71.《ネタバレ》 でいでいでいでいっ。サンデーマンデーてやんでい。 面白いっ。 クドカンという人は外見が果てしなくショボイのであるが、やはり才能ある人の例に漏れず、己の見た目などに構わず余分なエネルギーを全部クリエイトに回しているタイプだったのだなあ、と再認識。 原作のマンガについては未読だが、傑作であるとの批評は目にしていた。 しかし、クドカンが脚本のみならずメガホンまで取らなければ、よくある陳腐な作品として忘れられていく凡作になったであろうまちがいなく。そのくらい、「俗」に流れずにシュールに笑わすのは難しいと思う。 長瀬については1%も期待していなかった私だが、冒頭から「てやんでい」の切れの良さに感心しきりとなる。おお、長瀬、悪くないかもよ。長瀬にこんなに突っ込みの素質があったとは意外だ。地蔵突っ込み、コダマ突っ込みなど、いずれも悪くない。 そして、なんと「明治天皇(ラストサムライ)」から「ホモで薬中の金髪」へと大変身を遂げた七之助。すでにその役柄の落差だけでいかにもシュール。 ジャニーズと歌舞伎がホモの恋人どうしで絡み合っているという、有り得ないシュールな光景はこの映画ならではなり。ヘタウマの絵や「おまえ」「おいら」「ゆかた」などの殴り書きもばっちり合っている。 私は、日本人はブラックな笑いを作るのが下手だと思っているけれど、クドカンについては全くそんなことはない。クドカンはすごい。これを見た松本仁志は嫉妬にかられて初メガホンを取ったのではないかと私は思う。まちがいなく松本のライバルは北野武ではなくてクドカンである。 「何がリアルか」「リアルには自分の思い込みが入っているのではないか」「思い込んだらそれは現実か」という深遠なテーマに沿って、次から次へと有名人が登場しては笑わす。これはこたえられない面白さだ。ぜひともクドカンのすごさを堪能してほしい。 ひとつ残念なのは、これだけ有名人を出しているのだから、バーテンはぜひともクドカンとも親交のある及川光博にしてほしかったところ。こういうチョイ役よくやってるのになあ。忙しかったのかなあ。 とにかく面白いです。イケてます。イチオシのギャグはナカムラ父の「夜でもアーサー」。 【パブロン中毒】さん [CS・衛星(邦画)] 10点(2007-12-24 15:51:16) (良:2票) |
70.《ネタバレ》 見終わって、しばし絶句。思わせぶりなモノクロ映像から始まるものの、その実まるで陰影のないペラペラの画面。もはや“破綻”などということ自体が空しくなるほど、いきあたりばったりの展開。意味深のようで、いきなりナ~ンチャッテと足下をすくわれるだけでしかないエピソード。テレビの最悪な部類のバラエティ番組に比べても「笑えない・面白くない・痛い」コント風の意味不明なシーンの数々…。なんだコリャ、悪い冗談か? と思われても仕方あるまい。 しかし、ここまで見る者に居心地の悪い思いをさせつつ、その“居心地の悪さ”には、一方で不思議な切実さというかなまなましさがある。そう、もはや失笑すら出ないような、ほとんど“不愉快”なまでのこの映画が持っている<感触>を、ぼくたちはすでに知っているじゃないのか。何故なら、それはぼくたちがこの「現実」を生きていく上で多かれ少なかれ常に感じている<感触>、笑えないコントの連続めいたリアリティの希薄なこの「現実」そのものの感触に他ならない…。 主人公の弥次さん喜多さんが、何を求めて旅を続けていたかを思い出そう。彼らは、すべてがナンセンス(=無意味)な“この世”にあって本当の「リヤル」を探していたのだった。その時、そんな二人をとりまくナンセンス(=馬鹿馬鹿しい)な事件や脱力ものの展開は、カタチこそ違えど、家庭で、学校で、職場で、あるいはこの社会のどこであれ、日々ぼくたちが遭遇し、感じているあの「気分」…リアルなものの薄っぺらさや嘘っぽさを、これ以上なく「リヤル」に表象したものとして迫ってくるのだ。 監督・脚本のクドカンは、はじめから「良い映画」なんて撮ろうなんて思っちゃいない。彼はこのフィルムに、この今という「現実」そのもの(の「気分」)だけを切り取り(=撮り)、映し出そうとした。不快で不愉快でまったりと希薄なその<感触>を、そのままこの男の「天才」はフィルムに描きとったのだ。…もしアナタがこの映画を見て不快や不愉快な思いにとらわれたなら、それは間違いなくこの映画における「正しい」見方なのです。ぼくたちは、こんな不快で不愉快な「現実」を生き、でもどこかで本当の「リヤル」を夢見て生きている。そう考えると、とても「泣ける」映画じゃありませんか…いや、マジで。 【やましんの巻】さん [映画館(字幕)] 10点(2005-04-19 21:47:26) (良:2票) |
