重力ピエロのシネマレビュー、評価、クチコミ、感想です。

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重力ピエロ

[ジュウリョクピエロ]
A Pierrot
2009年上映時間:118分
平均点:5.66 / 10(Review 82人) (点数分布表示)
公開開始日(2009-05-23)
ミステリー青春もの小説の映画化
新規登録(2009-04-13)【すぺるま】さん
タイトル情報更新(2014-05-08)【ESPERANZA】さん
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監督森淳一
キャスト加瀬亮(男優)奥野泉水
岡田将生(男優)奥野春
小日向文世(男優)奥野正志
吉高由里子(女優)夏子
岡田義徳(男優)山内
渡部篤郎(男優)葛城由紀夫
鈴木京香(女優)奥野梨江子
北村匠海(男優)奥野春(幼少期)
原作伊坂幸太郎「重力ピエロ」(新潮社刊)
脚本相沢友子
撮影林淳一郎
製作アスミック・エース(『重力ピエロ』製作委員会/製作プロダクション)
ROBOT(『重力ピエロ』製作委員会/製作プロダクション)
テレビ朝日(『重力ピエロ』製作委員会)
朝日放送(『重力ピエロ』製作委員会)
企画相沢友子
アスミック・エース
配給アスミック・エース
照明中村裕樹
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【クチコミ・感想】

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82.「映像化不可能」という文句は、もはや伊坂幸太郎の原作に対する常套句となりつつある。
今作「重力ピエロ」も、類に漏れずその常套句が掲げられたが、そのニュアンスは他の作品とは少々異なるものだったと思う。
「アヒルと鴨のコインロッカー」のような文体によるストーリー構成の妙にその要因があるわけではなく、主人公の兄弟をはじめ描き出される「人間性」の妙こそが、映像化に対する最大の難関だったと思う。

結果としてまず言いたいことは、素晴らしい映画であったということだ。
伊坂幸太郎の独特の世界観に息づく絶妙な人間性を、決して物語を破綻させることなく、リアリティをもって映画として紡ぎ出すことに成功している。

それは、原作の真意をしっかりと汲んだ上での監督の確かな演出力、そして、絶妙なキャスティングによる俳優たちの奇跡的な演技力によるものだ。

「小説の映画化」に対して総じて言えることだが、文体によって緻密に描き出されるキャラクターを、生身の人間が「映画」という制限された領域の中で不足なく表現することは、途方もなく困難なことだ。
それが、この原作の登場人物たちのように多様性と二面性を表裏に持った複雑なキャラクターであれば、その途方もなさは更に果てしないものだ。

この物語は、ミステリアスな展開に彩られながら、悲劇を越え、遺伝子を越えて、一筋縄ではいかない「親子の絆」を堂々と描き出す。
それは、まさに重力を飛び越えて空中ブランコをこなすピエロのように、飄々とした中に確実に存在する「自信」と「誇り」に溢れている。

伊坂幸太郎の文体で描き尽くされたに思われたその「最強の家族」の姿を、この映画の俳優たちは、単なる「再現」を飛び越えて、見事に息づかせてみせた。
鉄腕麗人さん [映画館(邦画)] 9点(2009-05-24 01:04:59)(良:3票)
81.《ネタバレ》 春くん 良い子なのに 家族想いのハズだったのに なんでそうなっちゃうのかな と思えて残念。出所してきた憎き人間(渡部篤郎)を即刻処刑したがった気持ちはよく分かるんだが ちょっと待ってよ そのタイミングでの実行は有り得ないんじゃないのか 小日向のオヤジさんは癌を宣告されたんだよ 君がほんとに今現状のオヤジさんを愛してるんだったら 少ない余命、体力落ちて寝込み気味になったオヤジさんの傍に出来る限り居てあげる事を選ぶほうが賢明ではないのか 復讐は後回しにすべきだったのではないか  結果、復讐は果たし得たものの一緒に命を落としてしまうようならオヤジさんに対する相当の親不孝。自首しようかな なんて兄貴と軽く話してはいたが 何が自首だ 君の場合は自首なんてすべきではないだろ オヤジさん寝込んでいるんだよ? 腹決めてやった事なら黒を通せよ 残された日々をオヤジさんの傍に居てあげる事を選択すべきだろ とにかくオヤジさんの看病などの問題も含めて 現状の家族の事よりも復讐心のほうを選択してしまった春くんに残念な思いをしました。ここまで育て上げてきた小日向オヤジさんの気持ちを察する事が痛々しく感じる。子想いの素晴らしいオヤジの話ではあったが、親孝行に徹する息子たちの話ではない。否定して申し訳ないが最強の家族だなんて到底思えなかった。 題材としてかなり重い。
3737さん [CS・衛星(邦画)] 5点(2010-06-24 20:17:20)(良:1票)(笑:1票)
80.原作を読んだうえで鑑賞したのですが、俳優陣の演技に引き込まれ、終わりを知っているにもかかわらず、思いのほか楽しむ事が出来ました。
特に渡部篤郎の演技が素晴らしかったと思います。

