48.コメディにもなりそうな話を、大真面目に作っているところがいい。かつてローマの街を王女とともにバイクで疾走していたアメリカ随一の好青年が、老成してドイツのマッドサイエンティストに変貌するというのは、なかなか感慨深いものがあります。それに、クローン少年の表情のなんとも憎たらしいこと。よくぞこういう子役を見つけてくるものです。 そしてきわめつけは、終盤の老優2人による取っ組み合い。大昔に見た「ゆきゆきて、神軍」を思い出しました。そういえばテーマも似て非なるものがあるし。容赦のない残酷な描写もありますが、また多少退屈する場面もありますが、なかなか傑作だと思います。 【眉山】さん [CS・衛星(字幕)] 8点(2018-09-26 01:22:02) (良:2票) |
47.《ネタバレ》 ストーリーの構成要素が豊富です。再興を目論む元ナチス、世間から忘却された反ナチス活動家、同じ顔を持つ少年たち、父親を殺す謎、人体実験、当時としては新しかったクローニング、etc。それがら上手にサスペンスとして纏まっています。現代のサスペンスに比して映像的には地味だけど、それが却って上質を醸していました。 3~5%。ヒトラーのクローンにヒトラーと同じ生い立ちを与えた場合に、ヒトラーと同じ人格が形成されるパーセンテージです。2~30人に一人がヒトラーになるってことですね。なんとも大味な計画でした。徹底的にナチスを憎んでいるリーベルマンが少年を生かそうと思ったのは、そんな不明瞭な成功率を元に人を殺すことへ疑念です。さらに、たとえ少年にヒトラーの人格が宿ったとしても少年から未来を奪う正当性への懐疑だった思います。突飛とも云える設定の基底に人間性を感じさせる秀作です。 【アンドレ・タカシ】さん [CS・衛星(字幕)] 7点(2016-09-16 03:36:52) (良:2票) |
46.《ネタバレ》 タイムトラベルもののテーマに、タイムマシンで過去へ行き歴史上の人物を殺したら歴史はどう変わるかというネタがありますが、本作のプロットはそれを逆手にとって未来に歴史上の人物を出現させる陰謀という発想なのが面白い。だけども、ヒトラーのクローンを作ると言っても、赤ん坊として再びこの世に生れてからヒトラーに育て上げるというのはあまりに遠大かつバカバカしい計画ではないでしょうか。そのために実際のヒトラーの両親と同じ歳の差がある夫婦を世界中から見つけてきてクローンの赤ん坊を養子縁組させ、ネオナチ組織はヒトラーの父親が死んだ65歳になったら養父を殺すなどという涙ぐましい努力をすることになります。いくらクローンと言っても、人間はそもそも育つ環境によって個性が形成されるわけで、いくら成功率が5%と言っても(この場合の『成功』とはそもそも何を意味するのか、それは一国の独裁者になることなのでしょうか)かつてヒトラーが台頭した様な歴史的状況がなければ意味がないと思いますけど。なんか冷静に分析したらとてつもないアホな陰謀ですが、ヒトラー・クローン君の少年がけっこう不気味な雰囲気ですし、決して上手いとは思えませんがG・ペックの熱演もありスリラーとしてはまあまあの出来かなとは思います。ラストはペックつながりで『オーメン』の様な展開になるかと思ったら、見事に肩すかしをくらわされましたけど…。 【S&S】さん [CS・衛星(字幕)] 5点(2010-07-11 01:35:10) (良:2票) |
45.《ネタバレ》 まず脚本(原作)がおもしろいんです。 そして今見直すと俳優が豪華です。 アウシュビッツにいた博士を頭にナチの残党がある計画を実行してゆく。 世界各国にいる65歳になる普通の男を94人殺害する・・ G・ペック扮する博士以外はそれがなんなのかは知らされず。 なぜ65歳の男がなぜ94人なのか?? 普通ナチの残党とか言ったらそりゃあユダヤ人だろうと思いますが、 あまり関係ないのです。 人種を超えてある計画を実行するためにその選ばれた94人を殺害しなければならない。 未見の方で(未読の方で)ここまででわかった人はかなり戦争通ですね! 映画が進んでゆくにつれホラーよりも怖い話にびっくりします。 そしてニヤニヤするかも・・よくできていますよ。 この博士を追い詰める役がローレンス・オリヴィエ。 彼はユダヤ人の役ですが・・こちらはかなり関係あります。 