69.《ネタバレ》 原作未読のうえでの感想です。この作品、最初はいい意味で単なる「おバカ」映画と思って観たのですが、まったく違いました。これから観ようとする方は、必ず最後まで作品をご覧になることをお勧めします。前半と後半ではまったく趣きが異なります。ただ、面白いかどうかは人によります。(以下ネタバレを含みます。あくまで私個人の捉え方ですので、的はずれかもしれません。)本作のテーマは「現実(リアル)」とは何か?です。喜多はドラッグにより、弥次は旅することにより、向き合いたくない「現実」から逃避しています。つまり物語で起こっているほとんどの事象は2人にとって「現実」ではないわけです。こう考えると時代設定無視の事柄も「現実でない」ことを端的にあらわしているといえます。弥次は向き合いたくない現実(妻殺し)と向き合うことで「現実」を取り戻す(死後の世界から生還という形態)一方、喜多は向き合いたくない現実(弥次殺し)から逃避することで、別の「現実」を得ようとします。こうしてみると「現実」とはいかに不確定なものかが分かります。実際、作品中のあるべき「現実」を取り戻した後も、弥次喜多2人はいるはずの無いピンクの像にまたがり、あるはずの無いバイクで疾走しています。「現実」か「現実」でないかは観客本人が決めること。あなたは「現実」を生きていますかと問われている気がします。考えすぎかな。もっと単純にわははと笑うのが正しい見方かもしれません。 【目隠シスト】さん [CS・衛星(邦画)] 7点(2006-05-02 00:07:49) (良:1票) |
68.おそらく今までで一番レビューが書きにくい作品かも・・・。ギャグ満載でありながらひたすらシュール。まるで幻覚剤でも飲んでしまったかのよう・・・リヤルって、いったいなんでしょう。 【シェリー・ジェリー】さん [映画館(字幕)] 8点(2005-05-23 15:09:11) (良:1票) |
67.今更こんな事言うのも気恥ずかしいけれど、現代はやっぱ「不安」の時代だ。人々を強く結束させるような強い求心力を持った明確な指針もイデオロギーも思想も宗教もなく、人々はそれぞれ孤立化を深める。そんな中で、例えば超能力や占いのような人知を超えて(?)自分を導いてくれるようなものがもてはやされたりする。また純愛モノを始めとする「泣ける作品」が流行っているのも、「泣く」というプリミティヴな行為で自分を解放し、束の間の「生の実感」を味わいたいが為なのかもしれない。流行と言えば、今お笑いがブーム、とされているけれど、今までのブームと違って「このブームはいつかは終わる」という事を(観客も演じ手も)薄々感づいていて、それでも「ブーム」が感じられている中、半ばヒステリックに騒いでいる、ように思える。んで、この作品の中のどれでも良いけど、例えば板尾創路演じるさっぶい芸人とか、顔も知らないのに清水の次郎長の追っかけをしている女子高生軍団とか、或いは薄っぺらい書き割りのような「現実」とか、どれを取っても非常に「現代的」だと思う。弥次さん喜多さんは最終的に「互いに愛し合うこと」が自分たちにとっての「リヤル」だ、という結論に至ったけれど、んじゃあ、ぼくやあなたたちにとっての「リヤル」はどこにあるんだろう?きっとそれぞれの中の「お伊勢さん」を目指してあがくしか、ないんだよな・・・ってな事を、帰り道に考えながら自転車を走らせた、ぐるぐるさんなのでした。 【ぐるぐる】さん [映画館(字幕)] 8点(2005-04-28 22:45:04) (良:1票) |
66.原作漫画がかなりぶっ飛んでいるので、未読の人間にはキツい内容。 メタ要素を用いた、ドラッギーでシュールな展開が続くも記憶に残らない。 リアルがどうとか、「あとは勝手にやってください」としか言いようがなく、 原作漫画や脚本家のファンでなければ無理に見なくても良いと感じます。 |
