別離(2011)のシネマレビュー、評価、クチコミ、感想です。

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別離(2011)

[ベツリ]
A Separation/Nader and Simin, a Separation
(Jodaeiye Nader az Simin)
2011年イラン上映時間:123分
平均点:7.84 / 10(Review 44人) (点数分布表示)
公開開始日(2012-04-07)
ドラマミステリー
新規登録(2012-04-03)【ESPERANZA】さん
タイトル情報更新(2018-02-22)【TOSHI】さん
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監督アスガー・ファルハディ
キャストペイマン・モアディ(男優)夫 ナデル
レイラ・ハタミ(女優)妻 シミン
シャハブ・ホセイニ(男優)ホッジャト
メリッラ・ザレイ(女優)ギャーライ先生
落合弘治夫 ナデル(日本語吹き替え版)
岡寛恵妻 シミン(日本語吹き替え版)
小林さやか〔声優・1970年生〕(日本語吹き替え版)
脚本アスガー・ファルハディ
撮影マームード・カラリ
製作アスガー・ファルハディ
あらすじ
シミンとナデルは結婚して14年になる夫婦。もうすぐ11歳になる娘デルメーとナデルの父親の家族4人で、テヘランのアパートで暮らしている。シミンは、娘の将来を考えて、国外移住の許可を1年半奔走して取った。しかし夫ナデルの父がアルツハイマー病になったことで、計画が狂う。父親介護のため国を出ることはできないという夫、娘のためにはたとえ離婚しても国外移住を望む妻。しかし事態は別方向へと発展する。
ネタバレは禁止していませんので
未見の方は注意願います!
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【クチコミ・感想】

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123
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44.《ネタバレ》 冒頭ファーストシーンのタイトル入りまでのカットは、夫婦2人のカメラ目線によって観客には見えない“第三者”に向けられていますが、話が進むにつれてあのシーンが「観客に投げかけている」意思だったことに気付きます。その意図は、ラストカットのワンカット前とほぼ同じ状況、同じようなテーマで繰り返されます。それがつまるところ単純に、観客への「質問提起」と「答案回収」なのです。というのは観客に、「この夫婦のどっちなら信頼できますか?そしてできましたか?」という物語構造に捕えることができるのです。そして、それと表裏して社会への強烈なメッセージが込められた作品であることが如実にわかります。ラストカットのエンドロールの入る数秒前、夫婦の間を通るのは2人の娘です。「説明」はされていませんが、あの衣裳、あの背丈、あの仕草を見ればわかりますし、もしエキストラだとしても、誤った誤解を生むようなミスを監督がするとは到底思えません。そんな娘は終始、身勝手な両親に翻弄され、傷つけられても決して両親を思う事を止めませんでした。その健気さは、簡潔に言えば「世界中全ての子ども」の普遍的な親への願いであり、そうあることの“正しさ”を強く解いているように思いました。少女は節々で選択を求められ、その都度、答案を返し続けた末、両親はまた身勝手に離婚決めます。そんな両親に対して少女が決めたのは「どちらも選ばない」という「両親が元に戻る最終手段」だと思いました。巧みなミステリー構造の根底に流れる強いメッセージに、ぼくは心震えました。宗教的に嘘の許されないイラン社会で嘘をつく人間がいる現代イラン。離婚の許されなかった社会で法律が変わり、離婚が増加している現代イラン。イランに住んだこともなければ、イラン人に出会った事すらない。それなのに、イランで生きる人々の私生活とそこにある問題とそれに対する祈りを、まるでそれを知っているかのような感覚でそれについて真剣に考える事ができている。映画は人種や文明、時代を超えて全ての人間に届くものだということを強烈に考えさせてくれた。これだから映画は素晴らしい! 最後に、観客にさえ、あなたなら気付いてあげられたか、という嫌みな問いをも残した監督。凄過ぎる。
ボビーさん [映画館(字幕)] 9点(2012-05-22 21:26:42)(良:3票)
43.ちょっと押しただけなのになぁ。
ほんと、ちょっと押しただけなんですよ。
まさにこれ。このちょっと押しただけで果たしてあのような結果になるのか?というのが最大のポイント。しかし、そこの真相は非常に曖昧で観客の想像に委ねているあたりがこの映画の巧い所であり、憎い所でもある。
とにかく、無駄な演出を排し、圧倒的にリアリズムで迫ってくるその構成は非常に見応えがあり、私の想像力を総動員させられたのだった。
ヴレアさん [DVD(字幕)] 8点(2014-09-26 07:11:10)(良:2票)
42.《ネタバレ》 誰も悪くないような、誰もが悪いような…。
描かれているのは善と悪というステレオタイプではない、どこにでもいるリアルな人間の不幸。
相手を責め、自分の責任逃れをするエゴイズムは、誰でもこうなる要素を内在しているのかも。
愛する者を守りたいがための嘘が絡み合って、どうにも解けなくなってしまった糸のような状態。
認知症の親の介護、事故による流産、リストラによる生活苦など他人事とは言い切れないことだし、一つ歯車が狂えばなかなか元には戻らない。

