いヤバい事が起きてるのがビシビシ伝わってくる。追撃に上がったウィザード隊が撃墜された時の衝撃。映像はF-15の編隊が飛んで、管制室と交信しているだけ(!)なのに。無機質なデジタル映像と、淡々とした登場人物のセリフ。場面にマッチした川井慶次の音楽。それら素晴らしいマリアージュが、あの何とも言えない緊張感を産み出したんですね。 ここはビデオテープが擦り切れるくらい何度も観ました。今回初めてサウンドリニューアル版も聞きましたが、俗にいう“素人バージョン”の方が伝わり具合が上回っているように感じます。 ※最初リニューアル版で観ようとしましたが、オープニングに曲を被せたりと、ちょっと違和感を感じたので、結局オリジナルバージョンで通し観しました。 この場面で荒川が急に車を飛ばします。ここから物語の勢いが急加速するので、今まで考えたこと無かったけど、荒川はどこに向かったんでしょうかね?まさか、首都圏から逃げたとか?後藤と南雲はどこに連れて行かれて、そこで何を見たんでしょう??今になって謎が生まれました。
当時の状況を思い出すと、湾岸戦争を機に、自衛隊がついに海外派遣('91年~)を始めたばかりで、OPの“戦場で発砲できずに撃墜される自衛隊レイバー”に、妙な説得力、リアルな未来を感じました。そしてベイブリッジ爆破、たった一発のミサイルで崩れ去る安全神話と繋がるから、実被害ゼロの幻の空爆に緊張感があるんですね。野明が暮らす寮にアジア系(ブラジル系?)の外国人。同じ屋根の下に外国人って、当時はまだ珍しかったんですよね。そして日常世界に武装した自衛隊が居る違和感。映画の中の架空の物語ですが、数年後にこの映画のような緊張感を現実に味わいます。地下鉄サリン事件('95年)で表面化したオウム事件です。都市部での毒ガス散布の脅威、破壊活動防止法。毎日の報道特番を観ながら、悪い意味で時代がSF映画に追いついたような、不思議な怖さを感じましたね。
どういう訳か、作品全体から冷たい印象を受けますよね。冬が舞台なのと、パトレイバーらしいアツい登場人物の出番が抑えられてるから…というだけでなく、なるほど、登場人物同士が、意図的に目を合わせてないんですね。 並んで正面(同じ方向)を向いていたり、人物の横顔を見ていたり。実際には向き合っている場面でも、話し相手を反射するガラスに映したり、敢えて顔を見切れさせたり…押井さんの実験とも取れますが、徹底してます。そして最後、しのぶが柘植に手錠を掛けたあと、無言で見つめ合う二人を映します。それをヘリから見る後藤。どれだけ思っても、しのぶがあの表情を後藤に向けることはない。手袋越しとはいえ、指を絡め、少しの時間でも一緒に居るため手錠の片側を自分に嵌めるしのぶ。ある意味普段のパトレイバーらしい気持ちの行き違いが、押井さんの抑えた演出により、大人の恋愛の切なさを感じさせます。 【K&K】さん [映画館(邦画)] 10点(2024-12-19 23:29:48) 《新規》 |
132.《ネタバレ》 映画はどの作品でもどこかに楽しむポイントを見つけてみるってのが信条ですが、はじめて0点をつけます・・・。 本当にこの作品はつまらない。最初のカンボジア?の場面から、最後の柘植の逮捕まで、後の押井監督による書籍での解説が出るまで、「なんのこっちゃ?」の連続でした。 つまり作品内で、この映画が企図することを表現できていない(押井監督もその書籍で認めています)、監督の能力不足が露呈しているということです。 また押井氏は後発でヘッドギアに加わったそうですが、すでに決まっていたイングラムのデザインをバケツ頭のかっこ悪い機体にしようとしたり(これはゆうき氏、出渕氏などが猛烈に反対され事なきをえました)、この作品でも南雲隊長を「意外性のある不良に惚れる、優等生のちょろい女」に変えてしまうなど、原作レイプが過ぎて本当に嫌いです(南雲隊長役の榊原さんは「こんなの南雲隊長じゃない」と思っていたそうです)。 私にとってこの「2」は「1」の世界にも繋がっていない「押井氏の脳内だけの」パラレルワールドと思うようにしております(まあ「OVA」「漫画」「TV」と全部違う世界観みたいなものですが・・・)。 【わたた】さん [ビデオ(邦画)] 0点(2022-05-30 14:24:56) |