なかなか深いものがありますね・・ エンディングにいたるまで完成度の高い作品ですが、 娯楽に頼らず原作に忠実に製作された(未読ですが)ようで、 知る人ぞ知る作品になってしまいましたが、 SF&サスペンス好きならぜひ観てほしいです。 今リメイクしても十分そのメッセージは伝わると思います。 上映されるヒットラーの映画と合わせて見るのも面白いかも・・ ヒットラー映画はR・カーライル主演のを前に見てるのでもういいです。 でも本質はこちらのほうが怖くて残ると思いますよ。 もしかしたら優秀な戦争映画よりずっと・・ 早速DVDを注文しました。 【アルメイダ】さん [ビデオ(字幕)] 8点(2005-08-20 12:28:01) (良:2票) |
44.巷に溢れかえるユダヤの悲劇映画が大嫌いな私にとって、この映画のようにヒネリの効いたものこそ、収容所を見せられるより、よほど恐怖感や二度と起こしてはいけない気持ちを強く持ちます。 【亜流派 十五郎】さん 9点(2004-01-31 22:48:16) (良:2票) |
43. 日本で未公開に終わったのが不思議なほど面白い。確かにレヴィンの原作の秀逸さに負う所大だが、ペックがこんな汚れ役を演じているのも珍しく、正に隠れた逸品。ただ、フランクリン・J・シャフナーの演出が例によってチト雑なのが難点ではある。 【へちょちょ】さん 7点(2002-12-26 01:35:03) (良:2票) |
42.アイラ・レヴィンの原作も面白いが、映画もいい線行ってる。この時代に作られたナチスものって、それぞれなかなか面白いのはなぜ? 【hana&ken】さん 9点(2002-03-28 17:46:19) (良:2票) |
41.《ネタバレ》 正に前衛的なサイエンス・フィクションと言える作品だった。昨今テレビや新聞紙面上を激しく賑わすクローン技術や遺伝子組み換え食品といった話題を今から約25年前に先取りしていたこの作品は偉い。普通ただそれだけで終わってしまう映画が多い中、この作品はそれだけでは終わっていない。ヒトラー再生計画というユニークな発想をモチーフにし、全編スリリングにそして不気味に描かれる。また主演のグレゴリー・ペックにローレンス・オリビエもこういった作品での共演とは意外だが、両者の熱演がこの作品を盛り上げていると言っても過言ではないだろう。とにかく必見の作品である。 【チャーリー】さん 9点(2001-06-22 21:48:39) (良:2票) |
40.《ネタバレ》 これは、大変戦慄を覚えました。序盤のうちにポリス・アカデミー出身S・グッテンバーグが早々と死んでしまう。彼が主役となって話を回してゆくのだろうと思っていた私は度肝を抜かれました。世界中の94人の公務員の男を殺せという指令の意味不明なことや、世界のあちこちに見つけられたそっくりの男の子等、謎の提示とその解明が予測もつかないし、判って震えるしでサスペンスの一級品と思います。 個人の感想ですけどこの年代の作品て、共通して淡々としたところがあって、今作は人の死ぬ場面がどれも恐ろしい。「ああー、逃げないと殺されちゃうよ!」と思っていたら本当に殺されちゃう。カメラはあまり動かず騒がず、すっ、と殺っちゃうんだ。あまりの生々しさにいちいち「ひっ」とビビります。ダムなんかトラウマになりそうだ。 整形かメイクか、顔に違和感のG・ペックの怪演や、クローンアドルフの男の子ともに不気味でいっぱい。遺伝子と環境の二つを揃えてやればもしかして、と思えなくもない現状も怖い。特に21世紀の今なんか欧州各国で極右政党が台頭してますから、メンゲレ博士の狙いも実現しやすい土壌は十分ですし。怖い。 【tottoko】さん [CS・衛星(字幕)] 8点(2020-01-15 00:11:38) |
