29.《ネタバレ》 この映画の評価は、その人の思想信条にかなり大きく左右されそうですが、まずは思想信条に関係ない部分から。 航空機の飛行シーンや米船団などCGで描かれた映像は、これまでの日本映画にはない出来映えです。高射砲の炸裂などがいかにも合成と見えるのが残念ですが、戦闘機の映像は適度にブレを加えて、かなり実写に近い雰囲気が出ています。もう少し技術が進歩すれば、改めて太平洋戦争の航空決戦を描いた映画が作製されることを期待します。 ストーリー展開は、初めから特攻が始まるところからなのに加え、知覧にやってきては散っていった特攻隊員のエピソードがいくつも繰り返されるので、各エピソードの掘り下げがなくて見ていてまったく感情移入ができないばかりでなく、食堂のおばさんが特攻隊員達に母親のように慕われたということに関してもいまひとつ説得力に欠けています。おまけに最後の方の満開の桜並木の下でホタルが飛び交うシーンは、夢オチでないかぎり成り立たないでしょう。 さて、一見、全編、特攻隊員達のある面、犬死にといっていい運命を描いているものの、上記のようにエピソードの掘り下げがないことに加え、軍上層部や単純に特攻隊員達を軍神とたたえる人々の描写のせいか、「男たちの大和」のように戦争の非常さを通して、反戦を訴えるといったものではなく、むしろ捉えようによっては国のために命を投げ出すことは美徳だと説いているようにも受け取れます。また過剰と思えるくらいに台詞に登場する「靖国神社で合おう」や朝鮮人の特攻隊員のエピソードなど、どうしても胡散臭さを感じてしまいます。 結局、評価できるのは特撮場面だけで、その他に関しては問題の多い作品と感じます。 【はやぶさ】さん [映画館(邦画)] 4点(2007-05-16 21:33:54) (良:4票) |
28.《ネタバレ》 「かつてはこんなに美しかった日本人~靖国神社で会おう!」が本当のタイトルではないかと思えるような内容。いくつか挿入される各特攻隊員のエピソードの一つ一つに背景などの深みがなく感情移入が困難だった反面、やたらと「英霊」賛美と「靖国」崇拝が鼻について仕方なかった。映画作品として割り切ってみれば、空襲や特攻場面が従来の日本映画よりリアルな仕上がりになっていることは評価できる。例えば、米艦隊の激しい弾幕の中を飛行し、標的に体当たりすることがいかに困難だったかなどはよく伝わってくる。このいわば映像資料にないビジュアルを再現し、観客に見せることの意義は大いにあると思う。逆に言えばそれ以外は全て中途半端な印象は否めない。強いて言えばエンドタイトルに出てくる当時の写真が、歴史の事実を雄弁に語り、一番胸に迫ってきたくらいだ。以下は個人的見解であることをあらかじめお断りしておく。「特攻」という世界に類例のない狂気的ともいえる作戦が生まれ、遂行できた背景のひとつに、国家神道をベースにした「七生報国」思想があり「神風神話」があり「靖国思想」があったことは否定できない。現代においても「靖国神社」に「英霊」が居るという思想を多くの人が信じているようであるが、良くも悪くもそれもひとつの「宗教」であり、あの時代の日本を支配した「宗教」と底流を同じくしていると私は考える。したがって私はこの作品が静かに主張していると思われる「靖国」賛美には、到底くみすることはできないし、近年の世界情勢のなかで自信と誇りをなくしつつある多くの日本人が、そのような思想に民族的アイデンティティーを求めだすことを危惧している一人である。私がこの作品を観て思ったことは、二度と、生命より国家を重んじるという、あのような時代をつくらない、という固い意志と行動こそが、かの数千名の愛すべき若者達(先輩たち)とそれを支えた人たちに報いる道だということである。「そのためにこそ」このような映画もつくられるべきだと思う。 【田吾作】さん [映画館(邦画)] 5点(2007-05-27 02:10:31) (良:3票) |
27.《ネタバレ》 確かに突っ込みどころは満載で中だるみもあり、岸恵子が綺麗過ぎるような気がする。が、たまには日本人の視点から描かれた戦争映画もいいだろう。相手は自国で石油を産出し優れた工業技術がある大国であり、硫黄島の栗林中将もわかりきった負け戦を頑張った。真珠湾攻撃で一方的に日本が喧嘩を売ったというのが、戦後教育の基本だったが、そろそろ歴史の再検証の時期が来ているだろう。GHQがいかに日本人を思想改造し、その絶大な影響を我々が受けていたのかは明白な事実。当時の最高の教育を受けていた彼らは、どんな気持ちで死んで行っのだろうか。敗戦後の日本の行く末を憂う登場人物の言葉が、印象的だった。知覧は地元のようなもんだから+2点で9点。 【パオ吉】さん [映画館(邦画)] 9点(2007-07-31 19:52:26) (良:1票) |
