19.《ネタバレ》 人生がドツボにはまった男のあまりに暗く陰惨な物語で、ある意味、ここまで夢も希望もないストーリーを、ポール・シュレイダーよくぞ考えついたなと感心してしまいました。ニック・ノルティは“雪原のトラヴィス”というよりは、ただひたすら粗暴でイタイ性格の男でしかなく、そしてなかなか見事なバカっぷりです。なんせ人から聞いた話をすぐ信じ込んで自分の苦境を癒す妄想に走ってしまうんだから始末に負えない。そのきっかけは弟のウィレム・デフォーが造った様なもんだから、考えてみればこいつも罪な男です。ただどう考えてもデフォーのキャラはこの映画の脚本の大きな欠点ではないでしょうか。最初はモノローグだけで一時間もたたないと画面には登場しないし、なんか不必要な登場人物の様な気がしてなりません。子供のころの回想シーンで登場する弟がデフォーではなかったと判ったら、ますますこのシナリオに?が加わりました。ジェームズ・コバーンはこの映画でオスカー獲ったのですが、これは演技に対してというより功労賞的な意味あいが強いみたいですね。 まあとにかく、とても後味が悪い映画です。 【S&S】さん [CS・衛星(字幕)] 4点(2012-02-20 18:25:48) |
18.《ネタバレ》 精神崩壊寸前の人物を描かせると、ポール・シュレイダーは相変わらず良い仕事をします。ニック・ノルティ演じる主人公の姿がとにかく痛々しいこと。彼はみんなと、特に娘とは仲良くやりたい、尊敬される存在になりたいと願っています。しかし幼少期に父親から酷い虐待を受けたために人格が正しく形成されず、ちょっとズレた人、身近にいると面倒くさい人になってしまいました。冒頭に描かれる娘とのハロウィンでのエピソード、彼は久しぶりに会った娘を楽しませようと張り切っていたのに、無意識のうちにルーズな部分が出てしまって娘の機嫌を損ねてしまいます(「タクシードライバー」のデート場面とよく似ています)。この時の主人公は憐れなほどにいたたまれないし、一方で「変なことに付き合わされるのは迷惑」という娘の気持ちも理解できます。このふたりの間に漂う気まずい空気、これこそがポール・シュレイダーの真骨頂、他の監督ではなかなか出せない味です。そんな主人公はある事故の真相究明に乗り出すのですが、熱くなると我を忘れるという本来からの気質の上に、親権裁判、母親の死、自分を苦しめてきた父親との同居等々のストレスから正常な判断能力を失い、妄想に取り憑かれてしまいます。「みんな俺をバカだと思っているようだが、この事件さえ解決すれば俺は一躍街のヒーローとなり、すべての問題は片付く」。大統領候補暗殺にのめり込んだトラビスの如く、彼は妄想上の事件に向けて走り出してしまうのです。その出発点が「娘から尊敬されたい」という純粋な思いであり、父親からの虐待という不可抗力から人付き合いを苦手としてしまったという根本原因を踏まえると、本作の主人公が狂気に墜ちていく様はあまりに悲惨なものでした。本作は「タクシードライバー」をより普遍的にした物語であり、もっと評価されても良い作品だと思います。 【ザ・チャンバラ】さん [ビデオ(吹替)] 8点(2011-01-23 21:11:07) |
17.言いたいことが整理されておらず、思いつきのシーンが流されているだけのような感じなので、スリルもなければ共感もありません。ウィレム・デフォーやシシー・スペイセクまで投入していながら、この凡庸さは残念。 【Olias】さん [DVD(字幕)] 4点(2008-04-12 04:56:25) |
16.《ネタバレ》 すっきりしない気分の悪い映画でした。殴ったら死んでしまった父親にガソリンをまいて燃やすシーン、虫歯をペンチを使って自分で抜くシーンなどカルトです。ジェームズ・コバーンがこの映画でオスカーを受賞してますが、なんで?という感じです。 一面雪景色の町を舞台にした警官が主人公の映画に「ファーゴ」があります。「ファーゴ」も救いのない話ですがフランシス・マクドーマンドのおかげで、酷い世の中でも人生は捨てたものじゃないかもと思わせてくれます。この映画にはそれがなくて、ただただ重暗いだけでした。自分の子供のことを思うなら、身を引くことも親の愛情だとあらためて思います。こういう親たちの連鎖は大嫌いだ、と感傷的になってしまいました。 【omut】さん [CS・衛星(字幕)] 5点(2006-09-20 12:17:39) |