イランが舞台ということで、貧困と宗教が絡んだリアリティに圧倒される。
敬虔なイスラム教徒のコーランへ誓うことの重さは想像以上で、物語のキーにもなっている。
神に誓っても嘘がつけるところでは成り立たないストーリーで、イスラム社会の特性がうまく生かされている。
チャードルで妊婦がどうかわかりにくくなっているのもそう。
街並みも含めて異国情緒や文化が色を添える。

互いに傷つけあう裁判や夫婦の諍いは、醜さと痛みがびんびん伝わってくる。
夫婦ともに娘をとても大切に愛していながら、それでも夫婦間を修復できずにその大切な愛する者を傷つけてしまう。
一番の被害者は子どもで、なす術のない様が哀れを誘い、後味の悪さが尾を引く。
ラストシーンでは、娘の審判を待つ夫婦は廊下の両サイドに分かれて無言、開かれたドアの向こうにいる相手に目も合わせない。
そのドアを何人もの人々が通り過ぎていく。
ほんの少し歩み寄れば簡単に通れるのに、その距離は永遠に届くことのないほど離れて感じられるという見事な演出。
脚本も兼ねたファルハディ監督の才能がうかがえる。

娘が両親のどちらを選んだか明らかにされていないが、娘の涙は両親の修復をついに諦めた惜別の涙に思える。
父の元にいたのは母に戻ってもらいたかったからで、修復不可能だと悟ったなら母のところにいくのだろう。
父を守るために心ならずも偽証までした優しい娘だから、父を見放してしまった自分を責め続けることになるかも。

判断を観る人に委ねる曖昧な描き方はずるくて好きではないけれど、この作品の場合は描く必要がなくこうしたラストがふさわしい。
緻密に構成された完成度の高い作品だが、残念なのは娘が11歳の設定なのに全然そう見えないこと。
どうしてそんなキャスティングをしたのか不思議だったが、娘役が監督の実娘だったとは…。
飛鳥さん [DVD(吹替)] 9点(2013-11-12 18:00:15)(良:2票)
41.《ネタバレ》 名作。
初視聴?のイラン映画。
14年来の夫婦が一人娘と3人で暮らしている。
妻は海外での生活を望むが旦那である主人公は認知症の父が心配で反対する。
売り言葉に買い言葉で離婚寸前まで行くが裁判所に認められず別居となる。
主人公は父の世話のため女性を雇うが彼女は夫が短気なので内緒で働きに来ていた。
ある日事件が起きる。
主人公が帰宅するとその女性が居なくて父がベッドに縛り付けられ意識不明だった。
なんとか父は無事にすんだものの帰ってきた女性に
主人公は激高して家から放り出し彼女は階段に倒れこむ。
その夜彼女は流産してしまう。
彼女は主人公を告訴する。
問題は主人公が彼女が妊娠していると知りながら押し倒したのか?
主人公は知らない。で押し通そうとし逆に女性を父を放置したことで告訴する。
といった話。
この話にはいくつかの疑問点が仕込まれている。
・なぜ世話係の女性は父を放置したのか?どこへ行っていたのか?
・主人公は女性が妊娠していたことを知っていたのか?
・流産の原因は階段から落ちたのが原因か?短気な夫の暴力か?
この事件を取り巻く人々のドラマもなかなかすばらしい。
引き込まれました。
Dry-manさん [DVD(吹替)] 9点(2015-06-25 00:13:46)(良:1票)
40.《ネタバレ》 我々は一体、イラン出身の傑作を何本見逃し、何本過小評価してきたのだろうか。このアスガル・ファルハーディー(アスガー・ファルハディー)の「別離」は、そんな日本人の意識を変える抜群に面白い傑作の一つになるだろう。