原作を読み、心配だったのは、春の台詞が哲学者の引用が多いので、文字として読む分には問題ないのですが、これを実際口に出して喋るとなると相当クサくなってしまうのでは・・ということ。春役の岡田くんはハマっていたと思いますが、やはりその点だけはどうも安っぽくなっちゃいましたね。

端折るところは巧く端折って、映画として、心地よいリズムが感じられました。
設定も色々と変えてあって、だからこそ原作既読の自分も楽しめたのだし、「映画化」した意味は充分にあったと思います。

原作、伊坂幸太郎の独特の浮遊感を感じられる文体と違い、映画版の雰囲気は重めなので、別ものとして2つとも楽しむ価値はあります。

減点要素を挙げるとすれば、夏子さんの中途半端な使い方が凄く気になりました。原作ではもっと活躍してくれます。
おーるさん [DVD(邦画)] 7点(2010-06-07 08:18:41)(良:2票)
79.《ネタバレ》 原作を読んでいて、とても気に入ったので、映画を楽しみにしていました。
原作は原作で大好きだけど、映画は映画でとてもよかったです。

ガンジーと綱吉が好きで性的な暴力が許せない春。
映画の春のようにかっこよくはないけれど、
ぼくもガンジーと綱吉が好きで、性的な暴力が大嫌いです。

最近よく、どこぞの大学やらステーキチェーン店やら色んな所で集団強姦なんて事件が多発していますが、
犯人全員を虚勢して終身刑にしてもらいたい。なんなら死刑でもいいです。
きっと表沙汰にならないだけで、ものすごい数のこの手の事件が起きてるだと思う。
強姦魔の一瞬の快感のために女性は一生の傷をおう。
そのために好きな人ができても幸せなセックスができないなんて悲しすぎます。
法律では春は犯罪者かもしれませんが、ぼくは春の行動は正義だと思ってます。
もっと女性を守る国、世界になってもらいたい。

ジョーダンバットを持った春。
そんな春が大好きなです。

なんかあんま映画の感想になってなくてすいません。。


bokugatobuさん [映画館(邦画)] 8点(2009-06-10 02:33:30)(良:2票)
78.《ネタバレ》 映像化不可能と謳われていたらしい原作のほうを、本作の鑑賞後にぱらぱらと読んでみた。小説でも漫画でも実写化によって劣化する作品が多いと個人的には思うのだが、この作品に関しては映画版のほうが断然良い。原作で随所に挿入される文化的な薀蓄が私には少し煩かったのだが、映画では大幅にカットされていて、かなりさっぱりまとまっている。森淳一の作品はこれまで「TOYD」しか観たことはなかったが、この冷たさを含んだ透明感は持ち味なんだろうなあ。そして、本作のいちばんの見所はキャスティング。こんなにそっくりな子役を使った回想シーンは今まで見たことがない。加えて、泉水も春もどちらもそれぞれの親に似ていることがびっくり。起用する役者のチョイスによってこんなにリアリティーを醸し出す作品はちょっと珍しい。
よーちーさん [試写会(邦画)] 8点(2009-05-14 14:38:36)(良:2票)
77.《ネタバレ》  『放火犯は春』。なぜかそのオチだけ知っている状態での鑑賞。そのオチをどこで知ってしまったのかは思い出せない。ですが、オチを知っていたとしても、なかなかどうして面白い。面白いと感じるのは、春が放火犯であろうが、そうでなかろうが、そこは重要ではなかったからかもしれません。
 その春を演じた岡田将生。今までこの人の演技を良いと思ったことがなかったのですが、これは良かったです。役が岡田将生にぴったりです。
 時系列バラバラ系の作品は得意ではありませんが、今作は過去と現在を同時進行で進めていくだけのすっきり展開。母の身に何が起ったのか。春はどのようにして生を授かったのか。それがわかる過去のシーンは重要でした。
 過去では被害者。現在では加害者。レイプ、事故死(自殺?)、ガン、放火。奥野一家が背負った運命はあまりにも重く、悲しい。にも関わらず、この映画では奥野家がどれほど素晴らしい家族でどれほど幸せだったかを見せつけてきます。兄弟仲が悪い私にとって、その兄弟の絆、家族の絆は確かに輝いて見えたのです。
 『楽しそうに生きていれば、地球の重力なんて消してしまえるんだ。』
 幸せであろうとするから、何が起きても幸せなんでしょうね。
 春がジンジャーエールを注文するのを絶望的な表情で見つめる兄。・・・だけど春にはもうひとつのクセが。春はウソをつくとき唇を触る。自分と同じクセを持つ春を、嬉しそうに見る正志。実の父の血が流れているという過酷な現実がある一方で、育ての親のクセがうつるという救いも描く。この何とも言えない絶妙なバランス感覚が好きです。
たきたてさん [DVD(字幕)] 7点(2020-05-24 01:23:00)(良:1票)
76.2012.02/16 鑑賞。スタートからちょっと変わった引き付けられる展開。さわやかさ、やさしさと、いやらしさ、みにくさが混在でなんとも変わった雰囲気がでている。一般社会では許されない連続放火と殺人が鑑賞者には許されているのが面白い。でも放火とDNAの設定は説得力なし。
ご自由さんさん [CS・衛星(邦画)] 6点(2012-02-16 13:25:56)(良:1票)
75.《ネタバレ》 他の伊坂原作映画と比べるのは筋違いかもしれませんが、テーマに引っ張られたせいかテンポが少し重い。

