告発のときのシネマレビュー、評価、クチコミ、感想です。

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告発のとき

[コクハツノトキ]
In the Valley of Elah
2007年上映時間:121分
平均点:6.81 / 10(Review 59人) (点数分布表示)
公開開始日(2008-06-28)
ドラマサスペンス犯罪ものミステリー
新規登録(2008-05-12)【尻軽娘♪】さん
タイトル情報更新(2014-09-07)【ESPERANZA】さん
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監督ポール・ハギス
キャストトミー・リー・ジョーンズ(男優)ハンク・ディアフィールド
シャーリーズ・セロン(女優)エミリー・サンダース刑事
ジェイソン・パトリック(男優)カークランダー警部補
スーザン・サランドン(女優)ハンクの妻 ジョアン・ディアフィールド
ジェームズ・フランコ(男優)カーネリー軍曹
バリー・コービン(男優)アーノルド・ビグマン
ジョシュ・ブローリン(男優)警察署長 ブシュワルド
フランシス・フィッシャー(女優)トップレスバーのウエイトレス エヴィ
ジョナサン・タッカー(男優)ディアフィールド夫妻の息子 マイク・ディアフィールド
ブレント・ブリスコー(男優)ホッジ刑事
リック・ゴンザレス(男優)通信技術官
グレッグ・セラーノ(男優)ヌネス刑事
ゾーイ・カザン(女優)アンジー
谷口節ハンク・ディアフィールド(日本語吹き替え版)
林真里花エミリー・サンダース刑事(日本語吹き替え版)
桐本琢也ダン・カーネリー軍曹(日本語吹き替え版)
原作ポール・ハギス(原案)
マーク・ボール(原案)
脚本ポール・ハギス
音楽マーク・アイシャム
編曲コンラッド・ポープ
挿入曲キャスリーン・ヨーク"House is Falling Down"
アニー・レノックス"Lost"
撮影ロジャー・ディーキンス
製作ポール・ハギス
製作総指揮ジェームズ・A・ホルト
スタン・ヴロドコウスキー
配給ムービーアイ・エンタテインメント
特殊メイクマシュー・W・マングル
リチャード・レドルフセン
美術ローレンス・ベネット(プロダクション・デザイン)
ダン・ペリ〔タイトル〕(タイトル・デザイン)
衣装リサ・ジェンセン
字幕翻訳松浦美奈
スタントジミー・オルテガ
その他クリント・イーストウッド(スペシャル・サンクス)
マーシャル・ハースコヴィッツ(スペシャル・サンクス)
ムービーアイ・エンタテインメント(提供)
ポニーキャニオン(提供)
あらすじ
元軍警察のハンクのもとに、イラク戦争に派兵されていた息子のマイクが行方不明になったとの連絡が入る。しかも、帰還した後の無断離隊。息子を信じる彼は、一抹の不安に駆られ基地に向かうが、息子の戦友と話しても何も判らず、地元警察に相談しても相手にされない。そして、途方に暮れる彼に、軍からマイクの死体が発見されたことが報される。悲しみにくれるハンク。彼は真相究明を誓い、地元警察の女刑事エミリーとともに事件背景を探るのだったが、そこに見えてくる真実は、愛国心を揺るがすほどのあまりに悲しいものだった。
ネタバレは禁止していませんので
未見の方は注意願います!
