12.《ネタバレ》 オラドゥール村の虐殺事件を題材にしているのですね。この事件に限らず、ナチスによる蛮行が裁かれないまま終わったケースは多くあるはずで、この映画はその被害者たちの復讐心を刺激するものです。「我々も連中にこんな風にやり返したかった!」と。城内に張り巡らされた抜け道を駆使してのナチ軍人への攻撃はスリリングです。中盤から、主人公が最後までやり遂げるのか?と目が離せません。 【次郎丸三郎】さん [DVD(吹替)] 7点(2023-06-08 16:28:51) |
11.《ネタバレ》 これは、甘ったるい幻想をを打ち砕くような映画だ。 第二次大戦中に実際に起きた虐殺事件をモデルにしているが、現実は誰一人「殺人者」を裁こうともしなかった。 それに対するロベール・アンリコの憂さ晴らしと見るか、戦争の悲惨さを物語として語る純粋なドラマと見るか。 疎開させ、安全だと信じていた場所で惨たらしく殺された妻子。 男は「命を救う」という医者の義務を捨ててまで、復讐心で胸を埋め尽くす。妻子の亡骸が男を復讐へと動かす。 古城はかつて男が「庭」として遊んでいたいわば「遊び場」。奴らを逃せば地の利もなくなる。 「死んだ命はもう戻って来ない。せめてアイツらだけは殺してやりたい!!」 男は淡々と「殺人者」たちを城に閉じ込める。 水に沈めて皆殺しだ。火炎放射器でドロドロに溶ける鏡、女を焼いた火で自分が焼かれる感じはどうなのだろうか。 絶えず男の脳裏によぎる過去の美しき記憶。死んだ者はもう戻らない・・・。 【すかあふえいす】さん [DVD(字幕)] 9点(2014-04-02 19:31:09) |
10.《ネタバレ》 ナチスドイツ下のフランス、妻子を村に疎開させた医師が、遅れて村に着くと子供は撃ち殺され、妻は目の前で火炎放射機で焼かれるという目に遭い、復讐に燃えてドイツ兵を一人ずつ殺していくという話。 ■復讐に転じた主人公が、兵士相手に強いのは、城の秘密を知り尽くしているから、という設定は面白いアイデア。ただしそうすると、顔を洗っているときに兵士に銃を突きつけられた後、普通に闘って勝てているのはなんかおかしい気がする。また、途中から敵兵士の人数がやたら減った気がするのは気のせいだろうか。 ■確かに壮絶なんだけれども、タイトル通りロマンスの回想のウェイトが多く、いささかテンポが悪くなっているように思った。現在と関係のある回想(教会とか、散弾銃とか、鏡とか)はまだしも、関係のよく見えない回想シーンを挟み込むのは展開を悪くしてるだけに思う。 ■城の秘密を利用するというわりには動きまわっているだけであまりうまく利用している気がしない(特に中盤)。もっと仕掛けめいたものを使う方が面白かったように思う。回想を挟むなら、もっと現在の戦いと結び付けた方がよかった。素材はよかっただけに残念 【θ】さん [DVD(字幕)] 7点(2013-08-26 00:51:05) |
9.《ネタバレ》 このストーリーは、武装SSが700人近くの民間人を虐殺した悪名高いオラドゥール村の事件がモデルとなっていることは察しがつきます。妻と娘を殺された医師が城に閉じ込めたSS兵士たちを一人ずつなぶり殺しにして復讐してゆくわけですが、指揮官がノルマンディー戦線で戦死したためにオラドゥール事件の裁判では誰も死刑にはならずほとんどが無罪放免された史実にうっ憤を晴らした様な感じもします。 実はこの当時フランスでは、『ルシアンの青春』の様な「ドイツ占領時代にはフランス国民はみな団結して抵抗した」というメルヘンを打ち砕く様なシニカルな視点の映画が何本も製作されて議論を呼んでいました。そういうわけで、この映画はある意味「観客の観たいと思っているものを見せた」ことになり、フランスでは大ヒットしたそうです。 西部劇でも良くある様な復讐劇としては、過去の幸せだった時代の回想を並行して描く手堅いストーリー・テリングです。当初はL・ヴァンチュラが主演の構想だったそうですが、虫も殺さぬ様な風貌のF・ノワレを引っ張ってきて大正解でした。 でもなんてったってR・シュナイダーでしょう、この映画の見どころは。こんなに輝いているR・シュナイダーは観たことがない、と言うのが正直な感想です。彼女、この映画の後たった7年しか生きられなかったというのは実に悲しいことです。 【S&S】さん [DVD(字幕)] 6点(2013-07-18 20:52:58) |
