35.《ネタバレ》 本作には2人の主人公がいます。ともに復讐者であり、復讐される者でもある。彼らに感情移入し、憐れむことができるのか。聾唖者の青年(緑髪)の境遇には同情する。彼が闇の臓器売買人に対して復讐するのは理解できる。でもそれ以上に彼の犯した罪は重い。子供を死なせてしまったのは、100%彼のミスです。彼が殺したのも同然。彼は復讐されて然るべきです。ですから憐れむ余地はない。では、子供を無くした父親のほうはどうか。警察に怨恨の可能性を聞かれ、「自分は真面目に生きてきたつもり」と話します。踏みつけきた人間の痛みを、気に留めていないということ。その姿勢には眉をひそめます。でも誘拐はそれに見合った罰ではない。彼が復讐に走るのは理解できます。娘の命を奪った奴らは、みな苦しんで死ねばいい。そう思うのは当然です。しかし復讐が成されても、娘が帰ってくるわけではありません。より深い傷を心に負う。だから復讐は悲しい。ですから、本作の着地点は甘いと思います。ソン・ガンホを殺してしまっては意味がない。あれでは彼に赦しを与えているようなもの。彼にはあの刺客4人を返り討ちにして欲しかった。復讐連鎖のテーマにも沿うし、復讐の虚しさもより強く打ち出せたと思います。人を殺めた事実に苛まれて生きていくほうが、よほど辛い。自分は生きている人を憐れみます。 【目隠シスト】さん [DVD(字幕)] 7点(2007-09-29 19:01:25) (良:2票) |
34.《ネタバレ》 腎臓売買で騙されたリュウと、娘を失ったドンジンの復讐劇が交錯するストーリー。 暴力と血にまみれた救いのない映画なんだけど、なんだか切ない。 どちらも殺したくなる動機は十分に共感できる。 悪意はないのに事がどんどん悪い方向に転がって、こんなはずではなかったという嘆きが聞こえてきそう。 ドンジンはリュウに共感を覚えながらも、どうしても許せず報復せずにはいられなかったことが悲劇を招いた。 ヨンミ(ペ・ドゥナ)がリュウに警告した実態のない組織の報復が、ラストで腎臓売買の組織にすり替わって実行されたのがシニカルで面白い。 ヨンミのナレーション通りに組織が実在していたともとれるが、あの連中はどうみても革命家には見えない。 ヨンミの台詞の回想は、ドンジンが相手をヨンミの属する組織と思い込んだにすぎないのではないか。 つまりは、勘違いやすれ違いが生んだ悲劇の連鎖がラストまで続いたとも言える。 ペ・ドゥナは独特の存在感があって魅力的。 ベッドシーンも大胆で思い切りがいい。 【飛鳥】さん [DVD(吹替)] 8点(2013-01-11 19:53:42) (良:1票) |
33.3部作、ようやくこれで全部観ました。この作品が一番、と評価されている方も多いのですが、私はこの「間の長さ」が結構辛かったです。復讐のオンパレードですがそれぞれのエピソードがうすくて人物がよく見えない。監督独特のブラックユーモアは許容範囲だけれど、オールドボーイのエンターテイメント性もなく、クムジャさんの「積年の恨み」も見えず、ただただやられたからやり返す、という流れが好みではありませんでした。期待しすぎたのかも・・・。 |
32.工場から疲れきった労働者達がうつろな表情で休憩へと向かう。暗がりの中での作業だったため、突然の太陽光線に目がなかなか開かない。ここまでカメラは一度も切れずに労働者が歩くさまをずっと追う。そしてほんの一瞬くつろいだかと思うと、次の瞬間はもう働いているシーンになる。この数分でこの監督は只者じゃないと思った。いや、そんなことは「オールドボーイ」を見たときから分かっていたけど、こういうリアリティを表現できる人だとは思わなかった。この映画の世界観は音がほとんど構築している。乾いた機械的(川の流れですら)な音や音楽は、救いようのないこの映画の身体感覚と常に共鳴しあっていた。例えば、バッティングセンターで聴覚障害の主人公ががむしゃらにバットを振るシーンや、愛する娘の司法解剖に立ち会うソン・ガンホの表情、川の中での処刑シーン、そして手話しながらのセックス。これには驚いた。この緊張感の中でそんなユーモアはありなのかと。唐突な緩急であるが、ぶち切れてるユーモアはいつも狂気と繋がっているものだ。演じた役者達も凄い。ソン・ガンホが凄いのは知ってたけど、あの緑髪の役者も狂気と優しさの境界をうまく演じていた。優しい異常者ってのはパク・チャヌクの得意技なのか。そしてやっぱりペ・ドゥナでしょ。「子猫をお願い」で瑞々しい役を完璧にこなしていたけど、ここでは一人ぼっちの革命家を演じている。カワイ過ぎ。このミスマッチぶりが映画内の緩衝材になっていて心がなごむ。ビラ配りも手馴れたものだ(笑)そして彼女が最初にワープロで打っていた判決状がなんと恐ろしいラストへの引き金となる。「オールドボーイ」から復讐の美学だけ抜き取り洗練したら、業の深さでなく業そのものが見えたという感じか。万人ウケはしないけど、「オールドボーイ」が好きな人は死んでも見るべし。 【Qfwfq】さん [映画館(字幕)] 8点(2005-03-22 13:03:05) (良:1票) |