ですが、ムリヤリに感動させようとするイヤラシさがないので、印象は悪くない。

蛇足ですが、整形後・夏子の「美麗なビジュアルに反した非モテ女子の口調」が、ギャップ萌えの私としてはツボだった。
aksweetさん [DVD(邦画)] 6点(2011-10-11 00:36:38)(良:1票)
74.重いテーマですが不思議と軽い。兄弟がとても良かった。なんだか妻を、わが子を大切にしたいと思えた。そんな映画。
ライトニングボルトさん [CS・衛星(邦画)] 7点(2011-05-18 04:44:46)(良:1票)
73.《ネタバレ》 悪くなかったし、嫌いじゃない。でも・・・
『アヒルと・・』の時も思ったけど、この原作者の作品、設定が酷過ぎるよね。残酷すぎ。そして、登場人物の誰一人にも根本的には共感できない。結末についても、連続放火と放火殺人をしておいて、のどかにほんわか終わられてはかなわない。つまり、これは原作の問題で、この原作の映画化としては最大限な良作といえるのかもしれない。
フラミンゴさん [地上波(邦画)] 5点(2011-04-07 13:56:43)(良:1票)
72.《ネタバレ》 初めて読んだ伊坂作品がこれでした。春の人物描写や実の父親をぶっ殺すストーリーに新風を覚えました。どこか達観している感のある春の複雑な内面が新鮮でしたが、映画もそこそこ描写できていると思います。「遺伝か環境か?」という命題に対して、映画から感じられる結論は、春は長い時間を掛けて悩んだのだから良しとするか…って感じですが、実はレイプでできた子供を即座に自分達の家族として育てると決めたお父さんの決断にこそ、その答があると思います。少なくとも原作の方は、周囲からは凡庸な扱いを受けながらも、その意思の力が際立っていました。そして、春が二人の父親から相克する性質を受け継ぎながらも、断固とした答を出したことに本作の価値があります。春が自首するかどうかは、もうどちらでも良いような雰囲気で物議を醸しそうですが、それがこの作品の特色でもあると思います。…どうも原作の評価になってますな。あの兄弟のキャスティングは高得点。夏子さんのおどおどした挙動とストーカー時代の写真が笑えました。ただ、映画化して面白い題材かというと、この点数くらいです。
アンドレ・タカシさん [CS・衛星(邦画)] 6点(2010-10-13 21:41:29)(良:1票)
71.《ネタバレ》 ふむふむ、なるほどね。原作は未読だけど、同じ伊坂幸太郎原作の映画「アヒルと鴨・・・」同様、よく練られていると思った。春のこれまでの人生を考えると、どれだけ思い悩んだかしれない。偉人の言葉に詳しいのはそれらに救いを求めた時期があるから。火によって浄化するというのは、宗教にも手を伸ばした事を感じさせる。子供の頃から「なぜ父親に似ていない?」「なぜ自分だけ絵が上手い?」「レイプって何だ?」と引っかかっていて、真実を知った後は自分の存在そのものについて悩み続けた。絵に描いたようなイケメンだけど、たまに心の闇を感じさせる表情を見せる春。加瀬亮、小日向文世の安定感もさることながら、岡田将生がとても光った一本。
リーム555さん [CS・衛星(邦画)] 7点(2010-08-06 19:05:50)(良:1票)
70.なんだろ? どうもスッキリしない映画だな。このストーリーでDNAや血縁などという言葉が絡むと……。何が言いたいんだ? 犯罪者の子供は結局犯罪に走るってことか? 何だかひでぇ言い分だな。w
 まあ、弟の春には同情すべき点もあるし、葛城由紀夫は根っからのキ印系犯罪者だから、百歩譲って最後の殺人は良しとしよう。これを否定したら必殺シリーズなんか全否定しなきゃいけなくなっちまうからね。でもさぁ、何かっちゃあバット振り回して人を叩いて回る癖は止めた方がイイんぢゃね?
 お話も、連続放火に壁の落書きとDNAの塩基配列と盛り沢山に並べた割には、解決がショボい。原作未読だが、元々こんな話なんだろうか? 頑張った割に空回り……という感じ。
TERRAさん [CS・衛星(邦画)] 4点(2010-05-19 18:52:53)(良:1票)