26.《ネタバレ》 かの方が製作総指揮と聞いていましたので覚悟して観ましたが 思ったよりも美化されておらず、どちらかと言えば反戦映画になっていた。 でも、んー、悪くはなかったが、いろいろまとまりのない作品だった。 焦点が大きすぎてどのエピソードもとっ散らかってしまって。 食堂のお話も有名ですし特攻隊の方々の悲哀も語らずともですが 欲張らずにもう少し上手にまとめられたらもっと良かったかも。 飛行シーンは製作年を考えると意外と違和感ない映像でした。 【movie海馬】さん [CS・衛星(邦画)] 5点(2021-09-08 22:20:20) |
25.《ネタバレ》 妻投稿■この映画は石原知事のコメントを見る限り、「特攻作戦そのものに賛成したのではなく、特攻隊員の勇気と美しさを賛美したものだ」というスタンスで作られたらしい。だが映画を見て、私はそれは絶対ないなと思った。会社で過労死するまで給料ゼロで働かされた18、19のフリーターの子がいたとしよう(障害を持っているなどでそういう労働条件で働かされている人は結構いる)。その人に対し、「彼は愛社精神のある美しい労働者だ。愛する家族の為日本経済を守るこの精神を今の日本人は見習うべきだ」という事をコメンテーターが言ったとして、果たしてこれが亡くなった人の供養になるだろうか。多分私がその人の友達だったら「そんなことよりもうどうしたらこういう事がなくなるか考えろよ」とその傲慢さにブチ切れるだろう。■特攻隊の彼らがいかに素晴らしい人間だったか。それは彼らの家族や恋人が一番よく知っている事だ。直接彼らを知らない私は記録映像を見るたびにそれくらいは想像できなくてはいけない。私たち自身の力で想像できなかったら、「彼らは素晴らしい人間だったんだよ」と偉い人にポンと肩をたたかれて、「何でこうなったの」「どうすればこういう事はもう起こらないの」というところまで話が続かずに強制終了されてしまうのだ。 【はち-ご=】さん [DVD(邦画)] 3点(2010-10-22 12:45:41) |
24.政治家が脚本と製作総指揮までやっちゃってる映画なんてその時点でダメだろうと思ってもよさそうなもんだけど、この人は政治家の前に作家だったわけで、もしかしてという小さな期待を持って見てみたのだが、いきなり「特攻」の必要性というか言い訳を伊武雅刀がダラダラとやっちゃうもんだからガックリだ。個人の思想・哲学でガチガチに固めたってべつにかまわない。しかし政治家としての彼は一応主張だけは入れてはいるんだけど、作家としての彼はそれなりの平衡感覚をもってこの映画を描こうとする。だから主張の部分も、それを否定する部分もものすごく理屈っぽい。というか政治って理屈が大事なのでそういうことになっちゃうのだろうか。説明のつかないようなことまで説明しようとしている。隊員とそのまわりの人々それぞれにドラマがあることを丁寧に、それでいて誰かをクローズアップせずに見せてゆくのは好ましいのだが、ときたま発せられる言葉だけが妙に目立ってしまうので台無し。インタビューとナレーションと時々再現ドラマだったら良かったかも。 【R&A】さん [DVD(邦画)] 3点(2009-08-03 14:42:26) |
23.《ネタバレ》 それぞれのエピソードは悪くないと思うのですが、やや話がとっちらかっている印象を受けました。既に他の映画でも使われているパーツもあるし、新しい作品を作るならそこはちょっと工夫して欲しいですね。 窪塚洋介は評価の分かれる俳優じゃないかと思うのですが、この映画ではなかなか良かったと思います。 【海牛大夫】さん [CS・衛星(邦画)] 5点(2009-05-16 15:51:38) |
22.《ネタバレ》 誰のために死ににいくのか?それは人それぞれに違うはずである。生きるべきだったのか、死ぬべきだったのか、その答えは誰にも分からないけれども、少なくともこの特攻作戦を取らずに結末を迎えることはできたのではないか。負けることが分かっているのに死にに行かなければならなかった若人たちの無念の心中を、死ににいく理由を代弁するような形のタイトルを後世の人物がとってつけるのはいかがなものかと。彼らの死を冒涜してはならない。必要以上に美化してもならない。事実として起こった出来事のみを分かりやすく戦争を知らない世代の私達に伝えてくれればそれで良い。そこから私達は理由を意味を考える。そういった意味ではこの映画はその役目を担っていない。 【いっちぃ】さん [CS・衛星(邦画)] 4点(2009-01-12 21:15:43) |
