803.《ネタバレ》 この監督は、頭の悪い女が死ぬところを撮りたかっただけではないか。妄想の世界に生き、周りを翻弄し、母性愛という名の押し付けをする。そういう頭の悪い女が愚かしく死ぬまでを撮った。そう受け取った。こういう人間が死ぬのは一向に構わないのだけど、それを個別に長時間に渡って鑑賞するという行為に意味を見出せない。 【小塚】さん [DVD(字幕)] 0点(2006-12-22 18:14:57) (良:3票)(笑:1票) |
802.ラース・フォン・トリアーがビョークを使って映画を撮るという時点で、あのラストは完全に予定調和。あの変態監督、神経逆なでする映画ばかりでムカつくんだけど、どうしても観てしまう。才能は物凄くある。列車のシーンのカット割りは素晴らしく、鳥肌が立ってしまった。ラストよりずっといい。監督の実際の言葉。「この映画のどこにも愛はない」。母親の無償の愛を描いた映画だ、というのは解釈違いのようです。 そうですね、あれは母親の無償の愛じゃない。セルマの自己満足の物語です。息子を思うどころか、むしろ息子のいる現実から逃げ、自分の世界に酔い、それに殉死した。そういう意味で、セルマは勝ち逃げをしたのです。幸せな人なのです。少なくとも私はそう思った。だから、私は一般的な解釈にかなり違和感を抱いてしまう。分かりますか、そういう訳で、本当にひどい監督なんですよ、この人は。 【ひのと】さん 10点(2003-12-08 20:02:00) (良:4票) |
801.私はこの映画を見て、点数をつけるなんてココに来るまで考えもしなかった。私には点数なんてどうでもいいのでゼロにしておきます。この話しは面白くも感動もなく(良かった)なんて人に薦める様な映画ではなく、でも心の中に閉まっておきたい映画となりました。セルマ役はビョークでしか出来ない。あの魂の叫び、歌声はビョークではなくセルマ。セルマが愛したのはミュージカルと息子ジーン。セルマの生きがいはミュージカルとジーン。セルマに関わる人達は私達の身近に存在している人そのもの。あんな事件が実際に起きたとしても、おかしくはない。確かにセルマは弁護士や友だちに本当のことを話せば生きれたのだと思う。・・・セルマは秘密だと約束したのに裏切られた。でも、セルマは約束に対して裏切ることが出来ず自分だけは裏切るまいと孤独だったと思う。真実は一つ、セルマと私達だけが知っている。ビルを殺した訳を 片側からしか見ようとしない人達をきっとセルマは許していた。そして私も、きっと片側からしか見ようとしない人間なのかもしれないと感じてしまった。最後に歩く107歩・・・死に向かって自分の意志で歩くのはとても想像のできない程、恐ろしい事なのだろう。セルマを見て人間を見た。もがき、叫び、身体が震え、正気でなくなったり、冷静になったり、彼女は空想の中で歌い、歩き、そして処刑台へ。恐怖で支えれなくなった身体は板に縛られ、でもジーンの手術を知ったセルマは何かが乗り移ったかの様に冷静になって、大好きな歌に息子の歌詞をのせ最後の魂の叫びを私は聴いた。衝撃的なラストシーン、ショックだった。彼女のショーを見ているようで(これは最後ではない、そう思えば続くのだから)という言葉がただボー全としている頭の中に聞こえてきた。受け止めなければならない人の死。セルマの人生はミュージカルに始まり、ミュージカルに終わる。私の死は最後にどんな魂の叫びを吐き出すのだろう・・・。と感じる映画でした。 【LISA】さん 0点(2001-08-03 19:45:40) (良:4票) |
800.普通、映画を観ていると主人公を応援したくなりますが、勘弁してくれと思いました。ラース・フォン・トリアーは出演者を精神的に追い込んで撮るタイプの監督だと普通は知りませんから、本作はこれからも何も知らない人を捕まえて、不快をばらまいていくのでしょう。映画というのはウイルスをばらまく実験に似てるのかも。歌のシーンは物悲しくて良いです。 【DAIMETAL】さん [DVD(字幕)] 1点(2014-08-17 08:11:18) (良:3票) |