スタートダッシュから言葉で殴り合うような素晴らしい冒頭5分間。
男女の身分証、様々な免許、パスポートをコピー機?が読み取っていく。
頭を覆う布を投げ捨てんが勢いで質問に答える男女。激しい口調で夫婦喧嘩。幾度も交わされる“おはよう”、みぶりてぶりを交え、男は前に出されサイン、女もサインをする。

シリアスな題材ながら何処かユーモラスさえ感じる男女のキリキリしたやり取り。特に女性の撮り方!
アッバス・キアロスタミの傑作群にも参加したマームード・カラリのキャメラワークも功を奏している。
口舌の刃で彼女たちは斬り合い・・・いや鉄の塊で叩き殺して黙らせてやりたい気分だ。口論とは時にそういう感情も無意識に抱かせる瞬間がある。そんな表情をクローズアップで見逃さずに撮っている。その感情は徐々にエスカレートしていく。

荷物を鞄に詰めるが、イライラして中々閉まらない。

老人の介護疲れ、夫は仕事で介護から“逃げている”。あろうことか、それを家族ならまだしも他人の女に“押し付ける”始末。
俺だったら遺書を先に書いて「呆けたらさっさと殺して、保険金にでもしてくれ」とでも言っておくかな。こんな状態見ちゃうと。だってじいさんはされるがまま、口をもごもごさせるのみなんだもの。傍観者さ。その傍観者をめぐって家族に亀裂が入っているのにね。
流通するケータイは他の国の“使い古し”、子供たちは布を自由に取るが、大人の女性たちは頭の布にでも拘束されているかのよう。

ランプの上に隠された鍵が事件を起こす引き金にもなる。

ブラックなやり取りも多い。
女はドアを開けて出ていく、男がドアを閉めるとすぐにインターホンを押して帰ってくる。あるある。締め出しても合鍵で“侵入”。あるある(多分)。
娘と父親の階段での競走、酸素呼吸器で遊ぶ娘。じいさんを殺す気かwww無邪気って怖えー。
腕と脚に鎖をした男、不気味に嘲う、娘は怯える。
駆け出す女、老人の徘徊、車に轢かれないかどうかで冷や汗、 家族は楽しくゲーム、女は介護疲れで汗をぬぐう、バスの中でフラつく、一人黙々とゴミ捨て。

そんな女の苛立ちが積もりに積もり、事件は起きる。
バックミラーで娘を確認しての帰宅、いつもの“鍵”がない衝撃、ドアが開かないのは事件の匂い・・・サスペンスフルに描かれる。

「何故こんな事をしたっ!」
夫たちは娘たちを部屋の奥にやる、夫にとっては大事な父親、でも女には赤の“他人”。確かに介護を引き受けたのは彼女だが、男の無責任さにもハラを立てたくなる。
あれだけ近くにいて、男は本当に何も知らなかったのだろうか。

父を洗いながら一人静かに泣く。
家族が崩壊していく事、父がこうなってしまった事に対して何もしてやれなかった・・・様々な苦しみが男を襲う。

病院では口論の末に拳が飛び交う喧嘩になりかける、窓を叩き挑発、目の痣が生々しく残る女性。冒頭の罵り合いもこうなっておかしくない空気だった。
第三者が“監視する”前では口舌の刃で斬り合う。叩き斬ってやる、叩き殺してやるぞ、と。ドアに頭突きをかますほどの苛立ち。
感情を抑えきれずブチ切れ、女に手を出した事を思い出したかのように、空を切るように拳を振りまくる、女もガードするように拳をバチバチ弾く。
 
娘の車の助手席から見守るような視点。娘たちは傍観者に過ぎない。その傍観するしかなかった娘たちが、クライマックスの突破口を開く。見てしまった真実を、あるいわ嘘を話さずにはいられなかった。