39.フランクリン・J・シャフナーは「猿の惑星」、「パットン大戦車軍団」、「パピヨン」は見たことがありましたが、本作はレンタル店にも動画サイトにもなかったので見たことありませんでした。 最近TSUTAYAレンタルでたまたま見つけたので見ました。 タイトルは「浦安鉄筋家族」の単行本に収録されていた作品に引用されていたので有名な作品なんだろうと思っていました。 タイトルだけでいつも「未来世紀ブラジル」と混同していた作品です。 実際見てみたら割かしちゃんとしていて「ナチス」とか「クローン」とか、当時としては斬新な内容だったんじゃないかと思います。 確かルパンの最初の映画版と並んでクローンを題材にした代表的な作品…と書いてあった気がします。 キャスティングは年老いたグレゴリー・ペックとローレンス・オリヴィエと大御所。 バットマンの執事役で有名なマイケル・ガフ(この時点でもうジジイ)、ヴィム・ヴェンダースの映画に出てたブルーノ・ガンツと地味に知ってる人が出ています。 ま~、「ナチス」と「クローン」を題材にすれば、やっぱりそれなりに面白いです。 しかし、フランクリン・J・シャフナーの作品は先に挙げた作品も含め、質が高く、斬新だったり、題材から着眼点が面白かったりするんですが、僕の中では良くも悪くも7点なんです。 個人的に作風的にはもっと高い点数を付けたい気もするんですが、客観的に評価するとやっぱり7点です。 ま~客観的にといっても評価しているのは私なので結局は主観的ではありますが… 【映画の夢】さん [DVD(字幕)] 7点(2019-12-03 23:44:10) |
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38.《ネタバレ》 なかなか面白かったですね〜。 メンゲレ博士がヒトラー復活のために複製を何十人も作るという。 70年代ですでにクローン話を持ってくる斬新さ、ナチスというヒストリーとSFの噛み合わせ、 そしてまた終盤の展開や終わり方なんかはホラー的ですらある。 いろんな要素の組み合わせで、一つの映画としてとても面白く見ることが出来ました。 【あろえりーな】さん [CS・衛星(字幕)] 7点(2019-06-04 18:15:44) |
37.小説を見てから鑑賞。あまり期待していなかったけど、まぁまぁ楽しめた。 【ホットチョコレート】さん [CS・衛星(字幕)] 5点(2019-05-20 19:25:17) |
36.《ネタバレ》 秘密の会合でメンバーに伝えられたのは、リストアップされた65才くらいの公務員の男たち94人を暗殺する指令。 どういう目的があるのか見当がつかないので、サスペンスとしてまず興味を惹かれる。 こうした不可思議な謎を提示する場合、無理のあるこじつけのような納得できないネタバラシになることもしばしばあるけれど、これは十分納得できた。 確かに遺伝子をコピーしても、同じ環境にしないと、同じような人間に育つ確率は低くなる。 恐るべき男のクローン少年たちを、まだ罪を犯してもいないのに抹殺することなどできない。 でも、ラストで少年の垣間見せた残虐性が、将来恐ろしい事態になることを示唆して余韻が残る。 【飛鳥】さん [CS・衛星(字幕)] 7点(2018-12-10 20:19:56) |
35.《ネタバレ》 1978年のイギリス映画。恥ずかしながら今回初めて観た。 遺伝子技術によるシリアスなサイエンススリラーと言うより、エンターテイメント性重視の荒唐無稽なナチス陰謀物だと思う。 ハマープロの後を継ぐ、ネオ英国ホラー路線と言うべきか。 そう思うのは、これの2年前に公開され世界中で大ヒットしたホラー映画『オーメン』の影響が感じられるから。 グレゴリー・ペック主演ということ以上に、悪魔の子=世界を破滅に導く者の復活と、それ守護する組織VS阻止する個人の闘いを謎解きのミステリーとして描くプロットが、まったく同じ。 また、『オーメン』の様なA級の芸術性(特に撮影の美意識的こだわり)が無く、気合の入ったグレゴリー・ペックの演技も逆に浮いて見える。 他にも、ユーモアが中途半端だったり、配役やガジェットが同時期に製作された『007』シリーズからの流用だったりと、廉価版であることは否めない。 一層のこと、思いっきりドライに描くか、B級に寄せた方が完成度は高くなったのでは? クローン技術に着目して逸早く描いた価値は高いが、A級の映画に成り得なかったことが何とも勿体ない。 【墨石亜乱】さん [ブルーレイ(吹替)] 6点(2018-11-11 11:28:57) |