21.原作自体がしっかりしているのか、話自体はしっかりしている。これから死にに行く者、それを見送る者、生き残った者。それぞれの想いがきちんと描けていたと思います。戦闘シーンの出来もよい。が、テンポが悪く尺が長いので少々、観るのがしんどかった。あと、国のために亡くなった方々を称えるのは当然の事。戦争賛歌、美化とはまた別の話だと思うのですがね。 【ふくちゃん】さん [DVD(邦画)] 6点(2008-07-27 22:50:15) |
20.“特攻”という現実にあった悲しいテーマを、あくまで美談として語っているのはいかがなものか。エンターテインメントに徹するのではなく、史実に沿った戦争ものとして描いている以上、これは少々まずい。確かに特攻隊員たちのエピソードや思いを現代に伝えようとしたことは大いに意義のあることだとは思うんだけど、如何にも“感動させるため”にそのエピソードを利用しているのは不謹慎なこと甚だしい。そもそもこのタイトルは何だろうか?「君のために死にに行く」?寝ぼけるのもほどほどにして欲しい。特攻隊員たちに失礼だ。 【ドラりん】さん [DVD(邦画)] 3点(2008-06-03 21:47:49) |
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19.他のコメントでもあるように、脚本と演出のダサさが凄まじい。お涙頂戴的な胡散臭い説教臭さや、人間描写のテキトーさがズサンで、イマイチ。 「靖国神社で、会おう」的な発言の多さも、誰に向けたアピールだよ?と勘繰ってしまう。単なる時事的な意味合いの台詞が何とも嫌らしく、何とも品がない。 桜の下で蛍が舞う、というような季節感を完全無視したシーンも、可笑しかった。いくら心象的シーンだとしても、気持ち悪いシーンでした。感動させなきゃいけない所なのに。 ま、思想的云々については、この場では控えさせていただきます。 蛇足ながら思ったんですけど、都知事は近年の小林よしのりの漫画や「男たちの戦艦・YAMATO」でちょっとしたムーブメントになった「なんちゃって右翼化」している人達の浮動票でも欲しかったのかも? もう一つ、蛇足ながら言わせて頂くなら、ラストの切腹シーンの「介錯は、要らん!」のシーンで大爆笑。苦しくなったら自分で首を切り、マイセルフで介錯するから、要らん!という意味だったの?ま、腹を切るのは苦しいんでしょうが、ね。 【aksweet】さん [DVD(邦画)] 2点(2008-05-21 21:50:40) |
18.特攻の為出撃していく中、国民が土下座して見送る姿など、感動させられる場面は多々あったが、全体的にみると、ダラダラと話を伸ばし過ぎている。もうちょっと話を絞って、深く描いてほしかった。石原知事の次回作があるなら期待したい。 【はりねずみ】さん [DVD(邦画)] 5点(2008-05-11 01:25:45) |
17.石原さんが実際に鳥濱トメさんから聞いた生のエピソードをもとにしたお話ですから、そりゃもう一つ一つの逸話が事実の重みを持って観客に迫ってくるものがあります。ただ、そういう数々のエピソードをまとめあげて一つのシナリオにしているからか、全体的に散漫な印象を持ちます。なんかこう一つの軸を持ってしてストーリーが展開するような、例えばトメさんの語りで始まり語りで終わるような、そういうシナリオにした方がよかったような気がします。意外によかったのはCG。邦画ではかなりのクオリティを誇ってます。 【あろえりーな】さん [DVD(邦画)] 6点(2008-05-02 22:41:36) |
16.意外と悪くなかった。特攻を知らない人に観て欲しい映画だと思う。ただ、登場人物があまり立っていなかったのが残念。一人にスポットを当てた方が良かったと思うが… 祖父の身内が特攻隊員だったため、幼い頃は良く話を聞かされていた。日本のため犠牲になった方々を哀悼したい。 【Ad】さん [DVD(邦画)] 7点(2008-05-02 20:53:20) |