65.《ネタバレ》 これは観る年齢によって評価が大きく分かれる映画だ。20代で観たなら面白おかしく観れたであろう。しかし、40を超えたおっさんが観るのは時間がもったいなく感じる。残された人生のうち、映画を観れる時間がどれくらいあるのか分からないが、少なくともこの作品を観てる場合ではない。 【いっちぃ】さん [CS・衛星(邦画)] 3点(2019-07-15 03:00:13) |
64.《ネタバレ》 馬鹿馬鹿しい映画だが 、それなりに面白い。主役二人がもう少し弾けていたなら。モンティパイソンまで行かず。 【にけ】さん [映画館(邦画)] 6点(2019-01-26 22:41:27) |
63.《ネタバレ》 うわ、感想書きづらいなぁ。常軌を逸したシーンの連続は単純に面白いし、こんな展開を思いつく創作力には感心します。長瀬のキレの良い「てやんでぃ」にも感心しましたよ。でも、それらを繋げると捉えどころが無くなり、鑑賞後に何も残っていないです。「リアル」の探究も、命題だけをぶん投げてトンズラされた印象。私の感受性の範囲外、あるいは分析能力の欠如なのかも知れませんけど、映画を創ってる人たちの「リアル」と世間99%の庶民の「リアル」は定義が違うんじゃないか、なんて思いました。少なくとも、親切な映画ではないですな。 【アンドレ・タカシ】さん [CS・衛星(邦画)] 5点(2013-06-26 00:44:14) |
62.《ネタバレ》 シュールだ・・・。 説明できないけど、こういうのが好きな人と見に行ったらものすごく楽しいです。 長瀬君がいい感じです。弥次さんかっこいい・・・。一瞬ファンになりそうでした。 ただちょっと内輪ネタ?多すぎでクドカンファンというわけではない人がいきなり見てもちょっとついていけない感があります。お父さん(勘九郎(当時))出てきちゃうし。 ラストのほうほんとにはちゃめちゃで深いんだかなんだかわかりませんが、見終わった後変な爽快感がありました。 しかし月日が経って覚えてるのはなぜか、小池栄子が演じてたおかみさんがお米をとぎまくる鬼気迫る姿なのでした…。怖かった。小池栄子演技派なんじゃないかと思ったシーンです。 【ぺーこ】さん [映画館(邦画)] 6点(2013-01-04 12:54:40) |
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61.随分前削除して再投稿/「オールドボーイ」の監督が雑誌で、日本のマンガ界には世界で一番の才能が集まっているとお世辞でしょうが言ってました。その言葉が正しいとすればマンガの原作がやたら多い昨今の映画やドラマは傑作連発してもおかしくないと思うんですけど・・・傑作なんてありますか?。この映画はかなりマシな部類で評価しますが良いとは思えません。私は本作の映像は部分的なイメージについては、原作の世界を表現するべく頑張って、さらにマンガの原作には出せない映像表現ならではの魅力がある気はするんです。技術的なことは知りゃしませんが森の中のバーや三途の川とかキレイだと単純に思いましたから。しかし、作品の姿勢といった点で私には気に入らないところがあります。まず、なんか劇団仲間とその知り合いたちの馴れ合いみたいな雰囲気が漂っている気がします。(そこがむしろ良いのかもしれませんが)。それから、なんだか手抜きに見えるような引っ掛かるところが多すぎる。二人がつながった手は作り物にしか見えない。喜多さんに生えたキノコは食い物には見えない(見えるかな?)。腕に顔がはえてるようには見えず、CGはCGにしか見えない(私はハリウッドは絶対バカにはできないと思う。)。これってどうなんでしょう?。つながった手は筋肉の動きが判るほど「リヤル」で、キノコは植物には見えるべきじゃないでしょうか?。CGはあまりにCGと判りすぎちゃダメじゃないでしょうか?。ワザとあんなふうにするのもありでしょうが、この映画の内容からしてそういうところで興ざめしたりひっかかったりするのはおかしいと思うんです(むしろ絶対に感心させるほどでないとダメ)。