34.《ネタバレ》 クローン・ネタってのも今となってはすっかり手垢がついてしまった感もありますが、それでもなお本作が魅力を保っているのは、謎の提示のうまさですね。最初の方で、犯人一味の正体も明かされるし、彼らの計画も明かされる。だけど、何のための計画なのか、ってのが謎になってて、それが徐々に明らかさにされていく。で、その明かされる謎というのが、正直、「んなアホな」と言いたくなるような、荒唐無稽なものなんですが、「荒唐無稽な事件の裏を、実は一本の荒唐無稽な理屈が貫いていた」というところに狂気、残酷さ、恐怖、といったものを感じさせるワケで。 ま、バカミスの嚆矢とでも言いますかね。 ほとんどセリフの無い冒頭シーンの緊迫感。何やらよくワカランうちに唐突に発生する殺人事件。厚化粧ですっかり誰だかわからなくなってるグレゴリー・ペックの不気味さ。一方の探偵役、ローレンス・オリヴィエの、いかにも頼りない感じと好対照です。まあ、クライマックスがジジイの取っ組み合い、ってのがいささか盛り上がりに欠けるところではありますが。 ジェリー・ゴールドスミスの音楽、ここでも器用なところを見せて、しばしばドイツ音楽を想起させるようなスコアを披露しています。メインのテーマはワルツ風ですが、リヒャルト・シュトラウスばりの濃厚なオーケストレーション。また中盤ではワーグナーのパロディ?みたいな音楽も聴かせてくれます。 【鱗歌】さん [CS・衛星(字幕)] 7点(2018-09-03 21:16:46) |
33. クローン技術を使っても全く同じ人間を作れないとはよく言われること。「新たなモーツァルトやピカソが誕生」するためには環境を同じにしなければ不可能、という要素が加わるためだが、少々雲行きが怪しくなってきた。 クローン人間の作成は倫理を無視すれば技術的に可能な段階に達している。そして、現代の技術では不可能だがそう遠くない時期に意識や記憶の移植が可能になるとのこと。そうなれば(ヒトラーの時代には間に合わなかったが)、やがてどこかの国の独裁者をクローン+意識・記憶移植でコピーする悪夢が現実にならないとは言い切れない。そういった意味で、この映画は時代を先取りした怖さがある。 老優二人の鬼気迫る競演は見ごたえがあった。特にG・ペックはメンゲレの狂気をオーバーアクトで魅せてくれる。 ドーリング家の鏡に映る数多くのエリック(ヒトラーのクローン)は作品のテーマを暗示する名場面。テレビ放映当時、「ヒトラーのクローン役の子供が可愛くない」という意見に対し、「ヒトラーの子供時代が可愛いわけがない」と反論があったが、後者の意見に1票。 【風小僧】さん [CS・衛星(字幕)] 8点(2018-09-02 14:20:10) |
32.《ネタバレ》 国外からの抑圧の鬱憤を晴らしてくれそうなちょび髭先導者。そんなリーダーを熱狂的に支えた国民と自己中的忠誠心旺盛な取り巻き連中。そんな背景がなければ第三帝国の野望なんて存在すらしなかったはずですが、独裁者のクローンを94人も作って第四帝国って、荒唐無稽で面白過ぎて怖いです。 【ProPace】さん [CS・衛星(字幕)] 6点(2018-09-01 23:59:19) |
31.70年代後半サスペンス特有の、じわじわ~っと危機が迫ってくるような雰囲気は悪くないのですが・・・ミステリーとして見た場合のウラはともかく、登場人物の行動に変化やドラマがないので、映画を見ているというよりも、よくできた小説の映像再現版を見ているような気になるのです。 【Olias】さん [CS・衛星(字幕)] 4点(2018-08-28 23:49:54) |
30.何度めかの鑑賞。 オチが分かっていて見るのと多少魅力は下がるが、初見を考えると評価できる作品か。 【simple】さん [CS・衛星(字幕)] 7点(2018-08-19 16:43:55) |
29.ヨーゼフ・メンゲレという実在した鬼畜医師を演じたのが「アメリカの良心」ともいうべきグレゴリー・ペックというのに仰天。私だって一度はこういう役をやってみたかったんだよと言わんばかりの怪演が特筆もの。ナチハンターのローレンス・オリビエ(この人もメンゲレ役が似合いそう)との肉弾戦はご老体同士とは思えない迫力で、それ以上にドーベルマンとの肉弾戦もどうやって撮影したのだろうと思うもの凄い迫力。意図が不明な陰謀の全容が明らかになってゆく過程に引き込まれ、荒唐無稽であるのに妙なリアリティがあり余韻が残る。お目当てジェームズ・メイソン(この人が一番メンゲレ役が似合う)の存在感の薄さを補って余りある秀作。 |