42.《ネタバレ》 これは評価の難しい作品ですね。
キャストが超豪華で絶妙に間がいいので結構笑える。
でも、この作品コメディじゃないんですよね。
中盤以降は呑気に笑ってられない展開になるので、心が痛む。
最終的にすっきりした着地点に導いてくれたなら名作として評価しても良かったとは思うけど、どうにも釈然としないラストにもやもやとしたものが残る。
単純に解釈するなら、詐欺師夫婦を描いた犯罪映画のタイトルに夢売るという肯定的な表現を使っておいて、最終的には服役して罪を償うという構成。
騙された女たちのその後がそれぞれ幸せそうに描かれていて、肯定的なメッセージになっているけど、それは実際の被害者の感覚で納得できるものなんだろうか?
僕も似たような経験があって、その後数年は立ち直れずドツボに嵌ったもんだけど、女性は意外と切り替えが早くて次の人生に歩み出せるということなんだろうか?
現実には騙されて死を選ぶような被害者も居るはずで、詐欺被害者のリアルを描いた作品とはちょっと思えない。
一方で、加害者に与えられる罰もアンバランス。
貫也は詐欺罪ではなくて傷害罪で服役することになったようだけど、それはそれでどうなんだろうか?
元はと言えば自分が悪いんだから自業自得ということで納得するべきなのかも知れないけど、本来の罪とは違う形での服役にすっきりしない感覚があった。
しかも、その一部始終を目撃していた咲月はそんな冤罪による償いで納得なんだろうか?
晴れやかに親から自立するシーンもあったけど、あんな後味の悪い惨劇に関わってしまうと余計に落ち込みそうな気がする。
あと、共犯というか、ほぼ主犯に近かった里子が罰を受けてないのが気になる。
働いて騙し取った金を返すことが罪滅ぼしとでも言いたいのか???
どう考えても金の問題じゃなくて心の問題だと思うんだけど、わざわざ金を返すシーンまで付け加えられてるというのが気持ち悪い。
金を返せばいいんでしょ!という傲慢なメッセージに感じられてしまう。
まあ、でも、そんな詐欺の善悪を語る作品ではなくて、ある夫婦の生き様を描いただけの作品と考えれば、興味深いものがあったとは思う。
少なくとも松たか子のオナニーがエロかった分だけは確実に得してるので、これより低い点数は付けられませんね。