799.《ネタバレ》 全く持って、理不尽だし、残酷で不愉快。ただでさえもミュージカル系映画は苦手なのにこのどうしようもない暗さ…最後までみるのに恐ろしい程エネルギーを使った。。。頑張った俺(苦笑) 今までいろいろ映画を観てきたケド、これほど暗ーい気持ちになったのは無いなぁ。おまけに手持ちカメラのブレがすごくて気分が悪い。内容が内容なだけに全くのれないが、現実と妄想場面での切り替えとしてのダンスシーンは独特のものはあります。しかしまぁこんな後味最悪の映画をつくるこの監督さんは相当悪趣味で、確信犯的だ。強烈なインパクトがあることは認めますが、こういう「気が滅入る」映画は嫌いです。お歳を召されてもお美しいカトリーヌ・ドヌーヴの出演に1点献上イタシマス 【Kaname】さん [CS・衛星(字幕)] 1点(2013-01-30 18:52:34) (良:3票) |
798.《ネタバレ》 セルマの行動や選択に腹が立って仕方が無かった。 愚かな選択をしたからと言って、その人の生き方そのものまでもが愚かだったとは言えない。現実の世界には、セルマのような身勝手な子供の本当の気持ちをかえり見る事の出来ない母親なんて、それこそ星の数ほどいるだろう。それでもその人が幸せならいいのかもしれない。 でも、そういうお話を映画にするとなれば、そこには何か見る人に訴えかけるものが必要ではないでしょうか。 セルマは只愚かで、独善的で、妄想が得意で、子供の気持ちを思いやる余裕もない駄目な母親でした。 でも彼女なりには賢明に生き、空想の世界では幸せになりました。現実には処刑されました。息子は警官を殺した死刑囚の子供としてこれからは一人で頑張ります。 だから見る人も感動して下さいって言われてもね。 とにかく最悪の映画だった。 【Gun_Baron】さん [DVD(字幕)] 0点(2010-08-05 02:34:11) (良:3票) |
797.《ネタバレ》 最も不快な映画ナンバーワン。あんな主人公に誰が共感するか。だって、単なる独りよがりで卑屈で都合が悪くなると妄想の世界に逃げて現実を直視出来ない、最低な女じゃん。それを歌わせることで観客の同情を引いている。こういう女が一番嫌い。 まあ、そう思わせるように計算して作っていたんだとするなら、これだけむかつかせたんだから傑作映画なのかも。万が一にもないけど。これを観るまではビョークファンでした。 【HAMEO】さん [映画館(字幕)] 0点(2008-12-01 19:29:09) (良:3票) |
796.《ネタバレ》 こんなに見てて不快になる映画は初めてだ。この監督は、見てる人間を不愉快にさせてほくそ笑む悪趣味の持ち主としか思えない。見てる途中、ヒロインに対する強烈な不快感と怒りが湧き起こり、なぜだろうと考えてみたところ、この女が自分主演のドラマの中でのみ生きている精神病患者なのだな、と納得。だから親切な友人の行為にも、自分が理想とする筋書きと違ったら拒絶してるし。妄想癖に虚言癖、困ったら他人に頼り(男は足代わりに利用する)、ここ一番ではオロオロ泣くだけで何もせず、自業自得でどうしょうもなくなったら脳内ミュージカルに逃避。よくここまでクズみたいな人間を創作できたものだと感心した。ビョークの顔からしてすでにイラつくタイプの不細工だし。何より最大の穴は、あんな自己中のロクデナシ女に周りの人々が無償の親切をし続けるところが現実的にありえない。0点にしようかと思ったけど、カトリーヌ姐さんと鉄橋のミュージカルシーンは良かったので3点で。ラストまでずっと「何だコイツ」と引き続け、ラストで「さっさと死ね」と思った私は冷たい人間なのだろうか。 【ラーション】さん 3点(2004-02-15 14:38:53) (良:3票) |