31.バキバキ、バキバキ。。。本当にこんな音するのかな? 【マー君】さん [DVD(吹替)] 4点(2016-08-06 12:21:51) |
30.《ネタバレ》 聾唖の青年は"純真"だったが"無知"だった。 でなければ、こんな悲劇と報復の連鎖を招くことはなかったかもしれない。 病床の姉を想うが故の、たった一つのボタンの掛け違えが大量の死体を生む。 コーエン兄弟を思わせる底意地の悪いユーモアが、貧困を背景にした悲惨な物語を一層際立たせる。 (社長を刺し殺した男達は恐らく解雇された労働者だろう)。 次回作の『オールド・ボーイ』同様、パク・チャヌク監督の丁寧な撮影構図が光り、 幾重に折り重なった復讐劇を描いた本作の完成度は高い。 劇画タッチとは程遠いリアル志向の容赦ない暴力描写が復讐の虚しさに説得力を出しているよう。 それでもやってしまうのが人間の性だろうし、 キリストの如く全ての業を背負うように死んでいく社長は、果たした復讐に対して安らぎを得たかもしれない。 |
29.《ネタバレ》 最後の4人は誰なんだ!こればかり気になってペデュナの裸が吹き飛んだー!誰かなんとかしてくれい! 【JF】さん [DVD(字幕)] 7点(2015-06-22 14:56:53) |
28.不幸の不幸な連鎖。万人向けでは確実に無い映画だが、不快な余韻をじわりと残す良作。 【Junker】さん [DVD(字幕)] 7点(2014-06-21 16:26:17) |
27.《ネタバレ》 絵が良い。ゴタゴタの間の悪い話はありきたりだが、テンポよくシュールにまとまっていてセンスの良さを感じる。 【afoijw】さん [DVD(字幕)] 7点(2013-06-22 04:15:54) |
26.《ネタバレ》 カタルシスなんて物はない、ほんとただ憐れ。なにもかもタイミングが悪く、誰もが復讐するに値する理由ができてしまった。エンドロールに被る、声にならない間際のうめきが夢にまで出そうです。 |
|
25.ソン・ガンホと現代韓国映画ファンなので見た。以外や北野武の映画を思い出させれる映像でした。影響受けていると思います。シリアスとブラックジョークが消化しきれていない感じも見受けられましたがこの監督の他の作品を見てみようと思いましたよ。 【仏向】さん [DVD(字幕)] 7点(2011-01-19 00:18:30) |
24.オールドボーイ→クムジャさん→本作という順番で観たのだが、復讐三部作のデビューである本作からすでに、パク・チャヌク色はバッチリ確立されていると感じた。少し距離をおいたようなカメラワーク、手抜きの無い暴力描写、独特のテンポによるスピーディな展開、そして全体から常に漂う「血」の香り・・・。この監督の映画は無駄なシーンがそぎ落とされているので、一気に最後まで見せられてしまう。 本作ももちろん十分楽しめる作品に仕上がってはいるが、どうしても次作「オールドボーイ」があまりに傑作すぎるため、少し地味目な印象は否めない。こちらの予想を良い意味で思いっきり裏切ってくれるような、そんな展開は正直本作には無かった。 ソン・ガンホ、ペ・ドゥナをはじめ、俳優陣の演技は非常に良いです。 【おーる】さん [DVD(字幕)] 7点(2010-12-21 18:02:03) |
23.《ネタバレ》 あんまり面白いとは思えず5点だったが最後で+1点。あれウソじゃなかったのね。 とはいえ、復讐3部作の中では一番良い出来だと思った。 緑髪のフルーツポンチ村上が出てくるのだが こいつがフルーツポンチのコントで村上がやってるウザキャラ以上に バカでヘタれでウザい。そう見えるってことは演技上手いってことだな。 父親役の人は日本で公開される韓国映画によく出てるがこの人も演技上手。 娘の検死解剖を見ていたが、希望すれば韓国では見せてもらえるのか? 【虎王】さん [DVD(字幕)] 6点(2010-07-21 17:25:31) |