階段でのやり取り、じいさんの窮屈そうなネクタイを取ってやる夫の優しさ。その優しさを妻や娘たちにもっと向けられていたら。

車で女を追う一瞬、クラクションで呼びかけ、女はサングラスをかけて“取り合わない”、他の車に衝突しまいかとハラハラする。

父の元を去っていく娘たち、母親、兄妹、“女”たち。独り寂しくうなだれる父親。
女と男を隔てる壁はない。そこには見えない“心の壁”が二人の間に横たわっているのだろう。エンドロールの“壁”が上がりきるまで、二人はどうなるのかという事が最後まで気になってしまう。
すかあふえいすさん [DVD(字幕)] 9点(2015-06-07 15:33:38)(良:1票)
39.凄い…。宗教的な面も上手く取り入れ、活かしてはいるが、柱は普遍的なテーマであり、世界中の映画祭で高く評価された事実がそれを表している。人は皆、時に嘘をつきながら生きてきた。その嘘によってむしろ事態が悪化したり、誰かを傷つけ罪悪感に苛まれたり、正直に言えなかったことを悔いたり…。ここまで深刻ではないにせよ、身に覚えがある感覚。だから多くの人がこの映画に引き付けられるのだろう。こんな人間ドラマが見たかった。ありがとう監督。そして俳優たち。素晴らしい映画です。
リーム555さん [CS・衛星(字幕)] 10点(2014-04-17 17:33:54)(良:1票)
38.《ネタバレ》 高校生の頃、トルコ映画「路」を観た時に、ガツンとカルチャーショックを受けた事をふと思い出した。今回は齢40いくつにして、人生初のイラン映画である。そしてまたまた別の意味での強いショックを受けてしまった。ここに描かれている内容自体は、アメリカでも日本でも世界共通どの国でも充分起こり得そうな、非常にわかりやすいごくフツーの中流家庭のオハナシだったから。もちろんお国柄上、宗教価値観の違いで、一筋縄ではいかない展開になっているのが非常に興味をそそられるわけだが。この映画にはいくつかの「?」が観客に提示されている。その「?」によるサスペンスで、中盤からは観客をグイグイと半ば力技的に引っ張っていく。そのうちの幾つかは最後までに明らかにさせ、また幾つかは最後まで種明かしれないまま終わらせてしまう。あまりに説明過多な映画が多い中、観客の想像力に訴えかけさせるような映画は昨今貴重だと思う。しかも決して難解な描き方などしていないのがミソ。「?」を提示する描写も、序盤からさりげなく描かれていて演出的にも巧み。ずっと無表情だった娘が途中から感情をあらわにしたあたりから、映画は加速度的に面白さを増していきましたね。鑑賞後、この映画の中には「食事シーン」がひとつもなかった事に、食いしん坊の私はハタと思い当たる。殆どが屋内シーンだったから、あってもおかしくないはずなのに。これもなんだか考えたらすごく不思議。イラン映画では食事するシ-ンは御法度なんだろうか?すべては観客の判断と想像力に委ねさせるという、この映画の主旨に沿った形でのラストシーンの締め方も自分は好きですね。このラストで1点加算させて頂きます!
放浪紳士チャーリーさん [映画館(字幕)] 8点(2012-06-01 16:25:52)(良:1票)
37.《ネタバレ》 少し退屈かな、と思いながら観ていたら、途中から完全に心を掴まれてしまった。
父の介護だけで済んでいた二人の溝が、夫の裁判でより明確になってゆく…んだけども、そもそもが離婚を決意するような決裂には思えなかった。だから、夫の裁判が決定的な理由ってことになるのかな。
自らの名誉を重んじる夫と、娘の安全を最優先する妻。
ラスト数分のガラスを隔てた二人の距離が、この夫婦がもう元に戻れないことをよく暗示していて、上手い。
そしてこの映画でこの夫婦以上の熱演を見せたのは、娘。
身勝手に思える母親と、保身のために嘘をつく父親だが、娘にとってはかけがえのない両親。
だが、その両親も夫婦として二人揃っていなければ、彼女にとってはダメなところだけ目につく大人なのかもしれない。
父親と暮らすか、母親と暮らすのか、彼女の選択は気になる所だけど、そこは描かず。
セリフのない長めのラストで、観るものを裏切りつつ考えさせる見事な演出。
イラク映画は多分初めてだけど、見応えのある2時間だった。良作。
roadster316さん [インターネット(字幕)] 8点(2021-05-16 22:38:43)
36.余り接することがない中東イランが舞台であり、私には理解できなかった・・・
生活のベースにイスラム教があるのと、無神論ではそりが悪いです。(私の問題であって、本作の問題ではありません)
あきぴー@武蔵国さん [DVD(字幕)] 5点(2020-06-08 23:13:46)
35.《ネタバレ》 2組の夫婦、計4人のうち、誰か一人でももう少し思慮深く(肝心の場面でより適切に)行動していれば、起こり得なかった悲劇だと思われる。しかし、誰もがある意味スネに瑕持つ身であるが故に(かつ誰もがそれぞれ言い分・言い訳も抱えているという複雑ぶり)、却って皆が冷静になる機会を失い、傷口を致命的に広げてしまった、という輪をかけて悲惨な話である。とは言え、感情に任せて妊婦に手荒な真似を働くようなナデルと、働きもせず身重の妻に食い扶持を稼がせていたというラジエーの旦那は、私個人としては到底許し難い(結局、私はこの話、忍耐強く敬虔なラジエーに一番感情移入して観ていたということだろう)。

