8.《ネタバレ》 「パワーレンジャー」(1995年)「パワーレンジャーターボ/誕生! ターボパワー」(1997年)と併せて、三作連続で鑑賞したのですが……
前二作はテレビシリーズの劇場版という趣が強い為、予備知識無しで楽しめたのは本作のみでしたね。
単純に出来栄えとしても、三作品の中では一番良かったんじゃないかと思います。
ただ、それは「シリーズの中では一番面白い」というだけであり、純粋にコレ単品で評価するとなると……結構厳しいです。
学園物なテイストを盛り込んだのは悪くないと思うし、ちゃんと巨大ロボットも登場して「戦隊物に必要な事」は最低限やってくれているんですが、どうも物足りない。
映像のクオリティも高くて「本気でリブートする」「続編を何本も作れるような、人気シリーズにしてみせる」という心意気は伝わってきたんですが……残念ながら、その熱意が面白さに繋がっていないんですよね。
ちょっと酷な言い方をするなら「熱意は感じるけど、センスは感じない映画」って事になっちゃうと思います。
いや本当、悪い映画って訳じゃないんですけどね。
元々自分が特撮ヒーロー物を好きってのを差し引いても、一定のクオリティは有って、娯楽映画として及第点に達してると思いますし。
超人的な力を手に入れて喜ぶ姿とか、皆で焚火を囲んで絆を深める場面とか、若者達が主役ならではの「青春映画」としての魅力も描けてたと思います。
でもやっぱり、作り手にセンスが欠けてるというか……
例えば、絶体絶命の場面でブルー(元いじめられっ子)が主人公のレッドに「友達になってくれて、ありがとう」と伝える場面とか、演出次第で、もっと感動的に出来たはずなんです。
なのに本作は(えっ、何で?)と戸惑うくらい、そういうオイシイ場面をアッサリ流してしまう。
それはレッドが父親を助ける場面も然りであり「父親がレッドの正体に気付く」とか「喧嘩しがちだった二人が和解する」とか、いくらでも面白い展開に出来たはずなのに、ただ助けるだけで終わっちゃうんですよね。
本当に勿体無くて、観ていて焦れったい。
エピローグにて「新たな戦士」の登場を示唆する一方で、倒しそびれた敵などが存在しない辺りは「観客にモヤモヤを残さない、誠実な作り」と褒める事も出来そうなんですけど……
何か、さっきから「作り手の誠意」ばかり褒める形になっていて「映画の面白さ」を褒められないのが、寂しい限りです。
「好きな映画」とも「面白い映画」とも言えそうにない。
でも、絶妙に嫌いになれないという、不思議な感じ。
粗が有るのは分かってるけど、何とか肯定してあげたくなる。
「ヒロインや女怪人が可愛いってだけでも充分じゃん」とか、そういう軽いノリでフォローしたくなる。
まだ半人前だけど、頑張って戦ってるヒーローを応援したくなるような……
そういう「応援したくなる映画」っていうのが、一番的確な評かも知れません。