28.「すべての川は同じ海に注ぐ」「笑ってごらん、幸せになれるから」。 人生を悟りきったかのようなイブラヒムおじさんの言う数々の言葉に含蓄があって味わい深い。 ユダヤ人の少年を養子にするイスラム教徒のおじさんという設定といい、人種や生まれた土地など違えどみんな同じ人間だよ、というようなおおらかなメッセージが込められているようです。 おじさんはコーランに学びますが、そもそも宗教と哲学は人の生き方などについての指針となるところで共通するところも多くどの道をたどっても根本はそう大差ない気がします。 愛情に恵まれない少年に大きな慈愛を注ぐイブラヒムおじさんのオマー・シャリフは存在感があってとてもよかった。 終盤の展開にはびっくりさせられたがちょっと狙いすぎ?という気がしないでもない。 【キリコ】さん 7点(2005-02-07 19:28:05) (良:1票) |
27.60年代初頭のパリの裏町を舞台に、家庭に恵まれない孤独な少年と、彼に愛情を注ぐイブラヒムおじさんとの心の交流を描く・・・というといかにもありがちな話ではあるのだが、込められたメッセージはあまりにも深く、重い。最後の肉親であった父親に裏切られたユダヤ人の少年は、異教徒であるイブラヒムおじさんの養子になりたいと願い出る。彼にとってユダヤ人としてのアイデンティティは家族の裏切りによって完全に否定され、イブラヒムおじさんこそが彼の欲していた全てを与えてくれる存在であったことになる。だが人生に必要なものは全てコーランの中にあると言い切るイブラヒムおじさんの孤独な半生が明らかになるにつれて、実は少年モモの存在こそが、おじさんの人生にコーランだけでは決して与えられなかった最後の一片であったことがわかってしまう。二人の旅するおじさんの故郷、そこは赤茶けた大地の中にわずか4、50軒の家が肩を寄せあう貧しい村だ。その村からフランスに渡り、何十年もの歳月を黙々と働き続けて来たおじさんにとって、モモはその長い人生が決して無駄ではなかったことを証明する一つの光明でもある。底辺で生きる人々のささやかな幸福を描いた作品はいつも、心の中に一筋のやるせない翳りを残し続ける。パリの裏町でひっそりと数十年間に渡る地味な人生を歩き続けたイブラヒムおじさんの孤独は、オマー・シャリフの名演技と共に永く記憶に残り続けるだろう。 【anemone】さん 9点(2004-11-30 01:12:01) (良:1票) |
26.《ネタバレ》 少年側も老人側も、何とも描写が観念的で、設定ありきで進んでしまっている。肝心の父親の失踪という分岐点からしても、ごくさらっと流れているので、その後も予定調和的であるし、感動も湧いてこない。 【Olias】さん [DVD(字幕)] 3点(2019-12-14 00:53:20) |
25.「アラビアのロレンス」から40年たつと、オマー・シャリフもこんな感じに。 「宗教(キリスト教・イスラム教・仏教)と文化」の三部作の著作をもつ監督の作品は、とりたててイスラム教プッシュではなく、そこここにエッセンスが置いてある感じ。 前半はロベール・サバティエの「ラバ通りの人びと」のような懐古的なパリの裏通りものでもあり、30年代のラバ通りに対してブルー通りには60年代の活気とカルチャー。 神経衰弱の父と暮らすモモが貯金箱をこわして街娼たちに近づくのは、母の匂いを求めてでもあるのだろうし、孤独な少年の人生はストリートにある。 通りをへだてたイブラヒムおじさんの小さな雑貨店にはところせましと商品が並べられ、なつかしい雰囲気。 手くせのわるいモモへの「万引きを続けるなら、うちの店でやってくれ」は、他の店でしょっぴかれないようにとの心遣い。 「アラブ人じゃあない」とも、トルコ商人の彼にも国の誇りがあるのだ。 厚化粧とカツラで若い女優に化けたイザベル・アジャーニが、映画ロケの合間にふらりと訪れたりも。 後半はためたお金をはたいて赤いスポーツカーを買いこみ、父も失ったモモとの故郷への旅。 イスラム世界に浸透していくユダヤ人のモモとイブラヒムとの養子縁組は、人種の壁に阻まれるのが苦い。 痛ましい結果におわるその旅でモモに残されたものは。 心の父イブラヒムと同じ言葉を口にし、ブルー通りに佇むモモには思い出と居場所がある。 【レイン】さん [DVD(字幕)] 8点(2013-10-08 07:00:03) |
24.少年が娼婦と交わるまで、その少年の大人になる色んな過程があるかと思ったが、娼婦のシーンがピークでそれ以降何も無かった、もうちょっとメッセージ性や展開があってもいいのでhないか 【カップリ】さん [DVD(字幕)] 4点(2013-07-15 14:04:47) |