メインの内容は確実に普遍的な価値を有する作品だと言えるが、で在りながら、随所に描き込まれるイラン社会の描写もまた非常に興味深い。個人的に面白かったのは、弁護士も何も出て来ずに双方が言いたいことを言いたいだけまくしたて、それを判事がジャッジするという凄まじい裁判風景である(私が判事なら、3日で発狂すると思う)。

本作のラスト、結論を出さない描写については、この話、全員が敗者だ、という点を強調したかったのではないかと感じた。それは結局、両親の離婚を止められなかった娘も含めて、である(中盤、この娘に嘘をつかせたのも、娘までをもこの地獄巡りの当事者に引きずり込むための仕掛けだった、と勘繰るのは、やや穿ち過ぎであろうか)。
Yuki2Invyさん [インターネット(字幕)] 8点(2020-06-04 00:37:11)
34.《ネタバレ》 誰が悪く、誰に責任があるのか。言葉の応酬が繰り広げられ、家族を守るための嘘が双方の傷口を大きく広げていく。追い出した際に階段まで転げ落ちたのか、それ以前に自動車と接触していたのか、家政婦の流産の原因は明かされることはない。そう、真の主人公は、高度成長で一見普通に生活しているように見えて、イスラム教による厳しい戒律が根底にあるイランだということ。息苦しく閉鎖的で下手に身動きしたら状況を拗らせる複雑な社会構造が垣間見える、ありのままのイランの姿。国外脱出する母親と、イランに残る父親のどちらを娘は選ぶのか。断絶を象徴するラストカットに沈黙する。
Cinecdockeさん [映画館(字幕)] 8点(2018-06-20 19:13:53)
33.何処の国でもありがちな家庭の問題に家政婦の流産事件が絡めてある物語。コーランに誓って証言出来ないというシーンはイラン映画らしいが、それなら最初から真実を言えばよいのであって、延々と繰り広げられる口論模様が鬱陶しかった。それにも増して鬱陶しくて吐き気がしたのが己の言い分を吐き散らかすだけの夫婦(特に嫁)の会話。私にとって何の糧にもならない愚作。
The Grey Heronさん [DVD(字幕)] 4点(2018-02-10 23:41:16)
32.《ネタバレ》 ○あまり触れることのないイラン映画とイラン人の暮らし。なのにテーマがあまりにも身近で、引き込まれる。○主に五者から語られる言葉にはそれぞれの事情があり最後まで目が離せない。強いて言うなら母が海外へ行きたがる理由がもっと納得できるものであればな。○もう少し見せても良いのにというところで次のカットへ行くのが良い伏線となっていた。○最後にどちらの親を選ぶかを描かなかったのは監督の優しさかな。終始、娘がかわいそうだったから。
TOSHIさん [CS・衛星(字幕)] 9点(2018-01-15 13:25:58)
31.イラン映画は、そう、以前から人間の心理描写が巧かった。今作は、介護、教育、離婚といった洋の東西を問わない問題を抱える銀行マン一家が舞台。観ていると遠い中東の国のこととは思えない近しさを感じる。
誰の立場に最も肩入れできるかで、鑑賞者の感想はそれぞれ違ってくるだろう。登場人物一人一人の考えは、その立場に立ってみると各々ごもっともで、さらに少しずつ嘘も混じるので正悪の判断はにわかにはつけ難い。見せる脚本である。ただ、大人に振り回される中一の長女だけは一貫して可哀想だった。とてもしっかりしているので尚更。こんな年若い子に、親の選択を迫るんだねえ。厳しいなあ。決して楽しい話ではないけれど、イランの人たちの感性や日常がこんなにも我々と近いのだ、と改めて思った。日本のみんなに観てもらいたい。ついでに米国大統領にも。
tottokoさん [CS・衛星(字幕)] 9点(2017-11-25 00:54:08)
30.良作。誰も救われない、辛かった。ただ、リアル感はある。最後にみんな素直になれたのは唯一の救いだ。
ホットチョコレートさん [DVD(字幕)] 8点(2017-10-24 18:57:23)
29.《ネタバレ》 中盤少しタルかったとしても、9点。「家庭の幸福は諸悪の本(もと)」(by太宰治)。娘同士が憎しみ見つめ合うシーンが恐ろしい。
なたねさん [DVD(字幕)] 9点(2017-10-09 21:37:53)
28.《ネタバレ》 胸が引き裂かれるような作品。
誰も悪くないし、誰も救われない。