131.1と違って押井守監督らしいセリフを感じました。 ・・・が一度みただけなので、特に感想も言えない状態。セリフに集中してその意味(監督が伝えたいことは何か・・・)を考えながらみていたので、追いつけませんでした。 1度2度じゃわからないのが押井監督の作品だと思うので、また時間があったら見たいです。 【へまち】さん [DVD(邦画)] 6点(2022-05-07 12:27:34) |
130.《ネタバレ》 緩い感じを期待するとちょっとアレかもしれませんが、大作として楽しめますね。 【追記】再鑑賞、何故か映画版1はレビュー書いてなくて、2はすでに書いてあった。。。 改めて思ったのは、トーンが違うのでこれまでとは別物な雰囲気(攻殻機動隊ぽい)ですね、否定ではなく良い味が出ていると感じます。もちろん内容もこれまでとは異なり、そもそもパトレイバーじゃなくても成立する作品と思えました、ただしパトレイバーの冠が無かったら観なかったかもしれませんけどね。 パトレイバーの枠の中で作り出したことで良い作品になったのかも?制約がなくなって自由過ぎたらつまらない事になるのかも? この後勢いで3も(放映されるんかな?)観ると思いますが楽しみです。初期の感想でも書きましたが、やっぱり緩い感じのパトレイバーを観たいですね、もう一度過去のコミック、アニメ、OVAをみたいと思いました。 【ないとれいん】さん [ビデオ(邦画)] 7点(2018-03-01 17:21:53) |
129.アニメ映画でこれほど衝撃を受けた作品はいまだかつてなかったかと思います。 まさかアニメが、日本の安全保障についてここまで深刻かつ真面目に題材として取り上げ、鋭く切り込んだメッセージを発するとは想像もしなかったです。 世間に溢れる戦争や自衛隊を扱う邦画以上に、本作は日本の戦後体制について問題提起し、かつ上質なサスペンスに仕上がっています(人が直接死ぬシーンも、大がかりな戦闘シーンもなくここまで場を盛り上げる展開はお見事) 寒々とした東京湾景に漂う、後藤と荒川の会話。 押井作品お馴染みの「ダレ場」が、本作は一番衝撃度が高く面白かったというまさかの展開(笑)。 本作を普遍的名作にしているのは、①純粋にサスペンス劇としてのクオリティが高い、②日本の戦後安全保障への問題提起(平和憲法・日米安保が続く限りは、本作の問題提起は尚も有効でしょう)、③往年のハードボイルド・フィルムノワール要素漂う人間ドラマ(振られるとわかっていながら女の為にあれこれ奔走する男の姿は哀愁があって入れ込んでしまう)、この3要素が大きな役割を果たしていると思います。 ちなみに私はもう1要素があると思っていて、それは④パトレイバー作品である事を利用したギャップ。 よく本作はパトレイバーである必要がない、ロボットアニメとしてみるとダメという批判がありますが、私は、本作はパトレイバー作品でなければ、ある意味名作には成りえなかったのではと思います。 パトレイバーが旧OVAの頃から醸成してきたあのどこか明るく緩い世界観からは想像もつかない緊迫した展開、実にハードボイルドな人間模様。 まさにパトレイバーからは想像も付かない、というこのギャップが、観客を本作にのめり込ませる、あるいは衝撃を与える大きな要素だったと思うのです。 実際私もパトレイバーをどこか明るく賑やかな近未来警察(ロボット)アニメとして捉えていた為、幻の爆撃→後藤・荒川の会話という連続コンボに大変な衝撃を受けました。 個人的には押井監督の最高傑作だと思います。 【nakashi】さん [ブルーレイ(邦画)] 10点(2017-11-29 12:00:10) |
128.《ネタバレ》 絶賛する人の意見も納得。こき下ろす人の気持ちも判る。困った映画。 うる星2の時はナイスバランスでしたが、今回は押井監督の押しが強烈でした。 自分は単にロボットアニメとか、ラブコメアニメなら観ないクチなので、これはOKです。 どうせなら、南雲と柘植の対面は止めて欲しかった。そこは後藤隊長と対峙して欲しい。 政治や軍事に詳しい人にはツッコミ処あると思いますが、自分レベルだと気にならないです。 まあ、とてつもない陰謀が水面下で動いていく雰囲気は楽しめるし、暢気な連中の日常との 対比でコントラスト立っていて、これはいい映画だと思いました。 当時、うる星2は誰にでも勧めましたが、こちらは相手を選んで猛プッシュしてましたねえ。 最後のアクションを省略したのと、南雲のエピ引っ張り過ぎが無ければ満点でした。 【グルコサミンS】さん [DVD(邦画)] 8点(2017-04-14 21:46:22) |