8.舞台は第2次大戦、占領下のフランス。フィリップ・ノワレ演じる医者は、占領国になびく訳でもなく、さりとて過激なレジスタンス活動をする訳でもなく、あくまで医者という立場でヒューマニズムを貫いている。街にはドイツ兵が溢れ、不穏な空気が漂っており、医者という立場上、日々、人々の死を前にしているものの、家に帰れば妻子が待つ優しい父親でもある。しかしその彼にも、容赦なく戦争の牙が襲いかかる。疎開させた妻子に会いに向った彼は、惨殺された村人たち、そして彼の妻子の遺体をそこに見出すことになる。彼は散弾銃を手にし、妻子を殺害したドイツ兵たちへの復讐を開始する――という、なかなかに刺激的なオハナシ。妻子の遺体を目撃し、嗚咽をかみ殺すシーン、そして殺戮を前にしていながら助けの手を差し伸べようとしなかった神に決別しキリスト像を破壊するシーン。これらにおいて感情を発露させた後は、映画は主人公の感情を押し殺し、ただ淡々とゲリラ活動に打ち込む姿を描く。後半は、そのたった一人の戦いと、ふとした時によぎる過去の記憶が、交互に、容赦なくぶつかりあうように描かれていく。過去に向けられた血のにじむ傷口をさらしながら、今を生きるしかない。主人公の感情を殊更に描かなくとも、何もかもが過去へと繋がり、苦しみへと繋がる今、ひたすらに描かれる主人公の復讐する姿、そのディテールの描写が、胸に突き刺さる。―――ところで、ここで突然、どうでもいい話ですが、①上記の主人公嗚咽のシーン、「司令部に連絡しろ」と言われたドイツ兵が、日本語で「スミマセン!」と叫んだように聞こえたのですが、空耳ですかね? ②ラスト近く、水責めにあうドイツ兵が、日本語で「タスケテ!」と叫んだような気がしたのですが、やっぱり空耳ですかね? 【鱗歌】さん [DVD(字幕)] 10点(2013-03-24 00:55:25) |
7.いくら妻子を殺されたとしても、この男は狂ってしまったとしか言いようがない。残酷な映画だ。医者であれば、敵味方に関わらず人の命を助けるというのが努めだろう。思い出したくない映画の一つである。それとフィリップ・ノワレはどうしても、こういう残酷な映画には向かない気がする。 【ESPERANZA】さん [映画館(字幕)] 3点(2011-09-17 17:55:40) |
|
6.前半は、敵味方関係なく負傷者を匿う誠実な医師であった主人公が、最愛の妻子をドイツ軍に殺されたことで冷血な復讐の鬼と化すというギャップが凄まじい。 いくら散弾銃を手にしたところで、小太りで丸メガネの男が鍛え抜かれた十数名のドイツ兵相手にどう戦うのかと思ったが、ドイツ兵が占拠した城は、彼の生まれ育った場所。 村に通じる橋げたを外し、地下通路や隠し扉や抜け道、知りぬいた城の隅々を利用して敵を一人ずつ倒していく。 そうしてドイツ軍を追い詰めていく中、城のそこここが妻や娘との思い出に繋がり、彼はその追想と共に闘う。 この追想シーンのロミー・シュナイダーが、大変魅惑的で美しく、戦闘シーンの凄惨さが強調される。 深く印象に残る秀作。 【poppo】さん [CS・衛星(字幕)] 8点(2011-09-09 14:52:11) (良:1票) |
5.ロミー・シュナイダーが焼き殺される場面のショッキングさは、多感(笑)な頃に見たんで、ほとんどトラウマになりました。でもそれ以上に、冒頭で彼女がパンツ見えるのも気にせず自転車に乗っている場面で、「ああ、フランスじゃきれいな女性でも、堂々とパンツ見せて自転車に乗るんだ」といたく感動したことでした。その2点だけで、あとはまったく印象に残っておりません。すみませんです。 【やましんの巻】さん 6点(2003-08-12 18:23:20) |
4.鏡のシーンが壮絶で(なのにきれいで)衝撃的でした。牧歌的な映像と優しい音楽との差がすごいです。泣きそうになりました。 【omut】さん 7点(2003-07-08 12:43:22) |
3.この映画は心が満たされている時に見ると目をそむけたくなる。心が荒んでいる時に見ると爽快感を感じる。 【イサオマン】さん 7点(2003-05-03 00:23:18) |
★2. 急用で席を立ち 復讐のシーンを見逃し いまだに続きを見たい思いです VTRなどありませんか 青春グラフィティー 【クチャン】さん 8点(2002-02-27 20:34:54) |
1.戦時下で妻子を殺害され(それも火炎放射器で焼き殺されるという凄惨さ!)、残された夫がたった一人で戦いに挑み個人的な復讐をするという、先日亡くなったロベール・アンリコ監督の傑作サスペンス。敵をじわじわと追い詰めていくF・ノワレの飄々とした演技は素晴らしいが、なんと言ってもR・シュナイダーの美しさは筆舌に尽くしがたいほどだ。それだけにその殺戮シーンの残酷さがなおさら強調される。夫は妻子がされたのと同じ方法で仇討ちを果たし、映画は我々にカタルシスをもたらすのだが、そのあとにくるのは虚しさ以外の何ものでもない。オープニングとラストに挿入される、妻と子と三人並んで幸せそうにサイクリングするシーンが印象的だ。 【ドラえもん】さん 9点(2001-06-03 16:41:27) (良:1票) |