15.《ネタバレ》 力作だ。それはわかる。ニックノルティ渾身の一作。しかしなあ、救われない話なんだこれがー。見た後1週間気が晴れない、というような。寝たまま凍死してるって、誰が考えたんだか、すごすぎるよなあ。なかなか思いつかないぞ。ところで、やっぱり上の子のほうが、影響受けちゃって下の子の防波堤になって親の人生かぶっちゃうんだよね。そうだそうだ、もうひでー親父なんか、大人になったらみんなやっちゃえ。でも自分も似てしまったことが、救われないんだなあ。どうしたらいいんでしょうね、こういう場合。 【パブロン中毒】さん [DVD(字幕)] 7点(2005-11-21 22:05:43) |
14.弟よ、もうちょっと兄を助けてやれよ。ってちょっと思った。 【paraben】さん [CS・衛星(字幕)] 6点(2005-08-28 11:17:24) |
13.J・コバーンこんな最低な役でアカデミー賞取って欲しくなかった。好演とは思いたくない。 【mimi】さん 5点(2005-01-08 03:38:17) |
12.こんな家族でなくて良かった。こんな親父でなくて良かった。が感想。 威圧的、暴力的で、暗く、楽しくない映画だ。コバーンの親父は凄い迫力で恐ろしい。弟の視点の語りで始まるが、弟も兄以上に深い傷を・・・。なぜ兄に不可解な予断を与えたのか・・・。 【ご自由さん】さん 6点(2004-07-04 19:40:49) |
11.一面の銀世界、社会不適合父子に掻き回される町。母、元妻、娘、恋人関わった女性達が不幸な結末を迎える度に気分が冷めていった。燃え盛る納屋を見つめるラストでなく自分も納屋で一緒に燃えて終えるくらいの潔さが欲しかった。親父が悪いという結論は見せたが主人公自身の責任感が伺えない。重たい雰囲気と裏腹に内容には重みがない一品。 【スルフィスタ】さん 3点(2004-04-29 04:08:53) |
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10.僕は父のようになりたかった男だから、父と同じようにはなりたくないというニック・ノルティ演ずる中年男の気持ちは、なかなか自分のものにできない。けれど、この作品がもたらす独特な雰囲気に浸っていると、いつの間にかその気持ちを当然だと受け入れられるようになる。それはストーリー展開の力ではなく、メタファーに富んだ演出の力によるものだと思う。一面に雪が積もった世界は冷え切った親子関係のメタファーであり、歯痛による苦悩(Affliction)は男が感じている抑圧のメタファー。そして、その歯痛の原因である歯を自ら抜くことがまるで合図だったかのように、それまでゆっくりと進んでいた物語が、急速に破滅へと向かって転がりだす。確かに地味だし、あまり知られていない作品ではあるが、精神を病んでいく過程の陰鬱さが、独自の魅力にまで昇華された見事な一本。 【眠い悪魔】さん 6点(2004-03-11 02:43:01) |
9.《ネタバレ》 人間の「業」というものを感じました。人格形成には家庭と学校が大きく影響すると思っていますが、良くも悪くも両親の影響って何らか必ず受けていると思います。最後の「生まれながら愛と信頼をゆがめられ、他人と関わらぬ生活と願うようになる、人生を放棄するのだ」は心に響きますが、各々が人生を放棄することなく、悪循環を断ち切り、好循環のみを後世に伝えていければと思うのは夢想でしょうか? |
8.《ネタバレ》 炎上する納屋を見ながらの一服のコーヒー…今までの努力を全て水泡に帰して得る暗い開放感、この感覚はどこかで…と思ったらマルケスの「百年の孤独」のラストでした。シュールな描写は全く無いけど、「不条理もの」としてマルケスや安部公房辺りと同列に認識してしまう不思議な映画。 【番茶】さん 6点(2004-01-11 22:15:39) |