127.《ネタバレ》 このサイトのマイページにある「好みが近いレビュワーより抜粋したお勧め作品一覧」。 そこに出てくる映画の中には実は観たけどレビューを書いてないだけっていう映画が何本かあります。 そのうち何本かはレビューを書いてしまいましょうというシリーズ。 という事で日本アニメ映画史上に燦然と輝くこの映画です。 私、この映画、LDまで買ってもってました。 その上で、あえて言いますが、個人的にはそこまで面白くありませんでした。というか「あんまり好きじゃない」が正確でしょうか。 評価が高いのはわかります。とにかくちょー力作なのです。 竹中直人の声がボソボソしてて何言ってるかよくわかんないのも(普通のアニメだったらダメなんですが)この映画の場合は、いい味になっています。 竹中直人が声をあててて「そこらの日本の実写映画よりすごい」と絶賛したというのもわかります。 しかししかし、内容はもはや完全に押井守なのです。 ハードで暗くて観念的、あれこれ語りたがりです。 そもそも、これはもはやパトレイバーじゃありません。 「特車二課っぽい人達が脇役で出演する全く違う映画」です。 監督の色がよく出ていてものすごく真摯に作られた傑作であることは認めますが、僕がそれほど好きな映画ではない、もっと言えば「パトレイバー」ではないとは言えます。 それでも8点はつけてしまう、そこはこの映画の力でしょう。絶賛されるのもむべなるかな、ってとこでしょうか。 【あばれて万歳】さん [レーザーディスク(邦画)] 8点(2016-12-13 11:18:00) |
126.遊馬と後藤隊長の顔の違いがよく分からん。っていうかみんな顔が変。劇場版はみんな変。しのぶさん綺麗じゃない。野明可愛くない。みんな声が小さい。なに言ってんのかよくわかんない。柘植の訴えたかったことがよく分からない。あれだけ大勢反乱に加担した自衛隊員がいるんだからその思想はもう少しわかりやすくしてよ。敵の本拠地の埋め立て地へ乗り込んだら首謀者一人ぼっちで呑気に双眼鏡覗いてて無抵抗ってなめてんのか。自衛隊の方々はみんないい人ばっかりだよ。「野生の証明」の見すぎです。 【S.H.A.D.O.】さん [ブルーレイ(字幕なし「原語」)] 2点(2015-08-04 23:42:44) (良:1票) |
125.PKOに派遣されていた自衛隊員が出てくると『パトレイバー』というよりも『攻殻機動隊』ぽっくなってしまう。ついでに言えば、松井刑事も刑事警察よりも公安警察の方がイメージに合っているような気がする。 攻殻機動隊も好きだから、あまり違和感がないけど、パトレイバーだけが好きな人が見たら違和感ありまくりでしょう・・・ 【あきぴー@武蔵国】さん [DVD(邦画)] 7点(2014-08-28 21:49:34) |
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123.うわ何だコレ・・・みんな眼が死んでる! まさか全員「義体」か!? 良かった太田だけバカのままで(褒めてる)。 太田が死んだらパトレイバーもお終いです。 竹中直人ウメーなー・・・戦闘機の棒読みいいと思うんだけど。雰囲気出るじゃんか。 でも空気が重すぎる・・・パトレイバーの戦いも暗いよ・・・戦争のお説教もうんざり。 この作品はあんまり好きじゃない。このノリならどう考えたって「攻殻機動隊」の方が良い映画だろうに。 【すかあふえいす】さん [DVD(邦画)] 8点(2014-03-13 18:08:28) |
122.押井守の僕ちゃん悩んでます風のお説教は大嫌いです。偉大なシリーズでやらなくてもいいのにな。 【カニばさみ】さん [映画館(邦画)] 3点(2013-08-14 16:19:06) (良:2票) |
121.しつこいくらいの硬質硬派な演出に、微かに香るアホウなコメディエッセンスの加味。この奇妙なバランスは、押井守作品の中でも群を抜いている。ラストの、掌を握り合う演出は、押井作品とは思えないくらいにロマンティック。 【aksweet】さん [DVD(邦画)] 9点(2011-09-20 00:48:29) |