795.映画館で本気で泣いた映画。悲しい映画だから泣いたのではない。 ストーリーに泣いたのでもない。もう、なかば反射的に涙が溢れてくる映画だった。 ミュージカルシーンになると涙があふれる。 ハンドカメラの色褪せたブレる画像が、発色のいいカラーになって、クレーンやヘリを駆使した、壮大な映像になった瞬間、涙があふれる。 ビョークの伸びやかな歌声と、リズミカルなステップと、幸福の絶頂にあるような笑顔。 つらい現実の世界を、自由な想像力で、美しく変えてしまうチカラ。それでも容赦なくどこまでも救いのない現実。空想。現実。空想。現実。空想。 空想のまま死ねたから、それでいい。ショーの幕は下りるけれど、そのまま終わるなら、それでその人生は完結。他人から見たら憐れでも、心の中はきっと幸せ。 現実を、どこまでも現実として捉えなければならないシビアさ。それでも現実を笑い飛ばし、捉え方次第で幸せを作り出すのは、他ならない自分自身の心。 この両方が生きるチカラだと、そう震えないではいられない大・大・感動作。 【よしの】さん 10点(2003-11-22 14:56:28) (良:3票) |
794.この映画を見た人で、セルマの馬鹿さ加減がムカつくと言う人がいる。じゃあ、その人に聞きたい。馬鹿で愚かな人間は主人公になる資格さえ無いのかと。聡明な人間しか主人公になれないのかと。失明すると分かっていて生むのは親のエゴだという人もいる。じゃあ、その人に聞きたい。目に障害を持つ人間は、この世に生まれてはいけないのかと。セルマみたく、あんたいったい何考えてんのさ、少しはなんか言えよ、といいたくなるような人って、この世の中にはたくさんいるじゃない。この映画は、そんな人達が辿ってしまうかも知れない末路を、刻々と描いた映画なんだ。そして、監督はそんなのいたいけな一人の女を、悲劇の中に放り込む。ここまでは全く、『奇跡の海』と変わっていない。しかし、決定的に違うのは、ラストにおいてなのだ。べスとは逆に、セルマは、自分で幸福までたどり着く。自らの心音を頼りに、死の恐怖を軽く飛び越え、あっという間にそこまでたどり着くさまを描いたこの映画は、奇跡だ。その奇跡こそが、それまでのあざとさを払拭している。これほどの映画は、これ以降、二度と現れないだろう。 【ククル】さん 10点(2002-06-24 16:15:24) (良:3票) |
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793.《ネタバレ》 鑑賞後あまりのやりきれなさと憤慨で気の滅入ること100%の暗黒映画だこれは。友人に息子の後見を託し、息子に光を与える選択をしたセルマが間違っているとは思わない。間違っているのは制作サイドだろーっ(怒)自分の命か息子の手術か、って二択?それも、そもそもが冤罪で。このあまりの理不尽にセルマを追い込む脚本に憤慨せずにいられない。「ちょっと待てやー」と何度叫んだことか。「この人冤罪なんですよー」と陪審員に訴える私の声は(当然ながら)むなしく画面に当たって砕け散る。完全にストーリー負けしているこのレビューは、映画の観方として根本的に間違っていると自分でも思う。でも感想としてはこんな話大嫌いだ。嫌いだけどビョークのはまりっぷりや観客を引きずり込む作品の暗黒パワーに敬意を表して真ん中の点数で。 【tottoko】さん [CS・衛星(字幕)] 5点(2013-01-27 20:40:10) (良:2票) |
792.《ネタバレ》 この映画がどうしてこんなにも人の心を掻き乱し、賛否両論分かれるのか。何度も何度も繰り返し観て(よく自殺しなかったな笑)なんとか自分なりに結論を得ました。この映画は踏み越えてしまっているんです。つまり、主人公セルマは頭のおかしい気の狂ってしまった人間なんです。だから、間違った選択を繰り返し、誰の助けも借りず、最後は息子のためにと幸せに死んでいく。この主人公に「やっぱりお前は馬鹿だ、不幸だ」と誰が言える権利があるでしょうか。そう、この映画のテーマはそこです。人間の幸せは主観的なものであるなら、自分を幸せだと強固に信じる人間を誰も非難できない。つまり、もしかしたら全ての人間の幸せに意味などないのでは、ということです。とても恐ろしい踏み越えてしまったテーマです。この映画が、敢えてその恐ろしい問いに挑戦する武器として、想像力の美しさを選んだことに敬服せざるを得ません。ただ、勝利できたかどうかは観る人の判断ですが。そして、この映画を徹底的に非難するレビューにこそ、僕は感動を覚えます。そこには、全ての人間の幸せには意味があると信じようとする力強さを感じるからです。それこそが人間の想像力の持つ美しさだと思います。敢えて踏み越えてまで、この映画を撮った監督に改めて敬意を表したい。 【かたゆき】さん [DVD(字幕)] 10点(2012-05-14 02:27:21) (良:2票) |