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123
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59.《ネタバレ》 鑑賞中は「つまらない映画」と思っていたが、鑑賞後は「素晴らしい映画」と感想ががらりと変わった。
「アメリカがイラクで行った暴虐に対して告発する」という大きなテーマを描くのかと思って見てみたら、大間違いだ。
見終わった後は、それよりももっと大きく深いテーマを扱っていると気付くだろう。
“戦争が人間性を崩壊させる”というテーマを、感傷的にもヒステリックにもならずに、静かに怒りを込めつつ冷静に告発している。
見終わってから全てがみえてくるというポール・ハギスの計算された作風が見事だ。
息子を殺された父親と、その息子を殺した加害者が「パンスト話」で笑い合ったり、酒を飲んだりするというシーンの恐ろしさは、最後まで見ないと分からない。
息子を殺された父親に対して、ともに戦った戦友の殺害を冷静に罪悪感もなく語るシーン、戦友を殺して切り刻んで燃やしたあとに腹が減ってきたのでチキンを食べたと語るシーンには、言葉も出ない。
この“異常性”こそが本作の真相であり、その“異常性”を見事に描き切った。
戦争によって“異常”な人間になってしまったが、父親に対して送ったメッセージ、父親に対して贈った写真と国旗には、元の“正常”な心は完全に失われていないことも伝えている。
ポール・ハギスは、アメリカが異常な国になってしまったと告発しているが、正常な国に戻れるはずだという想いも込めたのだろう。
ラストに登場する青年兵士の姿、そして逆さにした国旗に込めた想い、どれもこれも深くて熱い。
原題のタイトルの由来となっている「ダビデとゴリアテ」の話が恥ずかしながらよく分からなかった。
「ダビデ」はシャーリーズ・セロンの息子の名前の由来なので、アメリカの若い兵隊を言い表しているのだろう。ダビデ(若い兵士)はパチンコ(現代に置き換えれば銃)をもって、巨人「ゴリアテ」に立ち向かう。
巨人「ゴリアテ」は、イラクを指しているのかもしれないが、この場合“戦争”そのものを指しているのかもしれない。
結果的には、ダビデ(アメリカの若い兵)は巨人との戦いには勝つことができた。
しかし、ポイントは小人が巨人に勝つことではなく、なぜそもそも小人のダビデが巨人と戦わなければいけないのかが問題ということなのだろう。
勝ち負けの問題ではなく、アメリカの希望ある若い兵隊が戦争に赴くことに対する問題とその矛盾を示したという解釈をしたい。
六本木ソルジャーさん [映画館(字幕)] 8点(2008-07-16 20:13:10)(良:5票)
58.ポール・ハギス監督は以前から注目していたが、本作は、軍の陰謀が絡んだりする安易な反戦モノの印象があり、今までスルーしていた。知ってはいけないイラク戦争の秘密を知った米軍兵士の若者が殺され、彼の父親がその事件の背後には軍が絡んでいることをかぎつけて組織の闇を暴く!みたいな。そもそも邦題が酷い。イラク戦争関連で「告発」と言う言葉を安易に使われたら、誰だってそう思う。でも、この映画には告発など無い。あるのは息子を失った夫婦の深い悲しみとその死にまつわる衝撃的な事実だけだ。間違いなくこの映画は反戦映画なのだが、その伝え方が非常に巧みであり、僕の心に響いた。
この映画を観て、戦争に行くと言うことは、会社で仕事をするとか、結婚するとか離婚するとかと全く同じレベルの事象であり、ただその心理的ストレスが半端なレベルじゃないという点だけしか異なっていないんだということを痛切に感じた。そして、同じ職場で同じ上司の下で同じパワハラを受けながら仕事をしても、一方はメンタルを病み、一方は平然と仕事を続けるように、戦争に行って、ある者は脱落し、ある者は耐え抜く。ただ、そのストレスに耐え抜いた者は「殺人」や「暴力」に対する感度が確実に下がり、その影響が顕著に現れる者もいるのだろう。
「戦争」が非日常ではなく日常であることの怖さを、この映画はリアルに映し出している。ラストシーンも主人公の心象風景を表すにはあまりにもぴったりで、監督の手腕を感じた。
枕流さん [DVD(字幕)] 9点(2010-06-05 19:19:02)(良:4票)