22.《ネタバレ》 復讐三部作、これだけ何故か避けて(だってストーリーが・・)来ましたが、やっと観ました。 あれだけ凄まじい事をしているのに、映像に脂っ気が無く、終始淡々と、淡々とラストまで進みます。まるでドキュメンタリー映画の様に。そのせいか、派手な怖さは全くありませんでした。でもそれが本当は一番怖い。妙に身近に感じられるから。又、精神的に避けたいもの、見たくないものをわざわざ「ほ~らっ」と眼前にさらさたような拷問を受けた感じがしました。 愛する者を奪われ、頭の中には「復讐」しかなくなって、行動に移すリュとドンジン。その姿にはタイトル通り「哀れみ」しか感じられません。そして、、結局皆死んでしまった。微塵も救われない。。 要所要所に「?」的なシーンがありましたが(自分が理解出来なかっただけかも知れませんが)、やはりこの監督のセンスには痺れます。 リュがエレベータ内で、ヨンミの亡骸とそっと手を繋ぐシーンには「う~わ、これは凄い!!」と思わず唸ってしまいました。 時々無性に韓国映画を観たくなるのは、こういう作品があるからだと痛感しました。 【夜光華】さん [DVD(字幕)] 7点(2009-10-22 01:16:59) |
21.復讐が復讐を呼ぶが復讐からは何も生まれない。この言葉につきると思います。ペ・ドゥナがすごい良かった。 【茶畑】さん [DVD(字幕)] 7点(2008-10-26 16:47:35) |
20.韓国映画はエンターテインメント性という部分においては日本の娯楽映画のそれよりも徹底していると思う。この映画も題材にそぐわぬエンターテインメント性を爆発させている。でも、私は戸惑いを覚える。素直に楽しめない。復讐ものでも楽しめる映画はたくさんあるし、殺しの描写がリアルでも楽しめる映画はたくさんあるのにどうもダメ。パク・チャヌクの復讐三部作は全て復讐ものにありがちな「痛快さ」が無いのだが、だからダメと言うわけじゃない。復讐は「痛快」なんかじゃなく「痛い」のだよということなら、むしろ今の時代の映画として実にまっとうだと思う。でもその痛さや辛さや悲しさを引き出すシチュエーションをこんなにもエンターテインメント性に富んだやりかたでやっちゃっていいのか?という戸惑い。そして残酷な殺しのシーンを見せる(エンターテインメントとしての意味以外の)意味の無さ。娘を失った父親が復讐の鬼と化すのは十分に理解できてもあんなにも冷静に拷問のプロのような殺しはせんだろ、というムリもまたエンターテインメントとして見せる(拷問ショー)ためだけにムリヤリ作ったシーンでしかない。復讐の連鎖も不自然でムリヤリである。ぺ・ドゥナの唐突にしてあまりにも無警戒な裸体のさらし方は素晴らしい。 【R&A】さん [DVD(字幕)] 4点(2008-06-02 16:50:52) |
【Yoshi】さん [DVD(字幕)] 3点(2008-03-22 08:03:48) |
18.《ネタバレ》 臓器売買詐欺にひっかかり、資金稼ぎの誘拐が成功しそうになった所で、歯車が狂い新たな復讐劇を呼んでしまう。見終わってみると古くは「死刑台のエレベーター」や「ファーゴ」に似ているなあと思いつつ、それにしてもすごい映画を撮ったものです。 全く救いのないストーリー展開の中で、2つの復讐が淡々と、そしてショッキングに進んでいく。なんといったらよいのかこの映画の救いのなさとインパクトの強さに脱帽です。ちょっと前に、韓国映画で「殺人の追憶」を観て、しばらくイメージが頭から離れず宿酔状態でしたが、この映画も尾を引きそうです・・・ それから、ソン・ガンホは要注意、いい役者ですね。 【たくみ】さん [DVD(字幕)] 7点(2007-07-15 18:21:04) |
17.ブラック。暗すぎる。なのに、リズムは一流。そこまでやるか。気迫にあっぱれ。 【SUM】さん [映画館(字幕)] 9点(2007-01-22 20:37:29) |
16.《ネタバレ》 復讐は復讐を呼ぶというテーマは分かるが、自分の行動に全く責任を持たない連中ばかりだったので余り感情移入出来なかった。元はと言えば、騙された主役と見ず知らずの他人を誘拐しようと簡単に唆す女が悪い。これを言うとストーリーとして成り立たないが、一番の過ちは姉が子供を開放してから自殺しなかったという事。最悪の事もあり得る、という想像力が欠けている。クライマックスは案外あっさり、ソン・ガンホが縄を解いた時、許すか決闘するのかと思ったがアレには驚いた。反撃出来る時には反撃しろという教訓にはなった。韓国映画が凄いのは認めるが、特にこの監督の作品で無骨で強硬な男・犯罪が蔓延る韓国社会という怖いイメージが付いてしまった。最初の腹斬ももう少し考えた方が良い。 【まさサイトー】さん [DVD(字幕)] 7点(2007-01-06 03:14:05) |