7.《ネタバレ》 「2023年:大映4K映画祭」関連企画で初めて劇場鑑賞。
私が増村監督を知ったのはテレビドラマ:山口百恵主演「赤い衝撃(’76〜)」、
堀ちえみ&風間杜夫主演「スチュワーデス物語(’84〜)」(脚本)位から。
少年期の私からすれば「なんちゅう暑苦しく、クドイ作品なんだ」と感じてたけど、
彼の経歴を辿ってみればTV界における彼の業績は「才能の出涸らし」でしか
なかった事がわかる今日この頃。そりゃ「盲獣(’69)」みたいな世界観、
より大衆性を求められるテレビでは絶対に出来るわけないもんね。
青春映画「くちづけ(’57)」で監督デビューした彼にとって
最後の大映作品となったこの一本が青春譚になったのは
大映在籍時にやりたい事全てやりつくしただろう彼が、
生涯のテーマ「感情を露わにする、近代的人間像
を日本映画に打ち立てる」への原点回帰として
取り上げたのではないかな、と個人的には感じてる。
アメリカンニューシネマから影響を受けたと思われる
若者二人の逃避行を描くこの作品、突然挿入される
わかりづらいフラッシュバック(過去の回想)とか
大門正明の台詞廻し等、鬱陶しい展開の上
「若さ故のあやまち」から来る悲劇感ありあり。
でもなんかその若さがその悲劇を打破してくれる、
という希望も感じさせる雰囲気に包まれてる作品で
自分にとって好印象なのでこの点数。
それを強調しているのがこの年16才(!)の関根恵子
のヌード/濡れ場シーンとボロ舟を押しながら川へ流れゆくラスト。
日本青春映画の佳作としておすすめ。機会があれば。