57.《ネタバレ》 はい、私もてっきり軍の不正を暴く内容かと思いました、この邦題を見れば大抵の人はそう思うのでは?しかし上手くない邦題です。
淡々と静かな映画、劇的、衝撃と言えるものがあるわけではないけれどなぜか引き込まれてしまう、こういう視点、描き方をするポール・ハギスってほんとに見せ方のうまい監督さんですねぇ。観終わる頃に何を問題提起してるかわかるようになってるの。
ふっと「フルメタル・ジャケット」を思い浮かべたりしたわね。
時々挟みこまれる動画がなんとなく予感させるしハンクも何かを感じとっていたとしか思えないんだけれど、信じたくないでしょう、親ならね。だから余計に真実を知りたかったのかもしれない
戦地から泣きながら電話をかけてきた息子の「異変」に気付かず「しっかりしろ」と応えたシーンがいちばんズキンときてしまいました。
「仲間同士はあり得ない」「息子に限ってあるはずない」と息子の死の真相を追究することでそれまでの信念、信頼、価値観が崩壊してしまった元軍人の父親を演じたトミーリー・ジョーンズは名演でした。
息子から送られた小包の中身が非常に気になったけど、ラストでそれが国旗と仲間との写真という全く正常なモノだったことにほっとするけど、手を差し伸べていれば死なずに済んだとも思え、またズキンときます、その国旗を逆さに掲げた父親ハンクの心情がいたたまれませんでした。静かで説得力のある反戦映画だと思います。
envyさん [CS・衛星(字幕)] 8点(2012-10-02 23:23:30)(良:3票)
56.《ネタバレ》 これは困りました。まったく面白みのない捜査が90分以上も続くため酷い評価をしてやろうと思っていたら、ラスト30分で監督の意図がわかった瞬間に傑作になってしまいました。まったく面白くないが、素晴らしさは十分に伝わってくる映画。とても評価に困ります。
タイトルの” the Valley of Elah”とは古代イスラエル軍とペリシテ軍の決戦の地。ペリシテ軍が誇る巨人兵士ゴリアテにイスラエル軍は戦意喪失し、誰も戦いを挑まない状態が40日に及んでいました。そんな中ゴリアテ退治に名乗りを上げたのがダビデという羊飼いの少年でしたが、その小さな体では甲冑を身につけることも刀を振ることもできないダビデは、小石5つとパチンコだけを手にゴリアテに挑みます。絶望的な戦力差の戦いでしたが、ダビデは恐怖に負けず冷静に石を放ち、見事ゴリアテの額を砕いてこの戦いに勝利しました。。。
この物語が示すことは、勇気を持てば大きな力が与えられるということ。本作の主人公ハンクも、息子達に勇気を持つことを求めました。しかし現実は伝説ほど容易ではありません。もしゴリアテが都合良く倒れてくれなかった場合、ダビデはどうなっていたのか?それが明かされるのが本作のクライマックスです。「勇気を持て」という親達の期待に応えてイラクに出征した若者たちは戦争の狂気に勝つことができず、完全に壊れた状態で祖国へ戻ってきました。ハンクは息子を殺した犯人を探して執念の捜査を続けてきましたが、その捜査の果てに、若者を戦地に送り込んだ自分達こそが息子を死に追いやった加害者であることを思い知るのです。ハンクには息子を救うチャンスがありました。戦争の狂気に直面したマイクがハンクに助けを求めて電話をかけてきたのですが、ハンクは息子のSOSに気付かず、ただ「戦友に涙を見せるな」というアドバイスだけをして会話を終わらせてしまいます。もしここで息子の弱さを受け入れていれば、息子を狂気で失うことはなかったのですが。。。
本作は戦場の狂気というよくあるテーマを扱っており、その内容は「ディア・ハンター」「フルメタル・ジャケット」はたまた「ランボー」とも似通っているのですが、ダビデの物語を絡めることでテーマを普遍的な親子の葛藤にまで敷衍している点がポール・ハギスの抜群の構成力の為せる技。本作は評価に困る映画ではあるものの、この惚れ惚れするほどの構成の巧さに8点以下は付けられません。
ザ・チャンバラさん [DVD(吹替)] 8点(2011-10-27 21:18:24)(良:3票)