791.《ネタバレ》 観た後で非常に後悔した数少ない作品のひとつ。予備知識持たなかったから観ちゃったんだけどね、知ってたら絶対に触れなかった。余りの救いのなさにトーンダウンしちゃって、しばらく気持ちが盛り上がらなくて日常生活に支障が出た。そこまで追い詰めなきゃダメかね。それほどまで幸せを与える事が許されないのかな。二度と観たくない。観る前の時間に戻してほしいとまで思った。 【りゅうちゃくん】さん [地上波(吹替)] 1点(2011-04-10 03:46:57) (良:2票) |
790.カンヌでパルムドールに輝いた傑作! だそうです。 セルマの現実逃避っぷりは見事でした。その逃避をミュージカル仕立てで表現しています。そちらはそれなりに映像として良かったと感じました。 でもこの映画、現実の方が遥かに非現実で可笑しすぎます。 矛盾のオンパレードで何で?在りえないでしょ!そんな突っ込みで疲れました。 セルマを死刑にしたいという演出意図ははっきりしていますが、何でなの? セルマは非現実の世界でハッピーになったのかもしれませんが これ息子のジーンは仮にセルマの気持ちを将来理解する事が出来たとして、幸せなの? セルマがジーン与えたかった幸せって殺人者の息子っていう烙印なの? ジーンに必要なのは、母親の存在だっていうキャシーの主張ってそんなに愚かなの? この映画が訴えてる事って、さぁみなさん、自分勝手に妄想の世界で幸福になろうって事しかない。 対岸の火事として眺めれば、ビョークの歌声、ドグマ的作風、カタストロフィーだからこその愉悦として楽しめるのかもしれないが、感情移入して体感するタイプには絶対受け入れがたい苦痛を刻み付けてくる醜作 そのいずれにせよ、強烈な印象を刻むという意味では凄いと言える作品 10点か0点どちらかに割れてこその迷作ですよね。 パルム獲っただよー凄いらしいよーってノリで人に薦めて、反応を観るのも一興です。 【ライ麦畑で】さん [DVD(字幕)] 0点(2010-08-12 11:44:30) (良:2票) |
789.《ネタバレ》 殺人犯の子供として生きて行く事を、残酷にも、たった一人残された息子に強いるこの母親の愛情とはいったい? 息子の気持ちとしては、どんな状況であれ母親に生きていて欲しいのではないだろうか 殺人犯として処刑されさえすれば、息子は救われるかのように振舞っている主人公の 身勝手さに憤慨するだけの映画でした。 あなたを愛しているから、あなたの将来を守る為に私は処刑されたのよ~なんて こんな十字架背負わされるくらいなら、男でも作って捨てられる方がまだマシだと思ってしまう。 【Buraiga】さん [DVD(字幕)] 0点(2010-07-28 02:56:14) (良:2票) |
788.《ネタバレ》 ビョークの歌声は震えるほど素晴らしかったです。彼女の演技に関しても充分なレベルだったと思います。しかし、やはり問題はシナリオです。予定調和のハッピーエンドがベストなんて思っていませんが、主人公の考え方、下した決断にとても共感できません。殺人犯として絞首刑にされる事が息子の未来の為になると、どうして彼女はそう考えたのか・・・それを理解する為の描写が皆無です。 どういう判断をしようと彼女の自由ではありますが、やはり劇中でそこに至るには、何かしら納得のいくものが必要です。そうでないなら、意味の判らない公開処刑を強引に見せられたようなものです。現実の他人が何を考えてそうしたのか、理解出来ないなんて普通の事です。しかし、映画の主人公が意味も判らず只処刑される姿がラストなんて、不快でしかありませんでした。 人によっては傑作、人によっては観た事を一生後悔するようなトラウマ映画です。 【phandon】さん [映画館(字幕)] 0点(2010-07-24 19:49:19) (良:2票) |