スターウォーズのキャラがコスプレに見えたりしたらそこで終わりであるように。ど~せワザとやっててそれも表現の一つなんでしょうね(そうなのかな?)。そこを軽いノリでやり過ごすのが今の「センスある」映画なんですかね。でも、手抜きや妥協に見えませんかね?。どこか私ら観客を舐めてませんか?。もし予算も技術もないからできないのならこの原作でこういう映画作んなくて結構じゃないでしょうか。他にも不満な点あるんですけど、たぶん私ごときには監督の溢れるセンスは理解できないのでしょう。個々の役者は頑張ってたんじゃないでしょうか。 【しったか偽善者】さん [DVD(邦画)] 5点(2011-04-05 09:08:24) |
60.なにも考えずに、話を追おうともせずに観れば楽しめる映画。 話は飛び飛びかつ薄いが、キャストが豪華。故に、俳優陣の演技を楽しむ作品だと感じた。 劇中歌は笑える歌ばかりで、見終わっても頭に残る。 |
59.《ネタバレ》 なんというか・・・やりたい放題。本当に馬鹿馬鹿しいし、観てるこっちが恥ずかしくなるようなシーンばかりだった。これはクドカンの自己満映画? 【eureka】さん [DVD(邦画)] 3点(2010-09-29 22:15:35) |
58.《ネタバレ》 ストーリーは追いにくいし、いきなり歌ったり踊ったりインド映画みたいなノリもありますが、 演者の壊れっぷりと、小ネタはいちいち面白く書き切れないほど笑わせてもらった。 ヤジキタが同性愛であることって必要有るのかな?と思いながら観てたら、終盤、急に愛について問いかけるシーンになった。当然、急激につまらなくなった。 原作好きな人には申し訳ないが、普通に弥治さん喜多さんのドタバタロードムービーで良かったと思う。 【バニーボーイ】さん [DVD(邦画)] 6点(2009-10-19 22:06:07) |
57.原作マンガは好きでした。これはちょっと「TVのお笑い」っぽくて嫌だ。 原作ファンには、ドロドロした毒が抜けていて、話がこじんまりとしているようにみえるし、原作を知らない人には逆に「意味がわかんない」と言わせてしまう、中途半端! 【紫電】さん [DVD(邦画)] 4点(2009-10-08 23:08:09) |
56.もうやりたい放題やね。観終わった後に残る、この嘘寒~い虚しさは何??? 俺としちゃあ、同時上映の『ベン・ハー』の方が観たかったな。その方がよっぽど有意義な時間を過ごせそうだわ。w 【TERRA】さん [CS・衛星(邦画)] 3点(2009-07-22 02:12:38) |
55.あんまり笑いが合わなかったです・・。始終ついていけなかった。 【まりんこ】さん [DVD(邦画)] 4点(2009-01-13 00:55:10) |
54.哲学的というかポストモダンというかメタフィクションというか、どうでもいいんだけど、あんまり面白くなかった。ごめんなさい、ということでこの点数。 【フライボーイ】さん [DVD(邦画)] 3点(2008-09-11 07:20:28) |
53.《ネタバレ》 そういや友達がおもしろいって言ってたっけ…どうだかなあ、とろくに期待もせずにチャンネルを合わせた本作。こんなにおもしろいとは思いませんでした。開始直後に感じた後悔(ごめんなさい)は物語が進むにつれてどんどん払拭されていき、クセの強いテイストの中に潜む風刺、皮肉、哲学的テーマにどんどんはまっていきます。幻覚だと分かっていてそれを追い求める登場人物たち。米を研ぐ音。二人は本当に相思相愛だったのか。最後が全然ハッピーエンドじゃないところも素晴らしいです。いい映画を見ました。ただ、この感想は友達が求めているものとは全く違うんだろうなあ。クドカンは歯がゆい鬼才ですね。 【デルモゾールG軟膏】さん [CS・衛星(邦画)] 8点(2008-08-28 16:10:34) |
52.クドカンって生粋のコメディー人だとばかり思っていたので、本作のブラックさにはちょっと驚いた。同じコメディー脚本家でも、三谷幸喜とはかなりベクトルを異にする作家なのだと改めて思い知らされたというか。もちろんクドカンらしく笑えるところは盛りだくさんなので、お笑いを期待して観ても損はないと思うが、私は観た後正直ちょっと凹んだ。 |