55.《ネタバレ》 上手い見せ方、という印象です。まず、退役軍人の主人公。有りがちなのは、バリバリの愛国主義者だけど、このトミー・リー・ジョーンズからは偏執的な愛国臭を感じない。元軍人らしい頑固さはあるけれど、それ以上に、元軍人らしい折り目の正しさ、で造形していました。例えば、スラックスの皺を伸ばす几帳面さや、シャーリーズ・セロンの息子に就寝前のお話を聞かせるくだりなどで、丁寧に人物像を作ってゆきます。その流れで、二人の息子が軍属という設定にも、親父に無理強いされたというより、息子たちが自発的に尊敬する父の後を継いだのだと感じました。次に、軍警察の後輩にあたるシャーリーズ・セロンの型どおりの捜査に口を挟みます。ここでは、刑事コロンボ並みの洞察力を発揮してストーリーに起伏を作り、中だるみさせません。自分は予備知識なしに観始めて、これらの上手さはまるでクリント・イーストウッドの映画のようだと感心していたら、ポール・ハギス監督は近年のイーストウッド作品に何度も関わっていたんですね。似ていて当たり前でした。でも、その流れで何を見せてくれるのか、と期待していたら、イラクで平衡感覚を失った若者兵士の犯行というオチで、これには少しがっかりしました。戦場は違っても、ベトナム戦争以降、出尽くしているテーマです。覇権主義色が濃い戦争がもたらすものは、似たような結果にしか行き着けない。この映画のオリジナリティは、事件の真相に迫って行くのが、息子を殺された父親であると同時に、元軍人であるというところです。父親として真相を突き止めたい願いは、その息子も精神を病んでいた、という苦い真実にたどり着く。元軍人としては、自らが軍属だった頃に矜持としていた正義がまかり通らないことも実感する。恐らく彼には何が狂っているのか整理ができない。逆さの星条旗には、父親と元軍人の、両方の想いが表れています。
アンドレ・タカシさん [CS・衛星(字幕)] 7点(2009-07-30 02:16:36)(良:3票)
54.《ネタバレ》 何を書いてもこの映画で受けた衝撃をうまく言葉で表せず、現在三回目のレビュー書き直しです。筆舌に尽くしがたいとはまさにこういう心境なのでしょうか。衝撃的な内容だったことは事実です。
退役軍人のハンク(=トミー・リー・ジョーンズさん)が息子の無許可離隊の通報を受け現地に探しに行くと息子は遺体で見つかり、その背景を突き詰めていくとイラクへの派兵が彼らの精神状態にとてつもなく大きい爪痕を残しているのがわかってくる・・・といったストーリー。

この映画にはイラクが具体的にどのような状態だったかはほとんど描かれていません。そもそも映画ですし、作中にあった映像などを100%真に受けるというのはナンセンスです。しかし、イラクの”本当の”状況やそれによって影響を受けた兵士達に思いを巡らすには充分な内容でした。個人的な意見ですが、戦場のせの字も知らない自分のような日本人は、彼らが逃避のためにドラッグをやってても責めることすら出来ない、そんな気持ちになりました。
特に象徴的だったのがマイクを殺したペニングの供述シーン。殺した相手の父親が目の前にいるにも関わらず淡々と自分の犯行を述べたり、マイクのイラクでの異常行動を父親に聞かせたり、挙げ句「マイクを埋めようとしたが、腹が減ったからみんなでチキンを食べにいったんだ。」

まさに”異常”です。
しかしそれがただの”異常”ではなく、必ずしも彼ら兵士だけが背負うべきではないとても特殊な”異常”ということも同時にわかります。供述シーンで父親は息子のことを蔑むように語るペニングに飛び掛かると思っていました。彼をそうさせなかったのは上のような理由と、さらにそんな軍や兵士、ひいては国の状況に絶望し、もはや彼のことなど見えていなかったのかもしれません。、


逆さの国旗は救難信号。「もうどうにもならない」「誰か助けてくれ」そういう意味があるんだと主張したハンク。再び逆さになった国旗が、息子の事件を通じて自分の国の現状を知ったハンクの気持ちを象徴しています。
いつかあの掲揚台からガムテープが解かれ、国旗がまっすぐになる日が来るのでしょうか。。。
TANTOさん [DVD(字幕)] 10点(2011-01-21 00:15:00)(良:2票)