120.《ネタバレ》 実写アニメ問わず、『見直してる作品ランキング』で間違いなく5指には入っている、それくらい魅了されました。 相対ではなく絶対評価で採点してるので前作にも10点をつけてますが、個人的にはこちらの方が好き。 相変わらずプロローグの出来は秀逸、作画はTV版どころか前劇場版と比べてもかなり異なっているが、それが時が経ちバラバラになってしまった元特車二課達の『哀愁』を上手く表現している。しかし、何処に行っても相変わらず元気な太田さんは、そんな彼らを見た視聴者の気持ちが沈みすぎないよう良い緩和剤となっている。 たった一発のミサイルから日本が内戦一歩手前まで追い込まれていく構成と、それを完全に表現しきっている演出と音楽の結果作品全体から異様なまでの緊張感が伝わってくる、これが本当に凄く、通勤している会社員のすぐ近くや公園内に戦車が陣取っているシーン等は感動すら覚えた。 話の展開上、ご都合主義とまではいかないが上手く行き過ぎている感は無くもないが、100分の作品一本で完結していると考えれば十二分に許容範囲。 途中で入る『正義の戦争と不正義の平和』に関しては・・・・正直よく分からないが、直前のシーンがかなり緊迫感があったので休憩と考えればそこまで説教臭いとは感じないでしょう。 ただ前作以上にドンパチシーンが少なく内容としてはアクションと言うよりはサスペンスに近く、作画の大幅変更など苦手だったり受け付けない方がいるかもしれません。 網羅はしていないが、これまで見た押井作品の中でも、いや、これまで見てきて全ての映画の中でも屈指の傑作。 【ムラン】さん [DVD(邦画)] 10点(2011-08-06 09:24:17) |
119.これまでに比べて色調が抑えられ、後藤・南雲をメインに迎えた硬派な作画・演出が冴えている。半ば監督の代弁者となった後藤というキャラクターが際立つ。都合のよい展開が見られたストーリーはイマイチと感じた。 【kagrik】さん [地上波(字幕)] 9点(2011-06-30 18:58:34) |
118.《ネタバレ》 劇場版前作のみの知識です。相変わらず話が練られていて面白いですね。ドンパチが主体でないのが硬派な感じで素晴らしい。その辺を期待していた人には不評だと思いますけど。前作でも感じましたが、監督は先見の明があるんじゃないかと思いました。むしろ20年近く経った今観るから面白く感じている部分もありそうです。 |
117.《ネタバレ》 「戦争を知らない子供たち」という歌があった。その子供たちが国家機能の中枢に収まるほど「戦後」が続いた日本の、危機管理意識と平和ボケとシビリアンコントロールの脆弱を仮想的に描いた作品。自衛隊の治安出動があっさり決まったりするあたりがやや都合良いけれど、永田町周辺で黒いマイクロバスから汚いダミ声でがなっているおっさんたちの話より、これを観る方がずっとためになる。世界標準的に日本の平和ってやっぱりどこか歪んでるんじゃないか、という懸念にそれらしく回答してくれる。9/11以降のハリウッド作品には対テロ戦争ものが多いけど、こちらの方がずっと深くシナリオが練られている。日本はこういう作品を実写でやるといきなり陳腐になるんだけど、アニメなら描き切れる。それが誇らしくもあり残念でもある。押井守っぽい、理屈をこねくり回した台詞にイラっとするところもあるが「パトレイバー」という「容れ物」を借りて存分に作家性を発揮させた創造力に感服。 【アンドレ・タカシ】さん [CS・衛星(邦画)] 8点(2011-01-03 14:31:37) |
116.《ネタバレ》 登場人物達の戦争観に対する賛否はともかく、ラスト近くまで面白く観られた。ただ、ラストで南雲が柘植の手を握ったのは納得がいかない。あれで安っぽいメロドラマになってしまった。 【万年青】さん [DVD(邦画)] 3点(2010-11-23 16:00:07) |
115.とても素敵で、すばらしい脚本だと思うし、映像美もすばらしいのだけれど、これをパトレイバーでやる理由はないよな、と思う。パトレイバー的な爽快感とこの思想性を両立させるやり方はほかにもあったと思うのです。でもこれ1993年に見ているのと今見るのとでは評価に違いがありそうです。 【コダマ】さん [DVD(邦画)] 6点(2009-11-14 21:53:05) |
114.《ネタバレ》 前作とは違い、押井臭さが満ちていて、それがすごく冗長に感じた。 【no_the_war】さん [ブルーレイ(邦画)] 6点(2009-10-09 00:00:58) |