23.《ネタバレ》 フランス版「ハロルドとモード 少年は虹を渡る」みたいな。大人の階段のぼるぅ~君はまだ~シンデレラさぁ~♪とちょっと口ずさんでしまうような、娼婦と寝てテンションアゲアゲな16歳の少年の淡い思い出ストーリー。イブラヒムおじさんがええ味だして人生の素晴らしさを伝えていく様は淡々としてますけどフランスらしい明るい映像が何とも言えない雰囲気を醸し出してるように思います。ちょいとした唐突感は否めませんが展開は悪くないだけにまぁまだマシか。 |
22.激しい性衝動に翻弄されるユダヤ人の少年が大人になっていくさまを、イスラム教徒であるイブラヒムおじさんとの男同士の友情の中で生き生きと描いていきます。ラストも素敵で忘れがたい映画となりました。 【きのう来た人】さん [DVD(字幕)] 7点(2009-03-04 06:43:26) |
21.おじさんというよりおじいさんだよねぇ。難しいのかよく解らなかったです。前半は好きな雰囲気が出ていたのですが。 【色鉛筆】さん [DVD(字幕)] 2点(2008-12-26 09:41:25) |
20.ジャケやあらすじはすごく良さそうなのに、観てみると、「・・・は?」って感じ。 舞台も設定も役者の雰囲気も良いのに、どのシーンも何が言いたいんだかさっぱり。 本当に中身が無くてポカーンとした。 【祥子】さん [DVD(字幕)] 4点(2008-06-26 17:56:32) |
19.モモの父親とイブラヒムおじさんから、思春期の娘と息子を持つ者として、親としての自身を省みて、足りない所を気づかされる作品でした。「悲しいから泣くのではなく、泣くから悲しいのだ」と常々思っており、苦しさの先に楽しさがあるとの考えで接してきました。今日からは、それに「幸せだから笑うのではなく笑うと幸せになれる」をプラスしていく事を、軽快な音楽と淡々とした展開の本作のように肩肘張らずサラリと実行していきたいです。ところで、私はあの女優がアジャーニとは気づきませんでした。出演に感謝です。 |
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18.《ネタバレ》 ある意味すごく難しい映画でした。自分には、“イスラム”と“ユダヤ”のキーワードが持つ意味が分かりません。肌で理解できない。この部分をスルーしてしまうのは問題ありだと思いますが、背伸びして解釈するのも恥かしい。なのでこの要素については、無視します。浅い観方をしていると思いますが、ご容赦ください。本作はイブラヒムおじさんと少年モモの交流のお話。孤独なイブラハムと、父を亡くした少年。お互いに子を、父を、必要としていたもの同士の結びつき。イブラヒムは異国の地の片隅で細々と商いで生計を立てています。大して儲かるわけではありません。でも現金で高級車が買えるくらい蓄えはあった。すなわち、儲けたお金の使い道が無かったということ。これは悲しいことだと思う。せっかく儲けたお金なのに使えない。使うあてがない。それはお金だけではありません。経験という財産もそう。彼は探していたのだと思います。彼の得てきたモノの使い道を。死んでしまえばそれまで。蓄えてきたものが、無駄になってしまう感覚がある。だから、有益な使い道を求めた。それは、自身の人生を肯定することに繋がります。ある程度年をとると、そういう心境になる気がします。ですからモモという後継者を得たイブラヒムは、幸せだったと思います。一方のモモも、実の父親から得られなかった愛(全肯定してくれる無償の愛)と扶養主を手に入れて幸せだったはずです。ラスト、家業を継いだモモの姿に笑みがこぼれます。ああ、人生は繋がっている。ハッピーエンドです。ただし、モモが自らに意思で店を継いだのかどうか。自我を確立する時期に、実の父親が不在だったこと。それにイブラヒムの死により、彼の人生の選択肢が制限されてしまったように思います。もちろん、そういう人生も決して悪くありません。誰もが無限の可能性を持っているわけじゃない。ただ、モモが人生の選択を“自ら選んだ”と思わせてくれる何かが欲しかった。借り物のアイデンティティだとしたら、ちょっと悲しい。 【目隠シスト】さん [DVD(字幕)] 6点(2007-09-14 23:02:48) |
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16.ただひたすら、老いたオマー・シャリフを見るための映画でしかない、と思いました。・・・・・・それ以外は、パリの裏通りやトルコやらの、色々な風景がそれなりに綺麗なだけで、ストーリーも展開も、とてもつまらない。・・・・・でも、老いたオマー・シャリフは見るに値する。・・・・・・・ロレンスやジバゴのオマー・シャリフです。・・・・ドクトルジバゴの最後のシーンで、老いたジバゴは、路面電車からラーラの姿を見たかと思って老いかけ、倒れます。あの老いたジバゴと、この映画のオマーシャリフは、違う。・・・・もちろん、老いたジバゴは、若いオマーシャリフのメークからなっているけど、実際の老いたオマーシャリフよりも、もっと、もっと孤独で、心がすさんでいるいるように見えた。・・・・・・実際の老いたオマーシャリフは、なんと心広く、豊かに年をとったことだろう。ヨーロッパの現状である文化差別、貧富の差などを全部つつみこんで、なおにこやかにしてしている、そういう広さと深さが、この映画のオマー・シャリフから伝わってくるようでした。・・・・・・・(もしオマーシャリフ以外の配役だったら、2点とか3点をつけてもいい映画かもしれません) 【王の七つの森】さん [DVD(字幕)] 8点(2007-03-14 14:30:22) |