53.《ネタバレ》 役者陣の素晴らしい演技に加え、内容や流れ、細かい描写にも気を配って作られている良作。サスペンスの形を取っているが、犯人を探す過程で息子の本当の姿を知り、自身の名誉・愛国心が壊れていく姿を描いた社会派ヒューマンドラマとして見るのが正しいだろう。戦争を経験した事でおかしくなっていく軍人たち、腐敗してしまった組織、間違った戦争をする政府などにどうしても目がいきがちだが、注目すべきは父親の感情の変化。バリバリの愛国心を持つ元軍人の息子。彼は何の為に戦ったのか。父親の様に愛国心があるわけじゃない。ましてやイラクが憎いわけでもない。父親の名誉の為だ。立ち止まればやられてしまう異常な世界で息子は必死についていく。ドラッグ、ストリップ、飲酒運転、周りも腐敗しきっている。一刻も早く抜け出したいが、父親の名誉を傷つける事は出来ない。そうしていつしか息子はおかしくなっていく。犯人を追う中で、父親は息子が国のためではなく自分のために戦った事を知り、愕然としたに違いない。息子を殺した犯人が明らかになるが、彼と対峙しても父親は何も言わなかった。なぜなら息子と同じだからだ。そしてそんな息子を腐敗した軍隊に送り込み、戦わせたのは他ならぬ自分。グラフの一番上にあった名誉・愛国心。下にあった息子への愛。映画が進むにつれこれら二つが交わり、そして最後は完全に逆転する。ラストに国旗を使った事でうまくまとめ過ぎな感はあるが、ただ単に戦争や軍部を批判する映画が多い中で、1歩踏みこんだ勇気ある作品と言える。時代は変わった。国を思い、親を思うがゆえに生まれる悪循環。この悲しい状況を一緒に考えていきましょうという強いメッセージを感じた。
オニール大佐さん [DVD(字幕)] 8点(2009-05-01 19:17:57)(良:2票)
52.《ネタバレ》 良くも悪くもハリウッド映画は明瞭な世界を提示してくれるものだったが、最近はなにかモヤモヤとしてスッキリしないまま終わる傾向がある。現実の複雑さにまともに向かい合えばそうなるわけだけど、ただ溜め息をついてるだけじゃないか、という気にもなる。この映画も構造は至ってハリウッド的で、反発し合っていた師匠と弟子が協力して結果を出す、というパターンの変奏。昔だったらもっと晴れ晴れしいラストになれたのに、現在のアメリカはそれを許してくれない。ドラマは、せがれが壊れていく過程を発見していく父の旅という形になる。善良なせがれが悪い敵に殺される、という形の反戦映画ならそれなりに浄化の気分になれるが、もうアメリカはそんな無垢な自画像を持てなくなっている。それを父親は受け入れていかなければならない。ただ救助信号としての国旗を掲げることしかできない。この圧倒的な無力感が、現在のアメリカの率直な自画像なのだろうか。
なんのかんのさん [DVD(字幕)] 6点(2009-04-12 12:02:57)(良:2票)
51.《ネタバレ》 戦争の悲惨さを描いてさえいればいい映画、というわけではない。ドラマとしての見ごたえがなさすぎる。
携帯電話の映像がもったいぶって少しずつ見られるようになり、イラクでの実態が明らかになっていくが、それほど衝撃的な事実があるわけではない。犯人探しのミステリーとしては、結局同僚の兵士が嘘をついていました、てだけのこと。ひねりもなし、サスペンスも無い。捜査を巡る軍と警察の対立も、軍の犯人隠匿工作などが絡むわけじゃないんで話に関係ない。
兵士の人間性をゆがめた戦争が、真の犯人だ……てことだろうが、そういう立派なメッセージがあっても映画として訴える力が弱くては仕方がない。
しかし被害者のあの無残な殺され方は何だったんだ……。ものすごい陰謀がにあることを想像するじゃねえか。何も無いのに。
最後まで見るのに非常に苦労した。
佐吉さん [DVD(字幕)] 4点(2009-03-21 22:59:20)(良:2票)
50.《ネタバレ》 ハンクは、映画の中で、同じ部隊で戦いを経験した仲間はあんな殺しかたがしない(マイクを)と言葉を告げるシーンがあります。
またマイクを殺した兵隊は、今ここで殺さないと次に自分が殺されるだろうと話すシーンがあります。
同じ戦いを経験した仲間が、自分の仲間をバラバラにして、何十ケ所もナイフでさし、焼いて放置する。人間の仕業ではありません。
アメリカを愛し、世界を救うのは自分たちだと信じイラクに向かった青年たちは自分たちが残酷な人殺しでしかないことをイラクで感じさせられた。人間性を破壊され、人でないものに成り果てた兵士たちあまりにもあわれでした。

でもなぜか映画ががとてもやさしく暖かいものになっています。父と息子、彼らの愛情に心がなぐさめられました。悪は人ではなく戦争が人間を悪に変えてしまう、そんな映画でした。
rikaさん [映画館(字幕)] 8点(2008-06-29 22:44:25)(良:2票)