7.DV犠牲者のトラウマを扱った作品としては月並み感が否定できない。ジェームス・コバーンの絵に描いたような荒くれオヤジぶりも痛いが、殴られている子供たちのあまりにも典型的な「濡れた瞳」も痛い。ニック・ノルティが歯を抜くシーンも痛いし、ボケたコバーンの年寄りぶりも痛い、とにかくあらゆる意味で痛い映画。ジェームス・コバーンのオスカー受賞から、さんざん待たされてやっとの思いで観たワリには、私の期待は満たされなかった。ポール・シュレイダーの映画って当たると大きいんだけどハズレた時の痛さもひとしお。父コバーン、長男ノルティ、次男デフォーの組み合わせはまったく家族にしか見えないので笑える。コバーンは確かに頑張ったけど、「トゥルーマン・ショー」のエド・ハリスを押しのけての受賞にはまったく納得できない。冥土の土産にオスカーを贈る悪習はやめよう。 【anemone】さん 3点(2003-11-29 02:40:24) |
6.《ネタバレ》 ニックも怖いけど、お母さんをほっぽってたお父さんも怖い。血筋というか、因縁というか…やりきれない後味の悪さ。 【桃子】さん 5点(2003-10-23 18:18:23) |
5.ジェームズコバーンがアカデミー賞獲ったということで見てみましたが、たいした映画じゃない。むしろ退屈で、『つまらない』映画でした。彼にはやはり『拳銃をぶっ放す映画』のほうが合ってました。 【いかりや800】さん 3点(2003-03-17 00:40:39) |
4.淡々とした展開で盛り上がりに欠ける為少し眠くなりましたが、ジェームス・コバーンとニック・ノルディの親子が強烈です。父親の影に怯え、そこから抜け出す事の出来ない子供。父親のようになりたくは無いと思いながらも父親と同じ道を歩んでしまうニック・ノルディの完璧になりきれないヒーロー像。この辺のつくりがすごく上手いですよね。乱暴で身勝手な父親を演じたジェームス・コバーンは嫌悪感を抱いてしまうほどの熱演。その彼から心の鎖を断ち切れずもがくニック・ノルディ。警官と狩りの仕事の両立、分かれた妻と子供の関係、唯一の理解者であるウェイトレスとの新しい恋等何をやっても上手くいかず次第に精神を病んでいく主人公。中年男の心のダークサイドを見事に表現した作品。珍しくまともな弟役を演じたジェームズ・ウッズでしたが物語にはあまり必要がなかったかも。あれが既に死んでいる弟でニック・ノルディの妄想だったらもっと面白かったんじゃないかなぁ。例えば毎晩愚痴ってた電話も、弟にかけてるつもりが全く関係のない所にかけていて電話の向こうでは「いたずら電話はやめてよ!」って言われてても本人は気にせず話を続けて...な事だったら、ゾッとしますよ。子供が家から出て早々父親の態度に気を悪くして「おうちに帰りたい...」って毎回はくセリフには笑えました。 【さかQ】さん 6点(2002-12-04 02:26:38) (良:1票) |
★3.つまらくもないがおもしろくもない映画。アメリカ東部の街で、いまだにああいう現代男性がいるのかなと考えるとかなり胸のあたりがムカムカしてくる。 【mmm】さん 5点(2002-08-13 23:56:16) |
2.派手さは無く、地味ィ~な風格で引っ張り続ける作品だが、巧みに構成されたシナリオと着想点の良い題材、それに役者陣の熱演が何とも素晴らしい。「タクシー・ドライバー」のポール・シュレイダーの数少ない監督作だが、基本的にP・シュレイダーの映画は人間のエゴを描くものが多く、この作品も例外になることなく、雪原の田舎町に渦巻く人間関係を見事に描ききっている。あまり注目されなかったけど、傑作です。まぁラストは賛否両論になるとは思うが、、、。 【チャーリー】さん 8点(2002-01-06 23:31:59) |
1.1人の男が家族や事件に翻弄されていく、いい意味で後味の悪いサイコ・サスペンス(笑)N・ノルティの壊れ具合はさすがアカデミー賞を獲るほどのものだったし、J・コバーンの怪演も見事。家族のあり方とP・シュレーダーの実力を再確認した。 【びでおや】さん 7点(2001-09-20 23:35:23) |