3.《ネタバレ》 和歌山ヒ素入りカレー事件の林眞須美、地下鉄サリン事件の麻原彰晃など、著名な殺人犯たちの弁護士をつとめた、安田好弘という人物に焦点をあてたドキュメンタリー。
林眞須美の無実を信じて揺るがないその信念。
世の中からバッシングを浴びても、決してひるまない弁護士としてのプロ根性。
そして何より、ひとりの人間としての個性が突出していて面白い。
そのイメージからすると、狂気の弁護士というイメージがわくが、その実像は意外にも実直な人間そのものだ。
又、実際に犯行を犯した人間に対しては、その量刑の適切さを裁判所で主張してみせるなど、何でもかんでも犯罪人を無実として主張しているわけでもなく、良識と冷静さも兼ね備えている。
安田好弘弁護士に対してマスコミが創り上げたイメージとは別の人物像が、このドキュメンタリーによって浮かびあがる。
いかにマスコミというもがデタラメかが判明する。
それだけでも観る価値のある映画だ。
又、安田好弘は若い頃から一貫して国家権力と闘ってきた弁護士でもある。
弱者の味方、社会的被害者の味方という意味でも、日本にとって欠かすことのできない弁護士であろう。
時に、国家権力は暴走する。
最高権力たる国家権力に真っ向から挑む安田好弘弁護士。
このような人物を抹殺してはならないし、この様な映画を通して、その存在価値を一人でも多くの人に周知させる必要があるであろう。
その様な意味で、このドキュメンタリー映画は、大きな社会的意義を持つ。