15.軍神といわれながらも、戦果のためではなく、ただ死ぬことに意義ありと送り出された特攻兵たち。何故帰ってきたと上官から罵られ、出撃前のひとときさえ憲兵から奪われ、戦後は白い目で見られた彼ら。その彼らへの哀惜の念だけで作られた映画だと思う。戦争賛美でも反戦でもなく、ただあの時、国のためだと死を強いられた若者達への想いが随所で伝わってくる。確かに、物語として面白くするためには、もっと整理が必要だし、他の方の批判ももっともだと思う所もある。しかし、死んでいった彼らの姿を、今の時代、誰が知っているだろう。特攻どころかあの戦争の時代の記憶を失いつつある現代で、彼らの最後の日々を伝える墓碑銘として、このような映画もいいのではないか。 □ □ □ 部隊の突入シーンは、巨額を投じるハリウッド映画に比べれば見劣りするかもしれないが、これまでの日本映画史上、出色の出来映えとなっている。米軍の記録映画でしか見たことのなかった特攻シーンが、生々しく眼前に再現される。このシーンに+1点。死んでいった若者達に+1点。 【駆けてゆく雲】さん [DVD(邦画)] 7点(2008-04-20 12:27:27) |
14.別に自分は石原慎太郎の考えに否定的なわけではないが、戦争美化とかそんなのはどうでもいいんですよ。石原慎太郎の言っていることが全て史実だと仮定してもいいです。だからといって映画のストーリーを左翼への反論にする必要があるのか。大体、左翼以外の人間なら「常識」としているようなことまでいちいち主張せんで欲しい。そんなこといちいち反論しなくても誰も左翼の言うことなんぞ信じちゃおらんから!!いや、描くのはいいけど「主張」はいらん。いちいち鼻について全く楽しめなかった。しかも主張したいイデオロギーを盛り込みすぎてストーリー破綻してますよ芥川賞作家さん。映画なんだから少しは面白くしてください 【Arufu】さん [DVD(邦画)] 4点(2008-03-31 07:17:14) |
13.《ネタバレ》 石原慎太郎脚本、製作総指揮ということからなのか特攻賛美、戦争賛美という批判も聞かれるが、僕はそういう感想は持たなかった。むしろオールドスタイルな反戦映画の域を出ていないと感じた。あの石原慎太郎が関わっているのに、そう言う面では意外な、硫黄島二部作とは対極の情緒たっぷりな日本映画だった。 おそらく誰も石原に意見を言えなかったのだろうと想像するが、題材への思い入れはわかるが、それに溺れてしまっていて物語が整理されていない。あれもこれもと詰め込んだ結果、ひとりひとりの若者の生き様やトメとの交流が散漫になってしまっている。 もちろん多くの人物を群像劇としてたたみ掛けて描くという手法もあるが、本作はとてもそう言えるほど構成も練られていないし、エピソード間のつなぎ方、演出も雑。若年層を呼び込みたかったのか、誰が聴いたってミスマッチなB'zのテーマ曲を当ててくるところにもセンスの無さを感じて痛々しい。 元来日本人というのは大人しくてシャイで控えめだと思うのだが、役者の演技も舞台劇のように大仰で、ハイテンション。役者が段取りでしか動いていないという演出の詰めの甘い場面も多い。 戦闘シーンのVFXは硫黄島二部作にははるかに及ばないが、「男たちの大和」に比べれば格段の進歩が見られるし、時代考証も邦画だけにしっかりしている(と思う)。 返す返すも脚本、演出の稚拙さが目立つ残念な作品だった。 【ロイ・ニアリー】さん [映画館(邦画)] 5点(2007-11-09 19:56:02) |
12.《ネタバレ》 この手の映画は、感動させてくれるのに感動できなかった。トメさんの話題がクローズアップされていたが、見てみると話がいろんな方向にあり、テーマを絞って欲しかった。徳重の演技も重みがない。それに、靖国を印象づけるあたりは、さすが石原慎太郎。特攻を美化している、というようには、この映画ではそれほど思わなかったけど、靖国を意図的に出している?あたりは、いかがなもんでしょう。。。そこで美化してしまっている。 【bluestar】さん [DVD(邦画)] 4点(2007-11-07 00:54:59) |
11.《ネタバレ》 特攻隊員が次から次へと送られてきて、次から次へと大日本帝国万歳!で死んでいく。で、この映画って結局誰の話でしたっけ?と聞きたくなる。岸恵子はブルジョア臭プンプン。どう見ても田舎の食堂より高級フレンチ食べたそう。映画館を出たら、石原慎太郎の独り善がりな顔が脳裏に浮かびました。 |
10.《ネタバレ》 見事に裏切られた。主役で有るはずのトメさんがそれ程目だっていないし、神風隊のメンバーもそれ程、緊迫感無いし、そもそも、窪塚洋介や筒井道隆のような緊迫感の無い役者使ってもねぇ~、あらすじがゴチャゴチャすぎるのも頂けない。見所は伊武雅刀の切腹シーンでしょうか?ここでこの切腹シーンを入れてもシラケルだけだと思うが・・・ 【みんてん】さん [DVD(字幕)] 4点(2007-10-31 16:23:16) |