5.《ネタバレ》 たいして期待はしてなかったが、これまた予想以上の駄作サスペンスホラー。
今どき、ここまで手垢の付きまくった陳腐なネタを、何の工夫もなく平気で人前に出せる感覚がスゴイ(ある意味、これくらい厚顔無恥な方がクリエイターにとっては有利なのかもと思い知らされたけどw)。
とにかく色々な意味で突っ込みどころ満載。
「誰が」「何の目的で」殺人を犯しているのかという謎は興味を引くが、脚本構成がヘタなのでストーリー展開力に乏しく、見ていて退屈。ミステリー的な新たな謎や伏線も出てこないので、「これからどうなるんだろう」という求心性に欠けている。
そして最大の問題点は、やはり犯人の動機。肝心の多重人格になった背景や、元担当医師との過去の経緯がまったく描かれていない事に加え、この時期になって急にアパートの住人を殺しまくるようになった理由(切っ掛け)も判然としないので、余計に多重人格オチの陳腐さ、唐突さが目立っている。殺人の動機どころか、多重人格になった必然性すら描かないのでは、ただの殺人鬼ホラーの出来損ないでしかない。
序盤で大家を殺す理由も分からないし、カギが掛かっているであろう、他人の部屋に侵入できる理由もはっきりしない。
相変わらずこの手の映画に出てくる警官は思い込み捜査で犯人に踊らされるし、おまけに心臓マッサージのやり方までいい加減。ああ言うディテールにこそ気を使わないと、ちょっとの事で途端に世界が嘘くさくなる。
中盤を少し過ぎた辺りであっさりネタバラシするので、いくらなんでもこのまま終わる訳は無いだろうと思っていたら、何の工夫も無いまま、そのまんまのオチで終了。警官に踏み込まれた時に、大家の娘が父親に電話を掛けたら繋がらなかったのは、何かの伏線かな等と深読みしてた自分がアホでした。
とにかく今どき「多重人格」というヒネリの無いオチに加えて、「双子」という陳腐極まるネタを平気で使ってちゃダメでしょ。