69.《ネタバレ》 原作未読。先日観たゴールデンスランバーよりは登場人物の心情が深く描かれているので断然よかった。レイプの被害に遭って人生を大きく狂わされた家族という重いテーマながら暗くなりすぎず上手くバランスよく仕上がっている。が、肝心な放火犯捜しがそれまで台詞の全くなかった元ストーカー夏子さんの一言で解決してしまってやや拍子抜け。それから殺人という重い罪を犯したのならやはり法の下で裁かれるべき。レイプ犯がたった5、6年で世の中に出てきたことで司法への不信感もあるのかもしれないが、そこだけはどうしても納得いかなかった。地元民なのでロケ地は見覚えのある風景がたくさん出てくるのでそれも楽しめた。クライマックスで流れるピアノもGOOD。あちこちに散らばる伏線を終盤に向けて一気に回収されていく様はあいかわらず見事です。すべてのファクターに意味がある。「楽しそうに生きていれば地球の重力なんか消してしまえるんだ」という台詞が心に残った。そういや最近、小日向氏は他の映画かドラマでも同じようなヘアースタイルのヅラかぶってたなぁ。
時計仕掛けの俺んちさん [DVD(邦画)] 7点(2010-04-30 02:45:12)(良:1票)
68.《ネタバレ》 伊坂原作ものは相性が悪かった。「アヒル」然り「フィッシュ」然り、ドラマの嘘臭さと、偽善が鼻につくからだ。
しかしこれを観て、もしかしたら私は少々読み違えていたのかもしれないと思った。
私は、はじめこの映画のクライマックスの選択、親子の食卓での遣り取りに、またか・・・と正直思ったのだが、ふと作中で胸打たれたある言葉を思い出し考えを変えた。
もしかしたらこの物語は真の信念について描いているのかもしれない。
言葉で言うは容易いが、行いは難し。自分の見たい生き方になれ、である。
少々飛躍するが、たとえばテレビで貧しい国の映像をみて、かわいそうだとは誰もが思うが、なにか行動を起こせる人間は、はたしてどれだけいるだろうか。
法の下では愛する人が傷付けられたときでさえ、復讐することは罪だ。
この映画が問うのはそこかもしれない。
犯罪が許されるとかはもちろんありえないが、主題はそれではない。
倫理や法において正しいかではなく、信念として正しくあれるのか。
先天的に植えつけられた宿命に抗えなくとも、人は環境によって生かされる。
そんなことを考えながらエンドロールを眺めた。
xxxさん [映画館(邦画)] 6点(2009-08-17 13:56:24)(良:1票)
67.《ネタバレ》 痛い映画。主人公二人の演技も痛いし、とってつけたような謎ともいえぬ謎も痛いが、よくよく考えるに脚本が一番痛いと思う。だれか殺人の動機を教えて欲しい。鑑みるに「実の母を犯したやつが反省せずにしゃあしゃあと生きているのが許せなかった」ということかもしれないが、私が見た限り渡部篤郎演ずる男はたわけたことを言うがべつに殺すほどのやつではない。私刑を加えるというのであれば渡部が現在も何らかの重罪を犯し続けているという説得力がなくてはならない。バッドで殴り殺すシーンはいろんな意味で「最悪」である。止めようとした兄が飛び込んだら梁が落ちてきて偶然当たって死んだとか、何らかの形で意表をつかねばならない。百歩譲って殺してしまうことを許すとしても、必ず落とし前をつけるというのがハリウッドの掟である。弟も死ぬとか親父に自首させられるとか家族が崩壊するとか。狂気を野放しにするようなラストでは、大方の日本人に対してなんとなくの共感を期待するという甘え丸出しのポルノ脚本になってしまう。ここは日本だからそれでもいいなどとはまさか思っていないだろう。原作通りというのなら原作者が愚鈍なのだ。映画は映像を附加することで原作を大幅に上回る高次元の説得力を持ち、ゆえに映画はつねに原作より偉いのであり、話を変えることは何の問題もない。
惜しいと思うのはこの話が高度な映画になりうるということだ。「DNA」という明確なテーマがあり、家族を愛していながら凶暴性や絵の才能といった実父の血にあらがえないという葛藤に苦しむ男が、「自分のおかしさの原因はすべて実の父にあると思った」あるいは「原罪である実の父を殺せば自分や癌である父にも何らかの救済があり平和が訪れると考えた」といった実存的理由で狂いながら殺人に至る過程を、たまたま大学院で遺伝子の研究をしている兄の理性的な蘊蓄や推理を絡め、中途半端な謎や脚本に依らず逐一納得のいく解答の得られる物語に焼き直し、共感力を持つ高度な映像でもって見せてもらえたら、もしかして傑作になったかもしれないということは書いておきたい。冒頭5分間の映像はおっと身を乗り出したほどよかった。ないものねだりではないことを願う。長文失礼。