49.《ネタバレ》  元軍人警官ハンクの元に、息子のマイクがイラク駐留から帰還して姿を消したというニュースが届けられる。無許可離隊などあり得ないと、息子を探し出すために妻を残し基地のあるフォート・ラッドへ向かい、地元警察の女刑事と捜索していた直後、息子の焼死体が発見され・・という話。主演の父親役にトミー・リー・ジョーンズ、女刑事にシャーリーズ・セロン。

 実際に起こった事件を元にしたということで重い展開で話は進みます。というか明るい話はほとんどありません^^;
 軍警察と地元警察との縄張り・セクショナリズムの中で、元軍人でもある肉親が喰いつき離さず追求していくその姿を見せながら、流され消えそうな真実と戦争の虚しさを問いかけているのでしょう。クリント・イーストウッドも製作に関わっているそうで・・。
 監督は「クラッシュ」でアカデミー作品賞を取ったポール・ハギス。社会派ネタを得意にしているのかもしれませんが、あまりスッキリしない作りでしたね。ミステリー調な流れからどういうオチに行くのかと思ったら、浅はかな工作を見破ったあとはトントン拍子で解明されていきます。てゆーか、顔色変えずウソを言っていた人たちが、同じく顔色変えずペラペラと真実を語り出すさまに、コイツラ何の反省もしてないじゃない、とそちらの方が虚しさを感じますw  寧ろそこに焦点を当てているのかもしれませんね。。

尻軽娘♪さん [試写会(字幕)] 4点(2008-05-17 22:14:37)(良:1票)(笑:1票)
48.《ネタバレ》  こーゆーマジメな作品にこんなことを言うのは間違っているのかもしれませんが、映画としてのパンチに欠けます。
 『無許可離隊した息子』『そんなわけないと探し出す父』『死体で発見される息子』『非協力的な軍警察』『タイトル「告発のとき」』だからてっきり軍の不祥事を明るみに出そうとした息子が暗殺されて、それを麻薬組織の仕業に見せかけた、陰謀系サスペンスだと思い込んじゃったわけです。実際は全然違って、『戦争帰りの兵士達。心を病んだ結果の成り行き殺人』でありました。もちろんそれはそれで良いのですが、もったいぶったミステリーの結果としては、いささか物足りないです。。。ただ、少しずつ真相が明らかになる戦争ドラマとして見ると、見応えのある作品です。後味は決して良くありませんが。
 『子供をはねたことに苦悩する青年』が『捕虜を面白半分で拷問する狂人』に変わってしまう。だからあだ名を『ドク』と名づけ揶揄する友人達もやはり狂人。『戦争帰りの夫に怯える妻の相談を適当にあしらった結果、殺されてしまう妻』のエピソードがスパイスとして効いている。『今回はたまたま自分が刺した。翌日だったら刺されていたのは自分のほうだったかもしれない。』『イラクは異常だった。でも今はイラクに戻りたい。』などなど、心が壊れてしまった戦友たちの言葉が痛々しい。息子だけでなく、心を病んでしまった兵士はこんなにもたくさんいるという現実。ですがその伝え方があまりにも淡々としすぎているため、心に響いてこないんです。
 超シリアスなお話も良いんですが、多少の脚色、演出は必要だと思いました。
 息子や若い兵士たちの心からの救難信号を息子たちに代わって上げる逆さの星条旗。これ以上ないラストですね。
たきたてさん [DVD(字幕)] 6点(2017-11-28 04:27:16)(良:1票)
47.《ネタバレ》 イラク帰還兵士が四人の同僚に殺された実話に基づいている。
途中まで、元軍警察所属の退役軍人ハンクが、婦警エミリーの助けを借りつつ、息子の死の真相を突き止める推理物と思っていたが、死の真相が判明してからは、明確に戦争告発に変わった。推理物としては上出来だが、戦争告発としては弱い。思えば、推理物として違和感があった。名推理を発揮するハンクとその相棒たるエミリーの友誼を描いていくはずが、途中で喧嘩のようになってしまうのである。ハンクの「戦友が殺すはずがない」という推理も覆される。ハンクの息子のマイクは、戦場で子供を轢いてしまった衝撃から立ち直れずに精神を病み、負傷者を面白半分に痛みつけるような人間になる。同僚も同様に病み、帰還してから些細な諍いからマイクを刺し、遺体を分解して燃やし、空腹を覚えてチキンを食べるような人間になる。息子も同罪と感じたハンクは彼等を責めない。そこが泣かせどころだ。星条旗を救難信号を意味する逆向きに揚げるだけだ。