15.こんな人と出会えて良かったと思えるようなイブラヒムおじさんだけど、最後は唐突では?フランスらしく映像がカラフルで、街並みもよかった。コーランを読むのを強制はしないけどじわじわと影響を与えていく過程は良かった。 【Michael.K】さん [DVD(字幕)] 6点(2007-01-20 18:46:58) |
14.パリに住むユダヤ人とトルコ系のイスラム教徒との触れ合いという設定は良いと思うのですが、話の焦点がまとまってない印象を受けました。 ただ、音楽の使い方や映像が非常にポップな感じが出ていて、さすがフランスといった感じでしたね。 【TM】さん [DVD(字幕)] 6点(2006-12-21 12:02:58) |
13.「フランスを舞台に」「ユダヤ人の少年が」「アラブ人のじいさんと交流する」ってトコがミソなんだろうという事。アタマで「考え」れば、そうなんだろうけど、「感じる」ところまでは至らないのが、まあ、我々との接点の乏しさ、伝わりにくいものもあるのかなあ、と。もしも、私がフランス人で、この映画を自国内の出来事として観ていたら、もっと映画との距離が近づいて、色々と「感じる」ものもあったのかもしれない・・・そんなことも、やっぱしあくまで「考える」だけであって、実際に「感じる」までには至らない。また、この映画との接し方に戸惑う点は、そういった距離感だけではなく、まるで家庭用ホームビデオで撮ったかのような、カメラがフラフラと被写体を追いかける、ポップな演出、これもそう。もしかして、「ユダヤ⇔アラブ」という微妙な問題を、ことさら深刻に印象付けない、毒消しのための演出なのか?ってなことも、やっぱり、「考えて」しまう。後半、唐突に旅に出る、この性急さ、これも同様の意図かもしれないが、やはりこの演出の軽さには、とりあえず、違和感を感じた、というのが正直なところ。ただ、それまでフラフラしていたカメラが、オジサンの故郷のシーンで急に動きを止める(固定カメラ連発)のは、雰囲気を大きく変え、これはとても印象に残りました。最後に、「もし自分がユダヤ人なら、あるいはアラブ人なら、この映画をどう観ただろうか」ってなことも、どうせわからないながらも、やっぱりこれも「考えて」みたいところ。 【鱗歌】さん [DVD(字幕)] 6点(2006-03-04 12:16:09) |
12.《ネタバレ》 好きなタイプの映画だろうと期待してみていたけど、いくつかの印象的な台詞以外なにも残らない映画でした。イブラヒムがモモに親切にする必然性も感じられなければ、故郷に着いた途端に死んでしまう唐突さもなんでって感じです。母親の出てくる場面で兄はいないということの説明もあやふや。娼婦達とのやりとりも、さして面白くないし、ラストをトップと同じようなシーンで終えるところも苦手。一番残ったのはジミートーマスの70年代のヒット「ホワイ・キャンと・ウィ・リブ・トゥギャザー」のリズムトラックでした。 【omut】さん [CS・衛星(字幕)] 5点(2006-01-02 00:11:30) |
11.確かに、イザベル・アジャーニにはびっくりした。 映画は淡々と進み後味のいいものでした。 【かじちゃんパパ】さん [DVD(字幕)] 7点(2005-12-05 13:30:35) |
10.えええっ、イザベル・アジャーニっっ(驚)!? うそっ(笑)。おしゃれで綺麗じゃないおじさんのお店がいいなぁ・・・ただ、なんかタイミングが悪かったのかあまり響かなかった・・・。 【ジマイマ】さん [ビデオ(字幕)] 6点(2005-11-22 22:11:43) |
9.《ネタバレ》 最初から最後まで、面白いと思える点が一つもない映画でした。父親の失踪も自殺も、養子になるシーンもあまりにもサラリと描かれていて感情移入できずに終わってしまったし、ラストシーンでは、イブラヒムおじさんはただの無責任な大人、というふうに私には見えてしまいました。このページを見てはじめて、「ああ、こういう見方をすれば面白いと思えるのか・・・」と目からウロコが落ちたくらいです(いやみではありませんが不快になってしまったらごめんなさい)。パッケージに書いてあったテーマのようなものも、全く感じ取れずに終わってしまい残念です・・・。 【ジャスミン】さん [DVD(吹替)] 0点(2005-10-10 23:22:32) |