787.こんなに賛否両論分かれる映画はなかなかありません。このような映画を「アクの強い作品」というのでしょう。主人公が「ただの少し頭の悪い母親」に見えたか、「大人になりきれていないながら立派であろうとした母親」に見えたかによって評価が分かれるのかもしれませんね。私は当然後者です。まるで子供のような親は世の中に腐るほどいますが、子供を第一に考える親であれば、どんな親であろうと無問題であると私は個人的に考えています。それにしてもミュージカルの形式であるのにここまで全体を通して暗い映画もめずらしい。ラストは特に悲惨なものであるが、一概にこの映画をただの悲劇と呼ぶことはできません。 またこのような作品がでることを私は待ち望んでいます。 【べいんびーる】さん [DVD(字幕)] 10点(2010-03-11 19:14:55) (良:2票) |
786.この撮影用カメラに手ブレ補正をつけてほしかった。 【午後のコーヒー】さん [DVD(吹替)] 6点(2006-02-08 15:57:20) (笑:2票) |
785.救いがない。最後だって死の恐怖を植え付けられるだけだった。この監督の希望とか幸せってなんだろう。 【ぷー太。】さん 0点(2004-03-25 17:59:58) (良:2票) |
784.《ネタバレ》 前略、セルマ・イエスコヴァ様。天国でいかがお過ごしでしょうか。私があなたと出会って、もう2年が経とうとしています。この映画を見終わった直後の事は、今でも昨日の事の様に思い出す事が出来ます。幸福な結末しか知らなかった私にとって、あなたの「死」という結末は、あまりにも衝撃的すぎました。しばし体が硬直し、身動き出来なかったのが今でもまざまざと思い出せます。見終わった直後は、感想を上手くまとめる事が出来ませんでした。が、日が経つにつれ、あれはこうなのだな、ここはこういう理由があったのだなと少しずつ整理し続けて、今に至ります。私は正直、この映画が嫌いです。私にとって映画とは、元気の薬、そうあなたにとって言えばミュージカルのようなものだから。あなたもミュージカルを演じたり、見たりして、不幸な気分になるのは嫌でしょう?それと同じです。あなたの選択も本当のところ、正しいとは思えません。ジーンの気持ちにもなってみて下さい。彼は光を与えられた代わりに、「殺人を犯して死刑になった」母を持つという過去を一生引きずって生きていかなければならない。それが元で人の道を踏み外してしまう事もあるかもしれないのです。それでも、私がこうしてあなたに手紙を書き、こうして伝えているのは、私があなたに最高の「敬意」を抱いているから。「死」というのは、生を受ける全ての者にとって、最も恐ろしい行為です。私も、あともう少しで死ぬとしたら、怖くて怖くて何も出来ません。しかし、あなたは自らその道を選んだ。何故かは私には分かっています。あなたにとって、ジーンはかけがえの無い存在であり、あなたが心の底からジーンを愛していたことは、私にも分かっています。その、愛する者の為ならどんな結末も恐れずに自分から突き進むあなたの心を、私は心から尊敬しているのです。もし私に家族の愛が信じられなくなったり、近い将来家族が出来た時は、この映画を見て、あなたの心を目で感じ、学びたいと思います。今の世の中は、親が実の子供を殺すという、悲しい事件が多く起こっています。でもそんな今だからこそ、私はあなたと、あなたの心がより大切だと感じているのです。「ダンサー・イン・ザ・ダーク」という映画のタイトル、「セルマ・イエスコヴァ」というあなたの名前、愛に溢れたあなたの美しい歌声を忘れる日など、私には一日もないでしょう。それでは、お元気で。さようなら。 |