ハンクは軍に対する忠誠心を持ち、愛国者ぶっているが、ベトナム戦争の経験もあり、軍警察にいたのだから、軍の良い面も悪い面も熟知しているはずである。「戦友が殺すはずがない」ではなく、戦友が殺すこともあるのが戦争の実態だ。マイクが帰還するのを両親に知らせなかったのは不審だ。犯人達も、マイクのクレジットカードで支払いするなんて、馬鹿じゃないかと思う。サインが必要ならアリバイ工作として成立しないのだから。
トップレスの中年女が後に重要な証言をするところなどは芸が細かい。無残な死体に対して悲嘆する姿が強調される。土葬文化圏では遺体の状態を気にするようだ。
原題は、羊飼いのダビデ少年が投石器で巨人戦士ゴリアテを倒す聖書の神話だ。小さい者が大きい者を倒す、勇気ある者が強者を倒す、神の名において戦う者が武器を頼りにする者を倒す、という三つの意味がある。しかし、ダビデ少年はひどく怯えていただろうと、エミリーは息子に話して聞かせる。殺すか殺されるか、怖くて当たり前なのだ。そして、殺すか殺されるかを強いるのが戦争である。英雄物語の影に隠された真実がある。それが分かる人間に成長して欲しいと願う母心だ。切れ味鋭い脚本だが、マイクの心の闇にはメスが届いていない。
よしのぶさん [DVD(字幕)] 8点(2014-12-02 22:32:15)(良:1票)
46.トミー・リー・ジョーンズの武骨な顔に、抑えた表情。これがいいのです。感情をぶちまけることなく抑えているからこそ、さらに抑制された「無表情な言葉」で語られる真相が、ショッキングなものとなります。真相そのものは、ミステリとして捉えるならば実にストレート、ある意味平凡なものかも知れませんが、同時にこの上もなく残酷なものでもあります。そして、映画で繰り返される、息子との電話での会話、断片的な動画、そして道端の何かを捉えた写真、といったものが、最後に明らかになった真相とともに、強烈な意味をもって迫ってくる、その衝撃。悲惨な戦場と猥雑なアメリカとをつなぐのは、「息子」たちの無意味な死であった、ということ。やはり「息子」の母親である女性刑事を配置するなど、人物設定も上手く、見事な作品でした。
鱗歌さん [CS・衛星(字幕)] 8点(2013-11-03 23:36:58)(良:1票)
45.《ネタバレ》 枕流さんがおっしゃられている通りまさしく「知ってはいけないイラク戦争の秘密を知った米軍兵士の若者が殺され、彼の父親がその事件の背後には軍が絡んでいることをかぎつけて組織の闇を暴く!」みたいなものだと思い込んで見てました。結局の所戦争が帰還兵に与える影響を描いたありがちな反戦映画なのだが、個人的には上手い見せ方というよりも表現が回りくどい点が逆に鼻につき、全く心に響かなかった。「7月4日に生まれて」よりはマシであるが、「我等の生涯の最良の年」や「グラン・トリノ」辺りのドラマとしても傑作と言える作品と比較してしまうとサスペンス部分に面白みが無かったのが残念。
Arufuさん [DVD(字幕)] 5点(2012-04-25 16:12:07)(良:1票)
44.内容は重いがミステリーとしてはショボイ。
ベルガーさん [DVD(字幕)] 5点(2012-03-23 00:50:28)(良:1票)
43.《ネタバレ》 最初は軍上層部の暗部やもっと大きな政治的組織的矛盾を告発するような内容かと思ったのだが、一兵士、戦場に送り込まれるひとりの若者が戦場の狂気に飲み込まれ異常な結末を迎えてしまうというある意味パーソナルな内容であった。語り口は淡々としていてセンチメンタルに流れず、トミー・リー・ジョーンズの” オヤジ”らしい無骨な人間造形は国や人種を越え琴線に触れるところがあるのではないだろうか。とても素晴らしい。またハギスならではのしっかりした構成力には感心せざるを得ない。
しかしその状況がいかに理不尽で人間性を失わせてしまうということと、戦争の非人間性を告発するという意味に於いて説得力を持ったとしても、それがアメリカ兵であるという時点でどうしても、軍事国家ジャイアン米国の独善的な自惚れと見られてしまうのが悲しいところ。イラク戦争の大儀が大きく疑われる昨今に於いては尚更である。
ロイ・ニアリーさん [DVD(吹替)] 7点(2010-12-09 12:53:58)(良:1票)