アンギラスさん [映画館(邦画)] 4点(2009-06-14 00:46:27)(良:1票)
66.《ネタバレ》 中盤までの展開は良かったが、最後の撲殺放火殺人でそれまでのリアリティがパァになった。これではいくら家族のきずなといわれても共感できないし、のんびりしたラストシーンがわざとらしい。子役を含めたキャスティングは良かったが、渡部篤郎の悪役はもうひとつ。伊坂幸太郎原作ものでは、アヒルと鴨>死神の精度>重力ピエロ>陽気なギャング、というところ。
Q兵衛さん [映画館(邦画)] 6点(2009-05-30 06:56:22)(良:1票)
65.《ネタバレ》 人は規則に従って生きている。社会活動の規範は法律。人としての在り方を示す道徳。そして自分の中のルール。罪を犯した葛城は、一度法によって裁かれました。しかし彼は意に介していない。彼のルールでは、何ら自身に非は無いから。魚を盗ったノラ猫を窃盗罪で起訴するのは無理な話。真に葛城を裁けるのは、彼が認めるルールのみです。それを見極めるために春は何度も葛城に会った。回りくどい遣り方で彼の良心に問い掛けた。自認するスタンダードで“正当に”裁かれた葛城については、この際どうでもいい。問題は春です。葛城が言う「自分の心は痛まない」は、春にも当てはまるのか。答えはおそらくYES。春に潜む凶暴性は、父の血を引いている。ただし、彼にはもう一人父親がいます。唐突に“降ってきた”命を全身全霊で受け止めた男。誹謗や蔑みを恐れぬ強い心を持った男。奥野の選択を道化と揶揄する人もいる。でも凄い事を凄いと思わせない事が、いちばん凄いこと。ピエロは笑っているから最強なのです。奥野もまた、自分のルールを持った人間でした。葛城と同じです。違うのは自分のルールに従う理由。強いから従うのか、弱いから従うのか。春のはにかんだような笑顔は、どちらの父親に似ているのでしょう。キャスティングについて。加瀬と岡田については文句なし。それぞれの血を引く父親、小日向と渡部との相性も抜群です。ただ、若き日の小日向にヅラを被せた事や、年増の鈴木京香には違和感がありました。若作りする必要は?でも観終わって納得。この夫婦の年齢は物語に深みを与える重要なファクターと考えます。養蜂にも意味がある。ミツバチの生態が奥野家の姿と重なります。遠心分離機の2枚の巣板は、DNAの二重螺旋の暗示か。奥野正志の生き方を象徴するような優しい音楽の使い方もいいです。細部まで創りこんだ映画。素晴らしい。
目隠シストさん [映画館(邦画)] 8点(2009-05-27 18:25:49)(良:1票)
64.本来ならこういった邦画は映画館で観ないんですが、「アヒルと鴨のコインロッカー」がかなり良かったので、同じ原作者ということで映画館で観てきました。ミステリー作品なのかと思いきや、それよりも家族の絆がテーマって感じなんでしょうか。連続放火事件を軸に物語が進んで行きますが、その犯人や動機っていうのは、わりと早い段階で読めてしまいます。“アヒルと鴨”みたいな驚きの展開を期待していたので、その点はかなり拍子抜けでした。切なかったり、笑えるところもあったり、全体の雰囲気は良かったと思います。キャストも良くて、春役の俳優さんは私は知らなかったのですが、役にしっくりきてました。また、子供時代の子役達も演技が自然ですごく素敵でした。個人的には夏子さんという役の設定が絶妙で大好きです(笑)。渡部篤郎はいかにもというか、役にハマリ過ぎてる感じが逆に嫌でした。あまり名前の知られてない役者さんにしてほしかったなぁ。ともかく、作品自体は内容・雰囲気ともに良かったです。
びくーにゃさん [映画館(邦画)] 8点(2009-04-29 02:35:12)(良:1票)
63.《ネタバレ》 タイトルがいいですね、このタイトルに惹かれて鑑賞。でも想像してた内容とは全く違ってました。
家が燃えるシーンとあの音楽、オープニングで惹き込まれ悲しい話の予感。渡辺善太郎さんの曲が物悲しいけど優しくて安らぐ。収録曲の全てが良いですね、エンディングまでずっとこれで通してほしかったです。なぜかエンディングだけ「?」と感じる歌い手と曲で終わるなんてことが邦画にはよくあるのよ。