夫婦の別れが糸を解いていくように、小さな惨事を積み上げていく。
静かな作品だが、展開が読めず気づけばあっという間に2時間去っていた。


イランという私個人には一生無縁だと思っていた国で、こんな名作が撮られているとは思いもしなかった。
映画の中で提示される文化の描写も興味深いが、それ以前に一つの作品として抜きん出ている。
鈴木さん [インターネット(字幕)] 9点(2017-08-20 11:12:21)
27.親の介護でのトラブルと、それに相まっての家族間のゴタゴタを実にリアルに表現出来ている。介護の旦那が相当胡散臭くて、面倒くさい。仕事も手に付かない気持ちがよく解る。イラン映画は多分初めてだが、面白かった。
SUPISUTAさん [DVD(字幕)] 8点(2017-03-07 18:44:58)
26.《ネタバレ》 誰がこの映画の主人公なんだろうって思いながら観てました。単なるヒューマンドラマかと思えばそこで終わらず物語に徐々に惹きつけられていきます。この映画は英語圏でもリメイクできるんじゃないかなと思っていましたが最後らへんのコーランが出てくるシーンでこの映画はこの国だからこその映画だと思いました。主役的な夫婦も、その娘も、家政婦も、その夫も、その娘も、そして主役のおじいさんも、それぞれが脇役を超えた存在になっています。最後の娘のシーンも印象に残ります。このレビューサイトをはじめとして、評判にならなければまずは観ることのなかっただろう映画、良作です。
珈琲時間さん [DVD(字幕)] 8点(2016-10-28 08:45:35)
25.イランにおいても、同じような心理状態で生活している、それがハッキリと分かることがこの映画鑑賞の最大のポイントだろう。
ただし、「コーラン」に対する思いは道徳的な価値観としてもかなり大きなものだということは初めて知ったかもしれない。
simpleさん [CS・衛星(字幕)] 6点(2015-03-01 17:03:37)
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【点数情報】

Review人数 44人
平均点数 7.84点
000.00%
100.00%
200.00%
300.00%
412.27%
524.55%
649.09%
736.82%
82147.73%
91227.27%
1012.27%

【その他点数情報】

No名前平均Review数
1 邦題マッチング評価 8.00点 Review3人
2 ストーリー評価 8.33点 Review3人
3 鑑賞後の後味 7.33点 Review3人
4 音楽評価 8.00点 Review2人
5 感泣評価 8.50点 Review2人
chart

【アカデミー賞 情報】

2011年 84回
脚本賞アスガー・ファルハディ候補(ノミネート) 
外国語映画賞 受賞 

【ゴールデングローブ賞 情報】

2011年 69回
外国語映画賞 受賞 

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