42.なんだか哲学チックでカッコつけた映画だなー、というのが率直な印象。兵士が「戦争のせいで精神病んじゃいました」系のアメリカ映画を見る度に思うのは「アメリカって学習しねぇ国だな」ってこと。何十年やってんだよ、と。もういいって。・・・と思うなら見なきゃいいんだけど、一応話題作だから見ちゃう私は小市民。おまけにへそ曲がりなので、思うのは、こういう社会派告発シリアス映画を撮って、この監督は、果たして何がしたかったのかしらん、ということ。本当の軸足は「反戦」「告発」じゃないんじゃない? アカデミー賞とか視野に入れた名誉欲じゃ? なーんてね。『クラッシュ』では感じなかったんだけど。イラク戦争がアメリカの暴走そのものだからかなあ。自分で切った腹を「痛い痛い」って言いながら自分で縫っている感じ。一方的にやられているイラクの人のことはどーなのさ、と。そういう描写もチラリとあるけど、なんかすごーく偽善ぽい。まあ、でもそんなアメリカに100%依存しなきゃ生きていけない日本国民であることが、ひときわ身に染みる映画でもありました。
すねこすりさん [DVD(字幕)] 5点(2009-06-04 14:11:20)(良:1票)
41.《ネタバレ》 宗教が世界を支配していた時代より、戦争は人殺しを公然と許される。
でも人を殺した事実は自責の念により、自分自身を苦しませる。
結果、正常な世界を見付けられず心を蝕み、壊していく。
人が道具を持ち、それを武器にしたときより、武器の発展は一つの方向性を持っている。
それは遠くから効果的にというもの。何故かというと人を殺したという実感を持たないで済むから。
正義をかざし、押し付け、地球の裏側に爆弾落とすよう決定した偉い方々は、書類と判子という最高の武器を持っている。
イラク戦争時に起きた実話を基にした映画であるが、展開は事件に巻き込まれた親子の翻弄される姿にワクワクドキドキのミステリー仕立てとなっている。
ラストではストーリー根底に隠されたアメリカの問題点や苦悩が浮き彫りになる。
こいつらが勝手におっ始めた戦争だけど、それに巻き込まれた親子の姿はやるせないものがある。

ひで太郎さん [DVD(字幕)] 9点(2009-04-16 12:06:36)(良:1票)
40.《ネタバレ》 テーマや姿勢が真面目で、「いい映画」を目指しているのは好感が持てる。しかし、映画の出来としては今ひとつで、そのため心に残るはずの訴えが、うまく伝わってない感じを受けた。
特に、「戦争が引き起こす兵士たちの狂気化」を描くなら、戦場に出る以前(から変わった点)も描くべきであったと思う。主人公が元軍警察なのだから、その点には詳しいはず。
同様に息子の変化も、戦争前にどんな人間だったかを、父がもっと語るべきだったと思う。例えば「犬をよけて車を電柱にぶつけた」などの思い出話があれば、だいぶ印象が違うと思う。
また、地元の警察との確執があるが、「一般犯罪者」と「戦場(帰り)の狂気」の違いも描けたはずだと思う。それによって問題の大きさ、深さをもっと分かりやすく浮き彫りにすることもできたのではないか。
そして、「なぜ兵士が狂気化するのか?」という問題にまで踏み込んで欲しかった気もする。この作品なりの切り口が見たかった。
色々考えると、もっと面白く、心に残る作品に出来たと思うのでいささか残念。
塚原新さん [DVD(字幕)] 4点(2009-03-27 01:26:14)(良:1票)
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【点数情報】

Review人数 59人
平均点数 6.81点
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200.00%
300.00%
446.78%
5813.56%
61118.64%
71627.12%
81322.03%
9610.17%
1011.69%

【その他点数情報】

No名前平均Review数
1 邦題マッチング評価 3.60点 Review5人
2 ストーリー評価 7.00点 Review5人
3 鑑賞後の後味 5.40点 Review5人
4 音楽評価 7.00点 Review2人
5 感泣評価 6.00点 Review2人
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【アカデミー賞 情報】

2007年 80回
主演男優賞トミー・リー・ジョーンズ候補(ノミネート) 

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