まず、私これ好きです。人物のキャラ設定はしっかりしてますし演じる俳優たちもハマっている。そして肝心なとこをしっかり描き見せていて、奇をてらったようなウケ狙いのような人物や描写が無いのが非常に良いのです。
誰がと言われたらピエロはお父さんかな。穏やかでホワンとしてるけど芯があり強い人って感じ、突然母親が亡くなったそのタイミングで出生の秘密まで言うのはどうなのよとは思ったけど。でもピエロって口は笑っているようなメイクだけど目が笑ってなくてむしろ泣いてるみたいなのよね。
兄弟の方も薄々何か違和感はあったんだろうな、子どもの耳にまで入るほど噂されてたってことだから、両親の方は言うに及ばずでしょうね。心無い人の下衆の勘繰りも受けていたわけね。

何と言ったら童話の世界みたいで、童話ってダークでわりと残酷でしょ。善人は最初悲惨な目にあい、悪者の最期は猛獣に食われるとか焼け死ぬとか、カタキをとられて殺されるとかですし。そしてめでたしめでたしで終わる。普通にクライムサスペンス、アクションものならなんの問題もないことですよね、放火や殺人の是非はここではあまり意味が無いと感じました。
ダーク、ブラックな再生モノ家族の絆モノでラストまで惹き込まれてほっこり見終わりました。
ジンジャーエールと嘘つくときの癖。二階から飛んでしっかり地面に着地する春。遺伝子とストーカーの夏子の存在が良いですね。吉高由里子はやっぱりこういうキャラがいい。
岡田将生はほんとに美しいわね。
最大の難点はやはりセリフが聞き取れないとこ。邦画のいちばんダメなとこですよ、録音、音声技術はどうして向上しないんだろ?
映画は映画館でしか観れない時代はとっくに終わってるのに。
envyさん [インターネット(邦画)] 8点(2022-12-26 13:37:44)
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【点数情報】

Review人数 82人
平均点数 5.66点
000.00%
100.00%
244.88%
356.10%
4910.98%
51012.20%
63137.80%
71619.51%
867.32%
911.22%
1000.00%

【その他点数情報】

No名前平均Review数
1 邦題マッチング評価 5.14点 Review7人
2 ストーリー評価 4.55点 Review9人
3 鑑賞後の後味 4.12点 Review8人
4 音楽評価 5.33点 Review6人
5 感泣評価 3.14点 Review7人
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